三面鏡の少女 73
「ありあたっしたー」
やる気の無い店員の声と共に、コンビニから出てくる星
そんな星に首の後ろ、首が絞まらないように襟より少し下の部分を掴まれて、ぷらぷらと揺れながら連れ出されるニーナ
「募金は週に一回、買い物のお釣りだけ。必要以上にお釣りが出ないように考えて支払いもする事」
「ですがですがしかし! あの寄付で世界中の恵まれない子供達の生活が僅かにでも改善されるのなら!」
呆れ顔の星に、くわっとテンションを上げて叫ぶニーナ
「その心構えは立派だけどな。それで俺達が飢えて死んだら寄付はそれで終わりだろ」
「む」
「今苦しんでいる子供達だけを助けて終わり? 後々で生まれてくる子供達はどうでもいいの?」
「うぐ」
「例えば、医者が身体を壊すほどに働いて患者を助けるのは立派だけど、それで結果として医者が死んでしまったら誰が患者を助けるんだ?」
「はうっ」
「ここ一番に奮発するのは大事だけど、もっとそれ以外に自分ができる事、やらなきゃいけない事を考えなきゃ駄目だろ」
手塚星、これでも中身は小学生である
元々両親が共働きなせいで大人びた思考をしていたのだが、『組織』に所属してからは周囲にいる駄目な大人を色々と見てきたせいもある
「この町で何か探してるんだろ? 俺と出会った時みたいに腹減ってふらふらしてたら、それもできないだろ」
「そっ、それは、その……神が与えたもうた試練で」
「空腹を我慢するのは試練かもしれないけど、空腹になった原因は違うだろ、さっきのを見てたら。自分の失敗を神様のせいにするのは駄目だろ」
「うぅ……」
流石に少々打ちのめされて、しょんぼりとしてしまうニーナ
「まあ、良い事をしようとしてたのは神様も見てくれてるさ。今日からもっと上手くやればいいんだって」
子供をあやすように、ニーナのきゅっと抱き締めて頭を優しく撫でてやる星
「ニーナが色々話してくれた人達だって、お前が倒れたりしちゃったら心配するだろ。お前が幸せになるのも、誰かの幸せに繋がるんだぜ?」
「そ、そうデスね! 『教会』の皆に心配を掛けるわけにはいきません!」
「おう、その意気だ」
抱き締めたまま背中を軽くぽんぽんと叩き
「んじゃ、いつもの公園でお昼にするか。その後はまた町の見回りだ」
身を離すついでに、ニーナの髪の毛をくしゃくしゃと掻き回してやる
「ああもうっ、身嗜みの乱れは風紀の乱れなんですよ!」
乱れた髪を手櫛で直しながら、頬を膨らませて抗議するニーナ
「ははっ、ごめんごめん。つい、な」
昔、よく落ち込んでいた佳奈美を元気付けるために、わざと子供っぽい悪戯で怒らせていた
それはいつしか、彼女の気を引くための手段に変わっていたのだが
「なあ、ニーナ」
「はい、なんデスか?」
「頑張れよ」
「勿論デス!」
本当に「頑張るぞ」という気持ちが満ち満ちて溢れ出さんばかりの顔で、ぐっと答えるニーナを見ていると
何やら妹でも出来たような気分になって、しっかり面倒を見てやらなければと思ってしまう
ニーナが探す悪魔
ニーナを探すオカマ
どちらが厄介な存在にしても、ニーナの傍にいればいずれ遭遇するはずである
「さて、一体どんなのが出てくる事やら」
意気揚揚と歩くニーナの背中を眺めながら、星は軽く溜息を吐きながらも
微かな笑顔を浮かべていた
やる気の無い店員の声と共に、コンビニから出てくる星
そんな星に首の後ろ、首が絞まらないように襟より少し下の部分を掴まれて、ぷらぷらと揺れながら連れ出されるニーナ
「募金は週に一回、買い物のお釣りだけ。必要以上にお釣りが出ないように考えて支払いもする事」
「ですがですがしかし! あの寄付で世界中の恵まれない子供達の生活が僅かにでも改善されるのなら!」
呆れ顔の星に、くわっとテンションを上げて叫ぶニーナ
「その心構えは立派だけどな。それで俺達が飢えて死んだら寄付はそれで終わりだろ」
「む」
「今苦しんでいる子供達だけを助けて終わり? 後々で生まれてくる子供達はどうでもいいの?」
「うぐ」
「例えば、医者が身体を壊すほどに働いて患者を助けるのは立派だけど、それで結果として医者が死んでしまったら誰が患者を助けるんだ?」
「はうっ」
「ここ一番に奮発するのは大事だけど、もっとそれ以外に自分ができる事、やらなきゃいけない事を考えなきゃ駄目だろ」
手塚星、これでも中身は小学生である
元々両親が共働きなせいで大人びた思考をしていたのだが、『組織』に所属してからは周囲にいる駄目な大人を色々と見てきたせいもある
「この町で何か探してるんだろ? 俺と出会った時みたいに腹減ってふらふらしてたら、それもできないだろ」
「そっ、それは、その……神が与えたもうた試練で」
「空腹を我慢するのは試練かもしれないけど、空腹になった原因は違うだろ、さっきのを見てたら。自分の失敗を神様のせいにするのは駄目だろ」
「うぅ……」
流石に少々打ちのめされて、しょんぼりとしてしまうニーナ
「まあ、良い事をしようとしてたのは神様も見てくれてるさ。今日からもっと上手くやればいいんだって」
子供をあやすように、ニーナのきゅっと抱き締めて頭を優しく撫でてやる星
「ニーナが色々話してくれた人達だって、お前が倒れたりしちゃったら心配するだろ。お前が幸せになるのも、誰かの幸せに繋がるんだぜ?」
「そ、そうデスね! 『教会』の皆に心配を掛けるわけにはいきません!」
「おう、その意気だ」
抱き締めたまま背中を軽くぽんぽんと叩き
「んじゃ、いつもの公園でお昼にするか。その後はまた町の見回りだ」
身を離すついでに、ニーナの髪の毛をくしゃくしゃと掻き回してやる
「ああもうっ、身嗜みの乱れは風紀の乱れなんですよ!」
乱れた髪を手櫛で直しながら、頬を膨らませて抗議するニーナ
「ははっ、ごめんごめん。つい、な」
昔、よく落ち込んでいた佳奈美を元気付けるために、わざと子供っぽい悪戯で怒らせていた
それはいつしか、彼女の気を引くための手段に変わっていたのだが
「なあ、ニーナ」
「はい、なんデスか?」
「頑張れよ」
「勿論デス!」
本当に「頑張るぞ」という気持ちが満ち満ちて溢れ出さんばかりの顔で、ぐっと答えるニーナを見ていると
何やら妹でも出来たような気分になって、しっかり面倒を見てやらなければと思ってしまう
ニーナが探す悪魔
ニーナを探すオカマ
どちらが厄介な存在にしても、ニーナの傍にいればいずれ遭遇するはずである
「さて、一体どんなのが出てくる事やら」
意気揚揚と歩くニーナの背中を眺めながら、星は軽く溜息を吐きながらも
微かな笑顔を浮かべていた