…朝比奈 秀雄との遭遇から、一週間以上が過ぎて
翼の精神状態は、酷く追い詰められていっていた
それでも、共に暮らしている家族や友人達の支えもあり、致命的な段階までは、まだ追い込まれていない
少し持ち直したり、また落ち込んだり…その、繰り返しだ
朝比奈 秀雄がばら撒いた悪意…悪魔の囁きや、コーク・ロア支配型による事件の話は、嫌でも翼の耳に入ってくる
その度に、翼は自分のせいで、と考え込んでしまっている
……将門の言葉ではないが、翼は責任を背負い込みすぎる
せめて、もう少し、翼の心を楽にしてやれれば良いのだが
どこかに隠れ潜んでいる朝比奈 秀雄を見つけ出し、それを捕縛するなり無力化するのが一番なのだが…まだ、行方はわからない
「組織」は、拡大する悪魔の囁きやコーク・ロアの事件の沈静化で、精一杯で、そこまで捜査が及ばないのだ
翼の精神状態は、酷く追い詰められていっていた
それでも、共に暮らしている家族や友人達の支えもあり、致命的な段階までは、まだ追い込まれていない
少し持ち直したり、また落ち込んだり…その、繰り返しだ
朝比奈 秀雄がばら撒いた悪意…悪魔の囁きや、コーク・ロア支配型による事件の話は、嫌でも翼の耳に入ってくる
その度に、翼は自分のせいで、と考え込んでしまっている
……将門の言葉ではないが、翼は責任を背負い込みすぎる
せめて、もう少し、翼の心を楽にしてやれれば良いのだが
どこかに隠れ潜んでいる朝比奈 秀雄を見つけ出し、それを捕縛するなり無力化するのが一番なのだが…まだ、行方はわからない
「組織」は、拡大する悪魔の囁きやコーク・ロアの事件の沈静化で、精一杯で、そこまで捜査が及ばないのだ
「…なぁ、大樹」
「はい?……翼、どうしましたか?」
「はい?……翼、どうしましたか?」
考え込んでいた黒服に、ふと、翼が声をかけてきた
もう、夜も遅い時間、望や詩織は自分達の部屋で眠っている
翼は、これからコンビニの深夜勤から帰ってきた所
黒服も、翼のバイト先の人間に悪魔の囁きが憑いていないか調べるためにそのバイト先を訪ね…先ほど、二人で一緒に帰ってきた所だ
もう、夜も遅い時間、望や詩織は自分達の部屋で眠っている
翼は、これからコンビニの深夜勤から帰ってきた所
黒服も、翼のバイト先の人間に悪魔の囁きが憑いていないか調べるためにそのバイト先を訪ね…先ほど、二人で一緒に帰ってきた所だ
翼は、念のためなんだが、と前置きして尋ねてくる
「…糞親父が、俺のこと見張ってる、って事は…ない、よな?」
「そうですね…ある程度、こちらの動きを把握している可能性はありますが、24時間見張っている事はないでしょう。都市伝説能力なしにそれを成し遂げるのは難しいですし、都市伝説能力を使ってあなたをそうして見張っていたならば、私か望が気づきますから」
「そうですね…ある程度、こちらの動きを把握している可能性はありますが、24時間見張っている事はないでしょう。都市伝説能力なしにそれを成し遂げるのは難しいですし、都市伝説能力を使ってあなたをそうして見張っていたならば、私か望が気づきますから」
黒服の言葉に、そうか…と、ほっとした表情を浮かべる翼
今度は、黒服が翼に、気遣うように尋ねる
今度は、黒服が翼に、気遣うように尋ねる
「…やはり、彼に見張られていないか、不安ですか?」
「ん…まぁ、そう言うのも、あるけど」
「ん…まぁ、そう言うのも、あるけど」
ちょっとな、と
翼は、やや力なく笑ってみせる
翼は、やや力なく笑ってみせる
「今度、爺ちゃんの見舞いに行こうと思ってたから。親父がそっちにまでちょっかいだしたら嫌だったからさ」
…その、翼の答えに
黒服は、小さく動揺した
翼の言う、「爺ちゃん」
それは、つまり…
黒服は、小さく動揺した
翼の言う、「爺ちゃん」
それは、つまり…
「日景 宗光さんのお見舞い、ですか?彼は、どこか体を壊していらっしゃるので?」
「あ、いや。ただ、元々あんまり病気した事なかったのに、去年の暮れ、少し大きな病気だかで、入院したみたいでさ。もう治って退院してんだけど、少し気が弱ってるんだよ。もうどこも悪くないって言うけど、病は気からって言うし。やっぱ、心配で」
「あ、いや。ただ、元々あんまり病気した事なかったのに、去年の暮れ、少し大きな病気だかで、入院したみたいでさ。もう治って退院してんだけど、少し気が弱ってるんだよ。もうどこも悪くないって言うけど、病は気からって言うし。やっぱ、心配で」
と、ここまで答えて
あれ、と翼が首を傾げてきた
あれ、と翼が首を傾げてきた
「…大樹、俺の爺ちゃんのこと、知ってたっけ?」
「………っ」
「………っ」
しまった、と黒服は一瞬、焦る
翼は、己の母の実家が…日景家が、どう言う家なのかをよく知らない
ただ大きな家だ、とそれくらいの認識しかなく
日景 宗光と言う祖父が、どれほど有名な人物であるかを、知らないままなのだ
黒服が、彼のことをある程度把握している事も…当然、知らない
翼は、己の母の実家が…日景家が、どう言う家なのかをよく知らない
ただ大きな家だ、とそれくらいの認識しかなく
日景 宗光と言う祖父が、どれほど有名な人物であるかを、知らないままなのだ
黒服が、彼のことをある程度把握している事も…当然、知らない
黒服は、誤魔化そうとして……いや、と考え直す
話した方が、いいのだろう
話す、べきなのだろう
日景家が、どう言う家なのかを
…その家が、翼が狙われる原因であろう事も
それが、翼の心にどんな影響を与えてしまうのか…正直、黒服いは予測がつかないし、翼に、家の事を伝えず、権力争いから遠ざけようとしている日景家の人間達の意志にも、反してしまうかもしれない
……だが、いつまでも隠しとおせることでもない
それに、翼はその事実を知ったとしても、権力を握る事に興味を持つような子でもない
話す、べきなのだろう
日景家が、どう言う家なのかを
…その家が、翼が狙われる原因であろう事も
それが、翼の心にどんな影響を与えてしまうのか…正直、黒服いは予測がつかないし、翼に、家の事を伝えず、権力争いから遠ざけようとしている日景家の人間達の意志にも、反してしまうかもしれない
……だが、いつまでも隠しとおせることでもない
それに、翼はその事実を知ったとしても、権力を握る事に興味を持つような子でもない
「…大樹?」
考え込んだ様子の黒服に、首を傾げ来た翼
…大丈夫だ
この子なら、きちんと、真実を受け入れられる
黒服は、そう、翼を信じる事にした
…大丈夫だ
この子なら、きちんと、真実を受け入れられる
黒服は、そう、翼を信じる事にした
「翼、少し、話しておきたい事があります」
「?俺に?」
「はい…お疲れの所、申し訳ないのですが…」
「俺は、別に疲れてないし平気だよ。話があるなら、聞くぞ」
「?俺に?」
「はい…お疲れの所、申し訳ないのですが…」
「俺は、別に疲れてないし平気だよ。話があるなら、聞くぞ」
翼の言葉に、黒服は申し訳ありまえsん、と小さく苦笑して
………そして、翼に、日景の家のことを、ゆっくりと話し出した
………そして、翼に、日景の家のことを、ゆっくりと話し出した
…初めは、驚いていた様子の翼だったが
それでも、黒服の話を大人しく聞いて行って…それを、真実をして、受け入れていっていた
若干、思い当たる点もあったようだが…よもや、自分の母親がそんな由緒ある家系の生まれだとは、考えた事もなかった為、気づかなかったらしい
それでも、黒服の話を大人しく聞いて行って…それを、真実をして、受け入れていっていた
若干、思い当たる点もあったようだが…よもや、自分の母親がそんな由緒ある家系の生まれだとは、考えた事もなかった為、気づかなかったらしい
「…だってよ。あの糞ババアが、そんな由緒ある家の生まれだなんて、想像つくかよ?」
「……まぁ、私もあなたの母親とは、何度か接触した経験がありますが………失礼ながら、想像つきませんね」
「……まぁ、私もあなたの母親とは、何度か接触した経験がありますが………失礼ながら、想像つきませんね」
苦笑する黒服の言葉に、だろ?と頷いてくる翼
本人には悪いのだが、翼の母親たる朝比奈 マドカからは、そう言った家の生まれを思わせる気品と言うか何かというか、そのような雰囲気は備わっていないのだ
本人には悪いのだが、翼の母親たる朝比奈 マドカからは、そう言った家の生まれを思わせる気品と言うか何かというか、そのような雰囲気は備わっていないのだ
「なぁ、大樹」
…ぽつり
翼が、口を開く
翼が、口を開く
「俺が……爺ちゃん達を、頼っちまって。糞親父や糞ババアと同じ苗字が嫌だ、って言っちまったから……俺が、「日景」を名乗るようになったから。糞親父が、今みたいな騒ぎを、起こしちまったんだろうか」
「…そんな事は、ありませんよ」
「…そんな事は、ありませんよ」
あぁ、この子は、また
また、自分が悪いと、背負い込もうとして
また、自分が悪いと、背負い込もうとして
黒服は苦笑すると、そっと、翼の頭を撫でてやる
「あなたの責任ではありませんよ。あの頃、あなたはただ、会った事のない祖父母に会いに行った。そして、その時、初めて顔を合わせたあなたを受け入れてくれた。ただ、それだけです」
「……でもよ」
「翼」
「……でもよ」
「翼」
少しでも、翼の負荷を軽減させようと
優しく、黒服は言葉を続ける
優しく、黒服は言葉を続ける
「あなたが、日景の家を訪れた事を否定してしまえば。「日景」の姓を名乗る事を許された事を否定してしまえば…それは、あなたを受け入れてくれた、宗光さん達の思いも、否定する事になってしまいます」
日景家当主達は、自分達が勘当して追い出した娘が生んだ子供が尋ねてきても、それを追い払いはしなかった
むしろ、温かく、日景家に迎え入れたのだ
…最も、長く頼る事を嫌い、翼はその家に住まう事は、なかったが
むしろ、温かく、日景家に迎え入れたのだ
…最も、長く頼る事を嫌い、翼はその家に住まう事は、なかったが
翼は、やや悩んだ様子だったが………うん、と頷く
「そう、か……ありがとうな、大樹。教えてくれて」
「いえ、どういたしまして」
「いえ、どういたしまして」
笑ってくれた翼
まだ、以前の笑顔ではないが…それでも、少し、力が戻った
まだ、以前の笑顔ではないが…それでも、少し、力が戻った
「それで、さ。ちょっと、頼みがあるんだよ」
「頼み、ですか?」
「あぁ…明日、爺ちゃんの見舞いに、あの家に行くつもりだけど。ついてきて、くれるか?」
「頼み、ですか?」
「あぁ…明日、爺ちゃんの見舞いに、あの家に行くつもりだけど。ついてきて、くれるか?」
じっと、黒服を見あげて
翼は、そう頼んでくる
翼は、そう頼んでくる
「糞親父の目的が、家の権力を手に入れることなら…今、爺ちゃんが弱ってるのが、心配で」
「何かの、都市伝説能力の影響を受けている可能性がないか、調べて欲しい……ですか?」
「何かの、都市伝説能力の影響を受けている可能性がないか、調べて欲しい……ですか?」
黒服の言葉に、翼は頷く
朝比奈 秀雄が、翼を利用して日景家の権力を手に入れようとしているのならば……現当主の宗光の存在は、いずれ邪魔になる
宗光だけではなく、現在の時期当主候補である、日景 薫にも、なんらかの害が与えられる可能性は、高い
翼は、それを心配しているのだろう
朝比奈 秀雄が、翼を利用して日景家の権力を手に入れようとしているのならば……現当主の宗光の存在は、いずれ邪魔になる
宗光だけではなく、現在の時期当主候補である、日景 薫にも、なんらかの害が与えられる可能性は、高い
翼は、それを心配しているのだろう
「わかりました。あなたさえ宜しければ、付いて行かせていただきます」
「あぁ。頼んだ」
「あぁ。頼んだ」
翼の家族として、契約者として
翼の負荷を、少しでも軽減できるのならば
自分は、その努力を惜しむつもりはない
翼の負荷を、少しでも軽減できるのならば
自分は、その努力を惜しむつもりはない
そう考え、黒服は翼に、優しく笑いかけてやるのだった
to be … ?