「……彼女が」
ゆっくりと
大門 大樹は、口を開く
大門 大樹は、口を開く
「彼女の人生が、「組織」に蝕まれ続けていると言うのならば…私は、「組織」から彼女を護り続けるまでです」
きっぱりと
大樹は、そう言い切った
強い強い、絶対の意志を持って、そう言い切る
大樹は、そう言い切った
強い強い、絶対の意志を持って、そう言い切る
それは、何者にも揺らがす事のできぬ、強い意志
世界の流れすら変えかねない、神にすら手出しできぬ、絶対たる意志
彼が、大門 大樹たる、その根源とも呼べる強い意志の力
それが、表に表れる
世界の流れすら変えかねない、神にすら手出しできぬ、絶対たる意志
彼が、大門 大樹たる、その根源とも呼べる強い意志の力
それが、表に表れる
「……戦う力も、ない癖に、か?」
「…確かに、私は戦闘能力はほぼ皆無です…それでも、護りきります。必ず」
「…確かに、私は戦闘能力はほぼ皆無です…それでも、護りきります。必ず」
たとえ、どんな言葉をかけられようとも
どんな運命が待ち構えていようとも
…その意志は、誰にも揺るがす事ができない
愛美は、それを理解する
どんな運命が待ち構えていようとも
…その意志は、誰にも揺るがす事ができない
愛美は、それを理解する
「「組織」に所属しているお前に、どこまでそれができる?」
「…彼女を護る上で、「組織」に所属し続ける事が、マイナスになるのでしたら……私は、「組織」から抜けても、かまいません」
「…彼女を護る上で、「組織」に所属し続ける事が、マイナスになるのでしたら……私は、「組織」から抜けても、かまいません」
ほぅ?と、愛美は少々、意外さを感じた
望と翼、その二人の契約により、もはや「組織」に縛られなくなっても、「組織」に所属し続けている大樹
…その、大樹が
「組織」を抜けることすら、視野に入れている
望と翼、その二人の契約により、もはや「組織」に縛られなくなっても、「組織」に所属し続けている大樹
…その、大樹が
「組織」を抜けることすら、視野に入れている
(……「組織」よりも、契約者を優先している、と言う事か?…いや、それにしては…)
……ふと、気になった事を
愛美は、大樹に尋ねる
愛美は、大樹に尋ねる
「…お前は、望の事を、どう思っている?」
「?大切な存在ですよ、望は」
「?大切な存在ですよ、望は」
何故、そんな当たり前の事を聞くのか、とでも言うように
大樹が、小さく首を傾げてきた
大樹が、小さく首を傾げてきた
当たり前
…そうだろう
契約者持ちの都市伝説にとって、契約者は大切な存在だ
…そうだろう
契約者持ちの都市伝説にとって、契約者は大切な存在だ
……そんな理由?
いや、違う
大樹が、望を大切な存在を言っている理由は、それではない
愛美の勘が、それを告げる
いや、違う
大樹が、望を大切な存在を言っている理由は、それではない
愛美の勘が、それを告げる
「…大切、というのは、どういう意味でだ?」
「そう、おっしゃいますと?」
「たとえば、家族として、とかだ」
「そう、おっしゃいますと?」
「たとえば、家族として、とかだ」
…おそらくは
以前の大樹ならば、その例えが、答えそのものだったろう
望の事が、家族として大切なのだ、とそう答えただろう
以前の大樹ならば、その例えが、答えそのものだったろう
望の事が、家族として大切なのだ、とそう答えただろう
しかし
その答えが変化したのは、いつからだったのか
……大樹はそれを、自覚していない
その答えが変化したのは、いつからだったのか
……大樹はそれを、自覚していない
「…そうですね……これが、どんな感情であるのか、正直、まだ私もはっきりと理解してはいません………ただ、はっきりと言えるのは、私にとって望は、この世で唯一であり絶対である、大切な存在である、と言う事です」
たとえ、世界を敵に回したとしても、彼女を護り続けてみせる
たとえ、世界のすべてが彼女を許さなくとも、自分が彼女を許す
たとえ、世界のすべてが彼女を許さなくとも、自分が彼女を許す
自分にとって、望が唯一であるように
自分もまた、望の唯一でありたいと
そう、強く願う
自分もまた、望の唯一でありたいと
そう、強く願う
大樹の、その意志を感じ取って
…かすかに、愛美は身震いした
…かすかに、愛美は身震いした
(……?何故?)
何故、自分は今、震えた?
一瞬、ほんの一瞬でしか、なかったが
目の前の、この戦う力すら持たない、この男が……何よりも恐ろしい存在に、見えたような
まるで、世界の敵、そのものに見えたような……そんな、錯覚
一瞬、ほんの一瞬でしか、なかったが
目の前の、この戦う力すら持たない、この男が……何よりも恐ろしい存在に、見えたような
まるで、世界の敵、そのものに見えたような……そんな、錯覚
錯覚でしかない
そんな事、ありえない
……あるはずが、ない
そんな事、ありえない
……あるはずが、ない
「これが、私の答えです」
その、大樹の声で、愛美は正気に戻った
目の前では、大樹がいつもと変わらぬ、穏やかな表情を浮かべている
目の前では、大樹がいつもと変わらぬ、穏やかな表情を浮かべている
「…私にとって、望は、何にも、誰にも変えがたい、大切な存在です。何を敵に回してでも、必ず…彼女を、護りぬいてみせます」
揺るがす事のできぬ、絶対の意志
それが、目の前に存在している
それが、目の前に存在している
大門 大樹
都市伝説に飲み込まれながらも、人の心を失わなかった男
強い、強い意志を持った存在
都市伝説に飲み込まれながらも、人の心を失わなかった男
強い、強い意志を持った存在
その、絶対の意志を揺るがす事も、打ち砕く事も
この世に生きる者すべて、いや、この世の者でなくとも
それは、絶対に不可能なのだ
この世に生きる者すべて、いや、この世の者でなくとも
それは、絶対に不可能なのだ
to be … ?