「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 悪意が嘲う・操られた者達-15

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だれでも歓迎! 編集
 ぐるるるるる………
 犬達の唸り声が、路地裏に響き渡る
 ぽたり、ぽたり、口の端から涎をたらす犬達は、狂気に彩られた瞳で、前方からかけてくる集団を睨み付けた
 敵だ
 喰らえ、殺せ
 どこからか聞えてくる遠吠えが、そう命じてきている
 犬達は、そうやって命じられるまま、前方からの集団に襲いかかろうとして

 集団の先頭にいた黒服の男が、何か、犬達の頭上に向かって放り投げてきた
 それは、透明な石……水晶と呼ばれる、それ
 水晶は、犬達の頭上でぱぁん、とはじけて、キラキラした光となって、犬達に降り注ぐ
 その光に触れた犬達は、己らを支配してきていた力から、解放されて
 己らの身を蝕んでいた病から、解放されて
 その反動でか、その場で意識を失い、次々と倒れていったのだった


 気絶した犬達の横を通り過ぎていく黒服達
 黒服の上司であるG-No.1からもたらされた情報により判明した、朝比奈 秀雄が潜伏していると思わしき雑居ビルに向かっている最中なのだが…なるべく裏道を通っているというのに、それでも、コーク・ロアの被害者や、クールトーに操られた犬達と遭遇してしまう
 先ほどのように、黒服が知り合いから譲り受けているパワーストーンを使って、支配されている相手を解放するなどして、なるべく戦闘は行わずに進んでいるのだが
 …表通りで、どれだけの被害が出てしまっているだろうか
 「組織」なりどこなりで、抑えられていれば良いのだが…

「黒服、あとどれくらい?」
「…もう少し、ですね」

 望の声で、思案から引き上げられた黒服
 …今は、朝比奈 秀雄の元に向かう事を優先すべきだ
 表通りの状況に関しては、「組織」や他の組織を信じるしかない

 ……ちらりと、翼の様子を確認する黒服
 その顔に浮かんでいるのは、強い決意
 迷いは、完全に消えた訳ではないだろう
 だが、迷っている場合ではないのだ、と、そう自分に言い聞かせて納得しているような、そんな気配を感じる

 …あまり、無理はさせたくない
 そう考えながら、黒服は翼や望達を先導して…


 -----ちゅーーーー!!!!


「きゃっ!?」
「!?」

 突如響いた鼠の鳴き声に、思わず足を止める
 振り返ってみれば、驚いている望のコートのポケットから、小さなハツカネズミ……ノロイが、顔を出していた

「っちょ…ノロイ、あなた、いつの間に!?」

 ちゅちゅちゅちゅ、と鳴き続けているノロイ
 その姿は、驚いた声をあげている望に、何かを訴えかけているようにも見えて


 べちゃり、と
 その不気味な音は…進むはずだった前方から、聞えてきた


 べちゃり
 ぐちゃり
 そこには、すぐ傍のビルの窓からでも、落下してきたのだろうか
 人間大のタコが、数匹……ぐちゃぐちゃと蠢いていた
 ノロイの泣き声に驚いて立ち止まっていなければ、落ちてきたそれにそのまま捕えられていたことだろう
 ノロイは、あのタコの襲撃を伝えてきていたのか

「…あれぇ?おかしいなぁ、ちゃんとタイミングあわせたつもりだったのに……どうして、立ち止まっちゃうかなぁ」

 心底不思議そうな、女の声が聞えてくる
 前方から現れた、その女性は……藤崎 沙織
 また一段と、「タコ妊娠」に飲み込まれた気配を感じる
 それでも、まだ辛うじて、その存在は完全に都市伝説に飲み込まれてはいない
 今の状態から引き剥がせば、まだ間に合うだろう

「藤崎…」
「待ってたよ、日景君」

 くすくすと藤崎は笑い、翼を見つめてくる
 どうやら、彼女はどんな理由からか知らないが、翼に執着があるらしい
 だからこそ、悪魔の囁きの卵を植え付けられてしまったのかもしれないが…

 無駄だろう、と思いつつ、黒服は翼を庇うような位置に立ち、藤崎に声をかける

「…申し訳ありませんが、我々は急いでおりますので、通していただけないでしょうか?」
「日景君以外は、通ってもいいよ?私が用事があるのは、日景君だけだから……………今度こそ、日景君を、手に入れてみせる」

 後半は小声で、黒服や翼の耳には届かない
 ただ、藤崎の言葉に反応するように、タコ達はにゅるにゅると、一行に迫ってくる

 …べちゃ、ずちゃ
 見れば、後方にも、タコが現れ始めている
 …囲まれた
 このままでは、進む事も退く事もできない

「ねぇ、黒服さん…………日景君から、離れて?そっちの女の子達も…………じゃないと、私…何するか、わからないよ?」
「--ッ藤崎!」

 翼が、黒服の前に出る
 翼の視線が、…「日焼けマシンで人間ステーキ」の能力が、前方から迫ってきていたタコを焼いていく
 後方から迫ってきていたタコ達も、危険を感じたのか、一瞬、動きが止まる

「お前が、どうして俺を狙ってくるのかは知らねぇが……お前の相手をしている暇は、ねぇんだ。通してくれ」
「……駄目だよ…日景君だけでも、残ってくれなきゃ…………私は、日景君に、用があるんだから……!」

 ーーーとぷんっ
 藤崎の両足の間から、新たなタコが生み出される

「…日景君を、捕まえて!」

 それは、じゅるじゅると黒服達に向かってこようとして…


「買って嬉しい、はないちもんめ


 響いた歌声
 その歌声に反応するように、前方から迫ってきていたタコは、突然、方向転換して

「え?」

 にゅるり
 方向転換したタコは、契約者であるはずの藤崎の脚に絡みつき、その動きを封じた

「え…どうして?」
「どうしてだと、思うかしらっ!?」

 ぶん、と
 何かが、黒服と翼の間を、放り投げられ、飛んでいく
 べちゃり、藤崎の肩に当たって、彼女をよろめかせたのは、タコ
 見れば、望が5円玉で作った鎖を振り回していた
 …これで、後方から迫ってきていたタコを絡め、能力を発動し……ついでに、自身の身体能力を強化させて、タコを藤崎に投げつけたのだろう
 いや、投げつけたのは詩織の方か?
 いつの間にやら手袋を身につけていて、それがべっとり、汚れている

「うー、粘液気持ち悪い、これって、直接肌に触れたらヤバイんだよね?」
「えぇ…決して、直接肌に触れないようにしてくださいね?」

 …良かった、詩織が身につけていたのが、ゴム手袋で
 これが軍手などだったら、布越しにじわじわと染み出てくるそれが、詩織に影響を与えてしまう

 じゃり、と
 望は鎖を手に、一歩、前に出る

「…黒服、翼。ここは私と詩織が何とかするから……先に、行って」
「っでも、望」

 望に、心配するような視線を向けている翼
 黒服が望に向けている眼差しも、同じ感情を含んでいる

 タコ妊娠は、特に女性相手にその恐ろしさを発揮する都市伝説だ
 まだ少女であるとは言え…二次成長を遂げた望に対しても、充分にその力を発揮してしまう
 そんなタコ妊娠と契約している藤崎の前に、望と詩織を置いていくなど…

「翼」

 しかし
 望ははっきりと、こう、告げてくる

「あんたは、あの男がやってる事を早く止めたいんでしょ?だったら、こんな場所で時間を食ってる場合じゃないわ」
「……それ、は」
「…あんたが、あの男をどうやって止める気かは、聞かない………ただ、せめて一発、ぶん殴ってやるくらいの資格は、あんたにはあるんだから。さっさと、ぶん殴ってきなさい」

 ぐるん、と、望は鎖を振り回す
 藤崎は、己の脚に絡み付いてきているタコを、操ろうとして操れず…あれ?と首を傾げていて
 操り直すのを諦めたのか、他のタコを使って、それを引き剥がそうとしていた

「……ほら、さっさと行きなさい。私達が、あんな雑魚に負けるわけないでしょ」
「まぁ、どうにかなるからさ。急いでるんだし、二人だけ、先に行ってよ」

 詩織も、そこか気楽な様子でそう言って来た

 じ、と
 望が、黒服を見あげてくる

「…大丈夫、だから…………信じて」
「………」

 望の、その真剣な、眼差しを受けて
 …黒服は、小さく、頷いた

「危険だと感じたら、退くのですよ?」
「えぇ、わかってるわ」

 藤崎を睨みつける望
 もぞ、とその望のコートのポケットに、ノロイがごそごそと避難を開始している

「翼、行きましょう…そして、朝比奈 秀雄を、一刻も早く、止めましょう。彼を抑えれば、悪魔の囁き憑きの被害者達も解放されますから」
「……わかった」

 こくり
 翼は、黒服の言葉に頷いて
 藤崎を睨む望に、告げる

「…できれば、殺さないでやってくれよ?」
「………善処するわ」

 藤崎がタコを引き剥がせずにいる、その隙に
 黒服と翼は、一気に彼女の横を駆け抜けた

 あ、と、藤崎はどこか、間の抜けた声をあげる

「日景君…待って……!」

 …ぶじゅる
 新たなタコが、ビルの窓から落下してきた
 そこに、苗床となっている被害者を放置しているのかもしれない
 ……後で、回収しなければ

 ちらり、振り返れば、望と詩織が、藤崎への攻撃を開始しようとしていた
 ……早く、朝比奈 秀雄を倒し、彼女達の安全を確保しなければ
 望の無事を祈りながら、黒服は翼と共に、先を急ぐのだった




to be … ?



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