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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 残された思いの読み手-03

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護衛任務
より

学校町に対する情報収集のためにSは、同僚であるCに電話をしている。
その最中も、紗江良は自身の能力で周囲の警戒を欠かす事は無い。相変わらず周囲の悪意は多いが、今の所此方に来る様子は無い。

「…相手次第だな。まずは、会って見ないとわからない」

その言葉を最後に、Sは携帯を切った。それを見て紗江良は、一旦警戒を緩め、情報を聞く事にする。

「それで、どんな状況だったんですかぁ?」
「何から説明するか。取り合えず……」

Cから聞いた《悪魔の囁き》を含む3つの都市伝説と契約した男が、数人の配下を連れ暗躍している事などを説明する。
その説明は大雑把な所も有ったが、紗江良は感覚的にその内容を理解している。

「はぁ、厄介な事に成ってるんですねぇ」
「そうだな」

ヤレヤレと、動作を交えながら言う紗江良に同意するS。
それも、当然だろう、《夢の国》やマッドガッサーと言う厄介な事件が解決したと思ったら、今度は《悪魔の囁き》だ。その上、こちらも《七人みさき》なんてモノを見つけてしまった。
もしかしたら、アレもこの町に来るかも知れないなと、Sは思考を巡らせ、

「で、ボディーガードが来るんですよねぇ」

それを、紗江良の声が遮る。

「ん。あぁ、どんな奴かは知らないけどな。そいつが来るまで此処で待つぞ」
「っちょ、何言ってるんですか?! こんな所で待ってて襲われたら如何するんですかぁ!?」

騒ぎだした自分の担当に、Sはその通りだと思いながらも、騒いでは逆に危ないと宥めはじめる。
如何にか紗江良を落ち着かせたその時に、ドガン!! と何処かで轟音が響いた。
戦闘が、何処かで始まったのかもしれないし、違うかもしれない。
ただ、その後も悲鳴や人が吹き飛ばされる音が聞こえ続けた事から、戦いが起こっているのは確信できた。
音のしたと思われる方向に向けていた目を、紗江良に向け直すと思いっ切り警戒している。

「如何したんだ。もしかして、あの音に何か在るのか?」
「えぇ。とんでもなく強いのが、辺りの悪意を吹き飛ばしながら、こっちの方に向かって来てま……」

ドーン!!!
言い終わる前に、その、とんでもなく強いのが、2人の目の前にやって来た。
それは、上半身裸だった。それは、下半身に道着を身に付けて居た。それは、筋肉の塊だった。

「《兄貴》か? 道着を付けた奴なんて聞いた事無いぞ」

それは、組織の恥部が生み出す都市伝説、《兄貴》にそっくりだった。

「否! 我が名は《兄鬼》、強きを望む一介の修羅よ!!」

そう喋る、半裸の筋肉達磨。無駄に、熱さを感じてしまう。

「? 《兄貴》だろ、何が違うんだ?」
「多分、字が違うんじゃないですか。貴いじゃなくて鬼って字なんだと思いますよぉ」

筋肉達磨もとい《兄鬼》に注意を向けながら、紗江良はSの疑問に答える。
それに、《兄鬼》がニィッと笑った事からどうやら合っているようだ。

「で、一体何の用だ? 言っとくが、掘らせはしないぞ」
「安心しろ、オレはホモじゃあ無い」

……え?
《兄鬼》の言葉に、驚いた表情を見せるSと紗江良。亜種と言っても、元が《兄貴》で在る以上当然ガチホモだと思っていたのだから。

「フン。オレは《兄貴》の中の、誰よりも強い肉体を得ようとする意志のみが凝縮されて誕生した。
 だから、ホモと言う概念は不純物として排除されている」

大胆不敵という言葉が相応しい様な態度で、《兄鬼》が己と言う存在を話す。
そこに、嘘を言っている様子は無く。そう言う《兄貴》も在るのかと2人は思った。

「故に、オレは強者を望む! 強き物を打ち倒し、己が強さを証明するのだ!!」

「言っとくが、俺たちは強くなんか無いぞ」
「だろうな。オレのセンサーに反応が無い。偶々お前達が、進行方向に居ただけだ」
「センサーって、何ですかぁ?」
「一定以上の強さの存在が近くに居るとな、オレの筋肉が疼くのだ」

現在の自分達に害が無いと、理解したらしい紗江良がした質問に、アッサリと答える《兄鬼》のその腕の筋肉が一瞬ザワリとした。
もし、先程の言葉の通りならば、《兄鬼》の言う一定以上の強さの持ち主が、この近くにやって来るらしい。
そして、Sには1人だけ心当たりがあった。自分達の護衛に来る人間だ。ただ、それが誰かをまだ知らないので確信を持つ事が出来ない。
そんな風に考えていたSを、行き成り紗江良が突き飛ばして、一緒に倒れこんだ。

「っ、と行き成り何す……」

ダダダダダダ!!!!!
Sの文句を遮るように、銃弾が幾つか撃ちこまれて来た。

「すみません。《兄鬼》さん? に気を取られて、銃撃を感じるのが遅れましたぁ」

さんを一応付けて《兄鬼》の事を言う紗江良が謝罪を述べる。
だが、もし彼女が突き倒さなければ。あの銃撃に当たって居たかもしれないのだ。その事をすぐさま理解したSには、紗江良へ悪態をつく気は無い。
逆に感謝しても良いくらいだ。
弾丸の飛んでくる方角をチラリと見れば、銃器を構えた数体の天使が居た。
それを見て、Cが自分達の護衛に派遣した契約者の正体が《モンスの天使》の契約者だと、Sは気付いた。

「フン。人の会話を邪魔するとはな」

そんな銃弾の雨の中で、何もせずに《兄鬼》は立っていた。
避けるでも、防ぐでも無く、本当に何の反応もせずに立っていた。天使達の撃っている弾丸はその全てが筋肉に弾かれている。
否、見ればその身体の表面を、何かが薄く覆っていた。それは、《兄貴》達の特徴の一つとして知られる、兄気と呼ばれるエネルギーだった。
ただ、《兄貴》たちの兄気とは違い。皮膚の表面にピッタリと、高密度に集束され張り付いている。

「集団による銃撃戦法か。……確かに強いが、オレの望むモノでは無いな」

言いながら、両手の兄気を発散させて、パンッと柏手を打った。すると兄気同士が、ぶつかり合い辺りが閃光に包まれた。

「撃て、撃て~! 筋肉をヤッツケ、キャア」
「あの人達を助けて、ご主人様のイメージアップだ~。ウワッ」
「あぁ~ん。全然効かない~。ヒャアッ」

銃を乱射していた天使達は、その閃光に驚き。銃を撃つのを止めた。

「眩しいよぉ~」
「何だか、男臭いぃ~」
「うわぁ~ん。ご主人様~」

喚き騒いでいる天使達は、兄気の閃光によって視覚を潰されて銃の狙いをつける事が出来ない。
彼女達の視力が元に戻った頃には、《兄鬼》はその場所から居なくなっていた。

「あぁ~。取り合えず、《モンスの天使》の契約者が俺達の護衛になるって事か」

《兄鬼》を取り逃がし、主の命令を果たせなかった事に落ち込んでいる天使達の様子を見ながら、Sはそう呟いた。
その隣では、銃撃が終った事に胸を撫で下ろしている紗江良の姿があった。

続く

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