「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 恐怖のサンタ-x26

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恐怖のサンタ 悪魔の囁き&コークロア編 26


 人外の能力者同士の戦闘。
 己が持てる力を有効に、最大限に活用して行われたその戦いには3人、その場にいながら参加していない人間と都市伝説がいた。
 一人は、Tさんの契約者である伏見 舞。
 もう一人は、その鞄の中から顔を覗かせている人形、リカちゃん。
 そして、さらに別の都市伝説が一人、誰からも忘れ去られながらも、そこにいた。
 コンクリートから下半身のみを起立させているのは、マゾサンタ。
 先の初顔合わせの際に朝比奈の毒に冒され、一人足を痙攣させていた。
 マゾの身体再生能力は、あくまで傷を癒す事しかできない。
 つまり、毒によって損傷を負った細胞を治癒させる事はできても、毒そのものを消し去る事はできないのだ。
 身体を文字通り壊されては、能力によって再生する。そんなイタチごっこがマゾの身体の中で続いていた。

 しかし、永遠に続くかと思われたそれもやがて終わりを告げる。
 いくら毒自体を浄化できないからといって、毒がなくならないわけではない。
 マゾが身体を再生するのに「限界」は存在しないが、毒が身体を冒すのには「限界」が存在するのだ。
 いかに優れた毒であっても、その母体が死んでしまえばそれ以上の活動は行えなくなってしまう。
 人から人へと伝染するものは最早、毒ではなくウィルスと定義されるべきものだろう。
 その人間を徹底的に喰らい尽し、死に至らしめる。それが毒である。
 しかし、その点で言えばマゾは「何度でも死ねる」。
 「不死」などというが、マゾは死なないのではない。死んだ後にも蘇るのである。
 蘇生する身体。どちらかと言えばマゾはそう形容すべき存在だった。

「ぅ……ん……」

 上半身をコンクリートで拘束されたマゾがうめき声を上げる。
 ついさっきまで毒が全身に回っていたせいで舌すらも動かせなかったのだが、大分毒も弱まったらしい。
 自由に身体を動かすには程遠いが、これなら多少の能力の使用は可能だろう。
 視覚や聴覚などの感覚の方も大分戻ってきている。
 目を通して見ることが出来るのはただの白いコンクリートブロックだったが、その耳には、聞きなれた心地よい声が僅かながらに届いていた。
 まだ不鮮明な音ながら、マゾはコンクリートから漏れ出てくる「匂い」や存在感とあわせて、それを愛しの人のものだと断定する。
 愛しの人、日景 翼。
 先ほどは義父となる人間への挨拶で(一応)緊張したので見逃していたが、確かにあの場には翼もいたようにマゾは思う。

(ふむ、つまり今は親子水入らずでお話中でしょうか…………はっ! まさか翼様とお義父様の間で『俺……あの子と結婚するんだ』的な会話が今まさに進行中!?)

 二人は絶賛睨み合い中なのだが、マゾの耳はまだ不調で、詳細な会話の内容までは掴めていなかった。
 想像に、マゾの胸が高鳴る。

(ああですが私まだちゃんとご挨拶していませんし! お義父様の背のザラザラに一瞬気を取られてしまいましたし! まずいですよマゾ、お義父様の高感度はもしかしたらまだ10の内3くらいかもしれません!!)

 慌てたようにマゾは思ったが、その内容は180度ほど現実と逆である。
 もし仮に高感度を数値で表すとしたら、今の朝比奈の中でのマゾへの印象はマイナスに大きく振り切っていた。
 それこそ、マゾを「化け物」と忌み嫌うレベルで。

(いけません。この不肖マゾ、まともに挨拶も出来ないような未熟者と捉えられるわけには参りません! 今すぐに、今すぐにもう一度お二人の下へ拝参せねば!!)

 既に空間移動の能力程度なら完全に使えるくらいには、マゾの身体は回復していた。
 二人のいる空間的な座標は既に、会話や匂いからある程度把握している。
 少しの誤差はあるかもしれないが、特に問題はないだろう。
 マゾは、ちょうど二人の中間点当たりに現れる事ができるよう、脳内で少し調整を加える。
 普段ならば直感でその程度の補正は出来るのだが、大分抜けてきたとはいえ未だに毒で置かされた身。そこまで身体は自由になっていなかった。
 やがてその細かい修正も終わり、マゾは静かに口を開いた。

「今行きますよ! 翼様、お義父様ーっ!!」

 口の中に砂や埃が入ってくるのを構わず、マゾは宣言する。
 同時に、その身体を、そして周囲のコンクリートを丸ごと飲み込むかのように、巨大な煙突が一本、マゾの真下から現れた。
 それはコンクリートの抵抗を全く感じさせない滑らかな動きでそれらを切り取り、やがて外に飛び出たマゾの足もその内側へと遮蔽した。
 瞬間、白煙を伴って煙突が消える。
 移動先は翼と朝比奈を結ぶ直線上。マゾはそこに、僅か3センチの誤差と共に舞い降りた。
 朝比奈や久しぶりに会う愛しの人へ向けて愛嬌のある笑顔を作り、再び時候の挨拶からいざ始めようかとしたマゾは

「――――へ?」

 目の前と、そして背後から迫り来る炎を見て、呆気に取られた。

「のわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああーーーーっ!?」

 折り悪くもマゾがその場に降り立ったのは、翼と朝比奈が互いの炎を激突させる直前の事だった。
 たった一つでも十二分にマゾを(一時的に)葬り去る事のできる炎が、二つ。
 二尾の炎に飲まれるように、マゾは一瞬で爆発、灰となって四散した。
 ……その顔を、他ならぬ歓喜で満たしながら。

【終】



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