二頭のライオンの雄叫びが、廃工場中に響き渡る
その雄叫びは空気を振動させ、びりびりと空間を震わせる
二頭は同時に床を蹴り、跳び……空中で、交差した
その雄叫びは空気を振動させ、びりびりと空間を震わせる
二頭は同時に床を蹴り、跳び……空中で、交差した
「っ!?」
ぱっ、と、飛び散る鮮血
ゴーストの体に、ざっくりと、爪で引き裂かれた傷が生まれた
ダークネスの爪が、悪魔の囁きがその体の表面を覆うように実体化した為に伸びていて…攻撃射程範囲が、僅かに広まっていたようだ
そのわずかな差が、ゴーストの体に傷をつけ、そして、ダークネスには、ゴーストの爪は届いていない
ゴーストの体に、ざっくりと、爪で引き裂かれた傷が生まれた
ダークネスの爪が、悪魔の囁きがその体の表面を覆うように実体化した為に伸びていて…攻撃射程範囲が、僅かに広まっていたようだ
そのわずかな差が、ゴーストの体に傷をつけ、そして、ダークネスには、ゴーストの爪は届いていない
決して浅くはない傷を負い、しかし、ゴーストは戦意を衰えさせようとはしない
片割れを止めるのだと言う決意が、恩義を感じている人間達を護ろうとする想いが、決してゴーストを止めない
再び突進してきたダークネスの体当たりを避け、ゴーストはその首筋に噛み付こうとした
肉食獣の鋭い牙が、ダークネスの首に喰らいつき…
片割れを止めるのだと言う決意が、恩義を感じている人間達を護ろうとする想いが、決してゴーストを止めない
再び突進してきたダークネスの体当たりを避け、ゴーストはその首筋に噛み付こうとした
肉食獣の鋭い牙が、ダークネスの首に喰らいつき…
『ムダァッ!!!!』
「ーーーーっ!!」
「ーーーーっ!!」
ダークネスの、まるで長い鬣のような無数の蛇の頭が…悪魔の囁きが、ケタケタ笑う
その蛇の半分以上が、ダークネスに喰らいつこうとしていたゴーストの体に、がっぷりと噛み付いていた
…個体差は存在するが、しかし、悪魔の囁きには戦闘能力など、ない
しかし、これによってゴーストに一瞬の隙ができ…それは、致命的な隙となる
その蛇の半分以上が、ダークネスに喰らいつこうとしていたゴーストの体に、がっぷりと噛み付いていた
…個体差は存在するが、しかし、悪魔の囁きには戦闘能力など、ない
しかし、これによってゴーストに一瞬の隙ができ…それは、致命的な隙となる
一瞬、動きを止めてしまったゴースト
その体に、ダークネスの前脚が襲い掛かり…………ゴーストの体は、轟音と共に殴り飛ばされた
吹き飛ばされた体は、太い柱にぶつかってようやく止まる
その体に、ダークネスの前脚が襲い掛かり…………ゴーストの体は、轟音と共に殴り飛ばされた
吹き飛ばされた体は、太い柱にぶつかってようやく止まる
--おぉぉん
よろめきながら立ち上がるゴースト
激痛が、その意識を奪おうとする
沈みそうになる意識を、ゴーストは叱咤した
激痛が、その意識を奪おうとする
沈みそうになる意識を、ゴーストは叱咤した
戦え
倒れている場合ではない
戦うのだ
片割れを、止めなければならない
片割れに、あの人間達を襲わせはしない
倒れている場合ではない
戦うのだ
片割れを、止めなければならない
片割れに、あの人間達を襲わせはしない
自分達は、人食いを止めたのだ
生き延びる為に、他の都市伝説達との争いを避ける為に…人食いの力と記憶を、捨てたのだ
そうすることで、生き延びてきた
生き延びる為に、他の都市伝説達との争いを避ける為に…人食いの力と記憶を、捨てたのだ
そうすることで、生き延びてきた
片割れが、再び人を喰らう道を選ぶというのなら
…自分が、それを止めなければならないのだ
…自分が、それを止めなければならないのだ
ダークネスが、ゆっくりとゴーストに近づいていく
その、息の根を止めようとするように
そうする事で、己の存在すら消えることを…悪魔の囁きによって操られているダークネスは、自覚できていない
その、息の根を止めようとするように
そうする事で、己の存在すら消えることを…悪魔の囁きによって操られているダークネスは、自覚できていない
『サァ、行ケ!!殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ!!!』
けたけたけたけたけたけたけたけた
楽しげに笑う悪魔の囁き
ダークネスは牙を剥き出し…ゴーストに、飛び掛った
楽しげに笑う悪魔の囁き
ダークネスは牙を剥き出し…ゴーストに、飛び掛った
赤い赤い、血が、飛び散る
「----っ!?」
ダークネスの牙は、ゴーストに届いていない
ダークネスの、牙は
ダークネスの、牙は
『痛ェエエエエエ!?何、無茶シヤガッテルカ、コンノへたれ!!!』
ゴーストとダークネスの間に、飛び込んだ
山田の体に…食い込んでいた
山田の体に…食い込んでいた
「…っ、ね、こ、いや、ゴースト!」
がぶり、と、肩にダークネスの牙を、食い込ませながら
山田は、ダークネスの体を押さえ込もうとしていた
暴れるその巨体を、必死に押さえ込む
山田は、ダークネスの体を押さえ込もうとしていた
暴れるその巨体を、必死に押さえ込む
「鬣を、狙え!デビ田や未来ちゃんが言うには……っ、そこだけは、悪魔の囁きだけで、ダークネスの体には影響がないって…!」
『ンナァ……!?キ、キサマ、同類ヲ裏切ルカァ!?』
『ンナァ……!?キ、キサマ、同類ヲ裏切ルカァ!?』
山田の言葉に、ダークネスの鬣の蛇達が、山田の頭上に実体化しているデビ田に向かって叫んだ
山田の体に牙が食い込む痛みにのた打ち回りながら、デビ田がそれに答える
山田の体に牙が食い込む痛みにのた打ち回りながら、デビ田がそれに答える
『ッハ、ドウセ、オレサマハ元主様ニ見捨テラレタ身ダカラナァ?テメェラガドウナロウガ、知ッタコッチャネェヤ』
『キサ、マァ……!!クソ、ハ、放セ…!放セヨォオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』
『キサ、マァ……!!クソ、ハ、放セ…!放セヨォオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』
悪魔の囁きが、ダークネスを暴れさせる
山田に押さえ込まれている事で、ダークネスの心の中にもぐりこめないのだ
その体の表面を覆うように実体化するという方法をとったが為に、それが不可能となってしまった
山田に押さえ込まれている事で、ダークネスの心の中にもぐりこめないのだ
その体の表面を覆うように実体化するという方法をとったが為に、それが不可能となってしまった
…よろり
ゴーストが、ダークネスを…いや
ダークネスを覆う、悪魔の囁きを、睨んだ
ゴーストが、ダークネスを…いや
ダークネスを覆う、悪魔の囁きを、睨んだ
ゴーストの巨体が
ダークネスに、飛び掛る
ダークネスに、飛び掛る
『ヤ、メ……!?』
ガブリ
その牙は………ダークネスの鬣に
無数の蛇達に、喰らいついた
その牙は………ダークネスの鬣に
無数の蛇達に、喰らいついた
『ヒギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!???』
悪魔の囁きの絶叫が、響き渡る
ぶちっ
ぶちっ、ぶちっ、ぶちっ……と
何かが引きちぎれるような、嫌な音が、山田の耳に届いた
ぶちっ
ぶちっ、ぶちっ、ぶちっ……と
何かが引きちぎれるような、嫌な音が、山田の耳に届いた
『ッへたれ、手ヲ放セ!!』
「うわっ!!??」
「うわっ!!??」
ずるっ!!
悪魔の囁きが…ダークネスの体から、離れた
解放されたダークネスの体が、床に倒れこむ
悪魔の囁きが…ダークネスの体から、離れた
解放されたダークネスの体が、床に倒れこむ
『グ、ァ……放、セ………!』
ゴーストに咥えられた悪魔の囁きが、呻く
ダークネスから引き剥がされてしまえば、それはただの無力な存在だ
無数の蛇が絡み合ったようなその醜悪な姿も、見せ掛けだけのものでしかない
ゴーストは、そのまま……がぶり、と
咥えていた悪魔の囁きの体を、噛み砕いた
悪魔の囁きは、あっさりと噛み砕かれて……そのまま、消滅してしまったのだった
ダークネスから引き剥がされてしまえば、それはただの無力な存在だ
無数の蛇が絡み合ったようなその醜悪な姿も、見せ掛けだけのものでしかない
ゴーストは、そのまま……がぶり、と
咥えていた悪魔の囁きの体を、噛み砕いた
悪魔の囁きは、あっさりと噛み砕かれて……そのまま、消滅してしまったのだった
「やったの、か?」
『ソウミテェダナ』
『ソウミテェダナ』
ほっと、息を吐く山田
そんな山田に、未来が駆け寄ってくる
そんな山田に、未来が駆け寄ってくる
「山田さん、大丈夫ですか!?」
「俺は大丈夫………でも」
「俺は大丈夫………でも」
山田の肩の傷は、再生を始めている
不死身である山田の方は、何の問題もない
…だが
不死身である山田の方は、何の問題もない
…だが
……ずぅん、と
巨体が、倒れた音が響いた
巨体が、倒れた音が響いた
「…ゴースト!!」
悪魔の囁きを噛み砕いた、ゴースト
その体が…倒れた
山田と未来は、慌ててゴーストに駆け寄る
その体が…倒れた
山田と未来は、慌ててゴーストに駆け寄る
…酷い傷だ
無数の小さな噛み傷、爪で引き裂かれた大きな傷
おそらく、骨も何本か折れているだろう
こんな状態で、ゴーストは戦っていたのだ
……ぐぉん、と、その口から漏れ出た鳴き声も…酷く、弱々しい
早く、治療しなければ…命が、危ない
無数の小さな噛み傷、爪で引き裂かれた大きな傷
おそらく、骨も何本か折れているだろう
こんな状態で、ゴーストは戦っていたのだ
……ぐぉん、と、その口から漏れ出た鳴き声も…酷く、弱々しい
早く、治療しなければ…命が、危ない
「おい、しっかりしろ!死ぬんじゃないぞ!」
……ぐぉぉん
山田の呼びかけに、弱い声で答えるゴースト
く、と顔をあげて…ぺろ、と山田の傷口を舐めようとしている
……ざりっ
く、と顔をあげて…ぺろ、と山田の傷口を舐めようとしている
……ざりっ
『ッチョ、痛ェエエ!!??オマ、舐メルニシテモ手加減シロ!?テメェノ力デ普通ニ舐メタラ人間ノ皮ナンゾべろット剥ケルンダゾ!?』
…ぐぉん?
デビ田の抗議通り、ゴーストが舐めた山田の傷口は、むしろちょっぴり抉れたわけだが…まぁ、すぐに再生が始まるので、問題はない
…己が傷ついても、ゴーストは山田の身を心配していたのだ
…己が傷ついても、ゴーストは山田の身を心配していたのだ
幼い姿になっていた自分を世話した人間への、恩
それを、ゴーストは抱えていたのだ
それを、ゴーストは抱えていたのだ
……じゃり、と
足音が、聞えてきた
足音が、聞えてきた
「…っ!」
…ダークネスが
既に、起き上がり…ゆっくり、ゆっくりと
山田達に、近づいてくる
既に、起き上がり…ゆっくり、ゆっくりと
山田達に、近づいてくる
「…まさか、まだ、やる気か!?」
警戒するように、ゴーストと未来を庇う位置に立とうとした山田
が、その山田を未来が制した
が、その山田を未来が制した
「待って、ください。山田さん…あの子、もう、戦うつもりは、ないみたいです」
『正気ニ戻ッテルハズダシナ』
『正気ニ戻ッテルハズダシナ』
ゆっくり
ゆっくりと
ダークネスは、体をふらつかせながら、近づいてくる
そして、傷ついたゴーストを、じっと、見下ろして
ゆっくりと
ダークネスは、体をふらつかせながら、近づいてくる
そして、傷ついたゴーストを、じっと、見下ろして
……ぺろり
その傷口を、労わるように、優しく、優しく、舐め始めた
…ぉぉん、と、小さく鳴き声をあげ、ゴーストを気遣っているようにも見える
その傷口を、労わるように、優しく、優しく、舐め始めた
…ぉぉん、と、小さく鳴き声をあげ、ゴーストを気遣っているようにも見える
……ぐぉん
ぐぉぉん
ぐぉぉん
何やら、意思疎通を行っているらしいゴーストとダークネス
その、二頭の体が
……光に、包み込まれだした
その、二頭の体が
……光に、包み込まれだした
「…ッ今度は何がおきるんだ!?」
だんだんと強くなっていく光り
そして…顔をあげていた、ゴーストの、体が
がっくりと、脱力したのを…山田は、見た
そして…顔をあげていた、ゴーストの、体が
がっくりと、脱力したのを…山田は、見た
…まさか
間に合わないのか?
もう、助からないのか?
山田の脳裏に、最悪の光景が浮かぶ
間に合わないのか?
もう、助からないのか?
山田の脳裏に、最悪の光景が浮かぶ
体が光に包み込まれた状態でも、ダークネスは、ゴーストの体を舐め続けて
光は、強く、強く
山田達の視界を埋め尽くすほどに、強く、なって…
光は、強く、強く
山田達の視界を埋め尽くすほどに、強く、なって…
山田達の視界が復活した時
そこには
そこには
「………え」
「…あれ?」
『…何ダ、コリャ』
「…あれ?」
『…何ダ、コリャ』
…ぎゃしゃー
そこには、傷つき倒れた子ライオンと、その子ライオンを舐め続ける子ライオン
小さな子ライオンが、二頭の姿が、あったのだった
小さな子ライオンが、二頭の姿が、あったのだった
to be … ?