ドクター55
「我々の存在を知られたか」
「霊を使役する輩が我々を探っている」
「霊を滅する事は容易いが、我々の居場所が知れるのは厄介だ」
「結界があればたかだか使役霊如きにここは探れまい」
「しかし、しばらく雑用は骸で作った玩具に任せるしかあるまい」
「『悪魔の囁き』も不甲斐ない。あれほどの力を以ってしてこの程度か」
「我らならもっと上手くこの町を混沌に陥れるというのに」
「奴めと我らでは目的が違う、仕方あるまいて」
「我々の手駒というわけでは無いからな」
「壷の中身が程よく混ざれば良しとするしかあるまい」
水鏡を取り囲む大小様々、老若男女の黒服達
彼らが住処としている異空間の入り口となっている空家は、霊的な存在からすらその姿を隠し始め
ただ空間を隔絶するのではなく、気配と存在感を限りなく希薄にし、ただそこにあるだけの風景の一部としか認識されなくなる
近くを歩いていても目にも留まらない、ただ『気にならない』だけの空間が出来上がった
「霊を使役する輩が我々を探っている」
「霊を滅する事は容易いが、我々の居場所が知れるのは厄介だ」
「結界があればたかだか使役霊如きにここは探れまい」
「しかし、しばらく雑用は骸で作った玩具に任せるしかあるまい」
「『悪魔の囁き』も不甲斐ない。あれほどの力を以ってしてこの程度か」
「我らならもっと上手くこの町を混沌に陥れるというのに」
「奴めと我らでは目的が違う、仕方あるまいて」
「我々の手駒というわけでは無いからな」
「壷の中身が程よく混ざれば良しとするしかあるまい」
水鏡を取り囲む大小様々、老若男女の黒服達
彼らが住処としている異空間の入り口となっている空家は、霊的な存在からすらその姿を隠し始め
ただ空間を隔絶するのではなく、気配と存在感を限りなく希薄にし、ただそこにあるだけの風景の一部としか認識されなくなる
近くを歩いていても目にも留まらない、ただ『気にならない』だけの空間が出来上がった
―――
「どうした、飯はまだか」
「うるせぇよ!? ホントに生活能力ゼロだなあんたは!」
リビングでソファーに座り込んだ呂布と、キッチンで中華鍋を振るいながら怒鳴り返す犬メイド
「いつの間にか居ねぇわ、唐突に戻ってくるわ、服はボロボロにしてくるわ、細かい怪我はしてくるわ、もうちょっとどうにかなんねぇのかよ!?」
「出掛けるにも戻るにもお前に告げる必要はあるまい。服も怪我も戦いに行くのだから当たり前だ」
「出る戻るは飯作る都合があんだよ!? あんたどんだけ食うか自覚しろよ、買出し大変なんだぞ!? チビ、皿出せ皿!」
「あ゛ー」
犬メイド曰く、どうやっても片付かないならきっちり使った方がマシだという結論から、家事の手伝いに駆り出されている小悪霊
他人から触れられる事は無いが、自分から触れようとするものは普通に触れられるようで
隙あらば触ってこようとするものの、呂布の存在もありエロゲ的触手パーティーにもならず
結局のところ「胸に挟むように抱いて寝る」という妥協点により協力関係を築き上げる事に成功したのだった
「飯ぐらいは自分で盛れよ! 酒は冷蔵庫!」
「気が利かん女中だ。主の手を煩わせるとは」
「手が足んねぇんだよ!? 作ったもんからどんどん平らげてるから、どんだけ量あんのか自覚して無ぇだろ!」
炊飯器のコンセントを引っこ抜き、丸ごと抱えて食卓へ運ぶ呂布
一般的な量の十人前程度を一人で喰らう彼の食事を作るという事は、有る意味で一つの戦闘行為にも等しかった
呂布曰く「憑依している俺の維持と、契約者である本体の維持で相応にエネルギーが必要だ」との事ではあるが、作らされる方はたまったものではない
「つーか金ぐらい用意するから外で食ってこいよ、マジで。この町は大食いが多いから大盛りメニュー豊富だぞ?」
「戦うつもりで歩き回っている時にのんびり飯など食っていられるか」
大皿に盛られた豚肉と野菜の炒め物に、炊飯器を抱えたまま箸をつける呂布
この男、ご飯を炊飯器から直食いである
「別の器に移せよ!? またすぐ炊くんだから!」
「面倒だ。第一冷めやすくなるではないか」
「……今度、保温容器買ってくるか」
がっくりと項垂れながら、次の料理のために材料を刻み始める犬メイドであった
「うるせぇよ!? ホントに生活能力ゼロだなあんたは!」
リビングでソファーに座り込んだ呂布と、キッチンで中華鍋を振るいながら怒鳴り返す犬メイド
「いつの間にか居ねぇわ、唐突に戻ってくるわ、服はボロボロにしてくるわ、細かい怪我はしてくるわ、もうちょっとどうにかなんねぇのかよ!?」
「出掛けるにも戻るにもお前に告げる必要はあるまい。服も怪我も戦いに行くのだから当たり前だ」
「出る戻るは飯作る都合があんだよ!? あんたどんだけ食うか自覚しろよ、買出し大変なんだぞ!? チビ、皿出せ皿!」
「あ゛ー」
犬メイド曰く、どうやっても片付かないならきっちり使った方がマシだという結論から、家事の手伝いに駆り出されている小悪霊
他人から触れられる事は無いが、自分から触れようとするものは普通に触れられるようで
隙あらば触ってこようとするものの、呂布の存在もありエロゲ的触手パーティーにもならず
結局のところ「胸に挟むように抱いて寝る」という妥協点により協力関係を築き上げる事に成功したのだった
「飯ぐらいは自分で盛れよ! 酒は冷蔵庫!」
「気が利かん女中だ。主の手を煩わせるとは」
「手が足んねぇんだよ!? 作ったもんからどんどん平らげてるから、どんだけ量あんのか自覚して無ぇだろ!」
炊飯器のコンセントを引っこ抜き、丸ごと抱えて食卓へ運ぶ呂布
一般的な量の十人前程度を一人で喰らう彼の食事を作るという事は、有る意味で一つの戦闘行為にも等しかった
呂布曰く「憑依している俺の維持と、契約者である本体の維持で相応にエネルギーが必要だ」との事ではあるが、作らされる方はたまったものではない
「つーか金ぐらい用意するから外で食ってこいよ、マジで。この町は大食いが多いから大盛りメニュー豊富だぞ?」
「戦うつもりで歩き回っている時にのんびり飯など食っていられるか」
大皿に盛られた豚肉と野菜の炒め物に、炊飯器を抱えたまま箸をつける呂布
この男、ご飯を炊飯器から直食いである
「別の器に移せよ!? またすぐ炊くんだから!」
「面倒だ。第一冷めやすくなるではないか」
「……今度、保温容器買ってくるか」
がっくりと項垂れながら、次の料理のために材料を刻み始める犬メイドであった
―――
食事も終わり、呂布はまた強き者を求めて赤兎バイクに跨り夜の町へと消えていく
遠ざかっていく赤兎の排気音を確認し、犬メイドは町中に聴覚を広げていく
呂布が戦っている状況を確認するため、そして呂布の背後にいる存在を探し出すために
「それにしてもなぁ……本当にこの町にそいつらはいるのかね。町の外に潜まれてたら俺の能力の効果範囲じゃアウトだぞ」
小悪霊を胸の谷間に詰めて、町中の音を拾い集め聞き分ける犬メイド
「つーかぶっちゃけ人の気配の多いとこにはいないよな。静かなところを重点的に探していくしかないんだが……」
表通りから外れた路地
雑木林の奥
マンホールの下
真夜中の公園
閉店後のショッピングセンター
様々な場所を探っていくものの、小動物の生活音や待機中の機械音、風の音や水の音ばかりで手掛かりらしきものは何一つ感知できない
「あーくそ、こないだ拾ったあの会話が手掛かりだった気がすんだよなぁ……お前のせいだぞ?」
「あ゛ー」
反省の気配もなく胸の谷間に埋もれている小悪霊
「どこもかしこも、お前みたいな雑霊ぐらいの音しか聞こえねぇしな……ん?」
犬メイドはふと気付く
何も音がしない静かな空間がある事に
風や水の自然の音も
虫やネズミなどの小動物の音も
電気のメーターが回る程度の機械音も
そして、この町であれば空家とあらば住み着く都市伝説や霊的存在の音すらも何も無い
「周りは……音は聞こえるんだよな。大体家一件分ぐらいの範囲だけ、有り得ないぐらいに完全に無音だ」
それが目的の存在かどうかは判らない
違うとはっきりしない以上は、そこを放置するわけにもいかない
「とりあえず、探ってみるか。お前のご主人に伝えるかはそれからだ」
「あ゛ー」
犬メイドはエプロンを外し、バイクの鍵を手に取って部屋を出て
以前にも増して胸のラインが強調された超ミニスカのメイド服姿でバイクに跨り、地図を確認して目的地へと走り出して行った
マンションの駐車場出入り口でその姿を監視している、顔色の悪い女黒服に気付かないまま
遠ざかっていく赤兎の排気音を確認し、犬メイドは町中に聴覚を広げていく
呂布が戦っている状況を確認するため、そして呂布の背後にいる存在を探し出すために
「それにしてもなぁ……本当にこの町にそいつらはいるのかね。町の外に潜まれてたら俺の能力の効果範囲じゃアウトだぞ」
小悪霊を胸の谷間に詰めて、町中の音を拾い集め聞き分ける犬メイド
「つーかぶっちゃけ人の気配の多いとこにはいないよな。静かなところを重点的に探していくしかないんだが……」
表通りから外れた路地
雑木林の奥
マンホールの下
真夜中の公園
閉店後のショッピングセンター
様々な場所を探っていくものの、小動物の生活音や待機中の機械音、風の音や水の音ばかりで手掛かりらしきものは何一つ感知できない
「あーくそ、こないだ拾ったあの会話が手掛かりだった気がすんだよなぁ……お前のせいだぞ?」
「あ゛ー」
反省の気配もなく胸の谷間に埋もれている小悪霊
「どこもかしこも、お前みたいな雑霊ぐらいの音しか聞こえねぇしな……ん?」
犬メイドはふと気付く
何も音がしない静かな空間がある事に
風や水の自然の音も
虫やネズミなどの小動物の音も
電気のメーターが回る程度の機械音も
そして、この町であれば空家とあらば住み着く都市伝説や霊的存在の音すらも何も無い
「周りは……音は聞こえるんだよな。大体家一件分ぐらいの範囲だけ、有り得ないぐらいに完全に無音だ」
それが目的の存在かどうかは判らない
違うとはっきりしない以上は、そこを放置するわけにもいかない
「とりあえず、探ってみるか。お前のご主人に伝えるかはそれからだ」
「あ゛ー」
犬メイドはエプロンを外し、バイクの鍵を手に取って部屋を出て
以前にも増して胸のラインが強調された超ミニスカのメイド服姿でバイクに跨り、地図を確認して目的地へと走り出して行った
マンションの駐車場出入り口でその姿を監視している、顔色の悪い女黒服に気付かないまま