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連載 - 恐怖のサンタ-x11

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uranaishi

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恐怖のサンタ 悪魔の囁き&コークロア編 11


 「幽霊屋敷」と呼ばれるとある家屋に、山田が仕事で向かってから数日。
 そこで成仏したはずの幽霊が、なぜか山田家に居候する事になっていた。
 その裏では山田が散々な目に遭っていたのだが、当事者以外それに気付いた様子もない。
 新たに一人を加えて、5人で再会した山田家の生活は、しかし驚くほど平穏に過ぎていった。
 まるで以前から5人で生活していたかのような順調ぶりに、山田は自分の常識が少しずつずれていくような錯覚を覚えたのだが、特にそれを表に出す事はしていない。
 子ライオンが来た時も、沙希が来た時も、山田は時間と共にその生活に慣れていった。
 その慣れる速度が速くなったとしても大して問題はないだろうと、山田は考えていた。
 それ自体が既に山田の「常識」が歪んでいる証拠なのかもしれないが、少なくとも山田がそれに気づく様子はない。

 しかし一つ、山田には疑問があった。
 その幽霊は、確かに山田が成仏させたはずなのである。
 未練の残っていない幽霊が現世に留まる理由などないと、山田は思う。
 だから、居候が決まった際、山田は彼女に対してその疑問をぶつけてみたのだが――――

「――――その答えが、これか」
「遅いぞ、山田―」

 茶の混じったセミロングの髪を揺らしながら、山田の目の前に少女が一人、とてとてと歩いてきた。
 10歳程度に見える少女の名前は、二条 佑香。
 山田家に最近居候し始めた幽霊である。

「まだ半分も行ってないんだから、もっとキリキリ歩いて欲しいの」

 腰に手を当て、どこか上から目線を含みながら、佑香が山田の前で止まった。
 珍しく、その足は山田の頭上ではなくきちんと地についている。
 まだ数えるほどしか、山田は佑香が自分の足で歩いている所を見た事がない。
 ましてや普通の女の子のように繁華街を歩いている所など、これが始めてだった。

「いや待て、これで半分って何だ。おかしいだろ、明らかにおかしいだろ」

 しかし開始早々、山田はその姿を見る事が叶わなくなった。
 別に佑香が再び浮きだした訳ではない。
 山田の視界が、大量の荷物によって塞がれてしまったのだ。
 それも全て、山田の目の前で仁王立ちしている一人の少女の買い物で、だ。 

「今でもいつ事故を起こすかひやひやものなんだけどさ。まさかあれか、俺を事故らせて亡き者にしようとしてるんじゃ」
「そしたら荷物持ちがいなくなっちゃうよ。私はそこまで愚かじゃないの」
「……待て、今反論する理由がおかしかったろ。何だか荷物持ちさえいれば別に死んでもかまわないような言い方だったぞ、おい」
「さあ、次は洋服を見に行こうー」
「おいこら無視すんな。そんな不安要素残したままで買い物とか無理、精神的に無理!」

 山田の心の叫びを無視して、佑香は歩みを再会する。
 その顔は笑みで満ち、その頭では次の次は何を買おうかと今から算段を始めていた。

「――――俺、今日が命日になるかも」
「(身体ガ爆発シテモシナネェ野郎ガ何言ッテンダ。ソレヨリモアノがき、モウ遠クマデ行ッチマッテルゼェ? 追ワナクテイイノカヨ)」
「俺に対する気遣い無しっ?! うわちょっと俺へこみそう」
「(ヘコメヘコメ、テメェハチッタァ落チ込ムベキダロウヨ)」
「山田―、先行っちゃうよー」

 山田の内側でくつくつと笑うデビ田の声に、遠くから佑香の声が重ねられた。
 へいへいと言いながら、山田はその重い腰を上げる。
 両手に抱えた荷物のせいで山田には見えないが、その先では少女が大きく手を振っていた。

 ――――少女の未練は、ただ一つ。
 死んでしまって過ごせなかった残りの人生を、一部でもいいから楽しむ事。
 山田は、そんな少女の願いを叶えるために、今日も走る。

「――――やっぱり次で終わりにしよう、うん、そうしよう」
「だーめ。お姉ちゃんから、『今日はいっぱい買い物してきていいよ』って言われてるんだから」
「絶対、その買い物の限度を超えてる気がするんだけどな……」
「(ソノ内破産スンジャネェノ、テメェラ)」
「不吉な事言うなよ……」

 佑香を加えての、山田家の日常。
 時折破産の危機を交えながらも、それは順調に進んでいた。

【終】


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