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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ドクター-75

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ドクター75


既に日は沈み窓から入ってくるのは街灯の明かりのみ
双子の騒がしい声も、淫蕩さをほのめかした看護婦達の会話も、待合室を賑わす患者やご近所のご老人達の声も聞こえない
休診のお知らせはしばらく前から張り出してあったお陰で無駄足を踏む患者の姿も無く、また急患が飛び込んで来る事も無い静かな一日だった
診療室の椅子に座ったまま、普段はバイトくんと呼ばれている青年、伊藤有羽は一枚の写真を見詰めていた
犬メイドこと旧友のパスカル・ハドソンから貰った、死に別れたはずの女の写真である
彼女が似ているだけの誰かなら、それは何の意味もない想いであり
彼女が本物と言える存在ならば、元々そうだったにせよ後にそうなったにせよ、今は敵対する間柄という事だ
「……未練がましいな、俺」
いつかこの写真の女と出会う事があったら、自分は一体どうするのだろうか
戦わなければいけない相手だったとして、平静でいられるのか
かつての恋人であったとしたら、今の仲間と天秤に掛けてしまうのだろうか
そんな事を延々と考えていた有羽の耳に、開け放たれた戸口から喧騒が飛び込んで来る
「ただいまでありますよー! おみやげであります、おみやげ!」
ばたばたとせわしなく駆け込んでくるエニグマ姉を、有羽は苦笑を浮かべて出迎える
両手の手提げ袋一杯に詰まったおみやげを、ボールを取ってきた犬のような顔で差し出してくるエニグマ姉
「診察室に食べ物持ってくるんじゃない。裏に持っていけ」
その頭をわしわしと撫でながら診察室を出ると、花見に行った面々がぞろぞろと入ってくるところだった
嬉しそうに有羽にじゃれつく姉を見て何やらニヤニヤしているエニグマ妹
大量の鼈甲飴にご満悦で興奮状態のミツキ
酔い潰れたメアリーと、それに肩を貸しているドクター
何故か一緒のウィンチェスターの少女と沙々耶は、それぞれ人見知りと改造された思い出からやや怯え気味だ
「何でメアリーさん潰れてるんですか」
「ボクと一緒のペースで飲んでたらそりゃ潰れるだろうさ」
「医者なら止めて下さい」
「たまには羽目を外すのも必要な事だぞ、精神医学的にはな」
「そんな理由でアルコールの過剰摂取の方をスルーしてどうするんですか……あとこっちの二人は総統のところに戻るんじゃないんですか」
「遅くなってしまったし、たまには他所にお泊りも良いだろう?」
「寝室はドクターの部屋以外にしますからね」
「む、沙々耶ぐらいは良いではないか」
「ダメです。教育上よろしくありませんから」
一通りの掛け合いをしたところで、ドクターとメアリー、そしてミツキは寝室へと引き上げていった
「さて、こっちはどうしたもんか」
「お泊りは小官らの部屋にするから安心でありますよ! それよりもおみやげであります!」
様々なパックに包まれた、屋台や出店特有の食品の数々は、食事がまだだった有羽の胃と鼻腔をいたく刺激した
「それじゃいただくが……流石にこの量は食いきれないだろうから、お腹に余裕があるなら皆も突付いてくれよ」
「お姉は余裕どころか余分なお肉が付くぐらいに食べてましたけどねー」
「そ、そういう事は言わなくていいのでありますよ!?」
「お前ら、客をほったらかしにして姉妹喧嘩しないように」
ぐりぐりと二人の頭を押さえ付け、ぼんやりと立っていたウィンチェスターの少女と沙々耶を招き入れる
「騒がしいところで済まんな。二人とも元気でやってるか?」
その言葉に、ウィンチェスターの少女がぺこりと頭を下げる
「そのせつは、おせわ、なった、です」
有羽はふと思い出す
この少女に自分の電話番号を教えたのは誰なのか
アメリカから、『陰謀論』の組織に追われてやって来た彼女に
『南米の総統』にはこちらから繋ぎを取ったのだから、少なくともその関係者では無いはずだ
「何ぼんやりとしてるの?」
沙々耶に声を掛けられ、つい考え込んでいた事を頭の隅に追いやり
「小さい子に囲まれてぼんやりして、あんたロリコン?」
「ちょっと考え事してただけだ」
「痛い痛い痛い痛い痛い!?」
人体構造に熟知した医者が極めるアームロックで沙々耶に仕置きをし
不安と疑問はとりあえず先送りにし、当面の問題である空腹をとりあえず満たす事を優先するのであった


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