恐怖のサンタ 悪魔の囁き&コークロア編 08
あの占い師との会談から二日が経過した。
つまり、デビ田が悪魔の囁きであると暴露されてから四十八時間という長い時間が経過したわけである。
つまり、デビ田が悪魔の囁きであると暴露されてから四十八時間という長い時間が経過したわけである。
「…………はぁ」
しかし、山田の表情は暗かった。
別に、デビ田が都市伝説だから、これ以上非日常に漬かりたくないのにとかそんな風に拗ねているわけではない。
そこはもう、半ば開き直っていた。
別に、デビ田が都市伝説だから、これ以上非日常に漬かりたくないのにとかそんな風に拗ねているわけではない。
そこはもう、半ば開き直っていた。
「(ドォシタ、辛気クセェ)」
「いや、自分の鈍感さに呆れてるというか、絶望してるというか……」
「いや、自分の鈍感さに呆れてるというか、絶望してるというか……」
脳に響いてきた声に返答して、はぁ、と再び溜息をつく山田。
この二日間、常時こんな感じであるわけではない。
時折思い出したように溜息をついては、陰鬱な雰囲気を纏うのだ。
アップダウンが激しいという事実のみを取れば、それは鬱病と似ているのかもしれない。
結局は思春期にもよくある、ただの自己嫌悪なのだが。
この二日間、常時こんな感じであるわけではない。
時折思い出したように溜息をついては、陰鬱な雰囲気を纏うのだ。
アップダウンが激しいという事実のみを取れば、それは鬱病と似ているのかもしれない。
結局は思春期にもよくある、ただの自己嫌悪なのだが。
「あぁ、俺にも都市伝説の気配を察知できる力が欲しい……」
そんな風に、本日三度目の溜息を山田がついていると
「山田、暇だよー」
がばぁ、と後ろから誰かに抱きつかれた。
基本的に、この家には山田を含め五人しか存在しない。
つまり、必然的にその候補は限定されるのだ。
そして今、山田の背に当たっている起伏。
このまな板のようにまっ平らな胸から想像するに――――
基本的に、この家には山田を含め五人しか存在しない。
つまり、必然的にその候補は限定されるのだ。
そして今、山田の背に当たっている起伏。
このまな板のようにまっ平らな胸から想像するに――――
「……何してんだ、佑香」
あぐらをかいて座る山田の背中にぴったりと張り付いていたのは、10歳程に見える一人の少女だった。
茶色の混じったセミロングの髪が、山田の顔にかかってくすぐったい。
少女の名前は、二条 佑香。
つい最近この家に居候する事になった幽霊である。
一度で名前を言い当てられた彼女は、しかし何故か頬を膨らませて、山田を睨んだ。
茶色の混じったセミロングの髪が、山田の顔にかかってくすぐったい。
少女の名前は、二条 佑香。
つい最近この家に居候する事になった幽霊である。
一度で名前を言い当てられた彼女は、しかし何故か頬を膨らませて、山田を睨んだ。
「む。何やら今ものすごい失礼な推理が山田の中で行われていたような気がするの」
「気のせいだ。錯覚だ。勘違いだ」
「何か、すごく嘘くさいよ」
「何を言う。だてに二十五年生きてないぞ、俺は。人様に平気で嘘をつくような大人じゃない」
「むしろ、大人になればなるほど嘘つきになる気がする」
「気のせいだ。錯覚だ。勘違いだ」
「何か、すごく嘘くさいよ」
「何を言う。だてに二十五年生きてないぞ、俺は。人様に平気で嘘をつくような大人じゃない」
「むしろ、大人になればなるほど嘘つきになる気がする」
この年で半ば悟った事を言う佑香に、山田は別の意味で溜息をついた。
「(テメェヨリヨッポド『人間』ガ分カッテンジャネェカ、将来明ルイナァ)」
「(いや、暗い未来しか想像できないんだけど)」
「(いや、暗い未来しか想像できないんだけど)」
脳内で笑うデビ田に、山田も表には出さない声で突っ込んだ。
人を信じられない大人ほど惨めな物はないと、山田は思う。
不信は他者からの不信を招き、それによりさらなる不信へと陥る。
そんな負のスパイラルしか、そこからは生まれないだろう。
後でちゃんと説教をしておこう、と何気なく問題を先送りした山田をよそに、佑香はパタパタとその背で暴れた。
人を信じられない大人ほど惨めな物はないと、山田は思う。
不信は他者からの不信を招き、それによりさらなる不信へと陥る。
そんな負のスパイラルしか、そこからは生まれないだろう。
後でちゃんと説教をしておこう、と何気なく問題を先送りした山田をよそに、佑香はパタパタとその背で暴れた。
「暇だよー。お姉ちゃん達もいないし、山田、遊べー」
「何気に命令口調だな、おい。つか、猫がいるだろう、お前のお気に入りの猫が。アレで我慢しろ」
「猫はもうダウンしちゃったよ?」
「ダウン……?」
「何気に命令口調だな、おい。つか、猫がいるだろう、お前のお気に入りの猫が。アレで我慢しろ」
「猫はもうダウンしちゃったよ?」
「ダウン……?」
佑香の言葉に、何となく嫌な予感を覚える。
まさかな、と思いつつ、先程まで子ライオンが日向ぼっこをしていたはずの窓際へと目を向けると――――
まさかな、と思いつつ、先程まで子ライオンが日向ぼっこをしていたはずの窓際へと目を向けると――――
ぎゃ……しゃー……
――――そこには、断末魔を上げる子ライオンがいた。
ふさふさだったはずの毛はぼさぼさになり、今にもくたっとどこかへ逝ってしまいそうである。
ふさふさだったはずの毛はぼさぼさになり、今にもくたっとどこかへ逝ってしまいそうである。
「猫ぉぉぉぉおおおおおおおおっ!?」
その惨状を目にして、山田は慌てて子ライオンの元へと走った。
この子ライオン、「非日常」まみれの山田の精神を支えている唯一の柱でもある。
実はこの子ライオンが都市伝説である事を知っているデビ田としては何とも心苦しい状況でもあるのだが、ひとまずそれが山田に休息を与えているのは間違いない。
この子ライオン、「非日常」まみれの山田の精神を支えている唯一の柱でもある。
実はこの子ライオンが都市伝説である事を知っているデビ田としては何とも心苦しい状況でもあるのだが、ひとまずそれが山田に休息を与えているのは間違いない。
「ゆ、佑香、お前一体何をした」
「猫と数分遊んだ」
「数分でこれかよっ!? え、なに、お前そんな怖い遊びしてるの?」
「……山田も試す?」
「猫と数分遊んだ」
「数分でこれかよっ!? え、なに、お前そんな怖い遊びしてるの?」
「……山田も試す?」
遠慮しておきます、と山田は丁重にお断りしつつ、ぐてっとした子ライオンを抱えた。
「ぎゃしゃ」と何やら山田に伝えようとしているらしいのだが、山田にはさっぱり理解が出来ない。
理解できたとしても、「最後に腹いっぱい、肉が食べたかった……」と言っているだけなので、むしろ山田が落胆するかもしれないのだが、そんな事山田は知ったこっちゃない。
「ぎゃしゃ」と何やら山田に伝えようとしているらしいのだが、山田にはさっぱり理解が出来ない。
理解できたとしても、「最後に腹いっぱい、肉が食べたかった……」と言っているだけなので、むしろ山田が落胆するかもしれないのだが、そんな事山田は知ったこっちゃない。
「救急車か!? いやでも猫に救急車? いやそもそもこれそんなに酷い状況かもわからないし……ああ何でこんな時に良子も沙希もいないんだ……」
以前沙希を子ライオンが咥えてきたような慌てっぷりで、山田があたふたする。
今挙げた「山田家の頼れる人」の中にマゾがいないのは偶然か、それとも必然か。
今挙げた「山田家の頼れる人」の中にマゾがいないのは偶然か、それとも必然か。
「山田、暇―」
「(コノママ見捨テテモイインジャネェ?)」
「(コノママ見捨テテモイインジャネェ?)」
ぺたりと再び張り付く佑香に、この際子ライオンを消し去ろうと企てるデビ田。
休日の山田家は、その混沌を平日よりもさらに深めていた。
休日の山田家は、その混沌を平日よりもさらに深めていた。
【終】