トイレの花子様 32 花子様の過去
私にはある記憶がない。
自分の死因、都市伝説になるキッカケの記憶が。
例えば、「花子さん」であれば[変態オヤジに襲われた]とか[イジメでトイレに閉じ込められてる際に災害で死んだ]とか、
「口裂け女」であれば[歯医者の医療ミス]や[交通事故]などが挙げられる。
そういうものが私には無いのだ。ついでに言うと生前の記憶も。
自分の死因、都市伝説になるキッカケの記憶が。
例えば、「花子さん」であれば[変態オヤジに襲われた]とか[イジメでトイレに閉じ込められてる際に災害で死んだ]とか、
「口裂け女」であれば[歯医者の医療ミス]や[交通事故]などが挙げられる。
そういうものが私には無いのだ。ついでに言うと生前の記憶も。
気にしないようにはしていたが、やはり自分のことを自分で把握できない不安から、どうしてもそれを知りたい欲求が湧いてしまう。
それにメイドが
それにメイドが
メ「そういった事が分かった方が都市伝説としての[存在力]が増し、戦闘力を初め、いろいろと底上げできるかもしれません。
都市伝説としてのある種の[設定]のようなものが存在し、具体的かつポピュラーで王道に近いほど都市伝説としての存在力が強くなるわけですから。」
都市伝説としてのある種の[設定]のようなものが存在し、具体的かつポピュラーで王道に近いほど都市伝説としての存在力が強くなるわけですから。」
と言っていた。
そういったこともあって、私はその記憶を取り戻すことにした。
そういったこともあって、私はその記憶を取り戻すことにした。
といっても、おいそれと取り戻せたら苦労はない。私自身にはその術は無い。
だが、都合の良いことにメイドの後輩、新人和メイドがサイコメトリーを使えるそうだ。
都市伝説と契約してるわけではなく、単純に生まれ持った素質だとか。
それを私が死んだ場所で使えば、残留思念的なものを辿って当時の光景を見れるらしい。それも任意の相手に見せられるという。
まさに渡りに船だった。
だが、都合の良いことにメイドの後輩、新人和メイドがサイコメトリーを使えるそうだ。
都市伝説と契約してるわけではなく、単純に生まれ持った素質だとか。
それを私が死んだ場所で使えば、残留思念的なものを辿って当時の光景を見れるらしい。それも任意の相手に見せられるという。
まさに渡りに船だった。
と、いうわけで、私のホームである駄犬の通う学校の女子トイレへとやってきた。
過去の記憶が無いとはいえ、私が最初にいたトイレが私の死に場所と考えて差し支えないだろうというわけで
もちろん人目を避けて真夜中にだ。ちなみに駄犬は用事があるというのでおいて来た。まあ、用事がなくともおいて来たが。これは駄犬に心配させて良い案件ではないと思うから。
過去の記憶が無いとはいえ、私が最初にいたトイレが私の死に場所と考えて差し支えないだろうというわけで
もちろん人目を避けて真夜中にだ。ちなみに駄犬は用事があるというのでおいて来た。まあ、用事がなくともおいて来たが。これは駄犬に心配させて良い案件ではないと思うから。
メイドは入口にて廊下及び、サイコメトってる最中に無防備になる新人と私の護衛の用意を済ませた。
トイレ内で新人と私は手をつなぎ、目を閉じた。
トイレ内で新人と私は手をつなぎ、目を閉じた。
新「準備はいいですか?」
花「ええ、いつでも。」
花「ええ、いつでも。」
ホントは不安で一杯だが、そうは言っていられない。
新「では、潜ります・・・!」
一瞬、TVの12チャンネルみたいに砂嵐が見えたと思ったら、またすぐにトイレが見えた。
今とは作りがちょいちょい違う・・・当時のトイレか。
今とは作りがちょいちょい違う・・・当時のトイレか。
校舎のリフォームと残留思念の経年劣化のせいか、全体的に色あせ、ぼやけたり霧みたいなものがかかってあまりクオリティは高くない。
ふと、視界に2人の子供が入ってきた。片方が男子で、もう片方は私と思われる女子。
そして人間の大人サイズのぼやけた黒い影。某名探偵の犯人がピンボケた感じとでも言おうか。
きっとコイツが私を殺した犯人なのだろうが、なぜだか真っ黒で男女の区別すら付かない。
そして人間の大人サイズのぼやけた黒い影。某名探偵の犯人がピンボケた感じとでも言おうか。
きっとコイツが私を殺した犯人なのだろうが、なぜだか真っ黒で男女の区別すら付かない。
声も途切れ途切れに、ノイズ混じりに聞こえる。
少年が当時の私と黒い影の間に入って何か言っている。手を出すなとかそんな感じだ。
だが直後、その少年のノイズ混じりの声が聞こえなくなる。
代わりに聞こえたのはグシャリという気持ち悪い音。
黒い影が少年の首を蹴り、倒れた少年の首を蹴りからの流れで踏み潰したようだった。
少年が当時の私と黒い影の間に入って何か言っている。手を出すなとかそんな感じだ。
だが直後、その少年のノイズ混じりの声が聞こえなくなる。
代わりに聞こえたのはグシャリという気持ち悪い音。
黒い影が少年の首を蹴り、倒れた少年の首を蹴りからの流れで踏み潰したようだった。
当時の私はついさっきまで生きていた少年に泣きながら駆け寄ろうとした。
だが不自然にバランスを崩して転んでしまう。その時もう私には足がなかった。
黒い影の鉈が一閃、当時の私のスネ辺りを両断していた。
だが不自然にバランスを崩して転んでしまう。その時もう私には足がなかった。
黒い影の鉈が一閃、当時の私のスネ辺りを両断していた。
なにがあったかも分からず、ただ突然の痛みに更に大きな泣き声をあげる私を仰向けに押し倒し、馬乗りになった黒い影の声が聞こえる。
「他の男の子の所に遊びにいく悪い脚なんて要らないよね」
プライバシー保護された合成音声のような声でそう聞こえた時、私の視界は再び一変した。
同時に私の両足を激痛が襲う。
同時に私の両足を激痛が襲う。
私が当事者だったせいか、当時の私と今の私の感覚とリンクしてしまったらしい。
立て続けに不気味な声と痛みが襲い掛かる。
「他の男の子と手をつなぐ悪い手なんていらないね」
と両腕を切り落とされ
と両腕を切り落とされ
「他の男の子とお喋りする悪い舌もいらないね」
と舌を噛み切られ
と舌を噛み切られ
「他の男の子にドキドキする心臓もダメだね」
と心臓を貫かれ
と心臓を貫かれ
「他の男の子のことを考える頭も取っちゃおうか」
と首を切断された。
と首を切断された。
当時の私もそれとリンクした今の私も、あまりの激痛に声にならない叫びをあげる。
視界が闇に覆われる直前に見えたのは、切り落とされた私の身体を貪る黒い影。
そして走馬灯のように流れ込む生前の記憶。
痛み、衝撃、怒り、悲しみ、記憶、その濁流に飲み込まれるように意識が遠いてゆき、最後には完全に意識を失う。
視界が闇に覆われる直前に見えたのは、切り落とされた私の身体を貪る黒い影。
そして走馬灯のように流れ込む生前の記憶。
痛み、衝撃、怒り、悲しみ、記憶、その濁流に飲み込まれるように意識が遠いてゆき、最後には完全に意識を失う。
気がついた時、私はどこかの部屋にいた。
取り戻した記憶が、当時の自分の部屋だと告げている。
しかし、なーんか違和感が・・・
取り戻した記憶が、当時の自分の部屋だと告げている。
しかし、なーんか違和感が・・・
花「あ、そうか。」
視点が低い。窓ガラスを見るとそこには写ったのは小さな少女だった。
花「ほんとにソックリというか、いかにもって感じね。」
典型的な花子さんになりそうな見た目。自分で言うのもなんだが、すごい美幼女だ。
今の自分からは考えられないほど、見るからに純真そうだった。
しかし全身に大小のアザ、根性焼きの跡、慢性的な痛み、何かに諦めきったようなダルさを感じる。
今の自分からは考えられないほど、見るからに純真そうだった。
しかし全身に大小のアザ、根性焼きの跡、慢性的な痛み、何かに諦めきったようなダルさを感じる。
理由はそう待たずに分かった。
アザの段階で察しはついていたが、父親からの習慣的虐待。
父は元々は絵に描いたような真面目人間だった。しかし、母はそうではなかったらしい。
父は金ヅルで、私ができた時は中絶費用をケチり、出産してすぐに私と父を捨てて他の男の下に逃げた。
父は元々は絵に描いたような真面目人間だった。しかし、母はそうではなかったらしい。
父は金ヅルで、私ができた時は中絶費用をケチり、出産してすぐに私と父を捨てて他の男の下に逃げた。
その裏切りから父はおかしくなっていった。
かつてホレた女性への未練と愛、自分を裏切った女性への怒り。厳格だったからこそ、その感情に押しつぶされてしまった。
そしてどうしようもなくなった思いは私にぶつけられた。母の面影のあるこの私に。
そしてどうしようもなくなった思いは私にぶつけられた。母の面影のあるこの私に。
父はそう躊躇わずに私を抱いた。それでも最初の頃は行き場を無くした未練と愛の成分が強く、
私自身も「母の代わりに父を癒せるなら」と実の父に身体をささげた。
私自身も「母の代わりに父を癒せるなら」と実の父に身体をささげた。
しかし、時間がたつに連れ、憎しみの方が増して、私をストレス発散人形として扱うようになっていった。
暴力が増え、私のことも乱暴に犯すようになっていった。
もう父にとって私は、裏切り者の面影を持った憎しみの対象でしかなかったらしい。
暴力が増え、私のことも乱暴に犯すようになっていった。
もう父にとって私は、裏切り者の面影を持った憎しみの対象でしかなかったらしい。
職場、博打などから来る苛立ちは全て私に降り注いだ。
家事全般は私にやらせ、些細なことで文句をつける。「よくできた」なんて絶対に言われなかった。
しかも食事も睡眠も最低限しか許されない。ガラスの靴を拾う前のシンデレラよりひどい。
ときおりやってくる借金取りにも色々された。堕落した父の借金を私の身体でかえしていた。
家事全般は私にやらせ、些細なことで文句をつける。「よくできた」なんて絶対に言われなかった。
しかも食事も睡眠も最低限しか許されない。ガラスの靴を拾う前のシンデレラよりひどい。
ときおりやってくる借金取りにも色々された。堕落した父の借金を私の身体でかえしていた。
ただ、そんな不幸のどん底にあっても唯一救いだったのは、友達に恵まれたことだった。
その中で最も中が良かったのが、さっきの回想で殺された少年だった。
人が生まれて、最初に「愛情」を注いでくれるハズの親がいない私に、それを与えてくれたのだった。
そんな彼に淡い恋心を抱くのは当然だった。それでも、だからこそ虐待のことは一切言えなかった。
その中で最も中が良かったのが、さっきの回想で殺された少年だった。
人が生まれて、最初に「愛情」を注いでくれるハズの親がいない私に、それを与えてくれたのだった。
そんな彼に淡い恋心を抱くのは当然だった。それでも、だからこそ虐待のことは一切言えなかった。
心配をかけたくない、子供ながらに考えていた。
昼間は学校で物凄く楽しく過ごし、うちに帰れば奴隷のように扱われ、苛立ちと性欲の捌け口にされる生活。
そんな生活が続き、精神的に臨界点に近づいてきた頃、地獄はいきなり終わりを告げた。
父の他界。交通事故らしかった。今思えば、さすがに私の身体では誤魔化せない借金を抱え、借金取りに消されたのかもしれない。
それでも私を捕獲してどこかに売らなかったのは借金取りの良心なのだろうか
それでも私を捕獲してどこかに売らなかったのは借金取りの良心なのだろうか
なんの感情も沸かなかった。喜びも悲しみも。家庭に関する一切の感情が麻痺していたから。
天涯孤独になった私は、例の少年の家に引き取られた。
ずっと仲良くしていた縁とかもあったし、その少年の家はいわゆる勝ち組家庭だった。
今度の両親は大層優しかった。その少年と二人の姉同様、実の娘として扱ってくれた。
その二人の姉もホントの妹のようにしてくれて、ほんとうに幸せだった。
ずっと仲良くしていた縁とかもあったし、その少年の家はいわゆる勝ち組家庭だった。
今度の両親は大層優しかった。その少年と二人の姉同様、実の娘として扱ってくれた。
その二人の姉もホントの妹のようにしてくれて、ほんとうに幸せだった。
それが、あの回想の事件で終わりを告げたと。
あんな仕打ちを受け、精神的に大人びてしまったこと、本来大人同士でするはずの性行為を習慣的にやらされたことが、
花子さんとしては年増な私の外見を作ったってところか…
花子さんとしては年増な私の外見を作ったってところか…
ものすごい気分の悪い寝起きで、私は現実に帰ってきた。
メ「…どうでしたか?」
花「最悪。知らないほうが良かったかも。でも・・・」
これで力がつくのなら、駄犬と一緒にいるための力を得られるのなら。
花「ちょっと新人、このことは駄犬には秘密にしてちょうだい。
余計な気を使わせたくないし、アイツの中では[使い古し]ではなくありたいもの。」
余計な気を使わせたくないし、アイツの中では[使い古し]ではなくありたいもの。」
都市伝説になった時に貞操がリセットされていても、やっぱりなんか嫌だから。私にも彼にも。
それに駄犬一筋のハズの私が、若干とはいえ、当時の思い人、それも故人に心を揺らされている事実も隠したいから。
それに駄犬一筋のハズの私が、若干とはいえ、当時の思い人、それも故人に心を揺らされている事実も隠したいから。