夜の空を魔女が飛ぶ
箒にまたがる魔女一人
街を見下ろし、飛び回る
箒にまたがる魔女一人
街を見下ろし、飛び回る
「ひっひ……相変わらず、夜もきらびやかだねぇ?」
繁華街の上空を飛びながら、魔女は1人、そう呟く
北区などはそうでもないが、この繁華街の辺りは、夜でもきらびやかで、まるで昼間のように明るく感じる
…人間は文明を発達させ、夜を恐れなくなった
夜の暗闇を作り出した光で照らし、恐れなくなっていった
本当に、恐れていない?
それは違う、と魔女は思う
本当に恐れていないのならば…都市伝説は、生まれやしない
人間が本能的に闇を恐れるからこそ、都市伝説は生まれ続ける
少なくとも、魔女の一撃たる彼女はそう考えていた
だからこそ、夜の明るい街の上空を飛ぶのが楽しいのだ
…畏怖すべき対象から目を逸らし、明るさを保つ事でそれを忘れようとしているその様子が、滑稽で仕方なくて
北区などはそうでもないが、この繁華街の辺りは、夜でもきらびやかで、まるで昼間のように明るく感じる
…人間は文明を発達させ、夜を恐れなくなった
夜の暗闇を作り出した光で照らし、恐れなくなっていった
本当に、恐れていない?
それは違う、と魔女は思う
本当に恐れていないのならば…都市伝説は、生まれやしない
人間が本能的に闇を恐れるからこそ、都市伝説は生まれ続ける
少なくとも、魔女の一撃たる彼女はそう考えていた
だからこそ、夜の明るい街の上空を飛ぶのが楽しいのだ
…畏怖すべき対象から目を逸らし、明るさを保つ事でそれを忘れようとしているその様子が、滑稽で仕方なくて
それでも、適当に飛んで見下ろしたら、後はすぐに帰るだけだ
目撃されても面倒である
目撃されても面倒である
………ただ
この日は、いつもと違った
この日は、いつもと違った
迫ってきた気配に、感じた悪寒
急浮上し、超スピードで接近してきたそれを避けた
まるで、竜のような巨大な生き物が、一瞬前まで魔女が飛んでいた場所を通過していく
その尻尾の先では、ちろちろと赤い炎が燃えていた
急浮上し、超スピードで接近してきたそれを避けた
まるで、竜のような巨大な生き物が、一瞬前まで魔女が飛んでいた場所を通過していく
その尻尾の先では、ちろちろと赤い炎が燃えていた
「ひっひっひ……話に聞いている、カイザーとか言う都市伝説かい!」
ぐぉおおおおおおおおん!!
魔女の言葉に答えるように、竜……カイザーが吼えた
背中には、誰も乗せていない
だが、カイザーの契約者は、恐らくこちらが見えている位置にいるだろう、と魔女は推理した
どうやら、契約者が指示を出す必要がある都市伝説であるらしいから、相手がこちらを見えていなければ意味がない
…もっとも、カイザーと契約者が視覚を共用できると言うのなら、別なのだが…
魔女の言葉に答えるように、竜……カイザーが吼えた
背中には、誰も乗せていない
だが、カイザーの契約者は、恐らくこちらが見えている位置にいるだろう、と魔女は推理した
どうやら、契約者が指示を出す必要がある都市伝説であるらしいから、相手がこちらを見えていなければ意味がない
…もっとも、カイザーと契約者が視覚を共用できると言うのなら、別なのだが…
おぉおおおおおん!!
カイザーが吼える
その口の中で、ちろちろと炎が燃えていた
その口の中で、ちろちろと炎が燃えていた
「…っひっひっひぃ!まともに戦っても勝ち目はなさそうだねぇ?」
ならば
まともに戦わないに、限る
魔女は、懐から小さな子瓶を取り出すと、カイザーに向かって投げつけた
炎が吐かれる直前にカイザーに当たった小瓶は、ぱりん、と割れて薬品をカイザーにぶちまける
まともに戦わないに、限る
魔女は、懐から小さな子瓶を取り出すと、カイザーに向かって投げつけた
炎が吐かれる直前にカイザーに当たった小瓶は、ぱりん、と割れて薬品をカイザーにぶちまける
ぐぉおん!?
途惑った鳴き声をあげるカイザー
体の自由が利かなくなったのだろう、飛び方がおかしくなる
魔女が投げつけたのは、麻痺薬だ
しばし、体が痺れてうまく動けない事だろう
……うっかり、地上に落ちたらどうするのか?
まぁ、その時はその時だ
多分大丈夫だろう、多分
万が一の時は、「組織」がどうにかするだろうし
そう、他人事のように考えながら、魔女はさっさと逃走しようとした
体の自由が利かなくなったのだろう、飛び方がおかしくなる
魔女が投げつけたのは、麻痺薬だ
しばし、体が痺れてうまく動けない事だろう
……うっかり、地上に落ちたらどうするのか?
まぁ、その時はその時だ
多分大丈夫だろう、多分
万が一の時は、「組織」がどうにかするだろうし
そう、他人事のように考えながら、魔女はさっさと逃走しようとした
…………しかし
ぐぉおおおおおん!!と再び聞こえてきた咆哮
直後、魔女を灼熱の炎が掠った
直後、魔女を灼熱の炎が掠った
「おぉっと!?………もう、回復したってのかい!?」
見れば、カイザーは既に体の自由を取り戻していた
…おかしい
いくらなんでも、早すぎる
…おかしい
いくらなんでも、早すぎる
ぎらり、爪を剥き出しにして、飛び掛ってくるカイザー
ひらり、ひらり
アクロバティックに飛び回りながら、魔女はそれを避けて…再び、麻痺薬を投擲した
ばりん!と小瓶がくだけ、薬がカイザーを襲う
再び、体の自由を奪われたカイザーだったが…
ひらり、ひらり
アクロバティックに飛び回りながら、魔女はそれを避けて…再び、麻痺薬を投擲した
ばりん!と小瓶がくだけ、薬がカイザーを襲う
再び、体の自由を奪われたカイザーだったが…
…ぴろんっ♪と
どこからか、電子音のような音が、響いた様な気がした
どこからか、電子音のような音が、響いた様な気がした
どこからか現れた、小さな薬瓶
その中身が、カイザーの口に注がれて
次の瞬間、カイザーは体の自由を取り戻す!!
その中身が、カイザーの口に注がれて
次の瞬間、カイザーは体の自由を取り戻す!!
「っちぃ!!…ゲーム系の都市伝説、とか言ってたねぇ。まさか、ゲーム自体と連動しているのかい!?」
ゲームから生まれた都市伝説
もし、その本体が、ゲームの中に存在するとしたら?
傷ついても、毒や麻痺を喰らおうとも
…ゲームの中でアイテムを使えば、回復する?
もし、その本体が、ゲームの中に存在するとしたら?
傷ついても、毒や麻痺を喰らおうとも
…ゲームの中でアイテムを使えば、回復する?
「冗談じゃないよっ!?」
ますます、自分では歯が立たない
魔女は、何とか逃げ道を確保しようとするのだが、カイザーは執拗に魔女に襲い掛かってくる
契約者を探すのだが…どこにいるのか、わからない
恐らく、繁華街のどこかのビルの屋上辺りから見ているのだろうとは思うのだが…
魔女は、何とか逃げ道を確保しようとするのだが、カイザーは執拗に魔女に襲い掛かってくる
契約者を探すのだが…どこにいるのか、わからない
恐らく、繁華街のどこかのビルの屋上辺りから見ているのだろうとは思うのだが…
どうする?
仲間に助けを求めるか?
だが、空中にいる自分を助けられる仲間など…
仲間に助けを求めるか?
だが、空中にいる自分を助けられる仲間など…
………いや
「…ひっひ。いいタイミングで来てくれたねぇ?」
空が、曇りだす
雲一つなかった夜空が、暗雲で埋め尽くされていく
ばちっ、ばちっ、と
その雲の中で…かすかに、雷が光った
雲一つなかった夜空が、暗雲で埋め尽くされていく
ばちっ、ばちっ、と
その雲の中で…かすかに、雷が光った
「----サンダーバード!!」
魔女の一撃の呼びかけに、答えるように
カイザーに向かって、特大の雷が落とされた
ばちばちと、雷がカイザーの体を焼いた
雄叫びを上げて、カイザーはビルに向かって落下していく
雄叫びを上げて、カイザーはビルに向かって落下していく
「……っとと!?」
雷の衝撃は、あまりにも大きくて
その衝撃破に、魔女の体も吹き飛ばされた
慌てて、体勢を整える
その衝撃破に、魔女の体も吹き飛ばされた
慌てて、体勢を整える
「---っぶな……ひっひ、でも、助かったよ」
空を見上げて礼を言うと、ごろごろと雷が鳴った
…とりあえず、助かったようである
ほっと、息を吐いた
…とりあえず、助かったようである
ほっと、息を吐いた
「わたしゃ、ただ空を飛んでいただけなのにねぇ?………問答無用とは酷い相手だよ、まったく」
……とまれ
相手が、想像以上に厄介らしい事はわかった
恐らく、サンダーバードの雷で焼かれたとは言え……また、復活してくるだろう
魔女の一撃は、さっさと教会まで逃げ帰る事にしたのだった
相手が、想像以上に厄介らしい事はわかった
恐らく、サンダーバードの雷で焼かれたとは言え……また、復活してくるだろう
魔女の一撃は、さっさと教会まで逃げ帰る事にしたのだった
そして
魔女の一撃の予想は、当たっていた
魔女の一撃の予想は、当たっていた
「げんきのかけら」
ぴろんっ♪
「まんたんのくすり」
ぴろろんっ♪
黒焦げになったカイザーだったが…契約者たる竜宮がゲーム内でカイザーにアイテムを使っていくと、それに連動するように、カイザーの傷が癒えていく
あっと言う間に、元の姿に戻る
あっと言う間に、元の姿に戻る
「ドラゴンタイプも持ってるから、でんきタイプの攻撃にも強いんだけどなぁ……うーん、もっと気をつけないと駄目だね」
ぴこぴこ、旧式のゲームボーイを弄り、カイザーのステータスを見ながら、竜宮は考え込む
「「そらをとぶ」は秘伝技だから忘れられないとして…んー、「かえんほうしゃ」「きりさく」「はかいこうせん」じゃなくて、技を入れ替えてみようかな…?」
むむむ、と少年は1人
己の契約都市伝説の技の選択に、悩むのだった
己の契約都市伝説の技の選択に、悩むのだった
to be … ?