さぁ、復讐の刃を抜け
あなたには復讐する権利があります
あなたには復讐する権利があります
あなたに、復讐のチャンスを与えましょう
????????
空は、分厚い雲に覆われている
月も、星も、姿を隠している
月も、星も、姿を隠している
しとしと、しとしと
静かに、雨が降っていた
しとしと、しとしと
それは、まるで誰かの涙のように
静かに、静かに、振り続ける
静かに、雨が降っていた
しとしと、しとしと
それは、まるで誰かの涙のように
静かに、静かに、振り続ける
「………」
その、雨の中
青年は、傘も差さずに歩いていた
しとしと、しとしとと
静かに振り続ける雨を浴びながら、足音を忍ばせ、静かに歩く
青年は、傘も差さずに歩いていた
しとしと、しとしとと
静かに振り続ける雨を浴びながら、足音を忍ばせ、静かに歩く
「……鬱陶しいなぁ…」
ぐっしょりと濡れた髪をかきあげる
しとしと、しとしとと
雨は、やむ事なく振り続ける
しとしと、しとしとと
雨は、やむ事なく振り続ける
--雨は、ね。お空が泣いている時に降って来るものなのよーー
ふと、そんな母の言葉を思いだした
…ズキリ、頭が痛む
余計な事まで思い出しそうになって
思い出すな、と思考にブレーキがかかった
…ズキリ、頭が痛む
余計な事まで思い出しそうになって
思い出すな、と思考にブレーキがかかった
--見るな
--思い出すんじゃない、思い出さなくていい
--思い出すんじゃない、思い出さなくていい
そんな兄の言葉が、何度も響く
「…兄、さん」
ふらり
一瞬、体がよろけた
駄目だ、しっかりしろ
今は、昔の事なんて、思い出している場合ではない
しとしと、しとしと、しとしと
雨の中、歩き続ける青年の携帯に…着信が
一瞬、体がよろけた
駄目だ、しっかりしろ
今は、昔の事なんて、思い出している場合ではない
しとしと、しとしと、しとしと
雨の中、歩き続ける青年の携帯に…着信が
「……はい…………うん、わかった。すぐに行くね」
ぱたん、と携帯を閉じて
顔をあげた青年は、いつも通りの笑顔を浮かべていた
顔をあげた青年は、いつも通りの笑顔を浮かべていた
いつも通り?
本当に、いつも通り?
本当に、いつも通り?
「さて……手加減なしで行こうかな?」
くすり、青年は笑って
雨のふる夜道を、駆け出した
雨のふる夜道を、駆け出した
ばしゃばしゃばしゃ
水溜りを踏み越える音が響く
夜道を、一人の逃亡者が走る、走る、走る、走る
水溜りを踏み越える音が響く
夜道を、一人の逃亡者が走る、走る、走る、走る
「はぁ……っ、くそ……!」
何がいけなかったのか
何が、この不運の始まりだったのか
それは、彼にはわからない
何が、この不運の始まりだったのか
それは、彼にはわからない
いや
微かに、わかってはいる
理解しているはずなのだ
しかし、わかろうとしない、理解しようとしない
眼を、耳を、心を塞ぎ
彼はその事実を受け入れない
微かに、わかってはいる
理解しているはずなのだ
しかし、わかろうとしない、理解しようとしない
眼を、耳を、心を塞ぎ
彼はその事実を受け入れない
「…畜生めが…!」
何がいけなかったのか?
自分は、正しい事をしてきたはずだろう?
自分は、正しい事をしてきたはずだろう?
…都市伝説なんて、みんなみんな、悪党だろう?
「……どちらに行かれるおつもりで?」
「……!」
「……!」
…ぱしゃり
道を塞ぐように現れたのは、黒服の男
雨の中、傘もささずにいたのだろう
全身ずぶ濡れで、いつもはオールバックにしている髪も濡れて、前髪が垂れている
道を塞ぐように現れたのは、黒服の男
雨の中、傘もささずにいたのだろう
全身ずぶ濡れで、いつもはオールバックにしている髪も濡れて、前髪が垂れている
「……組織か!」
「はい、ご察しの通り」
「はい、ご察しの通り」
黒服は、感情の篭っていない声で銃を抜いた
静かに、男を真正面から見詰めてきている
静かに、男を真正面から見詰めてきている
「…あなたの信念は、変わりませんか?」
「………?」
「都市伝説は全て悪だと言う、あなたの考えは、変わらぬままですか?」
「………?」
「都市伝説は全て悪だと言う、あなたの考えは、変わらぬままですか?」
淡々と、黒服はそう、男に尋ねてきた
静かに、静かに
まるで、教師が生徒に何か伝えようとしているような、そんな声で
静かに、静かに
まるで、教師が生徒に何か伝えようとしているような、そんな声で
…ここで、ふと、男は気付く
自分は、何を怯えていたのだろうか?
相手は一人
しかも、戦闘力などないと言われる、黒服ではないか
相手は都市伝説だ、殺したって、何の問題もないだろう?
そもそも、相手は銃を向けてきている
正当防衛が成立するはずだ
自分は、何を怯えていたのだろうか?
相手は一人
しかも、戦闘力などないと言われる、黒服ではないか
相手は都市伝説だ、殺したって、何の問題もないだろう?
そもそも、相手は銃を向けてきている
正当防衛が成立するはずだ
(…正当、防衛?)
何故、そんな事を考えた?
そんな事は関係ない
相手は都市伝説なのだ
いつも通り、始末すればいいだけの事
そんな事は関係ない
相手は都市伝説なのだ
いつも通り、始末すればいいだけの事
…そう、相手は××××じゃないのだから
「-----っ」
やめろ
思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出させるな
考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えさせるな
思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出させるな
考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えさせるな
あれは、俺が悪いんじゃない!
俺のせいなんかじゃない!!
あれは、事故だ!
自殺だ!!
俺が殺したんじゃない!!
俺のせいなんかじゃない!!
あれは、事故だ!
自殺だ!!
俺が殺したんじゃない!!
「当たり前だ」
さぁ、この黒服も殺してやろう
黒服と言う都市伝説
悪の都市伝説のその一部
殺したって、なんら問題はないのだ
黒服と言う都市伝説
悪の都市伝説のその一部
殺したって、なんら問題はないのだ
「……そう、ですか」
男の回答を聞いた、黒服の声は
落胆している訳でもなく
絶望した訳でもなく
軽蔑した訳でもなく
落胆している訳でもなく
絶望した訳でもなく
軽蔑した訳でもなく
むしろ、その声に含まれているのは
「……あなたは、わかっていないのですね」
…哀れみだった
「わかっていない、だと?」
「…そうです。あなたは、都市伝説は全て悪である、と断言します……知っているでしょう?都市伝説は、全てが意思持つ存在ではない。中には、意思を持たない都市伝説も存在します………あなたが契約している都市伝説のように」
「…そうです。あなたは、都市伝説は全て悪である、と断言します……知っているでしょう?都市伝説は、全てが意思持つ存在ではない。中には、意思を持たない都市伝説も存在します………あなたが契約している都市伝説のように」
…この黒服は、馬鹿にしているのか?
そんな事、知っている
わかりきっている
自分が契約している都市伝説の力もわからない、なんて事は…
そんな事、知っている
わかりきっている
自分が契約している都市伝説の力もわからない、なんて事は…
「まだ、お気づきになりませんか?」
銃を向けられたまま
しかし、同時に哀れみを向けられる
しかし、同時に哀れみを向けられる
「あなたが契約している力も、都市伝説に変わりはないのですよ?」
…黒服の、その言葉に
男は、ようやく、黒服が言わんとしている事に、気付いた
男は、ようやく、黒服が言わんとしている事に、気付いた
「すなわち、あなたのその考えに基づくならば……あなたは、悪の力を持ってして、悪を倒している事になりますね」
「っそ、それがどうした!」
「っそ、それがどうした!」
そうだ!
それが、どうしたと言うのだ!
俺は、選ばれた存在なのだ!
許された存在なのだ!!
だから、この力を使うことは、真っ当な、正しい事なのだ!!!
それが、どうしたと言うのだ!
俺は、選ばれた存在なのだ!
許された存在なのだ!!
だから、この力を使うことは、真っ当な、正しい事なのだ!!!
「……そして、あなたの考えが、もし、正しいのであれば」
銃は、向けられたまま
そして、向けられる哀れみが強くなる
そして、向けられる哀れみが強くなる
やめろ
やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ
俺を憐れむな!!!
やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ
俺を憐れむな!!!
「大気に宿る…猛き風の精霊よ…眼前の敵を切り裂け!」
黒服の言葉が終わるよりも先に、男は攻撃を繰り出した
話を聞く必要など、最初からなかった
さっさと殺してしまうべきなのだ!
話を聞く必要など、最初からなかった
さっさと殺してしまうべきなのだ!
風の刃が、黒服に襲い掛かる
次の瞬間には、黒服はその刃によって、ズタズタに切り裂かれる
次の瞬間には、黒服はその刃によって、ズタズタに切り裂かれる
…はず、だった
ぱりんっ、と
何かが砕けた小さな音がした
キラキラと、粉末のような物が宙を舞い…攻撃は、黒服に届かない
何かが砕けた小さな音がした
キラキラと、粉末のような物が宙を舞い…攻撃は、黒服に届かない
「な……!?」
「…ターコイズ一個で、何とか防げましたか」
「…ターコイズ一個で、何とか防げましたか」
ぼそり、黒服が呟く
何をしたのか、わからないが…こちらの攻撃を防いだだと!?
男は、焦りながらも次の攻撃に移る
そう、何度も奇跡が続くものか
今度こそ……!
何をしたのか、わからないが…こちらの攻撃を防いだだと!?
男は、焦りながらも次の攻撃に移る
そう、何度も奇跡が続くものか
今度こそ……!
だが、しかし
男が、次の攻撃の呪文を唱えるよりも、先に
男が、次の攻撃の呪文を唱えるよりも、先に
「み~つけた」
聞こえてきたのは、この場にそぐわぬ。場違いな声
どこか無邪気な、しかし、同時に狂気を含んだ声
どこか無邪気な、しかし、同時に狂気を含んだ声
ぞくり
全身を、悪寒が走りぬけた
それは、剥き出しの刃を首筋に当てられたような、殺意
男は、慌てて横に飛ぶ
全身を、悪寒が走りぬけた
それは、剥き出しの刃を首筋に当てられたような、殺意
男は、慌てて横に飛ぶ
ばしゃり!!
直後、男がいた場所に、茶色い液体がぶちまけられて
じゅうじゅうと音をたて、アスファルトの道路が溶けていく
直後、男がいた場所に、茶色い液体がぶちまけられて
じゅうじゅうと音をたて、アスファルトの道路が溶けていく
「…もう少し、早く来ていただけるとありがたかったのですが」
「うん、御免ね?」
「うん、御免ね?」
ニコニコと、黒服の言葉に答える…青年
コーラのペットボトルを手に、何か楽しいのか、微笑んでいる
何者だ?
コーラのペットボトルを手に、何か楽しいのか、微笑んでいる
何者だ?
「知識の泉…その英知を…我に分けたまえ」
ぼそり、呟き、青年を見る
…人間だ
しかし、都市伝説の契約者
契約しているのは…
…人間だ
しかし、都市伝説の契約者
契約しているのは…
「…骨を溶かすコーラか」
「あ、わかっちゃうんだ?」
「あ、わかっちゃうんだ?」
くすくすくすくすくすくすくす
青年は、笑ってくる
青年は、笑ってくる
「…あなたと同じ、意思を持たない都市伝説との契約者ですよ」
「え~、僕、こんなのと一緒にされたくないな」
「え~、僕、こんなのと一緒にされたくないな」
歳相応、とは言えない、少々子供っぽい口調で、青年は不満そうな声をだした
…しかし、すぐに笑顔を浮かべ、男を見つめてくる
笑顔
そう、笑顔なのだ
しかし、その笑顔には、どこか狂気が混じって
…しかし、すぐに笑顔を浮かべ、男を見つめてくる
笑顔
そう、笑顔なのだ
しかし、その笑顔には、どこか狂気が混じって
向けられるのは、剥き出しの殺意
「あのね、そう言う事だから…君が、この『骨を溶かすコーラ』って都市伝説を倒したいんなら、僕を殺さなくちゃね?」
「……っ!?」
「……っ!?」
何を
こいつは、何を言って…
こいつは、何を言って…
「あ、そうそう。君は、人殺しを躊躇するかもしれないけど。僕、遠慮しないから」
にっこり、笑顔で言われた言葉は、死刑宣告に近かった
ごぽりっ
青年が手に持つコーラのペットボトルから…コーラが溢れ出し、男に襲い掛かる!
ごぽりっ
青年が手に持つコーラのペットボトルから…コーラが溢れ出し、男に襲い掛かる!
「凍てつく風よ…北より来りて…束縛せよ!」
ぴしりっ
男の言葉が終わると同時に、コーラが凍り付いていく
男の言葉が終わると同時に、コーラが凍り付いていく
「ふぅん?」
ぱきんっ、と
近づいてきていた氷の束縛を、青年はまだ凍っていない部位のコーラを操る事によって回避した
じゅうじゅうと、凍ったコーラが溶けていく
近づいてきていた氷の束縛を、青年はまだ凍っていない部位のコーラを操る事によって回避した
じゅうじゅうと、凍ったコーラが溶けていく
「本当に、魔法使いなんだ」
にっこり、と
どこか面白そうに、青年は笑う
きゅう、と
その口の端が、残酷に釣り上げれた
どこか面白そうに、青年は笑う
きゅう、と
その口の端が、残酷に釣り上げれた
「それじゃあ、足や腕の一本くらい無くしても、平気だよねっ!?」
ごぽぽぽぽぽぽぽぽ
コーラは、留まる事なく溢れ続ける
そして、その全てが青年の意思に従うように、男に襲い掛かってくる!
コーラは、留まる事なく溢れ続ける
そして、その全てが青年の意思に従うように、男に襲い掛かってくる!
「く…!」
じ、冗談じゃない!
相手は人間だ
『都市伝説と契約している人間』だ
都市伝説じゃない
それを、殺してしまったら…自分は人殺しだ
相手は人間だ
『都市伝説と契約している人間』だ
都市伝説じゃない
それを、殺してしまったら…自分は人殺しだ
いや
自分はとっくに………人殺しだ
自分はとっくに………人殺しだ
「………っ」
人殺し
人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し
人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し
その単語が、何度も何度も脳内でリフレインする
煩い、煩い、煩い、煩い、煩いっ!
あれは俺が悪いんじゃない!
あれは事故で自殺なのだ!!
俺が悪いんじゃない
全て、都市伝説が悪いのだ!
煩い、煩い、煩い、煩い、煩いっ!
あれは俺が悪いんじゃない!
あれは事故で自殺なのだ!!
俺が悪いんじゃない
全て、都市伝説が悪いのだ!
じろり
男は、黒服に視線を向けた
銃を向けたまま、黒服は撃ってはこずに、こちらの様子を窺っているようだ
…そうだ、こいつは都市伝説だ
こいつだけ、さっさと始末してしまえばいい…!
男は、黒服に視線を向けた
銃を向けたまま、黒服は撃ってはこずに、こちらの様子を窺っているようだ
…そうだ、こいつは都市伝説だ
こいつだけ、さっさと始末してしまえばいい…!
「凍てつく風よ……北より来りて……」
「!」
「!」
黒服が、スーツの内ポケットから何かを取り出す
先ほどの、こちらの攻撃を防いだ手段か?
…そう、なんども防げるものか!
先ほどの、こちらの攻撃を防いだ手段か?
…そう、なんども防げるものか!
「眼前の敵の命を……うば………っ!?」
じゅう、と
何かが、焼ける匂いがした
何かが、焼ける匂いがした
じゅうじゅう
じゅうじゅうじゅう
それは、肉が焼ける匂い
じゅうじゅうじゅう
それは、肉が焼ける匂い
「-----ぎ」
それは
男の体が、焼ける匂い
男の体が、焼ける匂い
「ぎゃあああああああああああああああああ!!??」
じゅううううううううううううう
体が、焼かれていっている
それも、一気に焼かれていっているのではない
じわじわ、じわじわと
じょじょに、じょじょに、焼かれていっている
体が、焼かれていっている
それも、一気に焼かれていっているのではない
じわじわ、じわじわと
じょじょに、じょじょに、焼かれていっている
いつから?
いつから、この攻撃は始まっていた?
日焼けしたように、茶色くなっていた肌
それが、茶色を通り越して、黒くなっていっている…!
いつから、この攻撃は始まっていた?
日焼けしたように、茶色くなっていた肌
それが、茶色を通り越して、黒くなっていっている…!
「煩いなぁ」
「ぎーーーーっ!?」
「ぎーーーーっ!?」
ばしゃりっ!
痛みに、足が鈍った男の腕に…コーラが、かかった
じゅううううううううううう
腕が…溶けていく!
痛みに、足が鈍った男の腕に…コーラが、かかった
じゅううううううううううう
腕が…溶けていく!
「ぐ……癒しの炎よ…我が傷に…命の火を灯したまえ!」
男の言葉が終わると同時に、溶かされた腕が
焼かれた体が再生していく
痛みが、じょじょに消えていく
焼かれた体が再生していく
痛みが、じょじょに消えていく
「っち、うぜぇな……魔法使い様はばんのー、ってかぁ?」
じゃらり
金属がじゃらじゃらと鳴っている音がする
黒服の、その背後から
金髪に、チャラチャラとした服装をした青年が、姿を現した
金属がじゃらじゃらと鳴っている音がする
黒服の、その背後から
金髪に、チャラチャラとした服装をした青年が、姿を現した
…何だ!?
今夜は、一体何だと言うのだ!?
何故、自分はこんなにも敵に囲まれている!?
今夜は、一体何だと言うのだ!?
何故、自分はこんなにも敵に囲まれている!?
「…あなたも、来ましたか」
「あぁ、あんたが呼んでくれたからなぁ」
「あぁ、あんたが呼んでくれたからなぁ」
すたすたと
チャラけた格好の青年は、黒服を庇うように、彼の前に立つ
そして、じろりと男を睨みつけてきた
チャラけた格好の青年は、黒服を庇うように、彼の前に立つ
そして、じろりと男を睨みつけてきた
「…俺の大事なもんに、何しようとしがってんだ、おっさん」
…この状況を、一言で言い表すならば…私刑会場、とでも言うべきか
一本道で、挟み撃ちにした体勢
そう簡単には、逃げられまい
一本道で、挟み撃ちにした体勢
そう簡単には、逃げられまい
「あれ~?いいの?君、首塚のメンバーでしょ?」
コーラの契約者が、日焼けマシンの契約者にそう声をかける
それに、30過ぎの魔法使いは、ハっとした声をあげた
それに、30過ぎの魔法使いは、ハっとした声をあげた
「っく、首塚だと!?仲間じゃなかったのかよ!?」
「っは!!誰がてめぇみてぇな腐れ外道、仲間だなんて思うかよ!」
「っは!!誰がてめぇみてぇな腐れ外道、仲間だなんて思うかよ!」
吐き捨てるように、日焼けマシンの契約者は魔法使いを睨みつける
嫌悪と、軽蔑の篭った眼差しで
嫌悪と、軽蔑の篭った眼差しで
「女子供をいたぶるような野郎、将門様の配下に相応しくねぇんだよ」
「わぁ、見捨てられたみたいだね」
「わぁ、見捨てられたみたいだね」
にこにこと、コーラの契約者が楽しそうに笑う
どこか無邪気で、しかし残酷な、狂気の笑みを魔法使いに向けている
どこか無邪気で、しかし残酷な、狂気の笑みを魔法使いに向けている
「安心してね、あっさりは殺さないから」
「っは!俺も同意見だ、あっさりとは死なせねぇ」
「っは!俺も同意見だ、あっさりとは死なせねぇ」
青年二人
なにやら、今だけは、意見があっているようだ
なにやら、今だけは、意見があっているようだ
「「じわじわと、苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんでから、死なせて」やるよ」あげるよ」
ごぽっ!
コーラが生き物のように地面を這い、魔法使いの足に襲い掛かった
じゅううううう!
まずは、右足が溶かされる
コーラが生き物のように地面を這い、魔法使いの足に襲い掛かった
じゅううううう!
まずは、右足が溶かされる
「ぎ……っ」
そして
日焼けマシンの契約者の攻撃も、既に始まっている
一度は元の色に戻った魔法使いの肌の色が…再び、茶色く染まり始めている
日焼けが始まっているのだ
日焼けマシンで人間ステーキ
途中までは、ただの日焼けですむ
しかし、ある線を越えた瞬間から、それは残虐な攻撃へと変わるのだ
日焼けマシンの契約者の攻撃も、既に始まっている
一度は元の色に戻った魔法使いの肌の色が…再び、茶色く染まり始めている
日焼けが始まっているのだ
日焼けマシンで人間ステーキ
途中までは、ただの日焼けですむ
しかし、ある線を越えた瞬間から、それは残虐な攻撃へと変わるのだ
「先に足を潰しちゃえば、逃げられないよね?」
「…すっげぇ、鬼畜。なぁ、あんた。あんなの見捨ててやっぱ俺のところこねぇ?」
「今は、そんな事を言っている状況ではないでしょう?」
「…すっげぇ、鬼畜。なぁ、あんた。あんなの見捨ててやっぱ俺のところこねぇ?」
「今は、そんな事を言っている状況ではないでしょう?」
場をわきまえぬ日焼けマシンの契約者に、小さくため息をつく
…まぁ、口ではそう言いながらも
この日焼けマシンの契約者は、魔法使いへの殺意に支配されている状態だ
…まぁ、口ではそう言いながらも
この日焼けマシンの契約者は、魔法使いへの殺意に支配されている状態だ
じゅうううううう
今度は、左足を溶かされた魔法使い
最早立つこともできずに、倒れこむ
今度は、左足を溶かされた魔法使い
最早立つこともできずに、倒れこむ
くすくすくすくすくすくすくす
闇夜に、笑い声と、悲鳴と、何かが溶けて、焼ける音だけが響き渡る……
闇夜に、笑い声と、悲鳴と、何かが溶けて、焼ける音だけが響き渡る……
次は右手
手の辺りからじわじわと、肩の付け根まで溶かしてあげよう
その次は左手
こっちも、手からじわじわと肩の付け根まで溶かしてあげよう
ほうら、これでダルマの出来上がり
ダルマ男の完成だ
手の辺りからじわじわと、肩の付け根まで溶かしてあげよう
その次は左手
こっちも、手からじわじわと肩の付け根まで溶かしてあげよう
ほうら、これでダルマの出来上がり
ダルマ男の完成だ
「ぎ……ぐ、癒しの炎よ…我が傷に……っが!?」
「治しちゃだぁめ」
「治しちゃだぁめ」
ぐり、と
倒れこんでいる男の胸元を、踏みにじる
倒れこんでいる男の胸元を、踏みにじる
…こいつが
こいつが、ルーモアのマスターを殺したのだ
どこか、不器用ながらも幸せそうだったあの空間を…壊したのだ
こいつが、ルーモアのマスターを殺したのだ
どこか、不器用ながらも幸せそうだったあの空間を…壊したのだ
「…………」
そう
幸せを、壊した
幸せを、壊した
あんなにも、幸せそうだった
あの店には、そうしょっちゅう行っていた訳ではない
でも、行くたびに、暖かかくて
幸せそうで
あの店には、そうしょっちゅう行っていた訳ではない
でも、行くたびに、暖かかくて
幸せそうで
…羨ましかった
自分がなくしてしまったものを、彼らはちょうど持っていて
とても、とても、幸せそうだった
とても、とても、幸せそうだった
それを
こいつが壊した
こんな奴が!
身勝手な考えで!!
壊したのだ!!!
こいつが壊した
こんな奴が!
身勝手な考えで!!
壊したのだ!!!
「がぱっ……!?」
ごぽり
口にコーラを注いでやる
まだ、舌と喉は溶かしてやらない
溶かすのは
口にコーラを注いでやる
まだ、舌と喉は溶かしてやらない
溶かすのは
「--------っ!?」
「痛い?痛いよね?だって、内臓を溶かされてるんだもん」
「痛い?痛いよね?だって、内臓を溶かされてるんだもん」
くすくすくすくすくす
自然と、笑みがこぼれてくる
体中を焼かれ、ダルマになって
あぁ、なんて無様な事だろう
自然と、笑みがこぼれてくる
体中を焼かれ、ダルマになって
あぁ、なんて無様な事だろう
「苦しい?辛い?死にたい?」
くすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくす
笑いが、止まらない
笑いが、止まらない
「でも、駄目だよ。まだ死なせない。まだ足りない、全然足りないよ。まだまだ、全然駄目」
そうだ、まだ、足りない
…不意に
笑い声が、止まった
笑い声が、止まった
「…この程度で、楽に死ねると思うんじゃねぇえよ!!このっ、腐れ外道がっ!!」
「ぐがっ!?」
「ぐがっ!?」
だんっ!!と
力強く、男の胸元を踏みにじる
痛みに悲鳴をあげてくる男を、さらに、さらに踏みにじる
力強く、男の胸元を踏みにじる
痛みに悲鳴をあげてくる男を、さらに、さらに踏みにじる
「てめぇが殺した人が!どう言う人だったか、てめぇにわかるか!?」
ごぽり
コーラを、男の右目に垂らす
悲鳴が上がる
じゅう、と右目が溶けていく
コーラを、男の右目に垂らす
悲鳴が上がる
じゅう、と右目が溶けていく
「あの人が……あの子と、どんな約束をしていたのか!てめぇにわかるのか!?」
ごぽり
コーラを左目に垂らす
じゅう、と音たて、左目が溶ける
コーラを左目に垂らす
じゅう、と音たて、左目が溶ける
「てめぇが……てめぇなんぞに!!幸せな家庭をぶち壊す権利なんざ、ありゃしねぇんだよっ!!」
ごぽり
コーラを鼻に垂らす
じゅうと音たて、鼻が溶ける
男の絶叫が、暗い道に響き渡る
コーラを鼻に垂らす
じゅうと音たて、鼻が溶ける
男の絶叫が、暗い道に響き渡る
「てめぇなんざ死ねっ!死にやがれっ!!てめぇみてぇな野郎、生きていてもなんの価値もある訳がない!!あいつらの幸せを壊しやがったてめぇが、許されるはずがない!そんな権利なんざ存在しねぇ!!!てめぇは有罪だっ!!有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪!!!」
…脳裏に、過去の記憶がフラッシュバックする
まだ、家族全員が揃っていた頃の記憶
父も母も、生きていた頃の記憶
まだ、家族全員が揃っていた頃の記憶
父も母も、生きていた頃の記憶
とても
とても、幸せだった頃の記憶
とても、幸せだった頃の記憶
兄と一緒に、大学に合格できて
自分たちは、両親にそれを報告するはずだった
よくやったね、と、褒めてもらうはずだった
自分たちは、両親にそれを報告するはずだった
よくやったね、と、褒めてもらうはずだった
それなのに
『----っ見るな!!』
兄は、それを自分に見せようとしなかった
優しい兄は、それを自分に見せようとしなかった
しかし、自分は見てしまった
いや、見てしまわなくても、きっと、あの濃い血の匂いで気付いてしまっていただろう
優しい兄は、それを自分に見せようとしなかった
しかし、自分は見てしまった
いや、見てしまわなくても、きっと、あの濃い血の匂いで気付いてしまっていただろう
部屋のリビングで、両親は死んでいた
一目ではっきりと、死んでいるのがわかった
一目ではっきりと、死んでいるのがわかった
両親には、首がなかった
首が、切り落とされていた
そして、切り離された、首は
テーブルの上に二つ並べられて………
首が、切り落とされていた
そして、切り離された、首は
テーブルの上に二つ並べられて………
痛い
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い
頭が、痛い
普段、思い出さないようセーブしていた記憶が蘇る
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い
頭が、痛い
普段、思い出さないようセーブしていた記憶が蘇る
幸せを壊された記憶
家族を殺された記憶
それが、はっきりと蘇る
家族を殺された記憶
それが、はっきりと蘇る
輪が感じる悲しみ
それを真に理解するには、家族を失っている必要がある
家族を殺されている必要がある
どんなに理解しようとしても、本当に全てを理解できるのは、同じ境遇に立った者だけだ
それを真に理解するには、家族を失っている必要がある
家族を殺されている必要がある
どんなに理解しようとしても、本当に全てを理解できるのは、同じ境遇に立った者だけだ
自分は、輪の悲しみを理解できる
しかし、完全ではない
家族を失ったのは同じ
家族を殺されたのは同じ
しかし、決定的に、違うのは
しかし、完全ではない
家族を失ったのは同じ
家族を殺されたのは同じ
しかし、決定的に、違うのは
自分は、両親が死んだ瞬間を見ていない
両親が殺された瞬間を見ていない
両親が殺された瞬間を見ていない
輪は、見てしまっている
マスターが死んだ瞬間を、殺された瞬間を
マスターが死んだ瞬間を、殺された瞬間を
あの少年の悲しみと怒りと嘆きと絶望を、自分は完全には理解しきれていない
…だが
ここまで理解できていれば、充分だ
これ以上理解しようとしたら……きっと、自分の心は、今度こそ壊れる
ここまで理解できていれば、充分だ
これ以上理解しようとしたら……きっと、自分の心は、今度こそ壊れる
まるで、おのれの過去の境遇を重ね合わせるかのように
彼は、男に怒りと憎悪をぶつける
彼は、男に怒りと憎悪をぶつける
いまだ見付からぬ、己の両親を殺した誰か
それを見つけられぬ恨みも、一緒にぶつけるように
それを見つけられぬ恨みも、一緒にぶつけるように
「有罪、有罪有罪っ!有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪!!!」
「お、おいっ!?」
「お、おいっ!?」
何だ?
どうしたんだ、こいつは?
ただの、ちょっと鬼畜どSな優男
以前会った時のこいつの印象は、そんな奴だった
どうしたんだ、こいつは?
ただの、ちょっと鬼畜どSな優男
以前会った時のこいつの印象は、そんな奴だった
だが、しかし
今、目の前にいるこいつは
自分の能力で全身焼けただれた男に追撃するように踏みにじり、拷問するように溶かしていっているこいつは
復讐心に囚われた、化け物のようだった
「…っこれは、いけませんね」
「お、おい」
「お、おい」
足早に、黒服がコーラを持った青年に近づく
じろり
狂気に、復讐に囚われた眼差しが、黒服に突き刺さっている
じろり
狂気に、復讐に囚われた眼差しが、黒服に突き刺さっている
「邪魔を……」
「正気に、戻りなさい」
「正気に、戻りなさい」
黒服は、懐から何か、小さな小石を取り出して
そっと、コーラを持った青年に押し付けた
っぱん、と
小石は、音をたてて砕けて
そっと、コーラを持った青年に押し付けた
っぱん、と
小石は、音をたてて砕けて
「-------ぁ」
すぅ、と
青年の目に、光が戻る
意思が、戻ってきた
青年の目に、光が戻る
意思が、戻ってきた
「あ…僕、は…」
よろり
青年は、男から足をどけた
青年は、男から足をどけた
ぶすぶすと、体中から煙を出している男
全身黒くこげ、体中溶かされ…それでも、まだ、生きている
いっそ、死んだ方がマシなのではないかというそんな状態で、しかし、まだ生きていた
全身黒くこげ、体中溶かされ…それでも、まだ、生きている
いっそ、死んだ方がマシなのではないかというそんな状態で、しかし、まだ生きていた
「…楽に、させるべきですね」
正気に戻りながらも、若干ふらついている青年を庇うようにたちながら
黒服は、男に銃を向けた
もう助からないだろう、この苦しみから、解放させてやるための
せめてもの、慈悲の一撃を、放とうとする
黒服は、男に銃を向けた
もう助からないだろう、この苦しみから、解放させてやるための
せめてもの、慈悲の一撃を、放とうとする
…それよりも
「……癒し…の炎よ…我が…傷に…命の火を………灯したまえ……!」
「----!?」
「んなっ!?まだ、喋れたのか!?」
「----!?」
「んなっ!?まだ、喋れたのか!?」
男が、呪文を唱える方が、早かった
どう見ても、死体一歩手前だったその体が…再生していっている!?
どう見ても、死体一歩手前だったその体が…再生していっている!?
「ッ野郎!!!」
再生したならば、また攻撃するまでだ!!
再び、相手を焼いてやろうと攻撃を向けようとするが
再び、相手を焼いてやろうと攻撃を向けようとするが
「…………………………」
男が、何か呟いた
直後…男の姿が、消えた
直後…男の姿が、消えた
「っ!?」
「…転移ですか。もしかしたら、決めていた場所へと帰っただけかもしれませんが…厄介、ですね」
「…転移ですか。もしかしたら、決めていた場所へと帰っただけかもしれませんが…厄介、ですね」
銃を下ろす黒服
…逃げられた
逃がしてしまった
…逃げられた
逃がしてしまった
「ちっくしょう!!」
畜生!
あの外道野郎を、逃がしてしまうだなんて!
うかつだった
あんな腐れ外道、すぐに殺すなんて生ぬるいと思って、加減したのが悪かった
……さっさと、殺すべきだった!!
あの外道野郎を、逃がしてしまうだなんて!
うかつだった
あんな腐れ外道、すぐに殺すなんて生ぬるいと思って、加減したのが悪かった
……さっさと、殺すべきだった!!
とさりっ
コーラを持つ青年が、座り込む
一度は光が戻った目
しかし、何かの記憶に締め付けられているかのように、その視線は定まらない
コーラを持つ青年が、座り込む
一度は光が戻った目
しかし、何かの記憶に締め付けられているかのように、その視線は定まらない
「……逃がし、ちゃった?」
「そのようですね」
「……そう」
「そのようですね」
「……そう」
沈む、声
俯いていて、表情は見えない
しかし、その声は、地の底から響くかのように、暗かった
俯いていて、表情は見えない
しかし、その声は、地の底から響くかのように、暗かった
「…立てますか?」
「…………平気だよ」
「…………平気だよ」
にこり
顔を、あげた時
青年は、また、笑っていた
顔を、あげた時
青年は、また、笑っていた
「逃がしちゃったなら…帰らなきゃ。兄さんが心配する。兄さんを、心配させちゃ駄目だ」
それは、誰に言うでもなく
まるで、自分に言い聞かせるかのような、言葉
まるで、自分に言い聞かせるかのような、言葉
「また、あいつが見付かったら教えてね。今度こそ、殺してやるから」
にっこり、と笑みを浮かべて
青年は、ふらふらと立ち去っていく
…その、後ろ姿は
まるで、迷子になって泣いている、子供のようだった
青年は、ふらふらと立ち去っていく
…その、後ろ姿は
まるで、迷子になって泣いている、子供のようだった
「…ご協力、感謝します」
「感謝なんて、される資格は俺にはねぇよ…逃がしちまったんだ」
「感謝なんて、される資格は俺にはねぇよ…逃がしちまったんだ」
小さく、舌打ちする
あぁ、畜生
今度見つけた時こそ…焼きつくしてやる!
あぁ、畜生
今度見つけた時こそ…焼きつくしてやる!
「私は、これで。あの状態の彼を、放っておく訳にはいきませんから」
「……おぅ」
「……おぅ」
ふらふらしている青年に、黒服は駆け寄っていく
…悔しいが、自分でもよくわかる
あの状態は、放っておくのは不味い
ふっ、と目を放した隙に、消えてしまいそうな、死んでしまいそうな
そんな危うさを、感じたから
…悔しいが、自分でもよくわかる
あの状態は、放っておくのは不味い
ふっ、と目を放した隙に、消えてしまいそうな、死んでしまいそうな
そんな危うさを、感じたから
…しとしとと、雨は降り続けている
戦っている間は気にならなかったが、気がつけばずぶ濡れだ
ぐしゃり、髪をかきあげる
戦っている間は気にならなかったが、気がつけばずぶ濡れだ
ぐしゃり、髪をかきあげる
「----っちくしょう!!」
ばしゃり
苛立ち混じりに、水溜りを踏みしめる
あんな奴を逃がしてしまった自分が許せない
黒服に、気をかけられるあの青年が、羨ましい
いくつもの苛立ちが混ざり合い、思考を掻き乱す
苛立ち混じりに、水溜りを踏みしめる
あんな奴を逃がしてしまった自分が許せない
黒服に、気をかけられるあの青年が、羨ましい
いくつもの苛立ちが混ざり合い、思考を掻き乱す
「畜生、畜生、畜生……っ!!」
叫ぶ
叫んだどころで、どうにかなる訳ではない
ただ、空しいだけだ
わかっている
わかっては、いるが
それでも、彼は叫ばずにはいられなかった
叫んだどころで、どうにかなる訳ではない
ただ、空しいだけだ
わかっている
わかっては、いるが
それでも、彼は叫ばずにはいられなかった
しとしと、しとしと
……ざあああああああああああああああああああああ
振り続けていた雨は、何時の間にか、強さを増して
耳障りなノイズとして、夜道に響き渡ったのだった
……ざあああああああああああああああああああああ
振り続けていた雨は、何時の間にか、強さを増して
耳障りなノイズとして、夜道に響き渡ったのだった
泣くな 悲しむな
立ち止まっている暇など存在しない
立ち止まっている暇など存在しない
復讐せよ
復讐は汝らにあり
復讐は汝らにあり
復讐の刃を折るなかれ
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