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連載 - ドクター-50

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ドクター50


総統指揮下の戦闘工兵隊による、復旧作業の見積もりが粛々と行われている現場
ドクターとバイトくんが現場で改築にあれこれと指示を出している傍ら、仮設のプレハブ小屋ではメアリーとエニグマ姉妹が医療設備の再配置に走り回っていた
そんな中、怪我をしているという理由で二階の居住スペースでベッドに横になっていたのだが
その場にいた全員が、気配を察知した時には既に事態は展開していた
ミツキが休んでいる二階の一角が、闇色の球体によって包み込まれていたのだ

―――

現れた『同族殺し』に、ミツキは静かに対峙する
敵意が無いわけではない
ただ、問答無用で襲ってきた出会いの頃や診療所襲撃時と比べれば、それは無いに等しい
揺らぎ、霞む『同族殺し』の姿
恐ろしく
禍々しく
だが、儚く
か弱い
「……貴女の周りには、何であんなにも仲間がいるの?」
そんな彼女の口から零れた、そんな質問に
「私は、『口裂け女』としてはとても弱い存在でした。質問に答えた者の口を裂くための鎌を出せるぐらいで、身体能力も腕力が多少ある程度です」
つまらない、地味だと言われた自分よりもずっと弱く更に地味な存在
それが何故と、『同族殺し』の胸の内で嫉妬心と好奇心が鬩ぎ合う
「偶然です。私を美しいと言った上で、その存在全てを受け入れてくれる人が現れたのは」
偶然の出会い一つで運命はここまで変わるものなのか
自分の不運を呪うべきなのか、この口裂け女の幸運を妬むべきなのか
「でも、私を受け入れてくれたドクターについていく事を決めたのは私の選択です……まあ、ドクターの押しは普通の人よりずっと強かったせいもあると思いますけど」
少しだけ頬を赤らめたが、すぐに真顔に戻って真っ直ぐに『同族殺し』を見詰める
「あなたは差し伸べられた手を握り返す事ができますか?」
ミツキが、一歩一歩『同族殺し』に歩み寄る
「差し出されていた手に刃が握られていれば、私は刃で応えなければいけない。一緒にいたい人達が、守りたい人達がいるから」
手を伸ばせば相手の身体に触れる事ができる距離まで近付き
「あなたが私と共に生きたいのなら、私の大切な人達と共に生きたいのなら、刃ではなくてこの手で触れ合いましょう」
ドクターがそうしてくれたように、自分もできるのだろうか
打算も畏怖も何も無くただ愛を以って受け入れる事が、できるのだろうか
「私の仲間達は、差し伸べられた手は必ず握り返してくれます。そうして迎え入れられた私だからこそ判るんです」
そして、ミツキは両手を広げる
襲われたらひとたまりもない距離で、無防備に己の全てを曝け出し
「弱くても、地味でも、つまらない存在なんていない。私は私以外の何でもなくて、あなたはあなた以外の何でもない。たくさん存在する口裂け女の中にでも、私とあなたは一人ずつしかいない」
笑顔を以ってこう告げた
「私にとっての唯一無二のあなたは、とても綺麗です」


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