ドクター54
「俺としては協力したいんだけどな……呂布の野郎にばれたら多分俺の首が飛ぶ。物理的な意味で」
犬メイドは溜息を漏らし、顔を片手で覆ってがっくりと項垂れる
その足元に擦り寄り唸り声を上げている小悪霊
「慰めてくれてる……なんてこたぁ無いよな」
「慰めたいそうだぞ、性的な意味で」
「もっとひでぇよ!? つーかお前らと手を組んだのがバレたら、地元帰ったら滅茶苦茶肩身狭いんだけどな」
「バレなきゃ問題ないんじゃないか? このまま帰れないよりいいだろ」
「英国諜報部に隠し事できるわけないだろ……まあ毒を食らわばそれまでって事か」
諦めたようにぺたんとその場に座り込み、情けない苦笑いを浮かべながら右手を差し出す犬メイド
マステマは同じようなく小を浮かべてその手を握り返す
「ぶっちゃけ猫の手も借りたい……よろしく頼む。まあ俺が犬だけどな、現状」
「こちらこそ、彼女を早いところ落ち着かせたいからな。お互い苦労してるな」
「そう思ってたら、これ回収してくれよ」
「いやほら、無理強いは可哀想だろ?」
「悪霊相手に可哀想もくそもあるかよ!? 犬メイド~触手陵辱の宴~みたいなエロゲ展開とかやられたら探索どころじゃねぇんだからな!?」
その言葉に、あーうーぎーぎーと呻き声を上げる小悪霊
「満足したら成仏するかも、だってさ」
「自分で言うなよ手前ぇ!? ぜってぇ嘘だ! マジで持って帰れよコレ!?」
「いや本当に成仏できるとしたら可哀想じゃないか?」
「一生反省させとけよこんな奴!」
「まあそれはさておき」
「さておくなよ!? 大事な所だろうが!」
「呂布の裏にいる連中の討伐より大事な事があるかい?」
「……お前も絶対ロクな死に方しねぇぞ」
「俺もそう思う。とりあえず呂布の武具やあんたの服を調達しよう。活動が鈍って人質がどうにかなっては困るからな」
「人質か」
人質という単語に反応して、何やら考え込む犬メイド
「なあ……町一つ使って蠱毒なんぞやらかす連中が、真っ当に人質を生かしておくとおもうか?」
「呂布みたいな化物相手に約束を違えるのは得策じゃあないと思うけどな。今は生きてると仮定して行動しない事には仕方ない」
「まあ確かにそうだが。お前んとこのあの誘拐魔にもその辺の覚悟はしとくよう伝えておけよ?」
町中の音を集めていた時に聞こえた、何か気になる声
その存在が犬メイドの脳裏に何か大きな不安を植え付けていた
犬メイドは溜息を漏らし、顔を片手で覆ってがっくりと項垂れる
その足元に擦り寄り唸り声を上げている小悪霊
「慰めてくれてる……なんてこたぁ無いよな」
「慰めたいそうだぞ、性的な意味で」
「もっとひでぇよ!? つーかお前らと手を組んだのがバレたら、地元帰ったら滅茶苦茶肩身狭いんだけどな」
「バレなきゃ問題ないんじゃないか? このまま帰れないよりいいだろ」
「英国諜報部に隠し事できるわけないだろ……まあ毒を食らわばそれまでって事か」
諦めたようにぺたんとその場に座り込み、情けない苦笑いを浮かべながら右手を差し出す犬メイド
マステマは同じようなく小を浮かべてその手を握り返す
「ぶっちゃけ猫の手も借りたい……よろしく頼む。まあ俺が犬だけどな、現状」
「こちらこそ、彼女を早いところ落ち着かせたいからな。お互い苦労してるな」
「そう思ってたら、これ回収してくれよ」
「いやほら、無理強いは可哀想だろ?」
「悪霊相手に可哀想もくそもあるかよ!? 犬メイド~触手陵辱の宴~みたいなエロゲ展開とかやられたら探索どころじゃねぇんだからな!?」
その言葉に、あーうーぎーぎーと呻き声を上げる小悪霊
「満足したら成仏するかも、だってさ」
「自分で言うなよ手前ぇ!? ぜってぇ嘘だ! マジで持って帰れよコレ!?」
「いや本当に成仏できるとしたら可哀想じゃないか?」
「一生反省させとけよこんな奴!」
「まあそれはさておき」
「さておくなよ!? 大事な所だろうが!」
「呂布の裏にいる連中の討伐より大事な事があるかい?」
「……お前も絶対ロクな死に方しねぇぞ」
「俺もそう思う。とりあえず呂布の武具やあんたの服を調達しよう。活動が鈍って人質がどうにかなっては困るからな」
「人質か」
人質という単語に反応して、何やら考え込む犬メイド
「なあ……町一つ使って蠱毒なんぞやらかす連中が、真っ当に人質を生かしておくとおもうか?」
「呂布みたいな化物相手に約束を違えるのは得策じゃあないと思うけどな。今は生きてると仮定して行動しない事には仕方ない」
「まあ確かにそうだが。お前んとこのあの誘拐魔にもその辺の覚悟はしとくよう伝えておけよ?」
町中の音を集めていた時に聞こえた、何か気になる声
その存在が犬メイドの脳裏に何か大きな不安を植え付けていた
―――
「甲・殻・亜・門っ!!!」
両腕をドリルのような形に覆う大量のフジツボが、獲物を粉砕するべく空気を切り裂き大回転する
左右から挟み込むようなその攻撃は、相手が持っていた路肩から引っこ抜いた標識を巻き込みずたずたに引き裂いた、が
歯車に硬い異物が挟まったかのように、その回転がごりんと音を立てて止まる
「なっ……馬鹿な!?」
回転を続けようとぎちぎちと蠢くフジツボを、巻き込まれた腕に力を込めて押さえ込む
「俺に傷を付けられるだけで大したものだ。惜しいな、俺に見合う武器さえあれば」
巻き込まれたものとは反対の腕を大きく振り被り
「もっと戦いを楽しめたというのにな!」
「がっ、はぁっ!」
全身を覆っていたフジツボが拳の一撃で粉々に粉砕され、『膝の皿の裏のフジツボ』の契約者は勢い良く宙を舞いアスファルトに叩きつけられた
「今回はこれぐらいにしておこう。こちらが万全の時にまた死合おうではないか」
「ぐ、ぅっ……そういうわけには……いかないな……お前の暴力を……他の誰かに向けさせるわけには」
「その意気や良し。次を楽しみにしているぞ」
そう言って呂布が踵を返すと
「止めはきちんと刺していただかないと困りますな」
そこにいたのは、黒服の女
その目は虚ろで肌は土気色、首には縫い傷があり、額に貼り付けられた符が風でゆらゆらと揺れていた
「貴様らに命じられたのは、あくまで武を揮う事だ。玩具を壊されたくなければ引っ込んでいろ」
「我々は直接手を下す事は出来ないのです。きちんとしていただかなければ」
「三度目は言わんぞ……引っ込んでいろ」
操られた死体としての意思か、操っている術者の意思か、呂布の怒気に気圧されてじりと後退る
「全力で戦えば命の奪り合いになる事もあるだろう。そうさせる者はいくらでもいるのだろう、貴様らの言ではな」
そう言うと呂布はやや離れた所に停めてあった赤兎に跨ると、倒れた男にも黒服の女にも目もくれず走り去っていってしまった
「やれやれ、強いばかりではなく使い勝手も考えねばいかんな」
「お前達は……何者……だ……」
その言葉に答える事無く、黒服の女は立ち去っていく
残されたのは呂布に倒された男とその血のにおい、そしてフジツボが放つ磯臭さとは違う僅かな薬品臭だけだった
両腕をドリルのような形に覆う大量のフジツボが、獲物を粉砕するべく空気を切り裂き大回転する
左右から挟み込むようなその攻撃は、相手が持っていた路肩から引っこ抜いた標識を巻き込みずたずたに引き裂いた、が
歯車に硬い異物が挟まったかのように、その回転がごりんと音を立てて止まる
「なっ……馬鹿な!?」
回転を続けようとぎちぎちと蠢くフジツボを、巻き込まれた腕に力を込めて押さえ込む
「俺に傷を付けられるだけで大したものだ。惜しいな、俺に見合う武器さえあれば」
巻き込まれたものとは反対の腕を大きく振り被り
「もっと戦いを楽しめたというのにな!」
「がっ、はぁっ!」
全身を覆っていたフジツボが拳の一撃で粉々に粉砕され、『膝の皿の裏のフジツボ』の契約者は勢い良く宙を舞いアスファルトに叩きつけられた
「今回はこれぐらいにしておこう。こちらが万全の時にまた死合おうではないか」
「ぐ、ぅっ……そういうわけには……いかないな……お前の暴力を……他の誰かに向けさせるわけには」
「その意気や良し。次を楽しみにしているぞ」
そう言って呂布が踵を返すと
「止めはきちんと刺していただかないと困りますな」
そこにいたのは、黒服の女
その目は虚ろで肌は土気色、首には縫い傷があり、額に貼り付けられた符が風でゆらゆらと揺れていた
「貴様らに命じられたのは、あくまで武を揮う事だ。玩具を壊されたくなければ引っ込んでいろ」
「我々は直接手を下す事は出来ないのです。きちんとしていただかなければ」
「三度目は言わんぞ……引っ込んでいろ」
操られた死体としての意思か、操っている術者の意思か、呂布の怒気に気圧されてじりと後退る
「全力で戦えば命の奪り合いになる事もあるだろう。そうさせる者はいくらでもいるのだろう、貴様らの言ではな」
そう言うと呂布はやや離れた所に停めてあった赤兎に跨ると、倒れた男にも黒服の女にも目もくれず走り去っていってしまった
「やれやれ、強いばかりではなく使い勝手も考えねばいかんな」
「お前達は……何者……だ……」
その言葉に答える事無く、黒服の女は立ち去っていく
残されたのは呂布に倒された男とその血のにおい、そしてフジツボが放つ磯臭さとは違う僅かな薬品臭だけだった