「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ドクター-37

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ドクター37


疲れきった顔で階段を下りてくる、メイド姿のバイトちゃん
「どうやら丸く収まったようだな」
「ギリギリでご破算になりかけましたけどね」
階段の下で待っていたドクターに、バイトちゃんは疲れ切った顔で応える
「俺の昔の連れ……『MI6』のエージェントが『アメリカ政府の陰謀論』に憑かれてました。危うくマッドガッサーを攫うのに利用されるところでしたよ」
「何だ、ボク達は彼に良いように動かされていたわけか」
「……ドクター、あいつの事知ってましたっけ?」
「君が連絡不能、つまりマッドガッサー達の手に落ちた時に、ボクに連絡をくれたのは彼だからな」
「あの野郎……」
ぎり、と握り締めた拳に、ドクターの手がそっと添えられる
「落ち着きたまえ。君は感情的になって状況をすぐ見失うのが欠点だぞ。今回の無茶とてそれが招いた事だ」
「……すいません」
「今後は気をつけるように。さて」
ドクターの膝が、がくりと折れる
「ドクター!?」
「流石にボクの体力で、ホルマリンプールと亡者の血の池のハシゴは辛かったようだ。正直階段を昇る余力も無かったので、マッドガッサー達に嫌われていたのは助かったな」
ぐったりとしたその身体を抱き上げるバイトちゃん
「辛かったなら辛かったと素直に言って下さいよ!?」
「それでボクに手数を割いた結果、マッドガッサー達の説得が失敗したりしたら目も当てられないだろう? 他にも、君がボクについて残っていたとしたら、君の旧友が『陰謀論』の影響下にある事も判断できなかったしな」
「わかりましたから、少し黙って下さい! 上にいる人達が霊薬の類を持ってたら分けてもらいますから!」
「それでは医者の不養生を公開するようなものではないか。これぐらい可愛い女の子とイチャイチャしてれば回復する」
「医者が医学を全力で無視した事を言わないで下さいよ!?」
「病は気からというのはネタではなく、プラシーボ効果として実際にだな」
「病気と体力の衰弱は別問題でしょう……ってさっきから何処触ってるんですかドクター!?」
「エネルギーの充填をだな」
「ここでしなくてもいいでしょうが!? 上にはまだ皆いるって言ったでしょうが!」
この後、階段を降りて帰ろうとした面々は、やけに元気になったドクターと半裸に剥かれて隅っこで丸くなっているバイトちゃんを目撃する事になったという

―――

視界の全てが闇に覆われた空間
その中で、煌びやかな造形の椅子にどっしりと腰を下ろした『総統』の姿がスポットライトで照らされるように浮かび上がっていた
「珍しいな、貴様が召集をかけるとは」
暗闇の中から近付いてくる軍靴の音
また一つ、照らし出された椅子に、現れたもう一人の『総統』はゆっくりと腰を下ろす
椅子の背にはドイツ語で南極と刻まれている
「この間、貴様の部下の逃亡を手伝ったばかりではないか。そろそろ見返りが欲しいところだな」
南米の椅子に座った『総統』が、不機嫌そうに呟く
「まあそう尖がるな。何なら私が何か面白そうなものをくれてやろう。発掘作業の手を貸してくれるだけで構わんぞ」
「こちらも手数は足りんのだがな。オリハルコンの精製は手間が掛かってたまらん」
冗談混じりに笑いながら、新たなる『総統』が現れてムー、アトランティスの席に着く
「済まんな、遅くなった。戦線が膠着してな……いやはやウサギの軍勢め、巨大蟹まで出してくるとは」
そう言って月の席に座った事で、等間隔に並べられた六つの椅子が埋まる
「今日集まるのはこの六人だけかね?」
「本国の『総統』はどうしたのだ」
「イタリアのアレと観光旅行中らしい」
「なるほどな、アレの機嫌を損ねて他所と喧嘩された挙句に泣き付かれて同盟などする羽目になったら目も当てられん」
「アメリカのヤギや大阪の大佐などと比較にならん敗北の呪いを持っているからな、奴は」
「敵に回すのではなく味方にすると、というのがまた扱いに困る」
同じ顔、同じ声で繰り広げられる雑談が一通り落ち着いたところで
「さて、積もる話は後にして、今回皆を招集した私から端的な話をしよう」
日本の『総統』がぐるりと他の『総統』の顔を見回す
「現在日本にいる『マリ・ヴェリテのベート』と『マッドガッサー』についてだ」
その言葉に表情を微妙に歪めたのは、南極と南米の『総統』だった
「まずは『マッドガッサー』だ。彼は『アメリカ政府の陰謀論』を始め、様々な組織から身柄を狙われている」
「それを我々で確保してしまおうというのかね?」
「逆だ。彼を一つの組織の長として認め、対等な立場として接したい。基本的に相互不干渉を貫くが、求められれば『陰謀論』やその他敵対組織に対抗するために同盟を組む可能性もある」
「ははは、それはいい! アメリカの若造どもに一泡吹かせてやれるではないか!」
南米の『総統』がさも楽しそうに笑い手を叩く
「私は支持するぞ! 何か欲しいものがあれば存分に持っていくといい! 彼らを存分に守ってやろうではないか!」
「『マッドガッサー』は別にいい。『マリ・ヴェリテのベート』の話は何なのだ!」
対照的に渋面の南極の『総統』が椅子から立ち上がらんばかりの勢いで怒鳴る
「『マリ・ヴェリテのベート』も『マッドガッサー』の組織の一員だ。人狼研究を行っている南極には手を引いてもらいたい」
「ふざけるな! 我々の研究にアレは必要な存在なのだ!」
「ふざけてなどいるものか。そもそも私は以前から人狼や吸血鬼の研究や私兵化には反対しているのだ」
「狼や蝙蝠を可愛がっているだけだろう貴様は!?」
「動物を愛でる事の何が悪い!」
「開き直るな馬鹿者!」
怒鳴り合いを始める日本と南極の総統を、他の総統が間に割り込みながら宥める
「少なくとも私は日本の側だな。そもそも我々の軍はアーリア人で構成されるべきなのだ」
「高潔な意思を以って従軍するならともかく、改造や洗脳などで動かす兵など興が削がれるではないか」
「ぐぬぅ……」
味方が少ない事を実感した南極の『総統』は、唸りながらどすりと椅子に深く腰を下ろす
「我々の研究を止める以上、見返りはあるのだろうな?」
「あるわけがなかろう」
「馬鹿にしとるのか貴様は!?」
「貴様の悪評で私も部下も苦労しているのだ。大人しく手を引かぬというのなら……私にも考えがある」
「ほほう、武力行使でもするつもりか? 私の超兵器と超力兵団を相手に手勢も無い貴様がどうするつもりだ」
「戦争をしようというのなら『スツーカの悪魔』一人が居れば充分だがな」
ぐ、と息を呑む南極の『総統』を、日本の『総統』は至極真剣な顔で睨み付ける
「戦争で済むと思うな……私のペットショップへの出入りを禁止するぞ」
「済まんかった。金輪際決して『マリ・ヴェリテのベート』には手を出さん」
土下座でもしそうな勢いで頭を下げる南極の『総統』
「本国の『総統』もいい顔はしないだろうが、ここにいる面々が賛成してくれれば問題は無かろう」
「まあうちからは、手伝い兼監視という事で人員を送らせてもらうぞ? 任せきりにするには少々不安な素材ではあるからな」
南米の『総統』の言葉に、鷹揚に頷く日本の『総統』
「構わんよ。手が増えるのは非常に有難い」
「では会議は終わりかね? 私は取り急ぎ前線に戻りたいのだが」
「ああ、手間を取らせたな。あと、お節介かもしれんが武力行使は程々にな」
「せめて交渉ができるほど落ち着いてくれればいいのだがな。では」
軍靴の音を響かせて闇の中に消えていく月の『総統』
「私はムーとアトランティスに寄ってから帰るとしよう」
南米、ムー、アトランティスの『総統』が肩を並べて消えて行き
「……いつまでもお前の甘い考えが通用すると思うな。米、露の連中が動き出せば、私の軍事力に頼らざるを得なくなるぞ」
「あの大戦を経験しておいて、未だに武力に拘るかね」
「私は私のそういう部分の具現化だ。国の発展と人民の安寧を具現化した貴様とは違うのだ」
「『マッドガッサー』も『マリ・ヴェリテのベート』も、元の伝承から随分と変わったのだ。我々とて変わっていく事は可能だとも」
日本の『総統』はそう言って不敵に笑い、上着を脱いでペットショップのエプロンを身に着ける
「『マリ・ヴェリテのベート』に手を出さぬのなら、いつでも日本への来訪を歓迎するぞ……ペットショップの店長としてだがな」


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