「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ドクター-36

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

ドクター36


「日本の路上がここまで危険だったとは想定外であります。あの少女の護送を失敗したドクターの怒りも納得であります」
「あくまで特殊な事例な気もしますが、その特殊な事例が存在する以上は確かに納得ですね」
訳のわからない激闘に巻き込まれ命辛々逃げ延びたエニグマ姉妹
「良い人が多い環境で少々気が緩んでいました。今回はたまたま助かったから良いものの、これが敵対組織による拉致などだったら私達はあっさりと捕虜となっていたところです」
「都市伝説組織の抗争では、ジュネーヴ条約は適用外でありますからな」
「かといってここ日本では武装するわけにもいきません。今後の自衛手段をドクターと総統閣下に相談した方がいいですね」
「組織ぐるみで敵対する事は無いよう気を遣ってはいるのだが。通り魔的犯行の対策は確かにしておかねばな」
「そ、総統閣下!」
「何故ここに……と聞くまでもないお姿ですね」
姉妹の元へ現れた『第三帝国』の『総統』は、散歩ではしゃぐ犬が繋がれた大量のリードを手に立っていた
「散歩の途中だったのだが。野良の子達が君達が浚われた現場を目撃し連絡をくれてな」
「そういえば、あちこちで犬が遠吠えをしていましたが……あれは総統閣下への連絡をしていたんですね」
「とはいえフットワークが軽過ぎであります、総統閣下。小官らよりもご自身の安全をお考え下さい」
「私は死なぬし、死ねぬからな。心配は無用だ」
ぱたぱたと尻尾を振る犬達の頭を撫でながら、総統は静かに語る
「先程の誘拐犯とは別に、どうも最近、またきな臭い雰囲気が漂っている。連絡が密に必要になるだろう、くれぐれも自愛したまえ」
「きな臭い、ですか」
エニグマ妹が不安そうに呟く
「軍人として、為政者としての勘だがね。まあ私も戦争を離れて長い、こんな勘は鈍っていてくれると有難いのだが」
「いえ……町内の電波チェックの精度を上げておきます。何かありましたら直ちに報告いたしますので」
「ああ、宜しく頼む。では私は散歩の続きがあるのでな、気をつけて帰りたまえ」
「はっ! 総統閣下もお気をつけて!」
びしりと敬礼して見送る姉妹に、何度も振り返りながら犬の群れを引き連れて去っていく総統
その姿は部下に仕事を任せた組織の長というより、孫の心配をする祖父のようだった
「……日本の総統閣下は、本当に人の良い御方であります」
「一兵卒である私達に対して、情が深過ぎます。いざという時に切り捨てられないと、より大きな被害があるかもしれないというのに」
「大のために小を切り捨てる事がなく、大も小も生かすために力を尽くす。そんなお方だからこそ、小官達は総統閣下に忠誠を尽くしているのでありますよ!」
ふふんと胸を張る姉に、やや冷めた視線を向ける妹
その思考の奥底深くに、小さな棘が刺さったような僅かな疼きを感じながら

《君が日本で起きている事を我々のエージェントに余さず報告しなければいけない
何故そのような事をしなければいけないか?
そ れ は
我   々 ア   メ
    リ         カ   政
   府  の  陰 謀な
 の だ    か    ら  だ                      》

「……どうしたでありますか?」
姉の声に、妹のぼんやりとしていた意識が引き戻される
「少しぼうっとしてました。変な事に巻き込まれて疲れたのかもしれません」
どこかで何かがあったような気がしたのだが、それを全く思い出す事が出来ない
だがそれぐらいの事なら、大した事ではないのだろう
「それよりも、先程までの騒ぎで余計な時間を費やしてしまった分、夕食の買い物を急がないといけないですよ、お姉」
「はっ!? 急がないとスーパーマーケットが閉まってしまうでありますよ!」
「わわ、引っ張らないで下さいお姉! まったくもう」

―――

床に広がる大きな水鏡に映る学校町の全景
それを囲むように居並ぶ黒服達は、不気味な色と形に彩られ、黄色い符で封をされた壷をそれぞれ抱えている
「さて、種はいくつ蒔いておいても問題あるまいて」
「不信と不安が募れば自ずと喰らい合うのが人というもの」
「学校町という大きな壷はまだまだ未成熟。小さな壷のうち『組織』はそこそこに喰らい合っているが充分とは言えぬ」
「一つが完成すれば後は事もなし」
「出来上がりし力を以ってすれば、他の組織と喰らわせ合う事など容易いものよ」
「ならば『組織』を混ぜ返すか」
「手を入れて逆に噛み付かれては、喰い合うのを邪魔するというもの」
「我らが主以外にも、『悪魔の囁き』なども跋扈しておる」
「急ぎはせぬ。壷さえ構えておけば、あとはゆるりと成るのを待つばかりよ」
黒服姿の中国人達は、サングラスの下で目を細めくくくと喉を鳴らせて笑う
「待とうではないか、我らが練り上げる毒が熟す時をな」


前ページ   /   表紙へ戻る   /   次ページ

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー