「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち・決戦以降-20b

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 するり、真新しい包帯が巻きなおされていく

「アレと関わるのは、色んな意味でやめた方がいいと思うんだがな」
「俺だって、できる事なら関わり合いたくなんかなかったさ……だが、こう言う状況だからな」

 エーテルの包帯を巻きなおし、ジャッカロープに万能薬になる乳の精製を任せ、辰也はため息をついた
 …一応、自己紹介はすませている
 もっとも、エーテルの方は、辰也の情報を大体は把握している為、辰也からエーテルに話した事は少ないが

「……彼方が、H-No.1に切り捨てられたのは確かなんだな?」
「あぁ…と、言うか。お前、彼方の事を知っていたのか」
「H-No.1が、他の黒服を殺して強引に手元に置いた存在だからな。一応、面識もある」

 どう言う理由かは知らないが、H-No.1…ハンニバルは、彼方の担当だった、純粋な「組織」の黒服を秘密裏に処理してまで、彼方を手元においた
 つまり、ハンニバルは、彼方に何らかの興味を抱いていた、と言う事だ
 もっとも…辰也が、「組織」を離れる直前辺りには、もはやその興味は失せかけていたが

 ……彼方が、切り捨てられた
 つまり、ハンニバルは、彼方に対して行っていた研究に、見切りをつけたか…もしくは、彼方と言う検体に、見切りをつけたのだろう
 だが、ハーメルンの笛吹きたる、上田にぶつけた理由は……

(あのロリコン殺人鬼の戦闘データの収集……いや、それは多分、ついでか。あのロリコン変態殺人鬼のところに、彼方の妹がいたのだとしたら…)

 ハンニバルの狙いは、そちらだ
 辰也はそう確信する
 最近は興味を失ってきていたとは言え、ハンニバルは彼方と言う検体に興味を抱いていたのだ
  …その、彼方の「実の妹」、穀雨 吉静
 彼女を新たな検体として手に入れる事……恐らく、本来の目的はそれだったに違いない
 しかも、その目的すら、達せられなくてもハンニバルは気に止めなかっただろう
 それはそれで、彼方に施した実験がどこまで彼の実験が、理想とする段階まで進んで居たのかを確認できる
 ………その為だけに、彼方は切り捨てられたのだろう

 辰也の話を聞いていたエーテルは、ふと考え込むような表情になり…辰也に尋ねる

「… こちらから、情報を渡す前に。お前はハンニバルについて、どれくらいの情報を持っているんだ?」
「……「組織」内強硬派・実験推進派のトップ。元はH-No.0の部下だが、元々命令違反が多かったうえ、H-No.0が穏健派に転向した際に離脱している」

 エーテルの問いかけに、淡々と答える辰也
 知りたくもなかった情報も、自分はある程度把握しているのだ

「西洋剣の腕は、「組織」内でもトップクラス。「不死身の狂人」の呼び名に恥じない再生力を持っている事も確かだ」
「再生力?」
「少なくとも、暴走した実験体に上半身を吹き飛ばされても、即再生した場面を確認している」


 …一瞬
 全ては、ほんの一瞬であった事を覚えている
 あの男の上半身が、一瞬で大きな鈎爪のついた手で一瞬で吹き飛ばされ
 鮮血を撒き散らしながら…しかし、吹き飛ばされた部分は、一瞬で再生した
 そのまま、あの男が暴走した実験体を、一瞬で切り捨てた瞬間までを
 全て、明確に覚えていた


「あの眼帯の下がどうなっているかは、知らない。あの男の事だから、何か仕込んでいてもおかしくないとは思うが」
「否定できねぇな…に、しても、その再生力は厄介だな」

 それは、辰也もそう思う
 辰也の場合、その再生力を目の当たりにしているからこそ、余計にそう考えてしまう

 あの再生力がどこまで持続するのかはわからない
 だが、もし何度でも何度でも、際限なく再生し続けるのだとしたら……
 それこそ、消失系の攻撃か、異空間にでも閉じ込めるような攻撃…それこそ、辰也の「13階段」のような…でもなければ、ハンニバルを倒すことは、できないという事になる

「契約都市伝説が何なのか……は、わかっていないのか」
「H-No.1は、自分の契約都市伝説に関して、誰にも話していなかったようだからな」

 逆に、言えば
 契約都市伝説が判明さえすれば、明確な弱点がわかるのかもしれない
 …それがわからない以上は、どうしようもないのだが

 なにやら思案しつつも、そうか…と、考え込むエーテル
 彼が、何か言おうとした、その時……コンコン、と、部屋の扉が、軽くノックされた

「… 辰也……宏也さんが、来たぞ…?」
「宏也が?……わかった」

 すくりと立ち上がる辰也
 …一体、何の用で来たのだろうか

「悪いが、少し待っていてくれ………宏也に、あんたの事、伝えるか?」
「…宏也……H-No.360、実質ヘンリエッタの側近のあいつか………少し、考えさせておいてくれ」

 今はまだ、と答えるエーテル
 わかった、と答えて、辰也はエーテルをおいて部屋を出た
 部屋の外にいた恵が、部屋の中のエーテルと一瞬視線があったのだろうか、ぺこり、と小さく頭を下げる

 …少し歩けば、壁に背を持たれかけた宏也が待っていた
 辰也の姿に気付くと、よぉ、と軽く手をあげてくる

「何の用だよ」
「まぁ、そう言うな……今、ちょいと「組織」内が慌ただしくてな。馬鹿やらかす連中が出かねない…と言うより、一部で出てるから、警告にな」

  …馬鹿をやらかす連中
 恐らく、エーテルを襲撃した連中も、その類か

「相変わらずだな。「組織」は」
「まぁなぁ。お嬢さんなんざ、今、酷くご立腹だぜ」

 肩をすくめる宏也
 …宏也本人は、その様子を見た訳では、ないが
 イクトミから、その話を聞いていたのだ


 …「組織」上層部の定例会議
 エーテルが襲撃された直後に行われたその会議において、強硬派も過激派も、白を切り通そうとした
 ……一部が、ハンニバルにうまく乗せられて行ってしまった行為でもあるのだ
 自分達まで、巻き込まれたくないと思ったのだろう
 しかし

『……D-No.0の時のように、うやむやにするつもりか?』

 H-No.0である、ヘンリエッタが、その時口にした、声は
 その場を、一瞬で黙らせるだけの威圧感が、あった

『妾達が、何も知らぬとでも思っていたか、この小童共が。妾の元にも来よったわ…丁寧に、自爆の準備までしよった連中がな。もっとも、自爆などさせんかったがなぁ?』

 その刺客達は、既にヘンリエッタの能力影響下に入っている
 下僕と化した連中から、情報を聞き出すなど容易い

『…覚悟するが良い。あの時のように、うやむやで終わらせたりはせぬ…………E-No.0襲撃を支持した者は、必ず見つけ出してみせようぞ』

 この、ヘンリエッタの、言葉に

『そうですね……ようやく安定していこうとしていた「組織」を、再び内部から騒がせるような行為は、褒められたものではありません』

 A-No.0が同調した事は
 恐らくは、強硬派・過激派、双方にとって、最大の誤算
 そして、ヘンリエッタ達穏健派や、穏健派よりの中立派・日和見派にとっては、嬉しい誤算であった

『E-No.0、H-No.0、Y-No.0……それと、S-No.0も襲撃を受けたといっていましたね?それらの襲撃犯及び、それを指示した者は…近日中に特定し、処罰を下すとしましょう』

 逃げられると、思うな
 それだけの威圧感が……その場を、はっきりと支配したのだった


「…… まぁ、その襲撃されて生死不明状態になったって言うE-No.0、死体は見付かってないらしいからな。生き延びた可能性は高いだろうってんで、お嬢さんは探してるようだがな」
「…………そうか」
「それと、そいつの側近も、姿を消してるらしい。可愛い幼女だって言うから、変態に捕まる前に保護するべきだとは思うんだが」
「変態なのはお前も人の事は言えねぇだろ。それと、髪を伸ばすな。お前も、今は相手がいるんだから自重しろ」

 このど変態が
 盛大に突っ込みつつ…さて、と、辰也はエーテルがいる部屋の扉を、ちらりと見た
 …扉はかすかに開いたまま
 こちらの会話は、筒抜けだったはず
 さて、どう反応してくるか

 どうした?と言う宏也の言葉に何でもない、と答えながら、辰也は今後の行動に思考を向けるのだった


to be … ?



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