暗い部屋の中、アルファベットが刻まれた板が並ぶ
それが、光を放ち始め……「組織」上層部会議が、始まった
それが、光を放ち始め……「組織」上層部会議が、始まった
『朝比奈 秀雄の確保に失敗したか』
『「薔薇十字団」如きに、先を越されるとは…』
『現場には、D-No.962がいたのだろう?どうなっている!』
『あの男は「薔薇十字団」とも縁がある…そちらに譲ってしまったのだろう』
『「薔薇十字団」如きに、先を越されるとは…』
『現場には、D-No.962がいたのだろう?どうなっている!』
『あの男は「薔薇十字団」とも縁がある…そちらに譲ってしまったのだろう』
強硬派・過激派の上層部メンバーが、口惜しそうにそう口にする
「組織」の存在理由上、一般市民への対応を優先せざるをえず、騒動の中心人物である朝比奈 秀雄の確保に失敗してしまったのだ
「薔薇十字団」の保護下に入られては、手を出す事はできない
どちらかというと、他組織とは中立的な立場を貫いている「薔薇十字団」と敵対することは、「組織」として得策ではないのだ
特に、「アメリカ政府の陰謀論」との仲がこじれている現状では、尚更だ
「組織」の存在理由上、一般市民への対応を優先せざるをえず、騒動の中心人物である朝比奈 秀雄の確保に失敗してしまったのだ
「薔薇十字団」の保護下に入られては、手を出す事はできない
どちらかというと、他組織とは中立的な立場を貫いている「薔薇十字団」と敵対することは、「組織」として得策ではないのだ
特に、「アメリカ政府の陰謀論」との仲がこじれている現状では、尚更だ
『朝比奈 秀雄から解放された「黄金伝説」のドラゴンをある程度確保できたのじゃ。それで、良しとすればよかろ?』
『問題は、「薔薇十字団」が確保したドラゴンと、朝比奈 秀雄の中に残っていたドラゴン。それを合わせても、一匹足りないと言う事だが…』
『足りない個体はどれだ?シルスウェルのドラゴンではないだろうな?あれは、疫病をばら撒くから厄介だぞ』
『…タラスクス。甲羅持つ竜だな、行方がわからないのは』
『問題は、「薔薇十字団」が確保したドラゴンと、朝比奈 秀雄の中に残っていたドラゴン。それを合わせても、一匹足りないと言う事だが…』
『足りない個体はどれだ?シルスウェルのドラゴンではないだろうな?あれは、疫病をばら撒くから厄介だぞ』
『…タラスクス。甲羅持つ竜だな、行方がわからないのは』
「黄金伝説」のドラゴン
それを確保できれば、「教会」との取引材料になる
そもそも、「黄金伝説」のドラゴン達は、「教会」が厳重に封印していたはずの存在なのだ
…それが、朝比奈 秀雄と言う、一人の日本人がどこからかそれと接触し、契約してしまった
「教会」の失態だ
しかも、それと契約した存在が、日本で騒ぎを起こした
その暴れたドラゴンを、「組織」が確保すれば…それは、「教会」との取引のカードになりうるのだ
出来る事ならば全てを確保したかったが、「薔薇十字団」に先を越されてしまった分は仕方ない
やはり、問題となるのは、行方がわからないタラスクスだ
「黄金伝説」のドラゴンは、一体一体が強大な存在であり、もし万が一にでも暴れ出したら、大変な騒ぎになる
何か問題を起こす前に、何としてでも確保しなければならない
それを確保できれば、「教会」との取引材料になる
そもそも、「黄金伝説」のドラゴン達は、「教会」が厳重に封印していたはずの存在なのだ
…それが、朝比奈 秀雄と言う、一人の日本人がどこからかそれと接触し、契約してしまった
「教会」の失態だ
しかも、それと契約した存在が、日本で騒ぎを起こした
その暴れたドラゴンを、「組織」が確保すれば…それは、「教会」との取引のカードになりうるのだ
出来る事ならば全てを確保したかったが、「薔薇十字団」に先を越されてしまった分は仕方ない
やはり、問題となるのは、行方がわからないタラスクスだ
「黄金伝説」のドラゴンは、一体一体が強大な存在であり、もし万が一にでも暴れ出したら、大変な騒ぎになる
何か問題を起こす前に、何としてでも確保しなければならない
……実際には、タラスクスは既にハーメルンの笛吹き契約者事上田に捕獲されているのだが、「組織」はまだ、その情報を把握していないのだ
近々、その情報を把握そ、ハーメルンの笛拭きを討伐対象に戻すか否かで、また大問題が起こるのはもう少し先の話だ
近々、その情報を把握そ、ハーメルンの笛拭きを討伐対象に戻すか否かで、また大問題が起こるのはもう少し先の話だ
『タラスクスについては、CNo及びSNoが追跡調査。ただ、無理はしない事だ』
『朝比奈 秀雄に関しては、「薔薇十字団」との交渉で、少しはこちらが受けた被害の賠償でもしてもらうか』
『朝比奈 秀雄に関しては、「薔薇十字団」との交渉で、少しはこちらが受けた被害の賠償でもしてもらうか』
…もっとも、朝比奈 秀雄から受けた被害の大半は、中途半端に彼にちょっかいを出した強硬派や過激派が中心な訳で
穏健派としては、自分達が受けた被害よりも、朝比奈 秀雄が罪の償いをすることに関して、重点をおくのかもしれないが
穏健派としては、自分達が受けた被害よりも、朝比奈 秀雄が罪の償いをすることに関して、重点をおくのかもしれないが
『それでは、今回の議題は終了とするが…………他に、何か話し合うべき問題はあったか?』
『あぁ、以前、妾が提案したことについてだが』
『あぁ、以前、妾が提案したことについてだが』
…H-No.0の発した、その言葉に
強硬派と過激派が、反応を示す
強硬派と過激派が、反応を示す
『全ての黒服に、人間としての名前をつける事を義務付ける…であったか?馬鹿馬鹿しい。「組織」の歯車に名前などいらん』
『その考え方が問題だと言うておるのじゃ。お前達がそうやって、黒服や契約者を使い潰すから、いらぬ敵まで増やしてしまうし、力をそがれていっておるのじゃぞ?』
『その考え方が問題だと言うておるのじゃ。お前達がそうやって、黒服や契約者を使い潰すから、いらぬ敵まで増やしてしまうし、力をそがれていっておるのじゃぞ?』
全ての黒服に、名前を持つ事を義務付ける
それは、H-No.0が提案した事だ
つまり、純粋な「組織」の黒服にも名前を与えるという事
…人格を認める、と言う事だ
黒服を「組織」の歯車としてしか見なさず、道具のように扱う者が多い強硬派や過激派にとっては、厄介な思想である
それは、H-No.0が提案した事だ
つまり、純粋な「組織」の黒服にも名前を与えるという事
…人格を認める、と言う事だ
黒服を「組織」の歯車としてしか見なさず、道具のように扱う者が多い強硬派や過激派にとっては、厄介な思想である
だからこそ、と言う訳でもないが
H-No.0としては、是非とも通したい提案なのだ
H-No.0としては、是非とも通したい提案なのだ
『俺、さんせー。いいんじゃないか?名前くらい』
『S-No.0、珍しく発言したと思ったら…』
『俺も、賛成だ。正直、人の姿をした者を道具扱い、ってのは嫌だしな』
『…G-No.0…!』
『S-No.0、珍しく発言したと思ったら…』
『俺も、賛成だ。正直、人の姿をした者を道具扱い、ってのは嫌だしな』
『…G-No.0…!』
日和見派…と言う事になっているS-No.0や、H-No.0と同じく穏健派であるG-No.0が、H-No.0の考えに賛同する
発言権を強めている、穏健派達
そうとは言え、強硬に考えを通そうという気はない
ただ……相手が折れるまで、この考えは主張し続けるつもりだ
これ以上、強硬派や過激派達に、黒服や契約者を使い捨てるような行為はさせたくない
発言権を強めている、穏健派達
そうとは言え、強硬に考えを通そうという気はない
ただ……相手が折れるまで、この考えは主張し続けるつもりだ
これ以上、強硬派や過激派達に、黒服や契約者を使い捨てるような行為はさせたくない
それ以上に何とかしたいのは、非人道的な実験は禁止していると言うのに、未だにそれを行っている者がいる、と言う事だ
つい先日、死亡したQ-No.0も、かなり非人道的な実験を行っていたようだし
元・H-No.0の部下であるH-No.1も、裏で何をしているかわからない
つい先日、死亡したQ-No.0も、かなり非人道的な実験を行っていたようだし
元・H-No.0の部下であるH-No.1も、裏で何をしているかわからない
……まだまだ、「組織」は歪なのだ
それでも、彼らは存在し続ける
それでも、彼らは存在し続ける
都市伝説の存在を、一般市民から隠す為に
そして、穏健派は願う
「組織」が、人間と都市伝説とが、必要以上に争う事がないよう、その間に立てる存在になる事に
人間にも、都市伝説にも、優しい存在になれる日を
「組織」が、人間と都市伝説とが、必要以上に争う事がないよう、その間に立てる存在になる事に
人間にも、都市伝説にも、優しい存在になれる日を
…D-No.0が望んだ「組織」の形を実現できる日を
今でも、彼らは模索し続けている
今でも、彼らは模索し続けている
to be … ?