……狐二匹が、筋肉と死闘を繰り広げたり広げなかったりしていた、一方
その頃、病室では、しゃりしゃりと、リンゴの皮を剥く音が、小さく響いていた
ベッド脇の腰掛に座る広瀬 美緒が、リンゴの皮を剥いているのだ
どうやら、今日は仕事を休んでいるらしい彼女
何かと、蔵人の世話を焼いてくれるのだ
その頃、病室では、しゃりしゃりと、リンゴの皮を剥く音が、小さく響いていた
ベッド脇の腰掛に座る広瀬 美緒が、リンゴの皮を剥いているのだ
どうやら、今日は仕事を休んでいるらしい彼女
何かと、蔵人の世話を焼いてくれるのだ
…自分のせいで、彼が傷を負ってしまったのだ、と
彼女は、酷く自分自身を責めていて
その、謝罪もかねているのかもしれない
彼女は、酷く自分自身を責めていて
その、謝罪もかねているのかもしれない
…………
とりあえず、あれだ
この沈黙が、非常に……非常に、気まずい
とりあえず、あれだ
この沈黙が、非常に……非常に、気まずい
「…あの、広瀬さん」
「はい、何でしょうか」
「はい、何でしょうか」
話し掛ければ、すぐに返事が返って来る
呼んではみたものの…特に話題がある訳でもなく
えぇと
蔵人は、やや間を置いて…ようやく、なんとか無難な話題を見つける
呼んではみたものの…特に話題がある訳でもなく
えぇと
蔵人は、やや間を置いて…ようやく、なんとか無難な話題を見つける
「あの、広瀬さんは……都市伝説と契約しようと、考えた事はないんですか?」
「……私が……ですか?」
「はい」
「……私が……ですか?」
「はい」
都市伝説と関わる事を決めた女性
都市伝説事件に、部下が関わらないよう…「組織」と関わる事を決めた人
ここまで深く都市伝説に絡むというのならば、都市伝説と契約していないのが、不自然に思えたのだ
もっとも、蔵人が知らないだけで、広瀬 美緒が都市伝説と契約している可能性はある訳だが…
都市伝説事件に、部下が関わらないよう…「組織」と関わる事を決めた人
ここまで深く都市伝説に絡むというのならば、都市伝説と契約していないのが、不自然に思えたのだ
もっとも、蔵人が知らないだけで、広瀬 美緒が都市伝説と契約している可能性はある訳だが…
「………私は」
ふっ、と美緒の視線が、降りる
やや俯いて…リンゴの皮が剥き終わり、切り分けも終わったようで
可愛らしい、狐の顔の飾りつきのフォークを刺した、切り分けられたリンゴの乗った皿を渡される
ありがとうございます、と受け取って、しゃくり、一つ口にした
やや俯いて…リンゴの皮が剥き終わり、切り分けも終わったようで
可愛らしい、狐の顔の飾りつきのフォークを刺した、切り分けられたリンゴの乗った皿を渡される
ありがとうございます、と受け取って、しゃくり、一つ口にした
そうしていると…
…美緒が、俯いたまま、答えてくる
…美緒が、俯いたまま、答えてくる
「…私は…………都市伝説が、好きではありません」
「……嫌い、と言うか、怖い、という事ですか?」
「……嫌い、と言うか、怖い、という事ですか?」
蔵人の場合、幼い頃から都市伝説とかかわり続けたせいか、都市伝説に対する嫌悪感や恐怖心は、さほど強くない
しかし、大抵の人間は…都市伝説が実在するという事実に、精神が耐えられない場合も多いし、耐えられたとしても、その存在に嫌悪感や恐怖心を持つ場合が多い
美緒も、そうなのだろうか?
蔵人の問いかけに、美緒は俯いたまま続けてきた
しかし、大抵の人間は…都市伝説が実在するという事実に、精神が耐えられない場合も多いし、耐えられたとしても、その存在に嫌悪感や恐怖心を持つ場合が多い
美緒も、そうなのだろうか?
蔵人の問いかけに、美緒は俯いたまま続けてきた
「…わかりません.ただ、はっきりしているのは………私にとって都市伝説は、父親を殺した存在であり、私の兄の失踪に関わっている存在だと言う事実です」
呟くようなその声に、蔵人はしまった、と思った
…彼女も、都市伝説事件で大切な人を、失っていたのだ
その辛さは……蔵人も、体験しているがゆえに、わかる
しかも、美緒の場合……失ってしまっているのは、肉親だ
…彼女も、都市伝説事件で大切な人を、失っていたのだ
その辛さは……蔵人も、体験しているがゆえに、わかる
しかも、美緒の場合……失ってしまっているのは、肉親だ
「す、すみません。おかしな事を聞いてしまって…」
「……構いません…私のような体験をしている者は、表沙汰になっていないだけで……本人達すらも、その事実に気づかないだけで、たくさん存在しているはずですから」
「……構いません…私のような体験をしている者は、表沙汰になっていないだけで……本人達すらも、その事実に気づかないだけで、たくさん存在しているはずですから」
淡々と、そう口にした美緒
感情を押し殺した、そんな声だ
感情を押し殺した、そんな声だ
「…このように、私自身が、都市伝説をあまり好いていない事と…「組織」の連絡員として私に接触してきています黒服が言いますには、私は、都市伝説を受け入れるための容量が小さいのだそうです。ですので、都市伝説との契約は、私では不可能でしょう」
美緒が、顔をあげる
強い、強い……決意を秘めた表情だ
強い、強い……決意を秘めた表情だ
「私は都市伝説との契約が不可能ですし……都市伝説と契約するつもりも、ありません。それゆえに、都市伝説事件の解決は、あなた達「組織」の人間や、他の都市伝説契約者に頼らざるを得ません……都市伝説事件をもみ消す事で、その代償を支払っているつもりです」
じ、と
美緒は、蔵人を見つめてきた
強い意志を感じさせる眼差しだが……しかし、何故だろうか
蔵人には、彼女の存在は酷く脆く、弱々しく見えた
美緒は、蔵人を見つめてきた
強い意志を感じさせる眼差しだが……しかし、何故だろうか
蔵人には、彼女の存在は酷く脆く、弱々しく見えた
「そう、だというのに………今回、私のせいで、あなたを負傷させてしまいました。私が踏み込みすぎなければ……あなたが、負傷する事もなかったでしょうに」
「美緒さんのせいでは、ありませんよ」
「美緒さんのせいでは、ありませんよ」
いくら、蔵人がそう言っても
それでも、彼女の沈痛な表情派崩れない
それほどまでに、蔵人の怪我に、彼女は責任を感じているのだ
それでも、彼女の沈痛な表情派崩れない
それほどまでに、蔵人の怪我に、彼女は責任を感じているのだ
「どう報いればよいのか、私にはわかりません……せめて、「組織」の事などは関係なく、あなたの願いを、私ができる範囲でなんでも一つ、叶えさせてください」
………まいったな
真面目な表情でそう言って来た美緒の様子に
蔵人は小さく、苦笑するしかないのだった
真面目な表情でそう言って来た美緒の様子に
蔵人は小さく、苦笑するしかないのだった
to be … ?