「……はぁ、はぁっ…くそ、なんなんだよ…!」
夕暮れ時の路地を一人の青年が走っていた。
青年の背後から、ホッケーマスクを被った男が斧を携えて追いかけてくる。
青年は追われていた。13日の金曜日に現れ、人々を惨殺する、と言われているジェイソンに。
夕暮れ時の路地を一人の青年が走っていた。
青年の背後から、ホッケーマスクを被った男が斧を携えて追いかけてくる。
青年は追われていた。13日の金曜日に現れ、人々を惨殺する、と言われているジェイソンに。
そもそも、今日は13日の金曜日ではないし、映画に出てくるジェイソンが何故実在しているのかも分からない。
青年は、この町―学校町でバイトをしようと思ったのと、学校町に住んでいる双子の従妹から『今週末、良かったら一緒にフェアリーモートのデザートフェスタに行かないか』と誘われたので、4年ぶりに学校町に戻ってきた。
安アパートの一室を借り、荷物の整理を終えて買い出しに向かう途中、ジェイソンに襲われた。
青年は、この町―学校町でバイトをしようと思ったのと、学校町に住んでいる双子の従妹から『今週末、良かったら一緒にフェアリーモートのデザートフェスタに行かないか』と誘われたので、4年ぶりに学校町に戻ってきた。
安アパートの一室を借り、荷物の整理を終えて買い出しに向かう途中、ジェイソンに襲われた。
(そもそも、この町こんなに危なかったか?伯母さん達、大丈夫なんだろうな?)
意識がそれた為か、足もとの小石に躓いてがくり、と体勢を崩す。
倒れる前に体勢を立て直したものの、反射的に振り向いた彼が見たのは後数メートルにまで迫り、彼の背に狙いを定めて斧を振りかぶっているジェイソン。
――――!
死ぬな、と思った。
意識がそれた為か、足もとの小石に躓いてがくり、と体勢を崩す。
倒れる前に体勢を立て直したものの、反射的に振り向いた彼が見たのは後数メートルにまで迫り、彼の背に狙いを定めて斧を振りかぶっているジェイソン。
――――!
死ぬな、と思った。
だが、斧が青年の命を奪う事はなかった。
……ヒュウゥ、と
彼の背後から吹き付けた冷気が、氷となってジェイソンの持つ斧を、四肢を凍らせていた。
……ヒュウゥ、と
彼の背後から吹き付けた冷気が、氷となってジェイソンの持つ斧を、四肢を凍らせていた。
「……え?」
思わぬ出来事に呆然とする青年。
視線を、背後―冷気が吹いてきた方へと向ける。
路地に、青を基調とした着物を着た、13、14歳位の少女が立っていた。
雪のような白い肌と白い髪。瞳だけが、血のように赤い。
思わぬ出来事に呆然とする青年。
視線を、背後―冷気が吹いてきた方へと向ける。
路地に、青を基調とした着物を着た、13、14歳位の少女が立っていた。
雪のような白い肌と白い髪。瞳だけが、血のように赤い。
パキパキと、小さな音が聞こえた。
冷気が弱いのだろうか。一度はジェイソンの自由を奪ったものの、ジェイソンが四肢を抜こうとするたびに氷が小さな音をたてて砕けていく。
冷気が弱いのだろうか。一度はジェイソンの自由を奪ったものの、ジェイソンが四肢を抜こうとするたびに氷が小さな音をたてて砕けていく。
少女が、口を開く。
「今のうちに、お逃げになって下さい。ここで起きたことは、どうか、忘れて下さいませ。今なら、まだ引き返せます…」
「……何言ってんだよ。命の恩人を、女の子を見捨てて逃げられる訳ないだろ!?」
「私も、あの者も人ではありません…ですから、お気遣いは無用です」
「人じゃ、ない…?」
「私も、あの者も、都市伝説という存在なのです」
「都市伝説って…「口裂け女」とか「人面犬」とかいう、あれか?」
「はい…」
「今のうちに、お逃げになって下さい。ここで起きたことは、どうか、忘れて下さいませ。今なら、まだ引き返せます…」
「……何言ってんだよ。命の恩人を、女の子を見捨てて逃げられる訳ないだろ!?」
「私も、あの者も人ではありません…ですから、お気遣いは無用です」
「人じゃ、ない…?」
「私も、あの者も、都市伝説という存在なのです」
「都市伝説って…「口裂け女」とか「人面犬」とかいう、あれか?」
「はい…」
ひと際大きなバキッという音が聞こえて、見ると、ジェイソンが片足を引き抜いた所だった。
「……教えてくれ。あいつを倒すにはどうすればいい?」
「だ、駄目です!都市伝説と関わったら、日常に戻れなくなってしまいます!」
「君に助けられた時点で逃げなかった時から、覚悟は決めてる。
言っただろ?命の恩人を見捨てて逃げられる訳無いって」
「だ、駄目です!都市伝説と関わったら、日常に戻れなくなってしまいます!」
「君に助けられた時点で逃げなかった時から、覚悟は決めてる。
言っただろ?命の恩人を見捨てて逃げられる訳無いって」
しばし、少女は迷っていたようだったが…やがて、決心したように青年を見据える。
「……私と…契約して下さいませ」
「契約…?分かった。君と契約する」
「……私と…契約して下さいませ」
「契約…?分かった。君と契約する」
ジェイソンに向かって少女が、ふぅ…と息を吹きかけた。それは冷気となってジェイソンを襲い…契約したからか、瞬く間にその全身を凍りつかせた。
少女は目を閉じて意識を集中させ、氷の槍を生み出す。
それは氷象となったジェイソンを貫き、ジェイソンだったものは光の粒となって消えていった。
少女は目を閉じて意識を集中させ、氷の槍を生み出す。
それは氷象となったジェイソンを貫き、ジェイソンだったものは光の粒となって消えていった。
「……終わった、のか?」
「そのようですね…」
「ありがとう、助けてくれて…君のおかげだ。
…そういえば、自己紹介がまだだったよな…
俺は白峰 徹。君は?」
「いえ…目の前で都市伝説に襲われている方を見たら、放って置けなくて…
私は、雪姫と申します。よろしくお願い致しますね、主様(ぬしさま)」
「……雪姫?」
「えぇと…火に強い雪女だと思っていただければ…」
「そうか…よろしくな、ユキ」
「………ユキ?」
きょとん、とする雪姫。
「ああ…君の名前。気に入って貰えるか分からないけど…」
「ありがとうございます主様…主様から頂いた名、大切に致します!」
ユキは与えられた名前を幸せそうに反芻していた。
「そのようですね…」
「ありがとう、助けてくれて…君のおかげだ。
…そういえば、自己紹介がまだだったよな…
俺は白峰 徹。君は?」
「いえ…目の前で都市伝説に襲われている方を見たら、放って置けなくて…
私は、雪姫と申します。よろしくお願い致しますね、主様(ぬしさま)」
「……雪姫?」
「えぇと…火に強い雪女だと思っていただければ…」
「そうか…よろしくな、ユキ」
「………ユキ?」
きょとん、とする雪姫。
「ああ…君の名前。気に入って貰えるか分からないけど…」
「ありがとうございます主様…主様から頂いた名、大切に致します!」
ユキは与えられた名前を幸せそうに反芻していた。
続く…?