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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 狂科学者と復讐者-07

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 …肩で息をしながら、直希は天使を制御する
 ゾフィエル、ゼルエル、アフ、ヘマハ、マシト
 5体もの天使の同時召喚、そして制御
 直希の限界、ギリギリだ

 そもそも、直希は本来、この「光輝の書」自体との相性が、あまり良くないのだ
 無神論者である直希が、契約できただけでも奇跡的な都市伝説である「光輝の書」
 ただ一人の天使を召喚するにも、後で激しい疲労感と言う反動に襲われるというのに、ここまで力を引き出している
 元々体の弱い直希には、かなりの重い負担がのしかかっている

「我等が主(マイ・マスター)!これ以上無理をなさっては…」
「……ザフキエルか…問題ない。まだ、やれる」

 召喚を待たずして、自主的に姿を現し、警告をしてくるザフキエルに、直希はそう答えた
 そうだ、自分は、まだやれる
 自分の大切な友人を害した者を、ここで見逃すなどできるはずもない…!

「…ふぅむ、思ったよりは持つな……面倒だ、本体を叩くか」
「!」

 攻撃を避け続ける事に、飽きてきたのか
 再び、ハンニバルが直希に向かって突進してくる
 天使の制御に精一杯の直希では、それを避ける事はできない…そもそも、身体能力が人並み以下の直希では、ハンニバルのスピードに対応する事など、不可能だ

 ぎぃん!と、金属と金属がぶつかり合う音が響く
 ギリギリのところでゼルエルが二人の間に割り込み、盾で攻撃を防いだのだ

 --っぱきん、と
 ゼルエルの盾が、真っ二つに切り裂かれる

「っふん…契約者よりも、天使の方が優秀らしい」
「…その通りだ。正直、僕などにはもったいない都市伝説だよ、彼らは」

 ハンニバルの挑発めいた言葉に、直希は小さく笑って答える
 …その表情は、血の気が引いて真っ青になっている
 体力の、限界点が近いのだ

 それを見切るように、ハンニバルが剣を振るう
 ゼルエルが盾を精製しなおすのが、間に合わない
 直希の細い体を両断せんと、剣が横なぎに振るわれて


 その、剣が
 何者かに、受け止められた


「む………!?」
「…!」

 …剣を受け止めたのは、一人の男
 灰色のコートを身にまとい、金色の瞳をサングラスで隠した、壮年の男性だ
 剣を受け止めたその手は、まるで竜の手のように鱗で覆われ、鋭い爪が生えている

「…間に合ったか」
「……朝比奈…秀雄…っ」

 朝比奈 秀雄
 かつて、学校町を混乱に陥れようとして、その野望を打ち砕かれ…そして、本来の心を取り戻した男
 直希の、大切な親友の父親
 ……そして、ハンニバル・ヘースティングスと言う存在を、憎み、探し続けた男
 じろり、朝比奈はサングラス越しにハンニバルを睨み付けた

「…見つけたぞ、ハンニバル・ヘースティングス」
「朝比奈 秀雄か……はて、君に名前を覚えられるような事をした覚えは、ないのだが」

 たんっ、とハンニバルが直希達から距離をとる
 …それとほぼ同時に、直希はがくりと膝を突いた
 ……意識が朦朧としてきている
 体力の限界点を、超えそうになっているのだ
 直希が召喚した天使達が、慌てて直希の付加を減らそうと、「光輝の書」に戻っていく

「…朝比奈………なぜ、ここに」
「………晴海の仇を探していた。それだけだ」

 直希を庇うように、その前に立つ朝比奈
 短く、告げる

「……それに。息子の友人が危機に瀕しているのならば、助けない訳にもいくまい」
「…むぅ」

 ……あの騒動の後、息子である翼との関係を改善しようと努めている朝比奈
 そんな彼だからこそ、ハンニバルを見つけた瞬間…それを攻撃するよりも、直希を庇う事を優先したのだろう
 己の中に残る「黄金伝説」のドラゴンの力を表に引き出しながら、朝比奈はハンニバルを油断なく見据える

「ふむ……晴海、か。なるほど、あの女の関係者だったか…」
「……彼女を、弄び殺したお前を……私は、許す事ができない」
「弄ぶ?……彼女は、神を超える為の研究に役立った。弄んだつもりなどないのだがね」
「………黙れ、下種が」

 …ハンニバルを、睨み付けながらも
 朝比奈は、積極的に攻撃に出る事ができない
 背後に、直希を庇っているからだ
 そうでなくとも…今の朝比奈では、ハンニバルを殺しきれない
 かつての、数体もの黄金伝説のドラゴンと多重契約を結んでいた状態ならば、その圧倒的な力でもって、ハンニバルの再生力の源ごと、彼を叩き殺す事ができたかもしれない
 しかし……今の朝比奈には、そこまでの力はない
 ハンニバルを殺しきるには、パワー不足なのだ
 それに……今の朝比奈の体は、契約都市伝説による、長時間の戦闘に、耐えられる体では、ない
 どこまでも、ハンニバルに対して不利な状態だ

「…おや、来ないのかね?ならば、こちらから行くぞ」
「っ!」

 ハンニバルが、朝比奈の首を切り落とすように、切りかってくる
 っが、と
 竜の鱗を具現化させ、絶対の強度を誇る体となった朝比奈の首が、それを受け止めた

「……っ」

 衝撃が、思った以上に強い
 斬撃の勢いに吹き飛ばされそうになるのを、足を半ばアスファルトにめり込ませることで耐えた朝比奈
 ハンニバルの剣をつかみ、その体を振り回す

「ぬぅ……っ!?」

 ぶぅん、と
 その体を、宙へと放り投げ

「……焼け死ね」

 朝比奈の体内で精製された、竜の吐息が
 ハンニバルを狙い撃ち、焼き尽くす

 だが、それでもハンニバルは即座に再生を始める
 朝比奈は小さく舌打ちすると、直希の体を抱えあげた

「……撤退する。丁寧な運び方はできない。耐えてくれ」
「…むぅ…………撤退、しか、ないのか」

 悔しそうな表情を浮かべる直希
 友を、天地を害したハンニバルを前に……何もできない、悔しさ
 己の無力感を、直希は噛み締める

「逃がすとでも、思っているのかね?」

 再生を終えたハンニバルが、背中から竜の翼を生やし、空中へと逃れようとする朝比奈に切りかかろうとする
 …強靭な肉体を持っているとは言え、羽の付け根は脆い
 狙われれば、ひとたまりもない…!

「……っ、呪い殺せ、ドゥマ!!」

 残された力を振り絞り…直希は、一体の天使を召喚した
 褐色の肌を持ち、その肌の上に幾重もの魔術文字を刻んだ、目を閉じた天使
 背負う天使の翼は、漆黒
 堕天使の、悪魔の証明
 …閉じられた、天使の……沈黙と、死の静寂をつかさどる天使、ドゥマの目が、見開かれた
 その目は、ハンニバルを捕らえる

「…我等が主(マイ・マスター)のご命令デス……我等が敵に、死の静寂をあたえマス…」
「ぐ、ぬぅっ!?」

 …ハンニバルの、体を
 呪いの力が蝕みはじめる
 呪い返しをする余裕すら与えない
 それは、通常ならば、絶対の死を与える能力
 かのマゾサンタのような不死者でもない限り…無限の再生力を持ってしても、その精神を殺しかねない、強い呪いの力
 直希の体力が限界であるゆえ、完全ではないが…それでも、その力はハンニバルを蝕む

「我等が敵は、全て死刑、デス………デス。デス、デス、デス、デス、デス、デス…………デスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスdeathdeathdeathdeathdeathdeathdeathdeath!!!!」
「ぐ、あぁああああああっ!!??」

 ハンニバルの苦悶の声を聞きながら…朝比奈は直希を抱え、空へと撤退を開始する
 ある程度飛べば…飛行手段を持たないハンニバルの剣は、もはや彼らに届かない
 そこまで到達したところで、直希はドゥマを「光輝の書」へと、戻した

「…無茶をする」
「………親友の父親を怪我させたなどとなっては………僕は、翼に申し訳ないからな」

 小さく、苦笑する直希
 …その意識は、もはや朦朧としている

「…むぅ………やはり、僕では…翼や誠のようには、うまくいかない、らしい……………申し訳、ないが……眠ってしまっても、かまわないだろうか?」
「……かまわない。どこへ送ればいい?」
「……そう、だな……………北区の、教会に………彼らとも…連携、しない、と……」

 …話している最中で、限界にたっしたのだろう
 糸の切れた人形のように、直希は意識を失った
 その体を抱えたまま、朝比奈は空を飛び続ける


 …やっと見つけた、仇を
 殺す方法を、模索しながら







to be … ?




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