「ところで、翼」
話し合いが、無事終わったところで
詩織が、くいくい、と翼の服の裾を引っ張って、尋ねる
詩織が、くいくい、と翼の服の裾を引っ張って、尋ねる
「翼は、親と仲直りしたんなら…これからは、そっちと一緒に暮らすの?」
「いいや」
「いいや」
きっぱり
翼は、即答する
翼は、即答する
「お前等の事心配だし、今まで通りだよ」
「…別に、心配されなくても平気よ?」
「…別に、心配されなくても平気よ?」
望は、そう言うのだが
翼は、更に続ける
翼は、更に続ける
「……あえて言うなら、家事方面が心配なんだよ、主に料理」
翼の言葉に、つつ、と視線をそらす望と大樹
……大分、望に料理を教えてきたつもりだし
そろそろ、望も恐ろしい食材はあまり、使わなくなってきたが
まだまだ、油断はできない
今でも、時々油断すると、虫料理とか作ってくるし
そろそろ、望も恐ろしい食材はあまり、使わなくなってきたが
まだまだ、油断はできない
今でも、時々油断すると、虫料理とか作ってくるし
「ほんとに、そいつらの事が大事なんだねぇ?」
マドカの、その言葉に
あぁ、と、翼は誇らしげに、笑った
あぁ、と、翼は誇らしげに、笑った
「俺は、大樹達の事が好きだから。大切な家族だからな」
きっぱり、はっきりと言い切った翼
その言葉には、一切の迷いは、ない
その言葉には、一切の迷いは、ない
…若干の誤解を含んだ視線が翼に向けられたのだが、翼はそれに気付いていない
「……そうか…それなら、それでいいのだが」
「?爺ちゃん、どうしたんだ?」
「?爺ちゃん、どうしたんだ?」
何か、色々と達観した様子の宗光の言葉に、首をかしげる翼
本当に、何も気付いていない
本当に、何も気付いていない
いや、何も、と宗光は言って……ため息をついて、顔をあげた
「………すまないが……私と千鶴で、少し、マドカに話があるので、席をはずしてくれるだろうか?」
「??あぁ」
「??あぁ」
黒服達と共に、立ち上がる翼
…この、瞬間
望のポケットの中で、ノロイが何かを感じたように、ごそごそと落ち着きを失っていた
…この、瞬間
望のポケットの中で、ノロイが何かを感じたように、ごそごそと落ち着きを失っていた
「…あぁ、話し合いは終わったかい?じゃあ、こちらに」
す、と
襖が開き、薫が顔を出す
翼達を伴って、部屋を出て
…そして、部屋にはマドカ、宗光、千鶴の三人が残される
襖が開き、薫が顔を出す
翼達を伴って、部屋を出て
…そして、部屋にはマドカ、宗光、千鶴の三人が残される
「…翼は、本当に。あの大門 大樹と言う青年に惹かれているのだな」
「……あぁ……小学生の頃に会って以来、ずぅっと懐きっぱなしさね」
「そうか……その頃から、か」
「……あぁ……小学生の頃に会って以来、ずぅっと懐きっぱなしさね」
「そうか……その頃から、か」
遠い目をする宗光
何か、悟ったような表情だ
何か、悟ったような表情だ
「マドカ……その頃に、翼をその道から、引き戻す事はできなかったのか?」
「そりゃ、あたしだって同性同士はどうかと思ったから、どうにかしようと思ったけど…「あ、道踏み外してそう?」って気づいた時には、遅かったんだよ」
「そりゃ、あたしだって同性同士はどうかと思ったから、どうにかしようと思ったけど…「あ、道踏み外してそう?」って気づいた時には、遅かったんだよ」
…当人達がいないからと、誤解全開の会話である
翼がいれば、突っ込みに忙しくなりそうな現状だ
翼がいれば、突っ込みに忙しくなりそうな現状だ
「そう、何とかしようとはしたのですね。面白がるのではなく」
「……ちょいと、母ちゃん。あたしを何だと思ってるのさ?」
「そう言う娘だと思っていますよ?」
「……ちょいと、母ちゃん。あたしを何だと思ってるのさ?」
「そう言う娘だと思っていますよ?」
……沈黙
やや、空気が気まずくなる
やや、空気が気まずくなる
「そりゃあ…あたしは、どう言う娘だと思われているのかねぇ?」
「考え無しの直情娘だと思っているが」
「男を見る目がない事は、秀雄さんの件で十二分にわかっていますよ」
「秀雄をあたしの見合い相手に連れて来たのはあんたたちだろうがっ!?」
「考え無しの直情娘だと思っているが」
「男を見る目がない事は、秀雄さんの件で十二分にわかっていますよ」
「秀雄をあたしの見合い相手に連れて来たのはあんたたちだろうがっ!?」
流石に、反論するマドカ
が、宗光達も、その点に関しては視線を逸らしつつも、それ以外を否定する気は一切合財、ないようで
そして、マドカとしても、そこまで言われて、怒らない訳がなく
が、宗光達も、その点に関しては視線を逸らしつつも、それ以外を否定する気は一切合財、ないようで
そして、マドカとしても、そこまで言われて、怒らない訳がなく
「……翼がいる前じゃあ、喧嘩する気にもなれなかったけど…やっぱり、あんたらとは、一回決着つけないといけない気がするよ、糞爺に鬼婆……!」
「あらあら、相変わらずですこと」
「あらあら、相変わらずですこと」
ころころと、千鶴が笑う
……が
その手元には、いつの間にやら、薙刀が
……が
その手元には、いつの間にやら、薙刀が
「少しは丸くなっているかと思ったが、そう言う事もなかったか…」
「あんた達だって、人の事は言えないだろう?」
「あんた達だって、人の事は言えないだろう?」
マドカに睨まれている宗光の手にも
いつの間にやら、一振りの、日本刀が
いつの間にやら、一振りの、日本刀が
親子は、静かに睨み合い……
次の、瞬間
次の、瞬間
「っの、馬鹿娘がぁ!!!息子一人道が外れるのを止められないかっ!!」
「あんたたちが言えたことじゃないだろうっ!?子育て云々だけは口出されたくないよっ!!」
「あらあら、困った娘です事。翼さんのためにも、少しは矯正しないといけませんねそうですね」
「あんたたちが言えたことじゃないだろうっ!?子育て云々だけは口出されたくないよっ!!」
「あらあら、困った娘です事。翼さんのためにも、少しは矯正しないといけませんねそうですね」
部屋の、中は
一気に、戦場へと変わったのだった
一気に、戦場へと変わったのだった
「……っちょ!?何か、凄い音が聞えてくるんだけど!?」
「あぁ……大丈夫、父さんたちが元気になった証拠だから」
「あぁ……大丈夫、父さんたちが元気になった証拠だから」
聞えてきた物騒な音に、思わず戻ろうとした翼を押し止め、苦笑する薫
……何が起きているのか、何となく、理解して
頭痛と胃痛を感じ始めた黒服を、望が慌てて気遣うのだった
……何が起きているのか、何となく、理解して
頭痛と胃痛を感じ始めた黒服を、望が慌てて気遣うのだった
そして
その、壮絶なる数年ぶりの親子喧嘩は
その、壮絶なる数年ぶりの親子喧嘩は
「……えーっと」
こっそりと、隣の部屋から和解の様子を見ていたTさんと舞、リカちゃん
それに、龍一と花子さんにも、ばっちりと目撃されていて
それに、龍一と花子さんにも、ばっちりと目撃されていて
どうコメントしたらよいのかわからず、固まるまい
Tさんは、そっとリカちゃんの目を塞いでおき
そんなリカちゃんは、花子さんと一緒に「みー?」と首を傾げていて
そんな、中
龍一は一人、冷静に携帯電話を取り出して
Tさんは、そっとリカちゃんの目を塞いでおき
そんなリカちゃんは、花子さんと一緒に「みー?」と首を傾げていて
そんな、中
龍一は一人、冷静に携帯電話を取り出して
「…あぁ、親父?……ん、宗光さん、大丈夫。もう体調崩す事もないと思う。娘さんと和解したんだし」
「っちょ、あれ、いいのか!?和解できたって言うのか!?」
「………昔と変わらない親子喧嘩だから、問題ないと思う……色々と突っ込みたい事実ではあるが」
「っちょ、あれ、いいのか!?和解できたって言うのか!?」
「………昔と変わらない親子喧嘩だから、問題ないと思う……色々と突っ込みたい事実ではあるが」
舞の突っ込みにも、冷静にそう答えて
龍一は、どこか呆れたように、ため息をついたのだった
龍一は、どこか呆れたように、ため息をついたのだった
今度こそお仕舞い