ドクター46
この診療所に詰めている人数は実質四人
ドクター、メアリー、ミツキ、バイトちゃんという構成だ
エニグマ姉妹は常に居るわけではなく、その時々で診療所と総統のペットショップのどちらかにいる
そんなエニグマ姉妹だが、診療所で寝泊りする時はバイトちゃんの部屋に居候する事になっていた
「まあドクターの部屋はもう三人いるし一杯なのは判るんだけどな」
「小官は有羽殿のお部屋は好きでありますよ?」
「私は別に廊下でも土間でも寝れるんですけどね」
拳銃の手入れをしているエニグマ姉と、テレビを見ながらスナック菓子をつまんでいる妹
髪型以外の違いは無い二人だが、雰囲気と趣味はまるで違う
「拳銃は使い慣れてるのか?」
「お姉は訓練での腕は南米支部でも相当なものですよ。有効射程距離以内なら動いていてもまず外しません」
自慢げに語る妹に、姉は苦笑を浮かべる
「実戦経験はまだ無いので過信はできないであります。銃弾が通用しない相手も多いでありますからね」
「ま、撃たずに済むに越した事はないわな。俺も日本に来てからは、ろくに能力使ってないし」
マッドガッサー騒動の折にドクターに対して使った以外は、町を訪れた際の『夢の国』の残敵掃討ぐらいである
「そうでありますね、撃たずに済むのが一番であります」
何気ない話のはずだったのだが、エニグマ姉は妙に深刻な顔をして手にした拳銃を見詰めている
「お姉? 何かあったんですか」
「へ? べ、別に何も無いでありますよ? 実戦があったらとちょっと不安になっただけであります」
「あはは、確かに私達は本来後方任務ですからね。南米基地の難攻不落っぷりが懐かしいです。買出しとかが大変でしたけど」
屈託なく笑う妹を見て、姉の内心に不安がどんどんと湧き上がる
それというのも、何時頃からか皆が寝静まっている時間に、彼女が組織の内部情報をどこかに送信しているのを何度か感知してしまっているのだ
つまりは、妹が何者かに操られているのか、寝返っているかという事なのだ
万が一にそういう事態があったとすれば、南米支部の方針では実害が出る前に処分するという事になっている
それならば、誰かの手に掛かるぐらいなら、いっそこの手で始末を付けるべきだと考えていた
たった一人の家族を殺されてしまえば、例え仕方ない事だとしても今の自分でいられる自信は無い
だから彼女は誰にも相談をしていない
二十四時間神経を張り詰め、妹が情報を漏らしている先を突き止めるために
万が一の時に、自分が引き金を引くために
ドクター、メアリー、ミツキ、バイトちゃんという構成だ
エニグマ姉妹は常に居るわけではなく、その時々で診療所と総統のペットショップのどちらかにいる
そんなエニグマ姉妹だが、診療所で寝泊りする時はバイトちゃんの部屋に居候する事になっていた
「まあドクターの部屋はもう三人いるし一杯なのは判るんだけどな」
「小官は有羽殿のお部屋は好きでありますよ?」
「私は別に廊下でも土間でも寝れるんですけどね」
拳銃の手入れをしているエニグマ姉と、テレビを見ながらスナック菓子をつまんでいる妹
髪型以外の違いは無い二人だが、雰囲気と趣味はまるで違う
「拳銃は使い慣れてるのか?」
「お姉は訓練での腕は南米支部でも相当なものですよ。有効射程距離以内なら動いていてもまず外しません」
自慢げに語る妹に、姉は苦笑を浮かべる
「実戦経験はまだ無いので過信はできないであります。銃弾が通用しない相手も多いでありますからね」
「ま、撃たずに済むに越した事はないわな。俺も日本に来てからは、ろくに能力使ってないし」
マッドガッサー騒動の折にドクターに対して使った以外は、町を訪れた際の『夢の国』の残敵掃討ぐらいである
「そうでありますね、撃たずに済むのが一番であります」
何気ない話のはずだったのだが、エニグマ姉は妙に深刻な顔をして手にした拳銃を見詰めている
「お姉? 何かあったんですか」
「へ? べ、別に何も無いでありますよ? 実戦があったらとちょっと不安になっただけであります」
「あはは、確かに私達は本来後方任務ですからね。南米基地の難攻不落っぷりが懐かしいです。買出しとかが大変でしたけど」
屈託なく笑う妹を見て、姉の内心に不安がどんどんと湧き上がる
それというのも、何時頃からか皆が寝静まっている時間に、彼女が組織の内部情報をどこかに送信しているのを何度か感知してしまっているのだ
つまりは、妹が何者かに操られているのか、寝返っているかという事なのだ
万が一にそういう事態があったとすれば、南米支部の方針では実害が出る前に処分するという事になっている
それならば、誰かの手に掛かるぐらいなら、いっそこの手で始末を付けるべきだと考えていた
たった一人の家族を殺されてしまえば、例え仕方ない事だとしても今の自分でいられる自信は無い
だから彼女は誰にも相談をしていない
二十四時間神経を張り詰め、妹が情報を漏らしている先を突き止めるために
万が一の時に、自分が引き金を引くために