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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - とある警察幹部の憂鬱-11

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 とある廃工場で、銃声が響き渡る
 発砲音が響くたび、雄叫びが一つ、消えていく

「がああああああああああ!!!!」

 麻薬中毒者が、雄叫びを上げて警官たちに突撃してくる
 一人の中年警官は、怯むことなく発砲した
 撃ち出された弾は吸い込まれるように麻薬中毒者に命中した

 麻薬中毒者は、ただの麻薬中毒者ではなく…今、学校町を騒がせているコーク・ロア支配型の被害者
 そして、それに向かって撃ち出された銃弾もまた、ただの銃弾ではなかった
 銃弾は相手の体内に入り込むと同時に、中に入り込んでいた液体が体内へと溶け込んでいき…コーク・ロア支配型の被害者は、びくりと体を震わせて、その場に倒れた
 銃弾に込められていた液体は…薬品は、コーク・ロア支配型の影響を除去するものだ
 「組織」が、コーク・ロア支配型の被害者を救済するために使っている薬品と、同じものだ

「よし、これで最後だな…無事かー?」
「はい。坂上は…!?」
「こっちも無事だ」

 コーク・ロア支配型被害者達と応戦していたのは、三人の男性警察官

「……皆さん、ご苦労様でした。被害者達を回収しましょう」

 そして、それらに指示を出していたのは、一人の女性警官だ
 女性警官の名前は広瀬 美緒
 …「組織」に通じて、学校町の都市伝説絡みの事件を、もみ消し続けている
 その代償として、都市伝説絡みの事件の解決を「組織」に任せているのだ
 そんな彼女が、部下を伴って、コーク・ロア支配型被害者の制圧に…都市伝説絡みの事件に動くなど、異質な光景である

「まったく。こんな銃弾、どこで手に入れたんだ?」
「…あなた達を、わざわざ都市伝説絡みの事件に関わらせたのです。余計な質問は受け付けません」

 中年警官の言葉に、広瀬は冷たくそう答えた
 その表情は、酷く苦々しい

 本当ならば、彼女は部下を都市伝説絡みの事件に巻き込ませたくはないのだ
 しかし、彼らはどうしても、都市伝説事件に関わっていってしまう

 …ならば
 前もって、危険度の少ない都市伝説事件に関わらせて、危険な都市伝説事件と関わらせないようにするしか、ない
 それが、彼女が見つけ出した答えなのだ
 だが、それでも…彼女からは、迷いが消えない

「…それでは、この場は任せます。私は、残党がいないか、調べてきますから」
「一人で行かない方がいいんじゃないか?現場は慣れてないだろ」
「…馬鹿にしないでください。訴えますよ?勝ちますよ?」

 中年警官の言葉にそう答え、彼女は廃工場の奥へと踏み込んでいく
 …「組織」から得た情報によれば、コーク・ロア支配型の被害者達が暴れている傍には、高確立でその支配者が存在する
 恐らく、遠く離れすぎると、指令が届かないのだろう
 ……ならば、この廃工場内に、先ほど部下達が制圧した被害者達を操っていた者がいる可能性は高い
 広瀬は銃を手に、警戒して歩く


 ……ぴちゃり、ぐちゃり
 小さな音が、聞こえてきた


「………?」

 ゆっくりと
 警戒しながら、そちらに向かう
 そして

「----っ!!」

 彼女は、見てしまった
 死体を喰らう、犬を
 顔が、手が、脚が
 犬達に、食い散らかされている、その現場を
 血の匂いが、辺り一面に漂っている

「う………」

 嘔吐感を堪える広瀬
 後ずさった拍子に…カタン、と、小さく、音がなってしまって

 ぴくり
 犬達が、一斉に、広瀬の方を向いた

 慌てて、犬達に銃を向ける
 しかし、一匹の犬が、そんな事に構う事なく、広瀬に向かって飛び掛り

「っぎゃん!!??」
「…!」

 何者かに、弾かれた

「大丈夫ですか?」
「…影守、さん?」

 かごめかごめの契約者、影守蔵人が、広瀬と犬達の間に割り込んできていた
 刀を構え、犬達を睨みつけている

「何故、あなたがここに…」
「コーク・ロアが出没したって報告がきたから、僕に仕事が回されたんです…どうやら、契約者は既に、口封じされた後のようですが」

 犬達が、唸り声をあげて広瀬と影守を睨みつける
 ……その、犬達の、向こう側から


「……「組織」の狗か」


 かつん、と足音をたてて
 尾なしの犬を引き連れた、灰色のコートを着た男が、姿を現した
 冷たい眼差しで、広瀬と影守を睨みつけてくる

「あなたが親玉ですか?」
「…そうだ、と言ったら、どうする?」

 刀を向けてきた影守に、男は嘲うように、そう言った
 「組織」には、既に悪魔の囁きとコーク・ロア騒動の主犯の顔と名前は、情報が入ってくる
 …朝比奈 秀雄
 影守の元に寄せられたその情報で見た写真の顔と、男の顔は一致していた

「その身柄、拘束させてもらいます」

 この部屋は、扉が壊れてしまっていて、「かごめかごめ」の能力を発動できる状況下ではない
 そして、一応、上からの指示は「拘束しろ」と言うものである
 殺せ、ではない
 だから、影守は忠実に、それに従おうとした
 鍛えられた脚力で一瞬で朝比奈に近づき、みね打ちで相手を気絶させようとして

 ---っが!!と
 鈍い音が、響く

「……!?」

 片手で
 影守の刀は、朝比奈の片手で、あっさりと受け止められた
 ぎろり、朝比奈が影守を睨む

「…私を、拘束する?……「組織」の狗風情が……私に、敵うとでも思っているのか!?」
「う、わっ!?」
「…影守さんっ!?」

 ぶんっ!!と
 影守の体は、朝比奈によって壁に向かって放り投げられ…広瀬の横を通り過ぎて、壁に叩きつけられた
 どごぉん!!と大きな音が響き渡り……壁が、崩れる

 人間一人を片手で放り投げて…その衝撃で、壁が砕ける
 どれだけの怪力で投げたのだ?
 そして、その力で叩きつけられて…人間は、生きていられるのか?

 広瀬は、急いで影守に駆け寄った
 骨を痛めたのか、影守がうめいている

「影守さん……影守さん!」
「…駄目、です…相手に、背を、向けちゃ……!?」

 己に駆け寄ってきた広瀬の背後で…朝比奈が、大きく息を吸い込んだ様子が、影守には見えた


 逃げろ
 本能が、そう叫ぶ


「っ…!?」

 痛みを堪えて起き上がり、影守は自分を覗き込んできていた広瀬の体を、抱え上げる
 その、直後

 朝比奈の口から吐き出された炎が、室内を包み込んだ


「-----うわっ!?」

 ごぉうっ!!!
 その炎の先端は、中年警官たちがコーク・ロア被害者達を回収していたその部屋にも、ほんの少し入り込んだ
 どさり
 その炎から逃げてきた影守が…広瀬を庇うように抱きかかえた状態で、倒れこむ
 背中を炎が掠ったのか、酷い火傷を負っていた

「…っ影守さん!影守さん、しっかりしてください!」
「おい!救急車を呼べ。早く!!」

 広瀬が、気を失いかけている影守に必死に呼びかける
 その傍で、中年警官は若い警官に、救急車を呼ぶよう指示する

「…だ、大丈夫、ですから……これくらい、なら、「組織」で所持している、霊薬で…」
「しかし………!」

 影守を、じっと見つめる広瀬
 …その頬を、一瞬、光るものが伝ったように見えたのは、気のせいか?

「…私の、せいで………っ」

 影守を見つめる、広瀬の体は
 小さく、小さく、震え続けていたのだった




to be … ?



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