「…ん」
起き抜けに、彼、虫川 友人の『虫の知らせ』が発動した。
予知的な何かが彼の頭の中へと直接入ってくる。
起き抜けに、彼、虫川 友人の『虫の知らせ』が発動した。
予知的な何かが彼の頭の中へと直接入ってくる。
「……えらく早えぇな…こりゃ、とっとと知らせねぇとな…」
そう言って、机の上の携帯を手に取り、どこかへと連絡を始める…
そう言って、机の上の携帯を手に取り、どこかへと連絡を始める…
数十秒後…
《毎度どうも、良品珍品なんでもござれなレストランうわさの産物でございます。現在みんな忙しいようで出れません。御用の方はメッセージを…》
《毎度どうも、良品珍品なんでもござれなレストランうわさの産物でございます。現在みんな忙しいようで出れません。御用の方はメッセージを…》
「…っかしーなー。いつもならこの時間帯店長が仕込みしてるはずだが…」
首を傾げ、再びうわさの産物へと連絡を始める。
首を傾げ、再びうわさの産物へと連絡を始める。
…が、いくら待っても出ない。聞こえるのは留守番電話サービスの声のみだ。
友人の顔に、焦りが見え始める。
友人の顔に、焦りが見え始める。
もしかしたら、もうすでに危機は起こっているのではないか。
感じ取った危機は、すでに起こった後なのではないか。
感じ取った危機は、すでに起こった後なのではないか。
「…こいつぁ、急がねぇといけねぇな…」
時は遡り数分前、「レストラン うわさの産物」…
「咲きほこる花は~、散るからこそに美しい~」
早朝から歌を歌いながら、本日のオススメ定食「いかずち丼梅ソース仕立て」の仕込みを行う店長。
早朝から歌を歌いながら、本日のオススメ定食「いかずち丼梅ソース仕立て」の仕込みを行う店長。
ドンドンドン!ドンドンドンドン!
入口の戸をたたく音。
「散った花片は~、あとは土へと…文字が読めねーか?今は準備中だぜー!」
ドンドンドンドン!ドンドドドンドン!ドンドン!
「リズミカルにしたって今は準備中だっつーの!用があるなら勝手口からにしてくれ!」
ドンドンドンドンドンデケドコドンdバキィ!
「うちの門は太鼓じゃねーんd…バキィ?蹴破りやがった!?あのバカでかい門を!?」
うわさの産物の象徴ともいえる城のような巨大な門。それがあっけなく破られたことに驚愕する店長。
急いで厨房からフロアへと出ていく。
急いで厨房からフロアへと出ていく。
そこには、黒いスーツにサングラスという、どこかで見たことのある服装の人間が三人。
「神野守だな?Q-No.28を返してもらいに来た。あいつはこちらの施設の重要な実験体だ」
それを聞いた一瞬、店長こと守は、何の事だか理解できなかった。
Q-No.28?実験体?
「…何のこと言ってるかはよく分からんが、そんな奴知らんな」
「知らんというのなら、我らで見つけるのみよ」
店長の返事を聞いた黒服のうちの一人が、ポケットから何かを取り出す。
店長の返事を聞いた黒服のうちの一人が、ポケットから何かを取り出す。
…ビンだ。
そのビンのふたを開けたとたん、店の中全体に何とも言えない臭いが充満する。
「っ…何だこの臭い…まるでウンk」
そのビンのふたを開けたとたん、店の中全体に何とも言えない臭いが充満する。
「っ…何だこの臭い…まるでウンk」
その言葉を言おうとした瞬間、店長の体が硬直する。
「心配するな。Q-No.28以外の者には手を出さん。それとこの臭いはウ○コなどの低俗なものではない。ラフレシアという立派な花の匂いだ」
鼻を抑えた姿勢から、動くことはおろか喋る事さえできない店長の横を通り抜けながら、黒服の一人が告げる。
鼻を抑えた姿勢から、動くことはおろか喋る事さえできない店長の横を通り抜けながら、黒服の一人が告げる。
心配するな?こんな良く分からんもん嗅がせた挙句動けなくする相手に心配するななんざ無理な話だ!
そう反論したかったが、口が動かない。
店長の動けない間に、黒服たちは店の奥へと入りこんでいく…
店長の動けない間に、黒服たちは店の奥へと入りこんでいく…
その音を、店長は店で聞いていることしかできない…
時は戻って同じ場所…
「…なんだこれ」
友人はうわさの産物へと到着した。
到着してすぐ、既に半壊している大きな門が目に入った。
友人はうわさの産物へと到着した。
到着してすぐ、既に半壊している大きな門が目に入った。
…最悪の事態が、すでに起こっちまったのか…?
友人は急いで店内へと駆けこむ。
店内は、いつもと変わらず整然とした様子でテーブルが並べてある。
その中の一つのテーブルの上で、店長と副店長が何やら神妙な面持ちで話しあっていた。
その中の一つのテーブルの上で、店長と副店長が何やら神妙な面持ちで話しあっていた。
「店長!雪歩ちゃんは!」
「…悪い」
話しかけた友人をちらりと見て、申し訳なさそうに目を伏せる店長。
話しかけた友人をちらりと見て、申し訳なさそうに目を伏せる店長。
「……遅かったか…!」
……
「…で、確認したら雪歩ちゃんがいなかった、と。」
「あぁ。他の店員どころか店の売上、食材の在庫…どこを見ても他に何かしたような跡はねぇ。
明らかに雪歩ちゃんだけに目的を絞った犯行だな…」
「…クソッ」ダンッ
「あぁ。他の店員どころか店の売上、食材の在庫…どこを見ても他に何かしたような跡はねぇ。
明らかに雪歩ちゃんだけに目的を絞った犯行だな…」
「…クソッ」ダンッ
ここにいる三人の中で、誰よりも悔やんでいる友人。
あと少しでも早く目覚めていれば…あと少しでも早く彼女の危機に気づけていたら…
もしかしたら、雪歩を護れていたかもしれないのに…
誰よりも雪歩を大切に思い、護りたいと思い、一緒にいたいと思っていた友人だからこそ…悔しさが溢れてくる。
「まぁ落ち着け…悔しいのはお前だけじゃない。とりあえずノミ沢と金さんにいろいろ調べさせてるし、こっちゃんも調査中だ」
店長の指さすほうでは、ノミ沢さんと金さんが色々なところに電話しているようで、テーブルでは副店長が『こっくりさん』を実行中である。
「…そうだよな…悔しがってばかりもいられねぇな…俺も何かしなきゃ…よし!虫さん達から情報集めてくるぜ!」ダッ!
「…そうだよな…悔しがってばかりもいられねぇな…俺も何かしなきゃ…よし!虫さん達から情報集めてくるぜ!」ダッ!
「一人で危険なとこには行くなy…ってもう行っちまった…青春だねぇ。
っと、そんなことを言ってる場合じゃねぇな。俺も情報を集めなば」
っと、そんなことを言ってる場合じゃねぇな。俺も情報を集めなば」
「…情報が全く得られん…」
店を出てから数十分。手当たり次第に虫さん達に情報提供してもらっているが、目撃証言とかは全くない。
そもそも虫って目はほとんど使い物にならないとかじゃなかったっけ…
「何とか情報を得られそうな人は…っと」
誰かいないかと、携帯の電話帳を見てみる。
店を出てから数十分。手当たり次第に虫さん達に情報提供してもらっているが、目撃証言とかは全くない。
そもそも虫って目はほとんど使い物にならないとかじゃなかったっけ…
「何とか情報を得られそうな人は…っと」
誰かいないかと、携帯の電話帳を見てみる。
ロン毛婆さん…駄目だ、この時間はゴブリンマーケットに行ってるから電波が届かん。
要もクーさんも知らないだろうし…「よーぅ、この前の昆虫君。焦ってるみたいだが何事ぞ?」
要もクーさんも知らないだろうし…「よーぅ、この前の昆虫君。焦ってるみたいだが何事ぞ?」
…厨二病の…契約者…
……
「今朝七時ぐらいにこのへんに黒服野郎がいたかどうか?あー…そういやいたな、何人か」
「マジすか!てか厨二病さん何で知ってるんすか!?」
今朝の話だしあれだけうわさの産物のメンバーが調べても目撃情報が得られなかったのに…
「さん付けるなら『厨さん』って呼んでくれ…まぁ俺は情報屋としての顔もないわけではないからな」
「マジすか!てか厨二病さん何で知ってるんすか!?」
今朝の話だしあれだけうわさの産物のメンバーが調べても目撃情報が得られなかったのに…
「さん付けるなら『厨さん』って呼んでくれ…まぁ俺は情報屋としての顔もないわけではないからな」
「…で、そいつらが雪歩ちゃんをさらっていった…?」「おそらく。何かでかい袋みたいなの持ってたし」
「そいつらは今どこに!?」「逸るな逸るな。ちゃんと情報は抑えてあるぜ~?」
「そいつらは今どこに!?」「逸るな逸るな。ちゃんと情報は抑えてあるぜ~?」
……
「で、そのQナンバー?って集団が雪歩をかっさらってったのか?」『えぇ、おそらく…』
「そうか…忙しいところ申し訳ない。あんた以外に組織のことを聞ける人がいなくってな」『いえ、心配なさらず…そんなことより、雪歩さんを助け出すならばできるだけ早いほうが』
「何?」『Qナンバーは過去のHナンバーに次ぐ研究施設です。もし彼女が本当に実験体だとしたら、研究所に戻り次第すぐに実験を始める危険性もあります』
「マジか…じゃあとっとと助けに行ったほうがいいってことだな。情報ありがとう、ミスターD」『助けになったならば幸いです』ブツッ
「そうか…忙しいところ申し訳ない。あんた以外に組織のことを聞ける人がいなくってな」『いえ、心配なさらず…そんなことより、雪歩さんを助け出すならばできるだけ早いほうが』
「何?」『Qナンバーは過去のHナンバーに次ぐ研究施設です。もし彼女が本当に実験体だとしたら、研究所に戻り次第すぐに実験を始める危険性もあります』
「マジか…じゃあとっとと助けに行ったほうがいいってことだな。情報ありがとう、ミスターD」『助けになったならば幸いです』ブツッ
「おーいこっちゃん。組織のQナンバーとかいうのの研究施設の所在地を調べてくれ」「…分かった」
「メンバー!出撃準備だ!とりあえず門の応急処置を!…っと、昆虫少年にも連絡をとらねば」
おかけになった電話番号は電波の届かないところか電源を…
「何…だと?」
何度かけなおしても友人へとつながる事はない。
電波が届かないということはいまいち考えづらい。しかし電源を切っているというのも考え難い。
誰よりも情報が欲しいはずの昆虫少年が携帯の電源を切るなんて…
何度かけなおしても友人へとつながる事はない。
電波が届かないということはいまいち考えづらい。しかし電源を切っているというのも考え難い。
誰よりも情報が欲しいはずの昆虫少年が携帯の電源を切るなんて…
「…まさか」
昆虫少年もすでにQナンバーに捕らえられて…?
昆虫少年もすでにQナンバーに捕らえられて…?
「…こいつぁ、急がねぇといけねぇな…」
続く……