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連載 - 恐怖のサンタ-x07

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uranaishi

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恐怖のサンタ 悪魔の囁き&コークロア編 07


デビ田の憂鬱の続き

 ――――オイ、へたれ。テメェニ仕事モッテキテル野郎ニ連絡シロ

 こんな事を突然言われたのは約一時間前の事だ。
 そのちょっと前、俺は突然、マゾと歩いていたとか言う意味のわからない理由で爆破された。
 意味のわからない攻撃を意味のわからないなりにやり過ごした後に出た言葉が、これである。
 さらに意味のわからない言葉を重ねられて、正直俺の頭はかなり混乱していた。

「……それで、何の用だ」

 そんなこんなで、今、俺の家にはやってきた占い師を含め6人の人間がいる。
 さらに詳しく言えば霊が一人、半霊が一人、都市伝説が三人、人間が一人という構図なのだが、何だか虚しくなるのでこれ以上の説明はできれば避けたい。
 というか、何で俺の部屋がこんな人外魔境みたいになっているのか。
 一体何の陰謀だというのだろう。
 俺が何をしたというのだろう。
 疑問は募るばかりでしかなかった。

「あまり長居はできない。出来れば手短に頼む」

 そう言う占い師の傍らに、今日はあの少女はいない。
 「猫の散歩」というもっともらしい理由を付けて、占い師が来て早々に追い出していた。
 別にここでの会話を聞かせる事に拒否感があるわけではない、とその後で占い師は言っていた。
 なんでもあの仙人の爺が「わしも行くぞ」とか駄々をこね始めたらしく、あの長身の女性に家に縛り付けて貰っているらしい。
 いつ爺が脱出するか分からないからこその策なのだろう。
 だから、この占い師が微妙に急いでいるのもなんとなく分かるのだが

「と言われても、俺にも何が何だか……」

 この場を設けたのはデビ田の案だ。
 急げと言われても、肝心のデビ田が何をするのかが分からない以上、俺にはどうしようもない。
 大体、俺の幻聴であるデビ田が一体何をしようというのか。

「(……で、占い師に来てもらったけど、どうすんの)」
「(マダ分カンネェノカ? サッキノ野郎ノ言葉ヲ聞イテタダロウガ)」
「(さっきの野郎って言ってもな……何か言ってたっけ?)」
「(へたれナ上ニ鶏頭カ。幸先クライナァ、テメェ)」

 なぜちょっと記憶にないだけでここまでぼろくそに言われなければならないのだろうか……。
 ちょっとへこむ俺をよそに、デビ田はけらけらと笑って

「(……マァ、鶏頭ノテメェデモ見テレバ分カルダロウヨ)」
「(そこで鶏頭を強調するのな、お前……)」

 もういじけるしかない。
 肩を落とし、一人溜息をついていると、何かの準備をしていたらしいデビ田から声がかかった。

「(オイ、頭借リルゾ)」
「(鶏頭なんじゃないのか)」
「(ソッチノ頭ジャネェッ! イイカラジットシテロ、チョットノ間ダケダ)」

 もはやデビ田の言動は俺の理解の範疇を超えていた。
 取りあえず、デビ田の言葉に従って頭を動かさないようにじっとしてみる。
 何だか周囲の視線の色が変わったような気がするのは、出来れば気のせいだと思いたい。
 デビ田のせいでただでさえ、周囲から見れば奇妙な無言時間が俺の中に存在するのだ。
 これ以上周りから変人扱いされるのは精神的に耐えられない。

「(さっさと終わらせてくれよ、全く……)」
「(大丈夫ダ。話スダケ話シャ終ワル)」
「(つか、一体何を――――)」

 そこまで言った時だ。
 突然、俺の身体から黒い何かが噴出し始めた。
 部屋にいた誰もが、驚いたように俺の方を見ている。
 ……そんなに驚かれても、正直一番驚いているのは俺なのだが。

「(おい、何だこれっ!? なんか俺の身体から変な煙が噴き出してるんだけどっ!?)」
「(変ナノジャネェ。ソレヨリモ動ンジャネェヨ、ジットシテロ)」

 こんな事態になっても説明してくれないってどういう事なのだろうか。
 訴えても勝てるんじゃないんだろうか。

 黒い煙は身体の中から噴出し、しかし部屋を黒く染める程の量はなかった。
 ものの数秒で煙は消え、辺りには何もなかったかのような平穏が戻る。
 少なくとも、俺はその時、戻ったと思っていた。

「――――外界ハイイナァ、オイ」

 しかしそれも、頭上から響いてきた声によって簡単に打ち消される。
 何か頭に、そこまで重くないものの何かが乗っかっているのが皮膚越しに分かった。
 その何かはとぐろを巻いているのか、時々頭皮をこすっている。
 声のしたタイミングから考えても、今頭の上でとぐろを巻いているのは声の主なのだろう。

「……いや待て、今何か聞き覚えのある声がしたような」
「ソリャソウダ。ツイサッキマデ話シテタンダカラナァ」

 そう、確かにこの声と、俺はついさっきまで会話をしていたはずだ。
 しかし、おかしい。
 ならばなぜ、今俺は重さを感じているのか。
 そう、デビ田は幻聴のはずである。
 俺のストレスが生んだ、一時の幻覚症状のはずである。

「……オイ、まじデ気ヅイテナカッタノカ、テメェ」

 困惑している俺に、デビ田は呆れたように語りかけた。
 デビ田と話す俺と、周囲は少しだけ警戒しながら見ている。

「オレサマハ『悪魔ノ囁キ』ナンダヨ。サッキモ聞イタダロ、都市伝説ダ」
「いやいや、まさかそんな…………」

 そんな事があるわけないだろう、と俺は首を巡らせて、部屋に据え付けられた鏡を見た。
 きっと、この感触も幻覚なのだろう。
 つまり、鏡を見れば頭の上に何もないのが――――

「ナ? イイ加減諦メヤガレ」

 ――――俺の頭上で、蛇が日本語を話していた。
 体長20cmほどの、子どもの蛇。
 どう見ても、「日常」にはあってはならない光景である。
 そしてそれはつまり、「非日常」であり、デビ田が都市伝説である事を示していた。

「…………マジか」
「まじダナ」

 ちろちろと長い舌を出し入れしているデビ田。
 ドッキリじゃないか、と一応周囲を見渡してみるが、小型カメラのこの字もない。

「ああ……さようなら、俺の日常」
「……都市伝説退治ヲ職業ニシテル奴ガ何ヲ言ッテヤガル」

 鼻で笑って、デビ田はその首を占い師へと向けた。
 これからデビ田が何を始めるのか、今の俺には全く分からない。
 しかし何故か、今よりさらに面倒な事に巻き込まれそうな、そんな嫌な予感が漠然と、俺の頭の中に存在していた。

裏切りのデビ田へ続く】



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