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連載 - とある組織の構成員の憂鬱-57b

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 大樹に手を取ってもらい、プールの中に入る望
 ……手を、つないでいる状態
 それだけで、どうにも緊張してしまう

「えっと…浮く、のよね?人間の体って、多分きっと、浮くのよね?」
「浮きますよ。浮けますから……ほら、体の力を、抜いて」

 そうか、体の力を抜けばいいのか
 体の力を抜く…
 ぬ、く…
 ………

(…む、無理!!)

 何故、無理か?
 それは…大樹が、手を掴んでくれているから
 恐らく、望がうまく浮けず沈んでしまった時に備え、すぐにでも引き上げられるように
 そして、誰かに手をとられている方が、安心して体の力を抜けるだろうから…と、こうやって掴んでくれているのだろう

 しかし
 しかし、だ
 望にとっては、それが少々、逆効果だった
 大樹が、しっかりと手を握ってくれているせいで…逆に、緊張してしまうのだ
 そのせいで、うまく体の力を抜けない

「望?どうかしましたか?」
「え、あ、な、何でもない」

 首をかしげた大樹に、慌てて答える望
 何とか、体の力を抜こうとするのだが、うまくできない
 沈みそうになるたび、大樹が体を支えてくれて
 その度、赤くなってしまった頬を見られないのに必死だ

「や、やっぱり、浮くのって、難しいわね」
「一度、浮かないものだと思ってしまうと、難しいのかもしれませんね」

 悪戦苦闘
 やはり、なかなか浮けない
 苦戦する望に、大樹は優しく声をかけてくれる

「大丈夫、私が、きちんと手をとっていますから。安心して、体の力を抜いて大丈夫ですよ?」

 …それが原因で、緊張していると言うに
 とても、口では伝えられないが……恥ずかしすぎて

「大丈夫……離しませんから。絶対に」
「大樹さん…」

 ……きゅう、と
 しっかりと、大樹の手を握り返す望

 …そして、ぽつり
 こう、告げてみる

「……大樹さん」
「はい?」
「その……こういう時じゃ、なくても。私が手を握ってほしい、って言ったら……握って、くれる?離さないでくれる?」

 …何を、言ってしまっているのか
 言ってしまってから、恥ずかしくって、頬がかぁーーーっ、と熱くなる

「ご、御免なさい、変な事、聞い」
「…離しませんよ」

 微笑み、そう答えてきた大樹
 望の手を握ったまま、ゆっくりと続ける

「あなたが、それを求めてくださるならば、私はいつでも、それに答えましょう。あなたが、私という存在を求めてくださるのならば…私は、それに答えます」

 優しい答え
 その答えを聞いているだけで、嬉しくて
 自然と、望は笑みを浮かべてしまった


 そして
 続いての、大樹の予想外の、答えに
 望は、どんどんと頬を赤らめていく事になる


「あなたが、私を求めてくださる限り。私は、あなたの傍らに立ち続けたい。いつか、あなたの隣には、別の人が立つかもしれない。あなたが共に生き続けると決める相手は、私ではないでしょうが………それでも、あなたがその相手を見つけるまでは、私が、あなたの隣に立ちたい」

 ……え
 え、え、と
 やや、混乱してくる望

 だって
 その、言い方では
 まるで

「だ、大樹さん」
「はい?」
「そ、その………な、何だか、告白……みたい、ね」

 勇気を振り絞って、そう尋ねた
 馬鹿な事を聞いた、とすぐに後悔する
 だが

「……そう、受け取っていただいて、構いません」

 と、言う、その言葉に
 ……思考が、一瞬、フリーズした

「え…………え?」
「私のような存在に好かれたとしても、あなたにとって、迷惑なだけかもしれませんが」

 違う
 そんな訳がない
 そんな訳、あるはずがない
 でも、でも
 そんな、その
 ……まさか
 これは、夢なのでは、と
 そんな錯覚すら、覚える
 両手がふさがっていなかったら、頬をつねって確認しているところだ

「…もし、許されるならば。あなたの生涯を支え続け、共に歩み続ける存在でありたい。いつまでもあなたを護り、支え続け、力になりたい……私は、そう望みます」

 告白、どころか
 まるで、プロポーズのような、そんな言葉
 もはや、赤くなった頬を隠す事などできず
 真っ赤になって、大樹を見上げる望

「あ、で、でででで、でも。わ、私、子供だし、しかも、体型こんなだし……だ、大樹さんが、わ、私なんかを、選ばなくても」
「姿形は、関係ありませんよ………あなただから、です。あなただから……共に歩み続けたいと、そう願うのです」

 姿形なんて、関係ない
 望だから、好きになったのだ、と
 そうとでも言う、大樹の言葉

 その言葉が、嬉しくて、嬉しくて
 幸せで、幸せで……幸せすぎて
 けれど
 それに、どう、答えたらいいのか、さっぱりわからない事と
 あまりにも予想外の、その事態に
 望の思考は、完全にショートして

「……望?」

 ……ぶくぶくぶくぶくぶく

「の、望!?しっかりしてください!?」

 体の力が一気に抜けて
 浮くどころか、うっかり全身沈んでしまい、慌てて大樹に救助された望なのだった





はないちもんめの人に焼き土下座しつつ、続くかどうかは不明で未定





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