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連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち・決戦以降-18c

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 学校町 北区 古ぼけた教会裏手の山中にて………



 木々が、揺れている
 風で揺れている訳ではない
 何かが、たんっ、たんっ、と周囲の木々を足場にして跳び回っていて……足場にされた瞬間の衝撃で、揺れているのだ
 ごがっ!がごっ!!と、空中でぶつかり合っているのか、打撃音も時折、響き渡る

「-----っふ」

 だんっ、と
 地面に着地した、髪を茶色く染めた青年…清川 誠

「-----っは」

 どんっ、とやや太い木の枝に着地した人狼…マリ・ヴェリテのベート
 二人は、別に戦っているわけではない
 ただ、組み手をしているだけだ
 ……山の中を縦横無尽に駆け回り跳び回りながらのそれを組み手の範疇に入れてよいものかどうか、一般的な感覚から見れば大変と疑問なのだが
 少なくとも、本人達にとっては組み手の範疇である

 二人は睨みあい、小さく呼吸し…

 ……次の瞬間、再び跳ぶ

 その直前、誠は、どこか幽霊を思わせるような構えをとっていて………その気配が、忽然と消える


 ----背後か?
 足元か?
 それとも上か?


 ひく、とマリの鼻が動く
 気配こそ感じないものの、マリ・ヴェリテのベートたるマリは、匂いで相手の居場所を判断する事ができる
 背後に迫るそれに、マリは拳を突き出した

 とんっ、と
 マリの突き出した腕に片手を置き、くるり、逆立ちするように宙に舞う誠
 アクロバティックな、予測不可能な動き
 その不安定な状態から、マリに向かって踵落としを決めるべく、勢いをつけて足を振り下ろした

 響き渡る、鈍い音

 その一撃すらも、マリは受け止めた
 ぐるり、片脚を受け止められたまま体勢を入れ替える誠
 受け止められたのとは逆の足が、今度は横からマリに襲い掛かる
 が、マリはそれすらも、受け止めて

「っ!?」

 ぶんっ、と
 誠の体を、軽々と投げ飛ばした
 木の幹に叩きつけられそうになったものの、誠は木の幹に着地して、事なきをえる

 再び、2人が睨み合った………その時


「そろそろやめにしたらー?もうちょっとで夕食できるわよーーー」


 響き渡った、女性の声
 スパニッシュフライの契約者、桜門 留美だ

 恋人の言葉に、マリがそちらに視線をやる

「あ?もうそんな時間かよ」
「じゃ、今日はここまでにするか」

 誠も、伸びをしながら留美に近づいていく
 …見れば、空は随分と赤くなってきていた
 もう、こんな時間になっていたのか

「ほらほら、シャワー浴びる時間もあるんでしょ?行くわよ。コロッケはもう揚がってるんだから」
「コロッケー!」

 ちょーん
 幼女姿になって、てちてちと留美に駆け寄るマリ
 相変わらず、気分でコロコロと姿が変わる

「…それにしても、相変わらず人外の鍛錬してるわね、あなた達。途中の動き、全然見えなかったわよ?」
「そうか?」

 留美の言葉に、誠は首を傾げて見せた
 少なくとも、誠としては特に無茶な事をやっているつもりはない
 それは、マリも同じ事だ

「俺が師匠に稽古つけてもらってた時も、大体あんな感じだったぞ?」
「いつも思うけど、あなたに稽古つけたお師匠さんってどんな人だったのよ」
「人間だったー?」

 …誠の戦闘スタイルは、一応、とある格闘技に即したものである
 マイナーの極みどころか、一部では外法扱いでもあるその流儀を誠が使えるからには、当然、師匠が存在する
 留美とマリの問いかけに、誠は大学に入ってすぐの頃の記憶を呼び戻しつつ、答える

「…多分、人間だった。気まぐれっつーか自分勝手つーか。ある意味、自己中の極みだったな。世界中気まぐれに旅して回ってるらしいから、今ごろどこにいるやら」

 正直、生きているかどうかもわからない
 いっそくたばっていれば世界平和に繋がる気もするが、誠個人としては、まだくたばられては困る

 自分は、もっと強くならねばならない
 そのためには、まだあの師匠から盗んでいない技も習得していかなければ

 護りたいのだ
 大切な親友も、今、共に生活している仲間達も
 全てを護りたいからこそ、もっともっと、強くなりたい
 もっと高みを、目指したい

 マリやマッドガッサーとの組み手に不満がある訳ではないが、相手が限られていると、どうしてもパターンが決まってしまう
 出来れば、様々な相手と組み手をしていくに越したことはない

 単純な力比べでは、マリに敵わない
 マッドガッサー相手では、間接を決められてしまえばそこまでだ
 組み手を通して、自分の弱点、足りない部分も認識していく


 …翼の父親である、朝比奈 秀雄
 あの男に、今の自分でどれだけ通用するか
 ……それが、今の一番の課題だ
 翼の契約都市伝説の力をものともせず、腕の一振りで小さなビル二つを破壊した力
 少なくとも、単純な力勝負では自分は敵うまい
 ならば、どうやって戦うか?
 力勝負で勝てない相手との戦闘を想定しての組み手相手は、今のところマリ相手くらいだ
 しばらくは、マリ相手を中心に、訓練していくしかない

「マリ、悪いけど、これからも組み手付き合えよ?」
「肉たくさん食わせてくれるならいいー」

 留美と手をつなぎながら、幼女の姿のまま、そう答えてきたマリ
 …仕方ない
 今度、食事当番になった時には、スキヤキでも作ってやるか、と考えながら
 わかった、と誠は適当に返事を返したのだった



 護るべき者の為に
 強くなりたいと、強く強く、願い続けながら


to be … ?





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