中央高校 学園祭の終わり
打ちあがる花火を、中央高校校長 出道 桐男は上機嫌で眺めていた
打ちあがる花火を、中央高校校長 出道 桐男は上機嫌で眺めていた
「うんうん。今年も知り合いの花火職人に依頼してよかったなぁ」
桐男の父親は陰鬱で暗いものを好むが、桐男は賑やかで華やかで愉快な事が大好きだ
そんな彼にとって、この中央高校の学園祭は年に一度の楽しいお祭であり、半ば、この学園祭の為に中央高校にとどまり続けていると言ってもいい
だからこそ、この伝統を護り続けるべきだと思っているし……この中央高校を、護るべきだと思っている
そんな彼にとって、この中央高校の学園祭は年に一度の楽しいお祭であり、半ば、この学園祭の為に中央高校にとどまり続けていると言ってもいい
だからこそ、この伝統を護り続けるべきだと思っているし……この中央高校を、護るべきだと思っている
「うーん、結界は張ったんだけどね。それでも、君みたいなのが来ちゃう訳だ。「組織」の過激派さん?」
…トイレの窓から花火を見上げていた、彼の背後に立つは、「組織」の黒服
それも、過激派に所属している存在だ
彼は小さく舌打ちし、桐男を睨み続ける
それも、過激派に所属している存在だ
彼は小さく舌打ちし、桐男を睨み続ける
「…いい加減、この厄介な結界、解除してくれないだろうか?」
「嫌だよ。解除したが最後、僕を殺すんだろう?」
「嫌だよ。解除したが最後、僕を殺すんだろう?」
黒服の言葉に、あっさりと答える桐男
桐男がはった結界の力によって、今、この中央高校敷地内において、戦闘行為をとる事はできないのだ
黒服のほうを見もせずに、続ける
桐男がはった結界の力によって、今、この中央高校敷地内において、戦闘行為をとる事はできないのだ
黒服のほうを見もせずに、続ける
「そんなに、僕の事が邪魔かい?僕はこの高校と、生徒達を護っているだけのただの校長だよ?」
「さんざん、我々の邪魔をしておきながら、よくもぬけぬけと…!」
「だってさぁ、君達が、生徒に害を及ぼそうとするから」
「さんざん、我々の邪魔をしておきながら、よくもぬけぬけと…!」
「だってさぁ、君達が、生徒に害を及ぼそうとするから」
桐男は、肩をすくめて見せる
そんな桐男の態度に、黒服は苛立ちを隠さない
そんな桐男の態度に、黒服は苛立ちを隠さない
……もう、いい
戦闘行為が行えなくとも、自分を飲み込んだ都市伝説ならば、こいつを何とかできる
そっと、小さな音楽プレイヤーを取り出す黒服
これに録音している「暗い日曜日」を聞かせれば、この男を自殺させる事くらい、容易い
結界の能力による「殺人・傷害を禁ずる」にも引っかからないはずだ
「組織」において最強クラスの戦闘力を持つ、穏健派所属のヤンデレが、この高校の関係者には手を出すなと言っているらしいが……知ったことか!!
戦闘行為が行えなくとも、自分を飲み込んだ都市伝説ならば、こいつを何とかできる
そっと、小さな音楽プレイヤーを取り出す黒服
これに録音している「暗い日曜日」を聞かせれば、この男を自殺させる事くらい、容易い
結界の能力による「殺人・傷害を禁ずる」にも引っかからないはずだ
「組織」において最強クラスの戦闘力を持つ、穏健派所属のヤンデレが、この高校の関係者には手を出すなと言っているらしいが……知ったことか!!
ヘッドフォンを、桐男につけようとする黒服
しかし
それよりも、先に
それよりも、先に
「……校則、解除」
桐男が、小さくそう呟いた
学校敷地内に張られた…桐男の契約都市伝説による結界が、解除される
学校敷地内に張られた…桐男の契約都市伝説による結界が、解除される
「これって、僕も影響下におかれるからねー。君を攻撃できないから」
---どぉん、と
花火が打ちあがり続ける中
くるり、桐男は、自分に接近してきていた男に振り返った
花火が打ちあがり続ける中
くるり、桐男は、自分に接近してきていた男に振り返った
「あ、それ、聴きたくないなぁ。多分、自殺させるような音楽聴かせる気でしょう?うん、正当防衛になるよね」
「このっ……!?」
「このっ……!?」
…結界をといたのならば、まだるっこしい事をする必要はない
黒服は懐から光線銃を取り出し、桐男に向けて…
黒服は懐から光線銃を取り出し、桐男に向けて…
「はーなこさーーん」
楽しげに、桐男がその名前を呼ぶ
その行為に、黒服ははっとして、トイレの扉に視線をやった
その行為に、黒服ははっとして、トイレの扉に視線をやった
…出道 桐男
二つの都市伝説の、多重契約者
その、一つは……
二つの都市伝説の、多重契約者
その、一つは……
「「学校の七不思議」による、召喚かっ!?」
急いで、トイレの扉から離れた黒服
…そう
出道 桐男が契約している都市伝説の一つは、「学校の七不思議」
学校の七不思議として語られる怪異を、一日に…少なくとも、六つまで使用できると言うもの
今、桐男は「花子さん」を呼んだ
すなわち、彼は花子さんを召喚した事になる
テリトリーであるトイレにいるのは、まずいっ
出道 桐男が契約している都市伝説の一つは、「学校の七不思議」
学校の七不思議として語られる怪異を、一日に…少なくとも、六つまで使用できると言うもの
今、桐男は「花子さん」を呼んだ
すなわち、彼は花子さんを召喚した事になる
テリトリーであるトイレにいるのは、まずいっ
「はーぁーーーいーーー」
帰ってきた、可愛らしい少女の声による、返事
黒服は、扉が開き、花子さんが現れる前に、トイレから脱出しようとして…
黒服は、扉が開き、花子さんが現れる前に、トイレから脱出しようとして…
「っな!?」
ぬぅっ、と
飛び出してきたそれに驚き…あっけにとられ、足をとめてしまった
飛び出してきたそれに驚き…あっけにとられ、足をとめてしまった
トイレの個室から飛び出してきたのは、花子さんたる可憐な少女
では、なく
「と、蜥蜴ぇ!?」
どう見ても、頭が三つある、体長3メートルくらいのオオトカゲです
本当にありがとうござました
本当にありがとうござました
「あーそーびーまーしょー」
その、蜥蜴の三つの首が
愛らしい、可憐な少女の声で、喋ってきて
愛らしい、可憐な少女の声で、喋ってきて
ばっくん、と
あっけにとられていた黒服を、飲み込んでしまった
あっけにとられていた黒服を、飲み込んでしまった
もぐもぐもぐ
ごっくん
ごっくん
「ごちそうさまでしたー」
「うん、ありがとう、花子さん」
「どういたしましてー」
「うん、ありがとう、花子さん」
「どういたしましてー」
ずるずるずる
トイレに戻っていくオオトカゲ
…どう考えても、物理法則的にトイレの個室に入ることは不可能そうなのだが、そこにちゃんと入って消えていく
……非常に、非常にマイナーなのだが、「花子さんの正体は3つの頭を持つ体長3メートルの大トカゲで、女の子の声で油断した相手を食べる」という説があるのである
よりによって、桐男はそれを召喚したのだ
トイレに戻っていくオオトカゲ
…どう考えても、物理法則的にトイレの個室に入ることは不可能そうなのだが、そこにちゃんと入って消えていく
……非常に、非常にマイナーなのだが、「花子さんの正体は3つの頭を持つ体長3メートルの大トカゲで、女の子の声で油断した相手を食べる」という説があるのである
よりによって、桐男はそれを召喚したのだ
一つの都市伝説でも、諸説様々な話が語られていれば、どれを扱うかも選択できる
……これが、桐男が契約している「学校の七不思議」の強みだ
もっとも、その特性上、学校敷地外ではほぼ無力なのが欠点と言えば欠点だ
もう一つの都市伝説も、学校敷地内においてのみ効果を発揮する都市伝説である為、学校敷地内から出た桐男はただの人間と変わりない
…その代わり……学校敷地内において、ほぼ、最強
それが、この出道 桐男なのだ
花子さんに食べられた過激派黒服の最大のミスは、そもそも、この中央高校敷地内において、桐男を襲撃したという点だったのだ
……これが、桐男が契約している「学校の七不思議」の強みだ
もっとも、その特性上、学校敷地外ではほぼ無力なのが欠点と言えば欠点だ
もう一つの都市伝説も、学校敷地内においてのみ効果を発揮する都市伝説である為、学校敷地内から出た桐男はただの人間と変わりない
…その代わり……学校敷地内において、ほぼ、最強
それが、この出道 桐男なのだ
花子さんに食べられた過激派黒服の最大のミスは、そもそも、この中央高校敷地内において、桐男を襲撃したという点だったのだ
「…あ、花火、そろそろ終わるなぁ」
再び、窓の外に視線をやる桐男
花火も、そろそろ終わり
……今年の学園祭も、終わりだ
花火も、そろそろ終わり
……今年の学園祭も、終わりだ
「今年も、楽しかったな」
と
桐男は、一際大きな花火を見上げながら、酷く満足げに呟いたのだった
桐男は、一際大きな花火を見上げながら、酷く満足げに呟いたのだった
fin