「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - とある組織の構成員の憂鬱-57

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「ねぇ、望」
「何よ」

 落ち込んでる翼は、大樹とノロイが慰めているから無視するとして
 詩織に声をかけられ、望は顔をあげる

「プール行くのいいけどさ、スクール水着で行く気?」
「それでいいじゃない。別に、新しい水着買う必要もないでしょ」

 別に、サイズが大きく変わった訳でもないし、買い換える必要は…

「大樹も一緒に行くんだし、せっかくだから新しいの買ったら?大樹を誘惑できそうなセクシーなのとか」
「!!??」

 な
 なななななななななな
 何を言い出すのだ!?
 詩織の言葉に、思わず赤くなる望

 誘惑、ゆうわく、YUUWAKU
 …大樹さんを
 誘惑?
 で、できる訳ないだろう、そんな事
 大樹の鈍さはさておき、恥ずかしさとか恥ずかしさとか照れくささとか、そんな感じで

「?どうかなさったのですか?」

 赤くなっている望の様子に、首をかしげた大樹
 望は、慌てて首を左右にふる

「な、何でもな…」
「ねー、大樹。望スクール水着しか持ってないからさ。せっかくの機会だし、水着買ってもいいわよね?」

 こらこらこらっ!?
 何を言い出すか?!
 急いで、詩織の口をふさごうとする望
 だが

「あぁ、そうですね。問題ないと思いますよ」

 やんわり微笑み、そう答えてきた大樹
 …ニヤり、と
 一瞬、詩織が笑う

「せっかくだし、大樹が選んであげたら、水着」
「!?」
「私がですか?」

 ぽんぽんぽぽぽん、とますます赤くなっていく望
 が、大樹はその様子に気づいていないようで、詩織の言葉に首をかしげる

「しかし、女性の水着でしたら、私よりも詩織さんが選んで差し上げた方が…」
「いやいや、男性からの意見も重要よ?」
「…そんなものですか?」
「そんなものよ」

 ニヤニヤと笑い続ける詩織
 望が赤くなって、フリーズしているその隙に、あっという間に、望と大樹で、望の水着を買いに行く約束を取り付けさせてしまったのだった




 …望がフリーズしている様子に、首を傾げつつ
 大樹は、どこか心配そうに望を見つめた
 ……翼が、話してくれた情報
 「組織」のK-No.0が…望の運命を、過酷なものにしている張本人であろう、事実
 …その事実に、はっきりとした怒りを覚える
 何故、彼女の運命を、そのK-No.0が弄ぼうとしているのか、弄んでいるのか、わからない
 ………だが、どんな理由があるにせよ、許せるものではない

(…しかし…相手は0ナンバー。そう簡単に接触できる相手でもありませんね…)

 契約都市伝説も厄介だ
 もし、敵対したならば…恐ろしい相手になるであろう事は確定だ

 だが、それでも
 自分は、逃げる訳にはいかない
 立ち向かわなければならない
 たとえ、どんな存在が相手になろうとも
 たとえ、世界の全てを敵にまわしたとしても
 自分は、望を支え、護ると誓ったのだから
 …その、誓いに付属する、その誓いと共に生まれた感情に、まだ少し戸惑いながらも
 大樹は、その誓いを、決意を強くする


 その意志は、世界の運命にすら影響を与える
 それは、彼の大きな決意
 もし、人の命がこの星、地球よりも重いならば……彼の誓いは、地球よりも重い
 願いを成就し、大切な人達を護る為に望む未来を紡ぐ力
 紡がれる糸の強さは、意志の強さ
 気高く強い願いは、必ず現実となっていく
 実現が約束された願いは、もはや願いとは呼ばないだろう
 それ、すなわち……運命
 彼が紡ぐのは、運命そのもの
 運命、とは、個人ではなく……世界を支配する、絶対の力
 彼の強固な願いは、限りなくそれに近い

 本人には、これっぽっちも自覚のない力
 それは、神すらも手出しできぬ絶対の力
 諦める事をやめた彼は……既に、その力を手に入れていた






 そして
 ソレが、彼の力に、気づく

(………また………)

 0ナンバーではなく、上層部メンバーでもない彼に…ここへのアクセス権は、存在しない
 恐らく、彼も意識はしていない
 無意識に、己の求める情報の為に、ここにアクセスしたのだ
 …情報は、あちらに伝わっていない
 まだ、大丈夫だ

(しかし……時間の問題、ですね)

 …やはり、彼を「組織」は失う訳にはいかない
 D-No.0を失った時と同じ間違いを、「組織」は決して犯してはならない
 ……いや
 彼を、失ったならば
 それは、D-No.0を失った時以上の、痛手となるだろう

 彼は、無意識に諦める、と言う事をやめてしまった
 以前の彼ならば、たとえサイコロの目が1だろうが6だろうが、気にしなかったであろう
 たとえ、最悪の場面で1が出たとしても、それを運命として受け入れてしまっていたはずだ

 だが、今の彼は、違う
 神が、望の不幸と言うサイコロの1を見せたならば、彼はそのサイコロをつかみ、望の幸せという6を上にして叩きつけるだろう
 …彼の意思の強さは、それができるのだ
 強すぎる意志は、運命を強固にする
 絶対の意志が、運命を固定する
 たとえ、彼自身に強い力がなかったとしても……その意志が、未来を、運命を掴み取る

(…D-No.962を、「組織」は失ってはならない、もし、失ったならば…)

 きっと、それは
 「組織」にとっての、世界の終わり
 それだけは、阻止しなければならない
 A-No.0として、「組織」を維持する為の存在として、それだけは絶対に阻止しなければならない

(……いざとなれば…………いや、K-No.0は、切り捨てるべきでしょうね。「組織」の役に立つかと思って、引き込みましたが…………役に立たぬ歯車など、不必要。むしろ、「組織」にとって不利益な事が起きる前に、捨ててしまいましょう)

 冷酷な考えを抱く、A-No.0
 思案するその存在を視認できるものは………存在、しない




to be … ?



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