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連載 - 恐怖のサンタ-x10

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uranaishi

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恐怖のサンタ 悪魔の囁き&コークロア編 10



 闇夜の中、ビルからビルへを飛び移る一つの影があった。
 月明かりを背に跳ぶそれは、重さを感じさせない動作でビルの合間を飛びまわる。
 もし仮にその姿を見る事が出来る人間がいたとしたら、二つの意味で驚く事だろう。
 一つは、人間がまるでムササビのように軽快に跳んでいる事。
 そして何より、その人間が一人の少女である事に。

 少女の名前は「マゾサンタ」
 春とはいえまだ肌寒いこの時期に、マゾは赤いワンピースを着ただけの姿で走っては跳んでを繰り返していた。
 こんな風に説明すると変人のように聞こえるかもしれないが、ちょっとマゾでポジティブシンキングなだけで、至って普通の、どこにでもいる一人の女の子である。

 マゾは周囲の気配を探りながら、闇を切り裂くように移動していく。
 その脳内では、つい先ほど山田家のアパートで聞いたある人名が浮かんでは消えていた。

 ――――朝比奈 秀雄

 その名前を、マゾはずっと以前から知っていた。
 マゾは愛する人の身辺情報をとことん、それこそ家族構成から幼稚園時代の友人までを調査し、来るべき未来への備えとしている。
 多少の勘違いこそあるが、その情報の信憑性はほぼ99%真実であり、事実だ。
 その中に、その男の名前もあった。
 男の立ち位置は、「翼の父親」。
 つまり、マゾにとって「今後」のために最も重要な人間である。

「翼様はご両親と不和だと聞きました……」

 気配の探索を続けながら、マゾは小さく呟いた。
 片手をガッツポーズのように握り締め、マゾは飛翔する。
 その目は希望で爛々と輝き、周囲の闇の中でより一層マゾの異様さを際立たせていた。

「つまり! 私が翼様とご両親を再会させれば! それはもう感謝感激雨あられ、翼さまも私に惚れ直してくれるに違いありません!」

 やる気に燃えるマゾは、少しだけ勘違いをしていた。
 不和で別れた朝比奈と翼の仲には、決して相容れないまでの亀裂が走っている。
 今彼らを引き合わせた所で、それは争い以外の何も生まないだろう。

「そして何よりも! 翼様のお父様がこの町にいるという事は! 私としては是非ご挨拶をするべきでしょう!」

 しかしマゾは、その勘違いに気づかない。
 脳内を「既成事実」の四文字で埋め尽くされたマゾに、そんな事を考える余裕は残されてはいなかった。
 どう転んでも既成事実に繋がらないはずの状況を前に、しかしマゾはビルとビルの間を跳躍し続ける。

 ――――もし仮に、マゾが朝比奈を見つけたとして。
 朝比奈の持つ攻撃力は(恋的な意味で)とてもマゾにとって魅力的なのだが、それがどう転ぶのかは、現時点ではだれにも、分からない。

【終】



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