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連載 - 悪意が嘲う・操られた者達-08

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 てくてく、てくてく
 夜道を、旧式のゲームボーイを抱えた少年…竜宮 海造が1人、歩く
 その表情は、やや不機嫌そうだ

「…もう。何なんだよ…」

 ぶつぶつと呟く海造
 今日、彼は敗北した
 完全敗北ではない
 だが、逃亡せざるを得ない状況まで、追い詰められてしまったのだ
 これは、敗北だ
 カイザーを戦闘不能状態に陥れられたのは、二度目だ
 空飛ぶ魔女を見つけておそってみたら、突然空から落ちてきた雷がカイザーに直撃して以来…二度目

「やっぱり、技を調整しなきゃ………でも、四つまでしか覚えられないんだよな…」

 げんきのかけらでカイザーを回復しつつ、考え込む海造
 しばし、ぶつぶつ言いながら歩いていると

「………海造?こんな時間に、一人でどうした?」
「!!」

 声を駆けられ、警戒して顔をあげた海造
 ……が、声をかけてきた相手を確認し、すぐに警戒をといた

「若か。どうしたの?」
「…お前まで、その呼び方をするのはやめてくれ」

 はぁ、とその相手はため息をついてきた
 高校生ほどの少年……獄門寺 龍一だ
 海造の叔父が龍一の父親の部下である為、海造は彼と何度か面識があった
 その時、叔父が龍一を「坊ちゃん」だとか「若」と呼んでいたのを見て、海造も龍一を「若」と呼ぶようになっていたのだ
 …龍一は、全力で嫌そうだが
 そんな龍一の傍らに、首を傾げている、おかっぱ頭で白いブラウスで真っ赤な吊りスカートの女の子の姿がある事に、海造は気づいていたが…口には出さない
 龍一が、海造には知られたくないように振舞っているようなので、気づかないふりをしているのだ

「…とにかく。小学生がこんな時間まで出歩くな。補導されるぞ」
「若だって、こんな時間に出歩いてるじゃないか。高校生だって補導されるよ」
「……だから、その呼び方はやめろ」

 はぁ、と
 また、ため息をつく龍一
 龍一は、昔から随分と、ため息をつく癖があるように、海造には見えた
 あんまりため息ばかりついていると、幸せが逃げていくと思うのだが

「…とりあえず、家まで送る。このところ物騒だしな」
「平気だよー。若に送ってもらうなんて恐れ多いよ」
「……俺は、そんな大層な存在じゃ、ない」

 海造の言葉に、龍一はやや憂鬱そうに、そう答えてきた
 そんな事はない、と海造は思う
 龍一は、いつか、あのたくさんの強面の男達を従える立場につくらしいのだ
 叔父がそう言っていたからそうなのだろう、と海造は信じている
 大分先のこととは言え、それは保証されているのだ
 もし、朝比奈と接触する前にそれを知っていれば、海造は朝比奈の部下になる事よりも、身近な相手である龍一の部下を目指していたかもしれない
 …もっとも、時、既に遅しなのだが

 行くぞ、と言って歩き出した龍一
 海造は、慌ててその後を付いていった
 てくてく、てくてく
 おかっぱ頭の女の子が隣に並んできたが、その存在には気づかないふりをする

「ねー、若ー」
「…何だ」

 いい加減、訂正するのを諦めたのか
 海造の言葉に、やや諦めた表情で、振り返ってきた龍一
 その龍一に、海造は尋ねる

「若はさ、もし、世界の全部とか、十分の一を手に入れることができるようになったら、どうする?」
「………は?何だ、いきなり」
「もしもだよー」

 海造の、突然のその問いかけに、龍一は、やや面食らったようだったが
 …すぐに、どこか面倒そうに、答えてきた

「…いらない。そんな物を背負える覚悟は、俺にはない」

 ----周りだけで、精一杯だ
 小さく呟かれたその言葉は、海造の耳には届かない

「そっかー。欲がないんだね、若って」

 ほっといてくれ、とそう言って、海造から視線をそらしてきた龍一
 海造もそれ以上は特に話もせずに、彼の後をついていく


 ……竜宮が抱えているゲームボーイの中で
 カイザーが、龍一が抱える「もう負けたくない」と言う思いに連動するように…脈動した事に
 まだ、誰も、気づかない




to be … ?



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