大樹に手を取ってもらい、プールの中に入る望
……手を、つないでいる状態
それだけで、どうにも緊張してしまう
……手を、つないでいる状態
それだけで、どうにも緊張してしまう
「えっと…浮く、のよね?人間の体って、多分きっと、浮くのよね?」
「浮きますよ。浮けますから……ほら、体の力を、抜いて」
「浮きますよ。浮けますから……ほら、体の力を、抜いて」
そうか、体の力を抜けばいいのか
体の力を抜く…
ぬ、く…
………
体の力を抜く…
ぬ、く…
………
(…む、無理!!)
何故、無理か?
それは…大樹が、手を掴んでくれているから
恐らく、望がうまく浮けず沈んでしまった時に備え、すぐにでも引き上げられるように
そして、誰かに手をとられている方が、安心して体の力を抜けるだろうから…と、こうやって掴んでくれているのだろう
それは…大樹が、手を掴んでくれているから
恐らく、望がうまく浮けず沈んでしまった時に備え、すぐにでも引き上げられるように
そして、誰かに手をとられている方が、安心して体の力を抜けるだろうから…と、こうやって掴んでくれているのだろう
しかし
しかし、だ
望にとっては、それが少々、逆効果だった
大樹が、しっかりと手を握ってくれているせいで…逆に、緊張してしまうのだ
そのせいで、うまく体の力を抜けない
しかし、だ
望にとっては、それが少々、逆効果だった
大樹が、しっかりと手を握ってくれているせいで…逆に、緊張してしまうのだ
そのせいで、うまく体の力を抜けない
「望?どうかしましたか?」
「え、あ、な、何でもない」
「え、あ、な、何でもない」
首をかしげた大樹に、慌てて答える望
何とか、体の力を抜こうとするのだが、うまくできない
沈みそうになるたび、大樹が体を支えてくれて
その度、赤くなってしまった頬を見られないのに必死だ
何とか、体の力を抜こうとするのだが、うまくできない
沈みそうになるたび、大樹が体を支えてくれて
その度、赤くなってしまった頬を見られないのに必死だ
「や、やっぱり、浮くのって、難しいわね」
「一度、浮かないものだと思ってしまうと、難しいのかもしれませんね」
「一度、浮かないものだと思ってしまうと、難しいのかもしれませんね」
悪戦苦闘
やはり、なかなか浮けない
苦戦する望に、大樹は優しく声をかけてくれる
やはり、なかなか浮けない
苦戦する望に、大樹は優しく声をかけてくれる
「大丈夫、私が、きちんと手をとっていますから。安心して、体の力を抜いて大丈夫ですよ?」
…それが原因で、緊張していると言うに
とても、口では伝えられないが……恥ずかしすぎて
とても、口では伝えられないが……恥ずかしすぎて
「大丈夫……離しませんから。絶対に」
「大樹さん…」
「大樹さん…」
……きゅう、と
しっかりと、大樹の手を握り返す望
しっかりと、大樹の手を握り返す望
…そして、ぽつり
こう、告げてみる
こう、告げてみる
「……大樹さん」
「はい?」
「その……こういう時じゃ、なくても。私が手を握ってほしい、って言ったら……握って、くれる?離さないでくれる?」
「はい?」
「その……こういう時じゃ、なくても。私が手を握ってほしい、って言ったら……握って、くれる?離さないでくれる?」
…何を、言ってしまっているのか
言ってしまってから、恥ずかしくって、頬がかぁーーーっ、と熱くなる
言ってしまってから、恥ずかしくって、頬がかぁーーーっ、と熱くなる
「ご、御免なさい、変な事、聞い」
「…離しませんよ」
「…離しませんよ」
微笑み、そう答えてきた大樹
望の手を握ったまま、ゆっくりと続ける
望の手を握ったまま、ゆっくりと続ける
「あなたが、それを求めてくださるならば、私はいつでも、それに答えましょう。あなたが、私という存在を求めてくださるのならば…私は、それに答えます」
優しい答え
その答えを聞いているだけで、嬉しくて
自然と、望は笑みを浮かべてしまった
その答えを聞いているだけで、嬉しくて
自然と、望は笑みを浮かべてしまった
そして
続いての、大樹の予想外の、答えに
望は、どんどんと頬を赤らめていく事になる
続いての、大樹の予想外の、答えに
望は、どんどんと頬を赤らめていく事になる
「あなたが、私を求めてくださる限り。私は、あなたの傍らに立ち続けたい。いつか、あなたの隣には、別の人が立つかもしれない。あなたが共に生き続けると決める相手は、私ではないでしょうが………それでも、あなたがその相手を見つけるまでは、私が、あなたの隣に立ちたい」
……え
え、え、と
やや、混乱してくる望
え、え、と
やや、混乱してくる望
だって
その、言い方では
まるで
その、言い方では
まるで
「だ、大樹さん」
「はい?」
「そ、その………な、何だか、告白……みたい、ね」
「はい?」
「そ、その………な、何だか、告白……みたい、ね」
勇気を振り絞って、そう尋ねた
馬鹿な事を聞いた、とすぐに後悔する
だが
馬鹿な事を聞いた、とすぐに後悔する
だが
「……そう、受け取っていただいて、構いません」
と、言う、その言葉に
……思考が、一瞬、フリーズした
……思考が、一瞬、フリーズした
「え…………え?」
「私のような存在に好かれたとしても、あなたにとって、迷惑なだけかもしれませんが」
「私のような存在に好かれたとしても、あなたにとって、迷惑なだけかもしれませんが」
違う
そんな訳がない
そんな訳、あるはずがない
でも、でも
そんな、その
……まさか
これは、夢なのでは、と
そんな錯覚すら、覚える
両手がふさがっていなかったら、頬をつねって確認しているところだ
そんな訳がない
そんな訳、あるはずがない
でも、でも
そんな、その
……まさか
これは、夢なのでは、と
そんな錯覚すら、覚える
両手がふさがっていなかったら、頬をつねって確認しているところだ
「…もし、許されるならば。あなたの生涯を支え続け、共に歩み続ける存在でありたい。いつまでもあなたを護り、支え続け、力になりたい……私は、そう望みます」
告白、どころか
まるで、プロポーズのような、そんな言葉
もはや、赤くなった頬を隠す事などできず
真っ赤になって、大樹を見上げる望
まるで、プロポーズのような、そんな言葉
もはや、赤くなった頬を隠す事などできず
真っ赤になって、大樹を見上げる望
「あ、で、でででで、でも。わ、私、子供だし、しかも、体型こんなだし……だ、大樹さんが、わ、私なんかを、選ばなくても」
「姿形は、関係ありませんよ………あなただから、です。あなただから……共に歩み続けたいと、そう願うのです」
「姿形は、関係ありませんよ………あなただから、です。あなただから……共に歩み続けたいと、そう願うのです」
姿形なんて、関係ない
望だから、好きになったのだ、と
そうとでも言う、大樹の言葉
望だから、好きになったのだ、と
そうとでも言う、大樹の言葉
その言葉が、嬉しくて、嬉しくて
幸せで、幸せで……幸せすぎて
けれど
それに、どう、答えたらいいのか、さっぱりわからない事と
あまりにも予想外の、その事態に
望の思考は、完全にショートして
幸せで、幸せで……幸せすぎて
けれど
それに、どう、答えたらいいのか、さっぱりわからない事と
あまりにも予想外の、その事態に
望の思考は、完全にショートして
「……望?」
……ぶくぶくぶくぶくぶく
「の、望!?しっかりしてください!?」
体の力が一気に抜けて
浮くどころか、うっかり全身沈んでしまい、慌てて大樹に救助された望なのだった
浮くどころか、うっかり全身沈んでしまい、慌てて大樹に救助された望なのだった
はないちもんめの人に焼き土下座しつつ、続くかどうかは不明で未定