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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 三面鏡の少女-58

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Elfriede

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三面鏡の少女 58


「いってらっしゃいませ、ご主人様」
「ああ、また後でな」
頬を染めてはにかみながら見送ってくれる佳奈美に、宏也は頬への口付けという止めの一撃を落としてメイド喫茶を後にした
真っ赤になってはわはわと周囲の視線を気にしてうろたえる佳奈美が、クラスメイト達によって調理場兼控え室に引き摺り込まれていく様を見て、とりあえずは一仕事終えたなと実感する
一連の行為により、まず佳奈美の口から付き合っている男としての宏也の存在が伝わるだろう
メイド姿の佳奈美を口説こうという輩も気後れするだろうし、ただのセクハラにならクラスメイトの警戒も厳しくなると想定される
質問攻めが起これば佳奈美のシフトは減っていき、他の客にメイド姿を披露する時間も短くなる
更には学園祭の準備で久しく欠乏していた佳奈美の恥ずかしがり成分も充分に摂取して元気一杯といった調子だ
「後は懐かしい学生時代の雰囲気を楽しみながら過ごして、一緒に帰る算段なんかを立てれば完璧なんだが」
職員室寄りのやや人気が薄い廊下へ入り込みながら、背後から溢れ出すただならぬ殺気を放つ相手に語り掛ける
その返事とばかりに空気を切って飛来した物体を、宏也の髪の毛が勢いを殺して受け止める
「備品は大事に使えよ、メイドさん?」
振り返り、受け止めたおぼんを差し出した先には、繰がその髪の毛をざわざわと蠢かせながら仁王立ちしていた
腕のような形に編み込まれた髪の毛が、差し出されたおぼんを乱暴に奪い取って繰の手元へと運んでいく
「学校で能力使うなら、もうちょっとバレないようにしとけよな。今日はただでさえ人が多いんだろ?」
「うるせぇ黙れ……私の友達に手ぇ出すなって言ったはずだよな? ていうか佳奈美はもう付き合ってる奴がいるんだよ」
「ああ、それ俺」
模擬店の呼び込みの声や、学生達がはしゃぐ賑やかな声が、何かやけに遠くから響いているような
そんな微妙な空気の沈黙が二人の間に漂っていた
「誰が、誰と、付き合ってるって?」
「俺と、佳奈美が。結構前から」
「嘘だッ!!!」
「いやホントホント、佳奈美に聞いてみろよ。というか今頃多分質問攻めだな、あのクラスの雰囲気だと」
軽い調子で返す宏也を、わなわなと震えながら睨み付ける繰
「どういう接点よ、佳奈美とあんたが!? 何処で出会ってどういう弱みを握って脅した!?」
「いや普通に黒服と契約者だろ? 担当してたんだよ。あと脅してるような事は一切無い」
弱みは色々握ってはいるが、それは脅すためでなくリアクションを楽しむためなのでノーカウントと判断し口には出さない
「契約者って……あの子に危ない事させてんの!?」
「逆だ逆、戦闘とか全然できない能力だから保護してる。俺が護衛みたいなもんだ、契約者は都市伝説や契約者と遭遇しやすいしな」
「吊り橋効果ってやつでしょ、絶対」
「いやもう超ラブラブ。佳奈美はまだ高校生だからと健全なお付き合いしてる俺の我慢強さを褒め称えてもらいたいぐらいに」
「信用できるわけないでしょ、あんたみたいなセクハラで出来てるような人間を」
「俺ぐらい真面目で信用できる人間はそうそう居ないと思うんだがなぁ」
味方なら、という但し書きを声には出さずに付け加える
「俺が信用できないなら佳奈美に聞いてみろよ。俺と知り合いだったって言えば、理性が飛びそうなぐらい可愛いはにかみ顔で照れ照れしながら語ってくれるぞきっと」
「……確認してくるから、逃げるんじゃないわよ?」
「そりゃこっちの台詞だな。俺と佳奈美の関係が真っ当なもんだと判ったら、さっきの奇襲のお詫びぐらいはしてもらわんとな」
そう言うと宏也は、ポケットから小さな布の塊を取り出した
「何それ」
ひらりと布の塊を広げると、それはとても見覚えのあるもので
「ちょ、それ私の!? い、いつの間に!?」
「学校だしかなり気を遣ったんだぜ? 周りを壊さず、大きな騒ぎにせず、相手を傷付けず無力化する戦い方をな」
顔を真っ赤にし、何を言うべきか困り果て口をぱくぱくと動かしている繰
「か、かかっ、かかか、返しなさいよ!?」
「俺と佳奈美の関係が、お前さんの疑うようなものだったらな。土下座して謝るし、好きなだけボコる権利もつけてやろう」
にやりと笑い、宏也は言葉を続ける
「俺と佳奈美が健全に付き合ってるのが真実だったら、これは俺のもの。その上でメイド喫茶できっちり俺にご奉仕してもらおうじゃないか」
一応、繰のゴスロリメイド服がそれなりにスカートの裾が長いからの提案である
第一モロに見えてもそれはそれで嬉しいが風情が無い
見えないのにスカートの下を気にするから良いんじゃないか
そんな宏也の内心など知る由も無く
「かっ、佳奈美に確認取ってきて、ボッコボコにしてやるからね!? に、ににに逃げんじゃないわよ!?」
雰囲気から敗北を察しながらも、一縷の望みに賭けて涙目になる繰

ちなみに繰が取られたものを返してもらえたのは、メイド喫茶で一通りご奉仕の末に佳奈美を加えた三人での写真撮影をした後の事だったという


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