「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ドクター-48

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ドクター48


同族殺しの襲撃であちこちが破壊された診療所
刃物による傷があちこちに付けられ、自動車の残骸が散乱し、爆発によって壁が砕け窓や玄関のガラスは割れに割れていた
「さて、建物の修理の手配をしなければな。この有様では研究の続行はおろか、外来の受付もままらなん」
「すいませんドクター、私なんかのために……」
申し訳なさそうに呟くミツキを、ドクターはきゅっと抱き締めて頭を優しく撫でる
「ここで敵を迎え撃つのを決めたのはボクだ、君には何も非は無いとも。当然ながら共に戦ってくれた皆にもな」
元々あまり頑丈ではない建物にはかなり致命的となった爆発系の攻撃
同族殺しの攻撃の他に、足止めに使った『爆発する携帯電話』での影響を気にしていた恵が、その言葉に隣にいる辰也を見上げる
「たりめーだ、俺達がいなきゃあんなの止めようが無かっただろ」
「ああ、どれだけ感謝してもし足りないぐらいだ。ありがとう」
微笑みながら恵に右手を差し出すドクターの前に、辰也は遮るように立ちはだかる
「握手もダメかね?」
「したけりゃ俺がしてやる」
宙ぶらりんだった右手を乱暴に握り、ぶんぶんと適当に振る
「大切なのだな」
「仲間だからな」
「言葉にしなければ伝わらない事もあるぞ?」
「うるせぇ。俺なりに、こいつなりに、順序ってもんがあるんだ」
握った手を放り投げるように離し、辰也は黒服Hの方を見る
「とりあえず一件落着で良いのか?」
「今のところはな。万が一アレがお前の能力から脱出したら、それは感知できるな?」
「そりゃあな。だけど空間転移系の能力は無さそうだし大丈夫じゃないのか? あの勢いと剣幕だ、脱出できるならとっくにしてるだろうさ」
「そうだな……このまま亡者に呑まれてくれりゃいいんだが」
やれやれといった調子で、階段に座り込んでいる黒服H
「それにしても、頼んだ俺が言うのも難だがよく来てくれたな。お前、ドクターみたいな研究者肌の人間は嫌いだろ」
「大嫌いだけどな。利用価値と、それに対する投資をしてるから死なれちゃ困るってだけだ」
辰也がちらりとドクターに視線を送る
「建物の修繕ついでに多少改築もして、研究施設を整える。約束を果たすまではもう少しだ」
辰也と
ミツキと
メアリーと
総統と
何よりも、初めて出会った人外である二人との約束
確実に歩みを進めているという実感を噛み締める
そんなドクターの様子を見て、辰也は話を終わるふりをしてその場を離れ、ミツキの傍にいるメアリーに耳打ちする
「あの女にあんまり無茶させるなよ。ぶっ倒れさせるために情報を流してるわけじゃないんだからな」
「何故それを私に?」
「契約してんだろうが、お前が、あの女と。一番近くにいるんだろ?」
言い聞かせるように、言葉を区切りながら語調を強める
「やりたい事を好きなようにやらせるだけじゃ、手遅れになるまで気付かねぇぞ。ああいう奴は自分を犠牲にして他人を助けようとするんだ、勝算が有ろうが無かろうがな」
ミツキを庇って刃に立ちはだかったドクター
それを更に庇って飛び出した黒服H
「似た者同士だと、どうせお互い譲らねぇんだろうな……ああくそ、何で俺がこんな気を揉まなきゃいけねぇんだよ」
「……優しいんですね」
「俺の優しさは身内と仲間だけで打ち止めだ。身内に関わる事じゃなきゃいちいち口出しなんかしねぇよ」
ふいとそっぽを向いて、心配そうに自分を見ている望の手を取る
「もう帰っていいんだよな? あんまり夜更かししたくないんだが」
「ふむ、確かに夜更かしは禁物だな。ちなみに当院は体質改善の相談も受け付けているぞ?」
「やる事全部やってから言いやがれ……行くぞ」
別れの挨拶もせず素っ気無く踵を返す辰也
恵は上目遣いにぺこりと頭を下げると、早足で辰也の元へと駆けて行った
その様子を一部始終見ていた黒服Hは、珍しいものでも見るような顔でドクターを眺める
「いつの間にあいつと仲良くなったんだ?」
「健康にさせたい人がいるとの事でね、色々協力してくれている」
「あー、お姫さんか。あいつ身体弱いからな」
「そんな認識かね……まあいい、我々は多分無事であろう寝室で一休みしてから後片付けだが。君も一緒にどうだね? 女六人の添い寝付きだが」
「ナチュラルに俺までカウントしないで下さいよ!? もう男に戻ってるでしょうが!?」
「はっはっは、女体化解除薬を作ると同時に女体化薬も作ってあるぞ?」
「もう嫌ですからね!? 絶対女にはなりませんよ!」
「魅力的な提案だが、対面上まだ『組織』には色々報告しなきゃいかなくてな。色々都合良く誤魔化す部分も必要だしあんまり暇無ぇんだわ」
腰掛けていた階段から立ち上がり、いつもの飄々とした様子で診療所を出ていく黒服H
「無理をするなよ?」
「あんたもな」
その背中を見送って、ドクターは軽く溜息を吐く
「さて、アレにどうやってこちらの手に乗ってもらうかだな。十三階段の彼にでも説得を頼まないと無理そうだ……とりあえず今晩はこの有様では何もできん。たまにはゆっくり寝るとしよう」
「あの、何で俺、ミツキさんに羽交い締めにされてるんでしょうか」
「階段側にあった君の部屋だが、どうやらまともに寝れる状況ではないようでね? そのままでは廊下で寝るだの言い出しかねないが、随分と風通しが良くなったこの建物では医者としてそれを許可する事はできん。つまりエニグマ姉妹共々ボクの寝室で寝るように」
「だから女になれとでも!? 絶対嫌ですからね!?」
「男のままでも構わんぞ? ちなみに、多少君の気が楽になるようあの黒服も誘ってみたのが乗ってこなかったな」
「マジ廊下でいいですよ! 健康面でどうこう言うなら総統のとこでも運転手さんの車ん中でも駅前のビジネスホテルでも!」
「朝から色々あるのだ、そんな手間を掛けてはいられんだろう」
「恥じらいってもんは無いんですか!? ミツキさんもメアリーも何か言ってやって下さい!」
「私は別に構いませんよ?」
「ドクターのベッド、大きいですしね」
バイトくんはすぐさまエニグマ姉妹に視線を向けるが
「何を今更という感じではありますが」
「今まで一緒のベッドでしたし」
「賛成多数により本件は可決された。安心したまえ、休養が目的なのだから性的な事はしない」
「メアリー混じりでやられたら死ぬわっ!? 未成年もいるんだから自重して下さいよマジで! ミツキさん、笑顔で引っ張って行かないで下さい!? エニグマの二人も見てないで止めろー!?」


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