「何か言い残す事はあるかい?」
「…………ここで死ぬつもりなど、到底ないのだが」
「…………ここで死ぬつもりなど、到底ないのだが」
……どこの戦場での物騒な会話かと言うと、
ハンニバルとの戦いを終えて恵達と別れて帰宅したての秀雄の、彼の妻たるマドカとの会話である
ちなみに、マドカに一発殴られた後だ、秀雄は
ハンニバルとの戦いを終えて恵達と別れて帰宅したての秀雄の、彼の妻たるマドカとの会話である
ちなみに、マドカに一発殴られた後だ、秀雄は
今回の件について
秀雄は、マドカに一切説明もなく、相談もなく、事態へと足を踏み入れていた
秀雄は、マドカに一切説明もなく、相談もなく、事態へと足を踏み入れていた
………巻き込みたくは、なかったのだ
マドカはフィラデルフィア計画と契約しているとはいえ、彼女本人に特別戦闘能力がある訳でもない
彼女を、危険な戦いに巻き込みたくはなかった
…それに
秀雄が、ハンニバルを憎んでいたのは………かつて、愛した女の、仇であったから
もう死んでしまっているとは言え、自分以外の女の為に戦う姿を、マドカは見たくなかっただろうから
マドカはフィラデルフィア計画と契約しているとはいえ、彼女本人に特別戦闘能力がある訳でもない
彼女を、危険な戦いに巻き込みたくはなかった
…それに
秀雄が、ハンニバルを憎んでいたのは………かつて、愛した女の、仇であったから
もう死んでしまっているとは言え、自分以外の女の為に戦う姿を、マドカは見たくなかっただろうから
マドカは、じっと、秀雄を見つめてきた
灰色のコートは、激しい戦闘によってボロボロになっている
肩の傷は、ジャッカロープの乳で回復したが、秀雄自身も傷を負った事は、コートについている血で丸分かりであろう
灰色のコートは、激しい戦闘によってボロボロになっている
肩の傷は、ジャッカロープの乳で回復したが、秀雄自身も傷を負った事は、コートについている血で丸分かりであろう
深々と、マドカがため息をつく
「まったく………あたしに何も言わず。勝手に怪我なんてして」
「……お前の許可を取れば、怪我をしても良いのか?」
「そう言う問題じゃないよっ!?」
「……お前の許可を取れば、怪我をしても良いのか?」
「そう言う問題じゃないよっ!?」
秀雄の言葉に、即座に突っ込むマドカ
あぁ、もう、と呆れた表情をする
あぁ、もう、と呆れた表情をする
「…あたしに、何も言わず………危険な事に、首突っ込むんじゃないよ」
「……事情を話したら、お前まで、首を突っ込んでくるだろう」
「……事情を話したら、お前まで、首を突っ込んでくるだろう」
マドカの性格は、よくわかっている
……だからこそ、余計に、マドカには何も話さなかったのだ
事情を話せば、マドカは絶対に、秀雄についてくる
戦いに、参加しようとしてきただろうから……余計に、話せる訳がなかったのだ
……だからこそ、余計に、マドカには何も話さなかったのだ
事情を話せば、マドカは絶対に、秀雄についてくる
戦いに、参加しようとしてきただろうから……余計に、話せる訳がなかったのだ
「………私は、お前には傷ついてほしくない」
「な………何、言ってんだい」
「な………何、言ってんだい」
かぁ、と、アドカの頬が赤く染まる
どこか、所在無さげに視線が彷徨い…
……ぽつり、マドカは続ける
どこか、所在無さげに視線が彷徨い…
……ぽつり、マドカは続ける
「………あたしだって………………あんたに、傷ついてほしく、ないよ」
「…そうか」
「…そうか」
…結局の、ところ
マドカを心配させた、自分が悪い
そう言うことなのだろう、と秀雄は判断した
どうにも、いつも自分は言葉足らずだ
本心を伝えきれず、結局、マドカを苦しめ悲しませてしまう
マドカを心配させた、自分が悪い
そう言うことなのだろう、と秀雄は判断した
どうにも、いつも自分は言葉足らずだ
本心を伝えきれず、結局、マドカを苦しめ悲しませてしまう
……心配をかけるつもりとて、なかった
だからこそ、傷つかずに戦うつもりではあったのだが……うまくいかず
こうやって、心配をかけてしまっている
だからこそ、傷つかずに戦うつもりではあったのだが……うまくいかず
こうやって、心配をかけてしまっている
「………今後は、なるべくお前に相談するようにする」
「なるべく、じゃなくて、毎回相談しろって言うんだよ…」
「………お前が、無鉄砲に首を突っ込んでこないのならば、な」
「なるべく、じゃなくて、毎回相談しろって言うんだよ…」
「………お前が、無鉄砲に首を突っ込んでこないのならば、な」
秀雄の返答に、マドカはやや、不満そうな表情を浮かべたが
…少しは、納得したようである
ようやく、顔をあげた
…少しは、納得したようである
ようやく、顔をあげた
「…それで?門条 晴海って女の子供達は、三人全員見つかったのかい?」
「………あぁ」
「………あぁ」
これだけは、幸いというべきか
門条 晴海の遺児は、今回の騒動で全員、見つける事ができた
…幸い、全員、命は無事だ
少々、メンタル面に不安を抱える者もいるが……支える存在が傍にいる以上、大丈夫だろう
門条 晴海の遺児は、今回の騒動で全員、見つける事ができた
…幸い、全員、命は無事だ
少々、メンタル面に不安を抱える者もいるが……支える存在が傍にいる以上、大丈夫だろう
「………後日、その三人に………門条 晴海の、最後の言葉を伝えるつもりだ」
「…そうかい……それで、あんたの彼女への未練は、終わりかい?」
「……………あぁ」
「…そうかい……それで、あんたの彼女への未練は、終わりかい?」
「……………あぁ」
彼女の死の間際に立会い
その、最後の言葉を託され、21年余り
それさえ、伝えてしまえば
……彼女との思い出も、彼女への未練も、終わりだ
その、最後の言葉を託され、21年余り
それさえ、伝えてしまえば
……彼女との思い出も、彼女への未練も、終わりだ
「………………すまない」
「は?…何だい、いきなり謝って………晴海、って女との事なら、気にしてないよ。あんたの片思いだったんだろ?……死人に、嫉妬し続けても仕方ないしね」
「は?…何だい、いきなり謝って………晴海、って女との事なら、気にしてないよ。あんたの片思いだったんだろ?……死人に、嫉妬し続けても仕方ないしね」
そう言って、笑うマドカ
ぽんぽん、と気遣うように秀雄の背中を叩いてくる
ぽんぽん、と気遣うように秀雄の背中を叩いてくる
「ほら、疲れてるだろ?朝飯用意してやってるから、食べな」
「………待て、お前が、作ったのか?」
「あぁ。毎日毎日、「薔薇十字団」とやらから派遣されてるゴーレムに任せっきりなのも悪いからねぇ」
「………待て、お前が、作ったのか?」
「あぁ。毎日毎日、「薔薇十字団」とやらから派遣されてるゴーレムに任せっきりなのも悪いからねぇ」
……いや
マドカに料理をさせないために、派遣してもらっていたのだが…
………
マドカに料理をさせないために、派遣してもらっていたのだが…
………
……心配させた手前、断る事も、できず
「………………これが、私への罰、か」
「?何か言ったかい?」
「……いや」
「?何か言ったかい?」
「……いや」
……覚悟は、決まった
秀雄はゆっくりと、マドカの後をついて食卓へと向かったのだった
秀雄はゆっくりと、マドカの後をついて食卓へと向かったのだった
fin