アットウィキロゴ

「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ドクター-51

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

ドクター51


都市伝説という存在は、本来不安定なものである
名前も、姿形も、力も、心も
噂という不確定で不安定な要素で構成され、確固たる己というものを持ち合わせていない
個性の強い都市伝説が目立つだけで、はっきりとした自我を持つ都市伝説というのは全体の総数から比べればレアケースなのだ
ミツキは口裂け女としてはごくごく一般的な存在だった
ドクターとの出会いと存在があまりにもショッキングだったために、それに引っ張られるように現在の自我が存在してたのだが
今はそれが揺らいでいる
『同族殺し』と呼ばれた存在が消えてしまったのは、自分のせいだと
自分が変われたのだから、彼女も変われるはずだと安易に思ってしまったせいだと
彼女はまだ引き返せるところにいるのだと、勝手に思い込んでしまっていたせいだと
沢山の人達を今まで救ってきたのは、ドクターを中心にした皆であって、自分ではなかったのだと
自分を大事に思ってくれる人は沢山いる
だが、自分にそれだけの価値があるとは思えなくなっていた
そんな不安定な彼女の耳元で、何かが囁き続けている

《彼女と同じ存在になれば彼女の存在を取り戻せる》

彼女と同じ存在になる
それは『同族殺し』になるという事
彼女と同じように『口裂け女』を狩り殺し喰らい取り込み、同じ存在になれば失われた彼女をもう一度呼び起こす事ができるかもしれない
そんな確証など何も無い穴だらけの理屈にすら、心を揺さ振られるほどにミツキの心は折れかけていた
会いたい
助けたい
ただそれだけなのに
声は強く強くなっていく
そんな方法で彼女が取り戻せるわけはないのに、それだけしか方法が無いかのように声は無責任に囁き続ける

《お前が化物でないから、化物である彼女を惑わせたのだ》

何時の間にか具現化した鎌が、その手に握られる
「ミツキ」
声を掛けられるまで気付かなかった
何時の間にか目の前には心配そうな顔のドクターが居て、震えるミツキの肩に手を掛けていた
「君は充分に頑張ったんだ」
「でもっ……私が言葉を間違えなければ! 払い除けられても無理矢理あの手を掴んでいれば!」

《殺せ、化物になれ、そして彼女を理解するのだ》

鎌を握る手に力が込められる
「やめろ」
ドクターの声は、ミツキに向けられたものではない
ドクターの背後に現れたメアリーが、その力を揮おうとしていたのだ
「ミツキ……今回は助けられなかったかもしれない。だがそれに囚われていては、またいつか救いを求めてくる者に手を差し伸べる事が出来なくなる」
「ど、くた、あ」
「ボクは絶望しなかった。出来なかった事を出来るようになるために。だからこそ、メアリーともミツキとも出会う事が出来た」

《喋らせるな、邪魔をさせるな、殺せ、殺せ、殺せ殺せ殺せ》

「さっきから五月蝿いぞ貴様……まあそのお陰で位置は掴んだが」
ドクターの手が、ミツキの内側で囁いていた何かを掴み取る

《な、に!?》

「心霊治療というものを知っているかね? 疳の虫を取り除く老人の話は? ここしばらく、都市伝説の治療については色々と学んでいてな。催眠術などの類なら対応は難しかったが、外的要因があるなら話は別だ」

《な……なぜ、実体化していたわけでもない存在に触れる事ができる!?》

「錬金術師としてはまだ未熟者だが、認識したものを『触れる』ようにできる才能は元々あったようでね」
それは主に霊的存在や概念存在の女性に触れるためだったのだが
ともあれドクターの手には小さな卵のようなものが握られていた
「メアリー、ボクの実験器具ケースの六番から、七十五番のフラスコを」
「は、はいっ」
メアリーが荷物ケースから取り出したフラスコに、ドクターの掴んだものが入れられ、きゅうと音を立てて蓋をされた
「ホムンクルスを作り出すための密閉フラスコだ。脱出は不可能だと思いたまえ」
ドクターは満面の笑顔を浮かべて、フラスコの中の卵に語り掛ける
「さて……ボクの恋人を誑かそうとしてくれた礼だ、隅々まで健康診断をしてあげようじゃないか」
それまで悪意を囁き人を唆してきた『悪魔の囁き』の一つである卵は、身体があれば冷や汗の一つでもかいていたかもしれない
「丁度、都市伝説を人間にする実験にも検体が必要だったのだ。性別や肉体的外見のイメージが無いのであれば、ボクの好みでやっても構わんだろう?」
『悪魔の囁き』は、恐怖とは違う何かおぞましいものを初めて感じたのだった


前ページ   /   表紙へ戻る   /   次ページ

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー