喫茶ルーモア・隻腕のカシマ
XX 原初の炎の霊/高次の見通し
やはり、独り廊下に立っていた
広く、長い廊下、一直線に奥へと続くその廊下は、果てが無いかの様に見える
振り向くと、扉
「今のも……良い経験だったかな……」
香取さんとの約束が、じんわりと胸を熱くする
そして今度は───
XX
原初の炎の霊
高次の見通し
───と刻まれていた
「やっぱり、まだ続くんだよなぁ……でも」
また、楽しい出逢いがあるかもしれない
次に飛ばされる世界に少しだけ期待しながら、扉を押す
次に飛ばされる世界に少しだけ期待しながら、扉を押す
隙間から光が漏れる
だが、眩しくは無く───
だが、眩しくは無く───
*
扉が開かれて現れたのは……
広い空間
ただの広い部屋と言っても良い
見回してみると、体育館ほどの広さはありそうだ
見回してみると、体育館ほどの広さはありそうだ
黒い床は大理石だろうか、磨かれ光沢がある
上を見上げると、何も無く天井すら見えない
これといった照明器具も無い様に見えるが……
ぼんやりとした光が部屋の隅々まで照らしていた
上を見上げると、何も無く天井すら見えない
これといった照明器具も無い様に見えるが……
ぼんやりとした光が部屋の隅々まで照らしていた
最奥の中央には玉座
玉座としか表現出来ない様な大きな椅子が据えられている
玉座としか表現出来ない様な大きな椅子が据えられている
近づいて見てみると、大きく高い背もたれの部分には絵が描かれている
橙色の背景、青緑色のアーチ、手前に半透明の人物、奥にも一人の人物
とても言葉で表せる様な絵ではない
絵の上には『XX』
下には『The Aeon』
橙色の背景、青緑色のアーチ、手前に半透明の人物、奥にも一人の人物
とても言葉で表せる様な絵ではない
絵の上には『XX』
下には『The Aeon』
「この部屋……何も起こらない……のかな……」
玉座に触れたり、座ってみたりもしたが……何も起こらない
どうやら、この部屋では何も起こらないらしい
どうやら、この部屋では何も起こらないらしい
「ハズレ……ってこと?」
出入り口は、入ってきた扉だけの様だが今は閉ざされている
「まさか……閉じ込められたり……とか?」
焦燥感が心拍数を押し上げる
転がる様に走り寄り
扉を押し……開かない
扉を引き……開かない
転がる様に走り寄り
扉を押し……開かない
扉を引き……開かない
「嗚呼……やっぱり……お約束的展開か……」
床や壁、玉座、扉、部屋の隅々まで目を凝らしてみたが、仕掛けらしきモノは無い
少なくとも自分の知識や技術でどうにか出来る状況ではないとだけ判る
少なくとも自分の知識や技術でどうにか出来る状況ではないとだけ判る
「まいったなぁ……」
考えたところで答えは出ない
「仕方ない……少し整理してみようかな……今までのこと」
玉座へと座り、頬杖をつく
「まず……最初の扉、ボクサーさんに逢った」
逆さ吊りにされていたボクサー
『お前さ、占い師のとこに行ってたんだって?』
ボクサーはそう言っていた
思い返すと、確かにその記憶がある
思い返すと、確かにその記憶がある
綺麗な顔立ちの占い師
薄い紫のヴェールから覗く愁い帯びた瞳が印象的だった
薄い紫のヴェールから覗く愁い帯びた瞳が印象的だった
正直な感想を言うなら、好みのタイプである
もちろん、こういう女性がお母さんだったら良かったかもな……という意味で、である
あらゆる意味で、他意はない
明言しておかねばイケナイ方向に話が及ぶ可能性がある
インターネットとは危険な情報媒体なのだ
ネット?
なぜ、ネットのコトなんて気にするのだろうか?……思考を切り替える
あらゆる意味で、他意はない
明言しておかねばイケナイ方向に話が及ぶ可能性がある
インターネットとは危険な情報媒体なのだ
ネット?
なぜ、ネットのコトなんて気にするのだろうか?……思考を切り替える
「え、え~と確か……何かが物置から見つかって……それを鑑定してもらおうと……」
夏の支度をする為に、物置となっている部屋から色んなものを引っ張り出していた
災害時の食料や水、懐中電灯にロープ、使っていない食器、水出しコーヒー用の機材
災害時の食料や水、懐中電灯にロープ、使っていない食器、水出しコーヒー用の機材
「う~ん……災害時の飲食物は手近な所に置いておかないとダメだなぁ」
あんな奥まった所に置いていたら、いざという時に困る
何しろ学校町では、いざという時が頻繁に発生しかねないのだ
何しろ学校町では、いざという時が頻繁に発生しかねないのだ
「まぁ、それは帰ってからだね……それで、え~と……綺麗な紙箱が出てきたんだ」
紙箱を開けると、中にはカードが一揃い
トランプと比べると大きく、倍くらいのサイズだった
一枚をめくり、しげしげと観察する
絵が描いてあり、絵の上にはローマ数字、下にはローマ字が書かれていた
トランプと比べると大きく、倍くらいのサイズだった
一枚をめくり、しげしげと観察する
絵が描いてあり、絵の上にはローマ数字、下にはローマ字が書かれていた
一緒に作業をしていたマスターが後ろから覗き込んできて
『それはタロットカードだね……昔、古道具屋で買ったものだと思うが……』
タロットからは独特の雰囲気が感じ取れた
『トート・タロットといって、オカルト的に"何かある"とよく言われているんだ』
全く……そんな怪しげなモノばかり集めて……このマスターは何をしたいんだか……
そう思わずにはいられない
マスターがカードを手にし、パラパラとめくり眺める
そう思わずにはいられない
マスターがカードを手にし、パラパラとめくり眺める
『やはり……見れば見るほど不思議なカードだね……でも、悪い感じはしないんだ』
確かにそうだった
絵柄の為か、描かれたモノの配置の為か、何かしらの力を感じるが悪いイメージは湧かない
引き込まれる様に、マスターの手の中のカードを見つめてしまう
絵柄の為か、描かれたモノの配置の為か、何かしらの力を感じるが悪いイメージは湧かない
引き込まれる様に、マスターの手の中のカードを見つめてしまう
『気に入ったなら輪にあげよう』
正直、こんな怪しげなタロットなんていらなかったが
マスターがくれると言うから……つい……貰ってしまったのだ
興味が全く無いというワケではなかったのも事実ではある
マスターがくれると言うから……つい……貰ってしまったのだ
興味が全く無いというワケではなかったのも事実ではある
「嗚呼……そうか……あのタロット……やっぱり……」
玉座から飛び跳ねる様に立ち上がり、振り向く
背もたれに描かれた絵、XX、The Aeon
タロットカードそのものだ
背もたれに描かれた絵、XX、The Aeon
タロットカードそのものだ
部屋の入り口───扉に刻まれていた言葉は、おそらくカードの意味
それぞれのカードに対応した部屋が存在するという事なのだろうか?
「ボクサーさんの状況から考えて……あれは……逆さ吊りの男のカード」
図書館と朗読会は何のカードだったのか……
過去のカシマさんは何のカードだったのか……
過去のカシマさんは何のカードだったのか……
「カードは一通り眺めていたけど……流石に憶えてないや」
いずれにせよ、あのトート・タロットがこの事象に関係しているのは確かなのだろう
「ふぅ、分かった事はここまでかな……でも、何も解決していないや……」
ガコン!
不意に音が響き渡った
自分以外には誰もいない部屋
音は扉の方からだった様に思う
自分以外には誰もいない部屋
音は扉の方からだった様に思う
「開いた?……誰か……入って来る……とか?」
しばらくの間、警戒の態勢で待ったが……何も起こらない
ならば、と思い……扉へと静かに近づく
ゆっくりと、扉を押す
動かない
力を込める
開き始める手応えを感じた
ならば、と思い……扉へと静かに近づく
ゆっくりと、扉を押す
動かない
力を込める
開き始める手応えを感じた
どうやら
この部屋、このカードの役目は終わったらしい
この部屋、このカードの役目は終わったらしい
そして、扉が開き───