恐怖のサンタ 悪魔の囁き&コークロア編 24
――「ソレ」は、全身が鱗で覆われていた。
――「ソレ」は、背に二対の羽を持っていた。
――「ソレ」は、これから山田たちが向かうはずのビルからその姿を現した。
――「ソレ」は、背に二対の羽を持っていた。
――「ソレ」は、これから山田たちが向かうはずのビルからその姿を現した。
「…………なんだアレ」
ビルの天井を突き破って出てきたソレを見て、山田が呆然と呟く。
その隙にと何人かのコークロアに支配された人間が襲い掛かってきたが、山田はそれを無視した。
放っておいても、山田の身体は勝手に再生する。
つい先ほどまでだって殴られ、得物で切り裂かれ、果てにはその歯で肉を食い千切られたが、一度だってそれが致命傷となる事は無かった。
そう、今山田の周囲に居る彼らは、山田にとって警戒すべき対象ではない。
もちろん、山田は彼らを殴る事に抵抗を覚えるし、先に進むためには一々取り除かなければならない障害にもなる。
しかし、結局はそれだけなのだ。
彼らが幾人束になった所で、山田が倒れる事は無い。
その隙にと何人かのコークロアに支配された人間が襲い掛かってきたが、山田はそれを無視した。
放っておいても、山田の身体は勝手に再生する。
つい先ほどまでだって殴られ、得物で切り裂かれ、果てにはその歯で肉を食い千切られたが、一度だってそれが致命傷となる事は無かった。
そう、今山田の周囲に居る彼らは、山田にとって警戒すべき対象ではない。
もちろん、山田は彼らを殴る事に抵抗を覚えるし、先に進むためには一々取り除かなければならない障害にもなる。
しかし、結局はそれだけなのだ。
彼らが幾人束になった所で、山田が倒れる事は無い。
しかし、目の前のあの怪物を相手取った場合、山田は同じように考える事ができるのだろうか。
――――ドラゴン。
絵本の中でしか見た事の無い、伝説上の生物。
都市伝説を相手にして戦ってきた事は、それこそ数え切れないほどある。
しかしあんな、神話クラスの生物、文字通りの「化け物」になど、山田はこれまで一度たりとも出会った事が無かった。
――――ドラゴン。
絵本の中でしか見た事の無い、伝説上の生物。
都市伝説を相手にして戦ってきた事は、それこそ数え切れないほどある。
しかしあんな、神話クラスの生物、文字通りの「化け物」になど、山田はこれまで一度たりとも出会った事が無かった。
「ハッ! ヨリニモヨッテ『どらごん』カヨ。ヨク呑マレネェモンダナァ?」
いつもはただ尊大で、相手を小馬鹿にしたように話デビ田の声も、今ばかりはどこか震えていた。
ふと山田は、以前に、デビ田が朝比奈の三番目の契約都市伝説について苦々しげに言葉を漏らしていた事を思い出した。
あの時デビ田は、なんと言っていたか。
「オレサマノ本能ガ、ソレニハ関ワルナって言ッテキテンダ」と、そんな事を言っていたのではないか?
あまりその具体的な意味にまで思考をめぐらせてはこなかったのだが、つまりは今目の前に展開されている光景、それがあの言葉の意味する所なのだろう。
ふと山田は、以前に、デビ田が朝比奈の三番目の契約都市伝説について苦々しげに言葉を漏らしていた事を思い出した。
あの時デビ田は、なんと言っていたか。
「オレサマノ本能ガ、ソレニハ関ワルナって言ッテキテンダ」と、そんな事を言っていたのではないか?
あまりその具体的な意味にまで思考をめぐらせてはこなかったのだが、つまりは今目の前に展開されている光景、それがあの言葉の意味する所なのだろう。
「つーか、あんなのアリなのかよ。まんまドラゴンじゃねぇか」
「知ラネェよ。どらごんノ力ヲ使エルダケナラマダシモ、身体ソノモノヲどらごんニ出来ルナンテドウナッテヤガンダカ」
「身体が都市伝説化する、ね……」
「知ラネェよ。どらごんノ力ヲ使エルダケナラマダシモ、身体ソノモノヲどらごんニ出来ルナンテドウナッテヤガンダカ」
「身体が都市伝説化する、ね……」
……そんな人間を、山田は仕事で何度か見た事がある。
彼らはみな、器以上の力を求めて都市伝説と契約し、その都市伝説に存在を喰われかけていた。
その状態になる事を「都市伝説に呑まれる」と言うらしい。
ならば、あの朝比奈は今、暴走した状態なのかと一瞬考えて……山田はしかし、首を振った。
先ほどデビ田は、今の朝比奈を見て「ヨク呑マレネェモンダナァ?」と皮肉混じりに呟いた。
つまりはそれが答え。
今の朝比奈は正気を失ってもいなければ、都市伝説の力を暴走させたわけでもない。
全くの冷静ではないのかもしれないが、それでも正常な思考を持っているはずなのだ。
彼らはみな、器以上の力を求めて都市伝説と契約し、その都市伝説に存在を喰われかけていた。
その状態になる事を「都市伝説に呑まれる」と言うらしい。
ならば、あの朝比奈は今、暴走した状態なのかと一瞬考えて……山田はしかし、首を振った。
先ほどデビ田は、今の朝比奈を見て「ヨク呑マレネェモンダナァ?」と皮肉混じりに呟いた。
つまりはそれが答え。
今の朝比奈は正気を失ってもいなければ、都市伝説の力を暴走させたわけでもない。
全くの冷静ではないのかもしれないが、それでも正常な思考を持っているはずなのだ。
「…………っ」
そこまで考えて、山田はその身を震わせた。
正常な思考のまま、身体は異形のものになる。
一体どんな精神をしていれば、そんな事態に耐えられるのだろうか。
…………もしかしたら。
もしかしたら、一見正常に見えて、朝比奈の精神は既に壊れかけてるんじゃ――――
正常な思考のまま、身体は異形のものになる。
一体どんな精神をしていれば、そんな事態に耐えられるのだろうか。
…………もしかしたら。
もしかしたら、一見正常に見えて、朝比奈の精神は既に壊れかけてるんじゃ――――
「――――素敵」
「…………は?」
「…………ハァ?」
「…………は?」
「…………ハァ?」
これからいざシリアスな場面になろうかと言う瀬戸際で、何か酷く場違いな言葉が山田の耳に流れてきたような気がするのは気のせいか。
山田は恐る恐る、その音源、マゾの居た方へと目を向けた。
そこでは、マゾが眼上のドラゴンに対する驚きで震えて……いなかった。
山田は恐る恐る、その音源、マゾの居た方へと目を向けた。
そこでは、マゾが眼上のドラゴンに対する驚きで震えて……いなかった。
「さすが翼様のお父様! なんと凛々しいお姿に鋭そうな爪! あれに引き裂かれるのを想像するだけでもう!」
目を輝かせ、山田が今まで見たこともないような笑みを浮かべた少女が、そこにいた。
「しかもドラゴンといえば火を吐く生き物ですよね、きっと吐きますよね、摂氏何度になるんでしょうかね、契約者!」
……知るか! と山田は叫びたかった。
一体この少女は何なのだろう。
朝比奈の精神がボロボロなら、マゾの精神は一体どこまで腐っていると言うのか。
ついさっきまで朝比奈に感じていた以上の恐怖を、山田は目の前の少女に感じた。
デビ田も同じような感想を抱いたのか、山田の中で絶句している。
一体この少女は何なのだろう。
朝比奈の精神がボロボロなら、マゾの精神は一体どこまで腐っていると言うのか。
ついさっきまで朝比奈に感じていた以上の恐怖を、山田は目の前の少女に感じた。
デビ田も同じような感想を抱いたのか、山田の中で絶句している。
「翼様も炎系の契約者ですし! これはまさか夢にまで見た親子丼のチャンス……?」
二人の奇異の眼差しに当てられてなお、マゾの妄想は止まらない。
眼上で一匹のドラゴンがゆっくりと起き上がる中、それはまさしく異様な光景だった。
眼上で一匹のドラゴンがゆっくりと起き上がる中、それはまさしく異様な光景だった。
【続】