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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 花子さんと契約した男の話-49

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「はい…そうか、わかった」

 明日から、頼んでいた件についての報告の電話が来た
 傍でタイヤキを食べていた花子さんが、みー?と首を傾げている
 その花子さんの頭を撫でてやりながら、俺はその電話に対応していた

「…北区、か」
『でも、そろそろ移動しそうだって話だ。移動したら、その場所も連絡するようにするか?』
「…すまない、頼んだ。俺からは、その度に日景さんの方に伝えるから」

 それじゃあ、と電話を切る
 もぐもぐ、ごくん、とタイヤキを飲みこんで、花子さんが俺を見上げてきた

「誰かにお話しに行くの?」
「あぁ、ちょっとな」

 さて…行くとするか
 俺が歩き出すと、花子さんもてちてちと追いかけてくる
 向かう先は住宅街の一角、学校町でも古くからある屋敷類が並んでいる一角だ
 その中でも、五大旧家とか呼ばれる、一際大きな屋敷の一つに向かう

「…花子さん、悪いけど、ちょっと外で待っててくれるか?」
「うん、いーよ」

 いってらっしゃい、と見送られて、俺はその家……日景家の門に向かう
 開け放たれた大きな門を潜り抜けると、ちょうど、本来の依頼人である日景 薫さんが、庭の掃除をしていたところで
 俺の姿に気づいて、おや、と声をあげてくる

「こんにちは、龍一君。どうしたんだい」
「…こんにちは。獄門寺組若頭 龍一。日景家当主代行 薫殿に、少々お話が」
「はは、そんな堅苦しい挨拶はいらないよ……姉さんの事、だね?」

 俺が来た用件を、すぐに察してくれた
 はい、と頷くと、薫さんは俺を離れに案内してくれる
 そして、いつもの温和な表情に、やや寂しそうな笑みを浮かべる

「それで、姉さんは?」
「やっぱり、学校町内のホテルを転々としているみたいです。今は北区にいるようですが、そろそろ移動しそうな気配があるようですね。次の宿泊先がわかったら、また改めてご連絡します」
「そうか…」

 やっぱり、どこか少し寂しそうだ
 マドカさんは、薫さんにとってはたった一人のお姉さんなのだ
 宗光さんや千鶴さんからはマドカさんは大層嫌われていたようだが、薫さんだけはマドカさんの味方だったのだろう

「君に頼んで、良かったよ。次の場所がわかったら、また頼む」
「…俺の力じゃなくて、探偵の力ですよ。直接会える状況になったら、礼を言ってやってください」

 そうだね、と薫さんは力なく笑った
 少し、疲れているようにも見える

「お疲れのようですが、大丈夫ですか?」
「あ…うん、大丈夫だよ。現当主の父さんが今、弱気の状態だからね。僕がしっかりしなければ」

 …当主代行のプレッシャー、か
 家は、親父がいっそ少し自重しろと言うくらい元気だから、俺みたいなのでものんびり若頭を名乗っていられるが
 ……日景家は、宗光さんが少し大きな病気をした後だ
 後継ぎやらなにやらの問題で、一応、今は薫さんが当主代行であり…次の当主候補筆頭とは言え、難しい状態が続いているのだろう

「…あの」
「何かな?」
「マドカさんの、息子さんのことなんですが」
「あぁ、翼君の事かい?」

 それがどうしたのか?と言うように首を傾げてくる薫さん
 一応、念のために尋ねておきたかったのだが

「翼さんは、日景家の当主候補としては、名前を連ねているんですか?」
「いや、翼君は、そちらの序列には名前があがっていないよ。父さんも、翼君を家のゴタゴタした争いに巻き込みたくないみたいでね」

 小さく、薫さんは苦笑してくる

「姉さんの事は勘当しても、孫の翼君の事は可愛くて仕方ないみたいだ。姉さんに対しては、服装とか言動とか色々と煩かったのに、翼君には一切、怒らないんだよ」
「…それはまた、極端ですね」
「むしろ、姉さんに厳しくしすぎて、結局追い出すことになった反動かもしれないけどね」

 そうなのかもしれない
 まぁ、孫馬鹿と言うかそう言うのもかなり含んでそうだが。あの人なら

「でも、もし、万が一…翼君が、日景家に深く関わるという意志を見せたら。多分、序列は僕の次だろうね。一応、現当主の長女の息子だから:
「…そうなりますか」

 まぁ、聞いた話によれば、翼さんはその手の争いには一切、興味を持ってないみたいだし
 そもそも、日景家がどう言う家なのかも、よくわかってないそうだから、大丈夫だとは思うが

「…わかりました。では、俺はこれで」
「もう帰るのかい?お茶の一杯でも飲んでいけばいいのに」
「いえ、人を待たせているので」

 花子さんを待たせているのだ
 あまり、長話をする訳にも

「そうか…それじゃあ、またね。獄門寺家は家と付き合いが長いのだから、もっと気軽に遊びに来てもいいんだよ?」
「仮にも極道の家の息子が、こう言う旧家にそう易々と顔見せちゃマズイでしょう……まぁ、機会がありましたら」

 それでは、と挨拶して、離れを後にする
 門を出ようとしたら、ちょうど千鶴さんがどこからか帰ってきた所だったのか、姿を見せていて
 小さく微笑み、頭を下げてきたので、俺も慌てて頭を下げた
 特に、何も話し掛けられずにすんで、良かった
 門を出て、俺はほっと息を吐く
 てちてちと、花子さんが駆け寄ってきた

「…お待たせ。じゃあ、行こうか」
「は~い」

 花子さんと手を繋いで、歩き出す
 何時の間にか、日が暮れ始めていた
 そろそろ、帰らないと


 帰り道、随分と急いで走っていく様子の車とすれ違いながら
 俺は、花子さんとゆっくり歩いて、帰路についたのだった



fin

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