「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 狂科学者と復讐者-02

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 …妹である吉静と再会するより以前のことを、自分はよく覚えていない
 なぜか、ぽっかりと記憶が消えてしまっているのだ
 明也さんやサンジェルマンさんは何か知っているらしいけど、何だか聞きだしにくくて、尋ねた事はない


 ……誰かに、裏切られてしまったような気がする
 それが誰だったのか、思い出せない
 思い出そうとすると、酷く頭が痛む

 誰かから、親切にされたような気がする
 周りに秘密に、色んな事を教えてくれた人がいたような気がする
 その人の顔も名前も、自分は思い出すことができない



「お兄ちゃん?どうしたの?」
「ぁ……いや、何でもないよ、吉静」

 きょとん、と首をかしげながら見あげてきた吉静に、彼方は慌ててそう答えた
 …ぼ~っとしてしまっていたらしい
 きゅ、と吉静の手をしっかりと握りなおす

「御免、早く帰ろうか?」
「うん!」

 笑顔を見せてやれば、吉静はほっとしたように笑ってくれる
 夕食の買出しの帰り道
 夕暮れの道を、二人はゆっくりと歩いていく

「それでね、それでね。明也お兄ちゃんがその麻婆豆腐を食べきったらね、お店のお客さん達がビックリしてたの!」

 吉静は、無邪気に上田 明也の話をしてくれる
 彼方が知らない上田の話を聞かせてくれて、探偵事務所に来たばかりの彼方に、たくさんの事を教えてクレルのだ
 …そうする事で、彼方がほんのりと感じている疎外感を、薄めてくれるように
 そんな吉静の心配りが、嬉しくて、しかし、同時に申し訳ない

「吉静は、本当に明也さんに親切にしてもらっているんだね」
「うん!」

 元気に答える吉静
 …吉静は、上田をはじめとする、探偵事務所のメンバーの話はよくしてくれる
 ……しかし
 吉静自身が、上田に保護されるより前の話は…ほとんど、しない
 あまり、よく覚えていないのか、それとも、あまりよい思い出がないのか
 ……後者なのではないか、と彼方はかすかに感じ取っていた
 だから、それを尋ねようとも思わない
 妹に、つらい事を思い出させたくはないのだ


 そうして、たわいのない話をしながら、ゆっくり、ゆっくりと
 夕暮れの道を歩いていく2人
 探偵事務所まで、後、もう少し、と言う所で


「…………!」

 2人の、前に
 一人の男性が、立ちはだかった

 3,40代程だろうか
 長身で、黒いスーツを身に纏った男性
 しかし、そのスーツの上から白衣を身にまとっており、さらに、顔には眼帯がつけられていて…何だか、酷くちぐはぐな印象を与える外見をしている
 何よりも、特異なのは
 ……彼が腰から下げている、西洋風の長剣だ
 酷く立派な、豪華とも言える鞘に収められている、それ
 …それから、強い気配を彼方は感じ取った

「お兄ちゃん…?」
「…吉静……下がって」

 …嫌な汗が、背中を伝う
 目の前の男性から感じる威圧感に、彼方はかすかに恐怖を覚えた

 それだけではない
 頭がズキズキと、痛み出す

「ふむ…?生き延びていたか。はて、ハーメルンの笛吹きに治癒系の能力があったとは思えないが………協力者でもいたか」

 じゃり、と
 男性が、一歩、彼方達に近づく
 その手が、腰から下げている剣の柄に触れた

「-----っ」

 咄嗟に、彼方も携帯していた剣の柄に触れる
 とさ、と、持っていた買い物袋が、地面に落ちた


 駄目ダ、逃ゲロ
 自分ハ、コノ人ニハ敵ワナイ


 本能が、そう告げてくる
 だが、自分は逃げる訳には、いかない
 吉静を護らなければ

「…吉静、逃げるんだ!」
「え……お、お兄ちゃん!?」

 ぐ、と帽子を被りなおす彼方
 瞬間、彼方の姿が消える
 彼方が契約している「アルプ」が持つ、「透明になる帽子」の能力だ
 姿を消したまま、彼方は剣の柄を強く握り緊め……アスファルトの地面を蹴った
 驚異的な瞬発力で男性に近づきながら、剣を抜き放ち……切りかかる

 しかし

「-----っが!?」

 鮮血が、辺りに飛び散る

 彼方の剣は、男性に……届かずに
 果たして、いつの間に剣を抜いていたと言うのか
 ぱちん、と言う音と共に、男性が剣を鞘に収めて

 ………どさり
 右肩から左わき腹にかけて、ばっさりと大きな切り傷を作った彼方の体は
 切りつけられた衝撃で吹き飛ばされ、吉静の足元まで、弾き飛ばされた
 透明になる能力を維持しきれずに、傷ついた姿が露になる

「…!?お兄ちゃん、お兄ちゃん!?」

 兄の姿が消えて……次の瞬間、大怪我を負っていた
 吉静の目には、そう見えただろう
 慌てて、彼方の体を抱き起こそうとする

「……よし、ず…駄目、早く、逃げ……」
「先手の一撃、良い判断だ。だが、力が足りんな」

 一歩
 男性が、彼方達に近づいてくる

「ふむ………強化剤を投与した割りには、スピードが……薬を体から抜いたのか?それにしては、あまり身体能力が落ちていないな」

 …一歩
 また、近づく

「……改めて回収して調べるのも、一興か」

 …吉静は、ここから逃げる事ができない
 彼方を置いて逃げることなど、彼女には、出来ない
 ……やっと見つけた家族を置いて逃げるなど、できるはずもない

 しかし
 彼方も、吉静も…この男性には、敵わない
 吉静は知らないし、彼方は忘れてしまった事だが
 この男性の名前は……ハンニバル・ヘースティングス
 「組織」所属の黒服、通称「不死身の狂人」なのだから

 一歩、また一歩と
 ハンニバルは、吉静達に近づいて
 ……その、手が
 吉静達に伸ばされようとした、その時


「その手で、吉静ちゃん達に触れないでもらおうか」


 駆けつけた、男がいた
 護るべき者を護る為に
 今、彼は不死身の狂人の前に立つ


「あ………ぁ」
「吉静ちゃん、君達を、助けに来た!!!」
「--------っ明也お兄ちゃん!!」

 上田 明也
 彼は、素早く吉静達とハンニバルの間に割り込んだ
 鋭い敵意をハンニバルに向け、睨みつける

「メル、吉静ちゃん達を連れて逃げろ!」
「はい!……マスター、無茶はしないでくださいよ!」

 メルが、彼方と吉静を回収していく
 吉静が、上田を置いていくことを拒否するように叫んでいる声が聞えたが……今は、それに答える訳にも、いかない

「ふむ?………君が、ハーメルンの笛吹きの契約者か」
「さて……どうだろうな」

 …ハンニバル・ヘースティングス
 サンジェルマンから話は聞いているが…どんな都市伝説と契約して飲み込まれた存在なのか、そこまではわからない
 サンジェルマンをもってしても、彼が何の都市伝説に飲み込まれたのか、知る事ができなかったのだ
 そこまで…ハンニバルは、己を飲み込んだ都市伝説を、隠しとおそうとしている

(つまり、その都市伝説さえわかれば、対策はできる訳だ)

 ならば、見極めてやろうじゃないか
 上田が、まずは軽く先制攻撃しようとした、瞬間


 ---すぱぁんっ


「へ?」

 何時の間にか……目の前まで、ハンニバルが接近してきていて
 既に、剣は抜かれていた

 …右腕が、軽い
 否
 ……右腕、が
 喪失した

「---っぐ!?」

 右腕を、切り飛ばされた
 コートに隠していた武器を、取り出す間もなく
 一瞬の、抜刀

「この…っ」
「遅い」

 ひゅんっ、と
 剣が、振るわれた…らしかった
 らしかった、というのは
 上田には、それが見えなかったから

 気づいた時には、上田の体は…ごとり
 アスファルトの道路の上に、転がっていた

 上半身と下半身が、切り離された、姿で

「検体の回収を、邪魔されては困るのだがね」

 ぱちん、と
 剣が、鞘に収められる
 ハンニバルはそのまま、メルが吉静達を連れて走り去っていった方向へと向かおうとして

「…ま、て!」
「…?」

 ぎ、と
 上田は、ハンニバルを睨みあげた
 上半身と下半身を切り離されながらも……上田は、まだ生きている
 そして、切り離された体は…ゆっくりと、元に戻ろうとしていっている

 ふむ、と
 ハンニバルは、その姿を見下ろして

「……ぐぁ!?」

 ---ざん!と
 再び鞘から抜き放たれた剣の切っ先が、上田の体に突き刺さった
 辛うじて、心臓を貫かれる事は免れたものの……恐らく、肺を片方、貫かれた
 呼吸が、うまくできない

「ふぅむ……はて、既に二度は殺したつもりだが……まだ、生きているか」

 上田を見下ろす、ハンニバルの視線に
 ……上田への興味が、芽生え始める

「…さて」

 剣が、上田の体から抜き放たれた
 血塗れの切っ先を、目の前に突きつけられる

「君は、何度殺せば死ぬのかね?」






to be … ?







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