小ネタその11 猿夢vs~
ガタゴトと揺れる電車の中
血塗れの肉片があちこちに散らばっている
それらはこの終電に乗り合わせていた乗客達
頭の禿げ上がった初老の男は鞄を座席に置くと、周りを取り囲む小人達を見回す
「なるほど、猿夢というやつですな。夢でもないのに現れるのは流石学校町といったところです」
その言葉に、車掌室でマイクを手にした人間ほどの大きさの猿が、楽しそうに飛び跳ねながら笑い出す
《カカカカカ、俺の事をご存知か! それじゃあ活け造り、抉り出しの次に何をされるかも判るなぁ?》
「挽き肉、でしたかな?」
《その通りだぁ! やれ、小人共!》
流暢に人間と同じ声で喋る猿に対して、猿のようにキーキーという声を上げる小人達
その手に刃物がついたローラーのような機械を手ににじり寄ってくる
《お前は何かの契約者か? さっさと小人共を始末しないって事は、大した能力じゃないんだろうなぁ!》
小人達は一斉に男に飛び掛る
モーター音を立てて回転する凶器を男目掛けて振り下ろし――そして床に着地した
小人達は首を傾げる
手応えは全く無く、機械には挽き肉にした肉片はおろか、血の一滴も付いていない
「無論、大した能力ではありませんとも」
ゆらりゆらりと男の身体が揺れる
気を取り直した小人が奇声を上げて飛び掛るが、ゆらりと弧を描いて振り上げられた男の手が凶器を避けて小人の身体に触れたかと思うと、そのまま受け流し床へと放り出される
そして――何時の間にか男は脱いでいた
小人の攻撃で服が破れたわけではない
脱いだスーツはきちんと座席に掛けられていた
《何故脱ぐ!?》
猿の狼狽をよそに、男は小人の攻撃を受け流しながら一枚一枚と服を脱いでいく
「服を着ていては、動きを良く見せられませんからな」
ラメ入りのビキニパンツ一丁になった男は、ゆらゆらと身体を揺らし手足を大きくくねらせる
その動きは実に滑らかで、どこかの民族の舞踊だと言えば信じる人間もいるだろう程だ
だがそれがただの踊りでない事はすぐに証明される
飛び掛る小人達を受け流しあしらいながら、その動きはどんどん大きく激しく、そして速くなる
「キ、キキキ、クキケキ」
小人の一匹が突然白目を剥いて床に倒れ、ひっくり返された虫のようにばたばたと手足を振り乱しながら暴れている
《な、なんだお前は!? 小人共、その不気味な動きを止めろ!》
だが出鱈目に凶器を振り回す小人達の攻撃は全く当たらず受け流され、一人、また一人と倒れ伏し狂ったように手足をばたつかせる
男の動きは全く止まる様子も無く、激しく身体をくねらせながら車掌室ににじり寄ってくる
《近付くな気持ち悪ぃ!? なんだその動きは! そのくねくねとした踊り……!?》
「気付かれましたな?」
男の動きは止まらない
激しく力強く柔らかく、大胆かつ繊細に
骨など存在しないかのように激しく身体をくねらせる
「そう、私の契約した都市伝説は『くねくね』、理解してしまった時がフィナーレですぞ」
車掌室の猿はマイクを取り落とし、機材や壁面に手足をぶつけながら狂ったように手足を振り乱し
駅が近付くにつれてその姿を薄れさせ、小人や血肉の跡と共にゆっくりと消えていった
「犠牲者の方々には申し訳ありませんが、実に良い踊りができましたな」
手早く服を着て身支度を整えた男は、目的の駅に到着した事を確認して電車を降りていったのだった
血塗れの肉片があちこちに散らばっている
それらはこの終電に乗り合わせていた乗客達
頭の禿げ上がった初老の男は鞄を座席に置くと、周りを取り囲む小人達を見回す
「なるほど、猿夢というやつですな。夢でもないのに現れるのは流石学校町といったところです」
その言葉に、車掌室でマイクを手にした人間ほどの大きさの猿が、楽しそうに飛び跳ねながら笑い出す
《カカカカカ、俺の事をご存知か! それじゃあ活け造り、抉り出しの次に何をされるかも判るなぁ?》
「挽き肉、でしたかな?」
《その通りだぁ! やれ、小人共!》
流暢に人間と同じ声で喋る猿に対して、猿のようにキーキーという声を上げる小人達
その手に刃物がついたローラーのような機械を手ににじり寄ってくる
《お前は何かの契約者か? さっさと小人共を始末しないって事は、大した能力じゃないんだろうなぁ!》
小人達は一斉に男に飛び掛る
モーター音を立てて回転する凶器を男目掛けて振り下ろし――そして床に着地した
小人達は首を傾げる
手応えは全く無く、機械には挽き肉にした肉片はおろか、血の一滴も付いていない
「無論、大した能力ではありませんとも」
ゆらりゆらりと男の身体が揺れる
気を取り直した小人が奇声を上げて飛び掛るが、ゆらりと弧を描いて振り上げられた男の手が凶器を避けて小人の身体に触れたかと思うと、そのまま受け流し床へと放り出される
そして――何時の間にか男は脱いでいた
小人の攻撃で服が破れたわけではない
脱いだスーツはきちんと座席に掛けられていた
《何故脱ぐ!?》
猿の狼狽をよそに、男は小人の攻撃を受け流しながら一枚一枚と服を脱いでいく
「服を着ていては、動きを良く見せられませんからな」
ラメ入りのビキニパンツ一丁になった男は、ゆらゆらと身体を揺らし手足を大きくくねらせる
その動きは実に滑らかで、どこかの民族の舞踊だと言えば信じる人間もいるだろう程だ
だがそれがただの踊りでない事はすぐに証明される
飛び掛る小人達を受け流しあしらいながら、その動きはどんどん大きく激しく、そして速くなる
「キ、キキキ、クキケキ」
小人の一匹が突然白目を剥いて床に倒れ、ひっくり返された虫のようにばたばたと手足を振り乱しながら暴れている
《な、なんだお前は!? 小人共、その不気味な動きを止めろ!》
だが出鱈目に凶器を振り回す小人達の攻撃は全く当たらず受け流され、一人、また一人と倒れ伏し狂ったように手足をばたつかせる
男の動きは全く止まる様子も無く、激しく身体をくねらせながら車掌室ににじり寄ってくる
《近付くな気持ち悪ぃ!? なんだその動きは! そのくねくねとした踊り……!?》
「気付かれましたな?」
男の動きは止まらない
激しく力強く柔らかく、大胆かつ繊細に
骨など存在しないかのように激しく身体をくねらせる
「そう、私の契約した都市伝説は『くねくね』、理解してしまった時がフィナーレですぞ」
車掌室の猿はマイクを取り落とし、機材や壁面に手足をぶつけながら狂ったように手足を振り乱し
駅が近付くにつれてその姿を薄れさせ、小人や血肉の跡と共にゆっくりと消えていった
「犠牲者の方々には申し訳ありませんが、実に良い踊りができましたな」
手早く服を着て身支度を整えた男は、目的の駅に到着した事を確認して電車を降りていったのだった