「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - とある組織の構成員の憂鬱-55

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「……彼女が」

 ゆっくりと
 大門 大樹は、口を開く

「彼女の人生が、「組織」に蝕まれ続けていると言うのならば…私は、「組織」から彼女を護り続けるまでです」

 きっぱりと
 大樹は、そう言い切った
 強い強い、絶対の意志を持って、そう言い切る

 それは、何者にも揺らがす事のできぬ、強い意志
 世界の流れすら変えかねない、神にすら手出しできぬ、絶対たる意志
 彼が、大門 大樹たる、その根源とも呼べる強い意志の力
 それが、表に表れる

「……戦う力も、ない癖に、か?」
「…確かに、私は戦闘能力はほぼ皆無です…それでも、護りきります。必ず」

 たとえ、どんな言葉をかけられようとも
 どんな運命が待ち構えていようとも
 …その意志は、誰にも揺るがす事ができない
 愛美は、それを理解する

「「組織」に所属しているお前に、どこまでそれができる?」
「…彼女を護る上で、「組織」に所属し続ける事が、マイナスになるのでしたら……私は、「組織」から抜けても、かまいません」

 ほぅ?と、愛美は少々、意外さを感じた
 望と翼、その二人の契約により、もはや「組織」に縛られなくなっても、「組織」に所属し続けている大樹
 …その、大樹が
 「組織」を抜けることすら、視野に入れている

(……「組織」よりも、契約者を優先している、と言う事か?…いや、それにしては…)

 ……ふと、気になった事を
 愛美は、大樹に尋ねる

「…お前は、望の事を、どう思っている?」
「?大切な存在ですよ、望は」

 何故、そんな当たり前の事を聞くのか、とでも言うように
 大樹が、小さく首を傾げてきた

 当たり前
 …そうだろう
 契約者持ちの都市伝説にとって、契約者は大切な存在だ

 ……そんな理由?
 いや、違う
 大樹が、望を大切な存在を言っている理由は、それではない
 愛美の勘が、それを告げる

「…大切、というのは、どういう意味でだ?」
「そう、おっしゃいますと?」
「たとえば、家族として、とかだ」


 …おそらくは
 以前の大樹ならば、その例えが、答えそのものだったろう
 望の事が、家族として大切なのだ、とそう答えただろう


 しかし
 その答えが変化したのは、いつからだったのか
 ……大樹はそれを、自覚していない


「…そうですね……これが、どんな感情であるのか、正直、まだ私もはっきりと理解してはいません………ただ、はっきりと言えるのは、私にとって望は、この世で唯一であり絶対である、大切な存在である、と言う事です」

 たとえ、世界を敵に回したとしても、彼女を護り続けてみせる
 たとえ、世界のすべてが彼女を許さなくとも、自分が彼女を許す

 自分にとって、望が唯一であるように
 自分もまた、望の唯一でありたいと
 そう、強く願う

 大樹の、その意志を感じ取って
 …かすかに、愛美は身震いした

(……?何故?)

 何故、自分は今、震えた?
 一瞬、ほんの一瞬でしか、なかったが
 目の前の、この戦う力すら持たない、この男が……何よりも恐ろしい存在に、見えたような
 まるで、世界の敵、そのものに見えたような……そんな、錯覚

 錯覚でしかない
 そんな事、ありえない
 ……あるはずが、ない

「これが、私の答えです」

 その、大樹の声で、愛美は正気に戻った
 目の前では、大樹がいつもと変わらぬ、穏やかな表情を浮かべている

「…私にとって、望は、何にも、誰にも変えがたい、大切な存在です。何を敵に回してでも、必ず…彼女を、護りぬいてみせます」

 揺るがす事のできぬ、絶対の意志
 それが、目の前に存在している

 大門 大樹
 都市伝説に飲み込まれながらも、人の心を失わなかった男
 強い、強い意志を持った存在


 その、絶対の意志を揺るがす事も、打ち砕く事も
 この世に生きる者すべて、いや、この世の者でなくとも
 それは、絶対に不可能なのだ



to be … ?




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