「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 拝戸直しの人殺し-01

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「私は人間が好きだ。
 人を愛し人に愛され、夢と希望に満ちて、無限の可能性を作り出す。
 そんな人間が大好きだ。
 私は人間が好きだ。
 人を疑い人を遠ざけ、欺瞞と虚言に満ちて、絶望の中に迷走する。
 そんな人間が大好きだ。
 私は人間の中に平然と居座る高貴さと悲惨さの両方に強く心惹かれてしまったんだ。
 この両面性こそが人間を人間たらしめ、人間を芸術たらしめる、唯一の性質と言うべきだろう。
 それ以外の人間の性質などどれだけ醜いだろうか!
 無知な君は何も知らないに違いない。
 まあ無知なのは私も一緒だ、だが私は人間をもっと知りたいのだ。
 その為に私は人間を解体する。
 人間は解体される瞬間にこそ、芸術的な性質を発揮してくれるのだ。
 私は人を殺すとき、全身の骨を砕き腱を切り、抵抗ができないように徹底的に痛めつける。
 全身に針を刺したこともあったね。
 その時のオブジェが浮かべる苦悶の表情など正に芸術だよ。
 そんなオブジェに私は最後に一言だけ言うんだ。
 「君には飽きた、もう帰って良いよ。」
 それを聞いたそれらの顔にはわずかばかりの希望の光が灯る。
 これを台無しにしないように殺して私のオブジェは完成だ。
 人間の悲惨と偉大を表した最高のテーマだろう?
 さて、話は終わりだ。
 私の芸術を理解して貰った所で次は君がオブジェになる番だよ。」

裂くっと。




サクッ、とそれはそれはあっけない音を立てて私の目の前に居る彼女は死んだ。
名前は知らない。
知る必要もない。
俺の好みであることを除けばどこにでも居そうな只の成人女性である。
骨格、それに肌の張りと胸の感触からして23才と4ヶ月という所か?
もうちょっと楽しみながら殺しておけば良かった、直ちゃんちょっぴり後悔。
しかしそんな情報は果てなくどうでも良いことだ。
私の名前は拝戸直、これでも今をときめく医大生。
今年の四月からこの番屋町にある医大に入学したばかりの大学生なんだ。
そんな私は人間が大好きだ。
先程もこの哀れな被害者に言って聞かせたとおり人間が大好きだ。
悲惨と偉大の両方を極めた人間という存在は果てなく文学的でそれはそれは素敵という他無い。
さて、そんな人間の中でも私がとりわけ尊敬している人間が居る。
一人はロシアの文豪であるドストエフスキー、決してドエトフスキーではない。
もう一人は最近この国を騒がせた殺人鬼、ハーメルンの笛吹きである。
どちらも人間が如何に偉大で、なおかつ悲惨か、日本人たるこの俺に教えてくれた人生の師だ。
彼らの創作に出会う為に私が生まれたと言っても過言ではない。
さて、今日のオブジェはどのような趣向を凝らそうか?

「都市伝説、そういうのも文学的かもしれないな。」

私はこの女性の口を真っ二つに切り裂いてみた。
今日も私のナイフは良く切れる。
適当にどこかでマスクを仕入れるとしよう。
そして彼女の血液で彼女の服を真っ赤に染めよう。
既に冷たくなった女性の身体を見詰めて私はほくそ笑んだ。




「…………よし、これで完璧。」

題名【口裂け女】
美術の評定が2だった俺でもこれだけの芸術が作れるのだ。
学校の評価とはなんと頼りにならない物か。
いや、あれは教師の言うことを聞いて上手く立ち回れるだけの人間へのご褒美なのか。
私のような文学的な人間は他人の目や言葉など気にしてはならないのだ。
それでこそ、私だ。

「タァーイトゥル、く・ち・さ・け・お・ん・な。」

今日の作業はこれでお終い。
私は借りているマンションに帰ることにした。

「はい、今日の殺人鬼タイムしゅうりょー。
 “俺”は只の大学生拝戸直にもどりまーっすとね。」

その時だった。
俺の芸術的な勘が何者かの接近を知らせた。
俺は改造したスタンガンを背中に忍ばせると辺りを警戒することに決めた。



「お兄さん、伏せて!」

その時だった。
高校生位の男の子、いいや、あれは男装しているだけの女だ。
俺の審美眼がハッキリそう告げている。
しかし伏せてとはどういうことだ?
その前に俺は今、人を殺したばかりだから見られたら不味いのだが……?
急に喉が締め付けられる。
先程俺が殺したはずの女性が俺の首を締め付けていた。

「他人を攻撃しても良い、※ただしイケメンに限る!」

彼女は俺に男装がばれていないと思っているらしく、未だに男言葉で話し続ける。
だが彼女は何を言っているのだろうか?
私に殺された人間が私に対して攻撃をやめるわけがないではないか。

……と、思ったのだが。

女はあっさりと俺への攻撃をやめた。

「お兄さん、大丈夫だった?黒服さん、口裂け女捉えましたよー!」
「やったか平、それじゃあ、あとは俺がやっておく。」

またまた新しい登場人物だ。
黒い服を着た高校生位の男である。
まったく、これはどうにも文学的な展開じゃないか。
胸が躍る。




「一般人は確保できたね、それじゃあ彼の記憶は消しておくから彼を警察まで連れて行ってくれ。
 まさか途中でハプニングが起こるわけ無いとは思うが……
 なんか有ったら俺の携帯に電話してくれ。」
「はい、解りました黒服さん。」
「あ、あのーすまない。
 いま此処で何が有ったんだ?教えてくれないか?」

俺は黒服の男に問うた。
しかし答えはつまらない物だった。

「それに答える必要は無い。君にはこれから記憶を失って貰う。」

そう言って黒服は記憶消去装置と思しき物を俺に向ける。
あれで記憶を消すというのか?
この最高にエンターティメントな記憶を?
巫山戯るな!
つまらない殺戮の日々に起きた唯一の変化だぞ?
俺が殺した、間違いなく殺した人間が起き上がって俺を襲っているんだぞ?
これは一生の思い出になるに違いない。
なのにこの記憶が消されるというのか?

「――――――――――――嫌だ、俺はこの記憶を無くしたくない。」

俺は呟いた。
その瞬間に奇跡は起きた。





「私も、まだ死にたくなかった。」

恨めしそうに口裂け女は呟く。
俺の作品は作品らしく大人しくしていろと言うのだ。
しかし次の瞬間彼女は思わぬことを言い出す。

「ねぇあなた、私を殺した責任取って助けてよ。そいつらに捕まったら私殺されちゃうんだよ。
 私、もう二度と死にたくないよ……。」
「口裂け女、お前は何を言い出すんだ?平君、そいつを黙らせて……」

バチン!

俺は……、いいや“私”は目の前の少女を背中に隠してあったスタンガンで気絶させた。
良いだろう、殺人の時間だ。
真摯たる俺は素敵なレディに責任取ってよと言われたら取らざるを得ない。

先程目の前の女を解体するのに使ったナイフを黒服の胸に突きつける。
肉の裂けるいい音だ。
心臓のうぞうぞと蠢く感触。
一気に引きちぎれ。
血だ、降り注ぐ血液だ!
これが人間という物の生命の実感だ!
黒服の男はうめき声を上げる間もなくその場に崩れ落ちた。
題名【血風】

「でだ、責任を取るとは具体的にどうすれば良いのか聞こうじゃないか。」

降り注ぐ黒服の血液と狂気に満ちた春の月を背景に俺は口裂け女に尋ねた。





「えっと、私と契約して。死因の関係でどうも貴方じゃなきゃ駄目らしいの……」

彼女はマスク越しのくぐもった声で俺に哀願した。
俺に脅えているのだろうか?
だとしたら果てなく下らないと言う物だ。
俺は紳士的な人間だ。
自分の趣味以外で人は殺さない。

「解った。何をすればいい?」
「私が私の顔が綺麗か聞くので……、答えずにキスしてくれると良いんだって。」
「だって?俺は純愛派だから見ず知らずの女性と唇を交わすなんでやるつもりはないぞ?」
「らしいって言うのは私が都市伝説になったばかりで良く解らないんです。
 頭の中にぼやっと浮かんできただけで……。」
「成る程な。じゃあさっさとやれ。」

この日この時。
私こと拝戸直は恐ろしい殺人鬼からおぞましい殺人鬼へとクラスチェンジをとげることになるのである。
後に21世紀の口裂け女と呼ばれる殺人鬼はたった今生まれたのだ。


以後よろしく。




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