見下ろしてあげる。
見降ろしてあげる。
くすくす……。
お兄ちゃんたち、気をつけてよ?
油断してると、みおろされちゃうよ?
――自分たちに。
「何なんだよ……これ……」
彼は、呆然とつぶやいた。
きっかけはいつも通り。組織からの依頼で、都市伝説の討伐に向かった事。
人を死に招くという幽霊団地に、彼と都市伝説の「コックリさんに心を蝕まれた男」が到着した時。
目の前に、異国の少女が立っていた。
「こんばんわ、お兄ちゃん」
彼は、呆然とつぶやいた。
きっかけはいつも通り。組織からの依頼で、都市伝説の討伐に向かった事。
人を死に招くという幽霊団地に、彼と都市伝説の「コックリさんに心を蝕まれた男」が到着した時。
目の前に、異国の少女が立っていた。
「こんばんわ、お兄ちゃん」
初めは問題の都市伝説かと思った。
だが、心を蝕まれコックリさんの力を得た男が、彼女は人間だと告げる。
人間。なら、彼女も都市伝説を退治しに来た契約者なのだろうか――
そう思った、刹那。
だが、心を蝕まれコックリさんの力を得た男が、彼女は人間だと告げる。
人間。なら、彼女も都市伝説を退治しに来た契約者なのだろうか――
そう思った、刹那。
ぐしゃりと。
相棒の都市伝説が潰された。
「なっ――!?」
まるで、上から鉄筋でも落ちてきたかのように。
血と臓器を、ぶちまけて。
「くすくす……」
妖艶に少女が笑う。暗めの、闇に溶け入りそうな金髪が、対照的に、星のように青く光る瞳が、
恐ろしい悪魔のように見えた。
「弱いわ……ヤーパンの契約者って、こんなものなの……?」
侮蔑がありありと入った言葉に彼は顔をゆがめるが、続く少女の動きに呆然とする。
相棒の都市伝説が潰された。
「なっ――!?」
まるで、上から鉄筋でも落ちてきたかのように。
血と臓器を、ぶちまけて。
「くすくす……」
妖艶に少女が笑う。暗めの、闇に溶け入りそうな金髪が、対照的に、星のように青く光る瞳が、
恐ろしい悪魔のように見えた。
「弱いわ……ヤーパンの契約者って、こんなものなの……?」
侮蔑がありありと入った言葉に彼は顔をゆがめるが、続く少女の動きに呆然とする。
宙に浮いたのだ。
浮遊。
それは、瞬く間に団地の2階ほどまで達した。
「一体、何の――」
契約者なんだ。
「いや――」
それより。
「な、なんで俺たちを襲う!?」
初撃でコックリ男は即死していたから、もはや俺「たち」ではないのだが、そんな事はどうでもいい。
ただ、この少女の振る舞いが理解できない。
契約した都市伝説に操られているのか。それとも――
「嫌いなの。あなたたちが」
見下すような笑顔とともに、言葉が降ってきた。
浮遊。
それは、瞬く間に団地の2階ほどまで達した。
「一体、何の――」
契約者なんだ。
「いや――」
それより。
「な、なんで俺たちを襲う!?」
初撃でコックリ男は即死していたから、もはや俺「たち」ではないのだが、そんな事はどうでもいい。
ただ、この少女の振る舞いが理解できない。
契約した都市伝説に操られているのか。それとも――
「嫌いなの。あなたたちが」
見下すような笑顔とともに、言葉が降ってきた。
「だから私は、『こっち』につくの」
こっち。それは、都市伝説側ということなのか。
「馬鹿な! 君は、人間だろう!?」
彼の言葉を聞いて、少女は心底おかしそうに笑った。
「うふふ……あははは……。―― 一緒だよ、どっちも」
その青い瞳に込められた感情に、彼はぞくりとした。
容赦がない。人をなんとも思っていないのではなく、人を人だとわかった上で、殺意を満面にたぎらせた目。
殺される。このままいけば、彼は確実に殺される。ぺしゃんこにされた、相棒の都市伝説のように。
――ならば、やるべきことは一つ。
相棒の死体に駆け寄り、その血で描く。それは――
「コックリさん、コックリさん、おいでください!」
自分自身が「コックリさんに心を蝕まれた男」になる。正真正銘、最期の手段。
敵うかどうかはわからない。だが、このまま犬死するよりは良い。ここで少女を止められなければ、 別の組織のメンバーが襲われる。
「うおおおおおおおおおっ!!」
ぼやける思考の中、目の前の少女を倒すことだけを夢見、彼は意識を手放した。
こっち。それは、都市伝説側ということなのか。
「馬鹿な! 君は、人間だろう!?」
彼の言葉を聞いて、少女は心底おかしそうに笑った。
「うふふ……あははは……。―― 一緒だよ、どっちも」
その青い瞳に込められた感情に、彼はぞくりとした。
容赦がない。人をなんとも思っていないのではなく、人を人だとわかった上で、殺意を満面にたぎらせた目。
殺される。このままいけば、彼は確実に殺される。ぺしゃんこにされた、相棒の都市伝説のように。
――ならば、やるべきことは一つ。
相棒の死体に駆け寄り、その血で描く。それは――
「コックリさん、コックリさん、おいでください!」
自分自身が「コックリさんに心を蝕まれた男」になる。正真正銘、最期の手段。
敵うかどうかはわからない。だが、このまま犬死するよりは良い。ここで少女を止められなければ、 別の組織のメンバーが襲われる。
「うおおおおおおおおおっ!!」
ぼやける思考の中、目の前の少女を倒すことだけを夢見、彼は意識を手放した。
目の前の男が、突然雄たけびを上げて飛び上がってきた。
「ひっ……!?」
人間では、とてもありえない高さへの跳躍。相手の都市伝説を倒したと思って油断していた少女は、
反射的に身をすくめた。
それは致命的な隙。
その一瞬で、男は少女の眼前へと接近していた。
「がああああああっ!!」
先祖がえりしたかのような咆哮とともに、その硬い拳を振りかぶる。
「きゃあっ!!」
少女は空中で頭を抱え、うずくまった。
刹那、響き渡る轟音。
「ひっ……!?」
人間では、とてもありえない高さへの跳躍。相手の都市伝説を倒したと思って油断していた少女は、
反射的に身をすくめた。
それは致命的な隙。
その一瞬で、男は少女の眼前へと接近していた。
「がああああああっ!!」
先祖がえりしたかのような咆哮とともに、その硬い拳を振りかぶる。
「きゃあっ!!」
少女は空中で頭を抱え、うずくまった。
刹那、響き渡る轟音。
「…………?」
己の身が無事である事に気づき、少女は恐る恐る顔を上げる。
暗闇があった。
いや、違う。闇夜だから判別しづらいが、よく目をこらせばわかる。巨大な手が、
少女と男とをさえぎるように、差し出されていたのだ。
己の身が無事である事に気づき、少女は恐る恐る顔を上げる。
暗闇があった。
いや、違う。闇夜だから判別しづらいが、よく目をこらせばわかる。巨大な手が、
少女と男とをさえぎるように、差し出されていたのだ。
「あ……」
少女は、ゆっくりと横を見た。自分を肩に乗せる、黒い巨人の顔を。
そこに表情はなかった。当然だ。眉も眼も口も、何もないのだから。
その姿を確認し、ほっと、安堵したように笑う。
「ありがとう――――『ブロッケン』」
巨人は、何も答えない。
「うがあああああああ!!」
攻撃を防がれた男が、再び飛び上がってくる。
しかし、今度の少女に隙はなかった。
「捕まえて!」
言葉に応えるように、巨人の手が男を掴む。
「があああああああう!!」
男が暴れるが、手はびくともしなかった。
少女は、その光景を冷淡な目で見つめ――
「いいよ、潰して」
命じた。
締め付ける音がしばらく続いた後破裂音が響き、少女の顔にも赤いものが飛び散る。
彼女はポケットからハンカチを取り出し、それをぬぐった。
後悔はない。いや、ないことはないが、それは覚悟の範疇だ。
そうしなければ、守れないのだから。
少女は、ゆっくりと横を見た。自分を肩に乗せる、黒い巨人の顔を。
そこに表情はなかった。当然だ。眉も眼も口も、何もないのだから。
その姿を確認し、ほっと、安堵したように笑う。
「ありがとう――――『ブロッケン』」
巨人は、何も答えない。
「うがあああああああ!!」
攻撃を防がれた男が、再び飛び上がってくる。
しかし、今度の少女に隙はなかった。
「捕まえて!」
言葉に応えるように、巨人の手が男を掴む。
「があああああああう!!」
男が暴れるが、手はびくともしなかった。
少女は、その光景を冷淡な目で見つめ――
「いいよ、潰して」
命じた。
締め付ける音がしばらく続いた後破裂音が響き、少女の顔にも赤いものが飛び散る。
彼女はポケットからハンカチを取り出し、それをぬぐった。
後悔はない。いや、ないことはないが、それは覚悟の範疇だ。
そうしなければ、守れないのだから。
続く