「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 拝戸直しの人殺し-08

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
【拝戸直の人殺し 第八話「兄妹」】

ところでいきなりだが俺には一人妹が居る。
幼い頃から一々俺についてきたり、俺の真似をしたりするのが気に障ったのを覚えている。
相手をするのは面倒だったが、兄として最低限の世話はしてきたつもりだった。
しかし何時からだろう?
彼女の俺に対する態度がどう見ても妹のそれではなくなってきた。

「お兄ちゃん!お弁当だよ!」
「お兄ちゃん!忘れ物!」
「お兄ちゃん!部屋を綺麗にしておいたよ!お片付けしたら褒めてくれるよね!」
「お兄ちゃん!そういえば部屋に有ったあの本ってなぁに?保健体育の教科書なの?」
「お兄ちゃん!さっき話していた女の人ってだぁれ?」
「お兄ちゃん!なんで今日は帰り遅かったの?」
「解ったよ、じゃあ少し“お話”してくるね!」

……ここから先は正直思い出したくもない。
俺が人殺しに目覚めたのも半分はあいつから受けたストレスが原因だと思う。
ていうか人の部屋を完全に整理整頓したりエロ本を俺ですら見つけられないような場所に隠し直すなと。
小さい頃に一人で片付けしているのを褒めて以来、あいつ、片付けにこだわっていたっけ。
まあ大学に入ってからはあいつとも会っていないのでどうでも良い話だ。
さて、ろくでもない話はこれでお終い。
俺とみぃちゃんは遊園地に来ていた。




そうだ、遊園地に来ていた。
来ていたが、少しばかり厄介なことになっていた。
話は遡ること十分前

「………………。」
「あれ、気絶している。」

俺とみぃちゃんはジェットコースターに乗っていた。
すると、あまりの恐怖に彼女はいつの間にか気絶していたのだ。

「あちゃあ……、休憩所ってどこにありましたっけ?」

俺は先ほどまでノリノリだった係員の人に彼女を休ませられる場所を訪ねた。
すると、俺たちの会話を聞いていたのか後ろから高校生のカップルが声をかけてきた。

「あのー、すいません。良ければ休憩所の場所に案内しましょうか?」
「え?それはありがたい、お願いできますかね?」

髪を短く切った感じの良い男子高校生と
その彼女とおぼしき長い黒髪の美しい都市伝説の二人組だった。




数分後。

「……という訳で、妹が居るんですけどね。もう困った奴なんですよ、ハハ。」
「あー、俺も姉が居るんですけど本当に迷惑ですよねえ。」
「部屋とか構わず入ってきたりして。」
「その上部屋に入っている物勝手に漁ったりして。」
「ああー!あるある!」

何故か俺は男子高校生、明日真との会話が盛り上がっていた。
しかしもう一人の恋路とかいう彼女は会話に入ってこない。
それは俺たちの会話が入りづらいとかそういう原因では無いように思えた。
彼女は俺の正体に感づいている?
いやまさか、……まさかだよな。

「でも良いじゃないですかー、それだけ妹さんはお兄さん大事にしてくれてるってことで。」
「そうそう、お兄ちゃんのことは私が一番良く解っているんだから。」
「でもでも俺の彼女につきまとうとか色々アウトじゃないか?」
「いやー、アウト……ですね。」
「アウトじゃないもん、悪い虫を追っ払っているだけだもん。」
「ですよねー!」
「それを言ったら俺の姉なんか酷いですからね。
 去年のクリスマス俺たちに黙ってホテルの予約なんかしてもうムードも何もないっていうか……。」
「本当にこれだから姉だの妹ってのは――――――――!?」
「あ、やっと気づいたー?」
「どうしたんですか拝戸さん?…………ってドチラサマ?」

そうして、今に至るのである。





「其処の二人+お兄ちゃんの肩で気絶してるとか私でもあんまり無いハッピー状態なあなた!
 お初にお目にかかります。
 生まれはY県番屋町、育ちはここ学校町。
 私は私は中央高校二年C組二十二番、拝戸純です。
 ピュアと書いて純です、よろしくねっ!」

俺の目の前には妹が居た。
何故此処に一人で居るのか、どうやって俺たちを見つけたのか、
今更聞いても意味はない。

「そうらしいね、今度会ったらよろしく。
 さて、それは良いんだけどお兄ちゃんの肩で乗ってるそのふざけた女を可及的速やかに引き渡してくれると助かるかな?
 お兄ちゃんに悪い虫がついたら祓ってあげないと。」
「待てっ、純。お兄さんはこのお姉さんと至って清いつきあいでだな。
 お前がまた出てきてぶちこわしにされるとそれこそお兄ちゃん一生彼女が出来なくなりそうな気がするんだよ。
 お前だってお兄ちゃんがこのまま結婚も出来ない状態は嫌だろう?」
「え、むしろ望むところだよ。
 ていうか私と結婚してよ。
 大丈夫、お父さんもお母さんも許してくれるよ。だって二人とも優しいもん。」
「くっ、何を言っているんだこいつ……?」

明日くんドン引きである。
俺の妹はしばらく会わないうちにどうやらもっと危険になっていたようだ。






「仕方ないか。」

明日がボソリとつぶやいた。

「拝戸さん、ここは危ないので一旦逃げていてください。」
「へ?」
「いやー、俺その子が通っている高校の風紀委員なんですよ。
 だからやっぱり校外で休日とはいえ自分の通っている高校の生徒がこんな危ない子としているのは放っておけないというか。
 ……とにかくその女の人だけでも目を覚ますまで安全なところに運んでください。」
「いや、しかし俺の家族の問題を人に任せる訳には……。」

ドスン!ドスン!ゴッスン!
なにやらもの凄い音がして何かが明日と拝戸の足下に直撃する。
土煙の中から現れたのは五寸釘。どこから取り出した?

「何二人でヒソヒソ話しているの?
 私の邪魔をするなら明日君も……許さないよ?」
「待って純ちゃん、どうかな、とりあえずここは遊園地、公共の場所だ。
 家族の問題なんだし、一旦家に帰ってからでもお兄さんとゆっくり話してみたらどうかな?」

恋路が明日を守るように彼の前に立って純を説得する。

「ごめんなさい恋路さん、それは出来ない相談だよ。
 貴方も貴方もなんだか“胡散臭い”感じがするモン、そこのお姉さんと同系統の雰囲気だね。
 ああ、でもそこの雌豚とは違って貴方は貴方は身も心も美しいからあまり気にしないでくださいね?
 交渉の相手としては信用しがたいだけだよ。」

更に一歩、純が俺たちの所に近づく。




「拝戸さん、信じられないかも知れませんが貴方の妹さんは超能力みたいなものを持ってます。」
「へ?」
「なので出来れば今日の出来事は綺麗さっぱり忘れてここから逃げて頂けると幸いです。」
「そ、そうなのか?まあ地面にこんな強烈に釘を突き立てるとか、
 昔から人間離れしていたけどここまで酷くはなかったが……。
 せいぜい物を隠すのが異常なほど得意ってくらいで……。」
「だからとにかく、今は逃げてください。こういうのに対処するのは俺得意なんで。」
「ふむ……。」

さて、こいつは信用に足るのだろうか?
これでも俺は殺人鬼だ。
“人間(エモノ)”を見定める眼だけは持っているつもりである。
その眼で見る限りにおいてこの明日真は正義感の強い人間であるようだ。
少なくとも今の「異常さを成長させた」純に接しても毒されはしない。
戦闘能力はどうだろう?
ふむ、まあそこそこ悪くない。
油断さえしなければ時間稼ぎはできるか。


「恩に着る!」

俺は振り返ることなく、みぃちゃんを背負ったまま逃げ出した。





さて一時間後。

「いやー、大変だった大変だった。」
「ほんとですよ、なんだったんですあの子?」

俺とみいちゃんは遊園地から逃げ帰る車の中にいた。
あの後、結局俺たちは純に追いかけ回されてだまし討ちにかけてなんとか彼女を気絶させたのだ。
どうにも明日くんは一瞬で倒されたらしい。
俺の眼が不味かったのか、純の成長が俺の予想を超えていたのか……。

「俺が知りたいよ。」

本当に、訳がわからない。
いつからあんな化け物に育ってしまったのだろう。

【拝戸直の人殺し 第八話「兄妹」fin】

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー