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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 三面鏡の少女-74

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Elfriede

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三面鏡の少女 74


駅前のファストフード店で向かい合う二人の女子高校生、逢瀬佳奈美と宮定繰
どこかのんびりとした表情の佳奈美に対して、落ち着かない様子でそわそわしている繰
何やら相談があると呼び出されたものの、何も切り出さないで思い悩んでいる繰を見て、自分から話を切り出せるように待ち続けて二時間ほどが経っていた
「あ、あの、ね……相談したい事が、その、あるんだけど」
「うん、電話で聞いたのも入れて25回目だよその台詞」
すっかり冷めたフライドポテトを摘みながら、それでも急かす様子はなく落ち着かせるようにのんびりと自分から語るのを待つ
「佳奈美があのセクハラ野郎……いや、えっと、あいつ名前何だっけ、ああもう」
わしわしと忙しなく髪を掻き回しながら、視線を彷徨わせながら呟く
「佳奈美って、あいつと付き合う事になった時って、どんな感じだったのかな、って」
もくもくと咀嚼していたポテトをごくんと飲み下して、首を捻る佳奈美
「んー、何でだっけなぁ……実はあんまり覚えてないんだよね」
「覚えてないって、そんなんで付き合ってたの?」
「契約者と担当って関係でなんかこう、色々助けてくれたり守ってくれたりしてるうちに、自然とそうなったというか」
「……そんなもんなのかしらね、男と女って」
ふうと溜息を吐いて、飲み干した後に氷が溶けきった水だけのカップをストローでぐるぐる混ぜている
そんな繰に、唇に人差し指を当てて、んーと唸る佳奈美
「繰、好きな人ができたの?」
「んなわけないでしょ!?」
「違うの?」
「その辺がよくわかんないから相談しようと思ったのよ!」
ややキレ気味に叫ぶ繰だが、ファストフード店の客席だという事を思い出し、周囲の視線を気にしながら姿勢を正す
「好きとかそういう感情がそもそもわかんないのよ、私は」
物心ついた時から、まず最初に愛情を向けられるであろう両親に『無関心』であり続けられた繰
その心の中にある『好意』という機構はほんの少しも動かされずに、錆びつき埃を被っているような有様だった
「好きかどうかは別として、気になる人はいるんだよね?」
「う、うん」
頬を染めて、こくんと頷く繰
佳奈美は、なんか可愛いなぁと思いながら、既に好きという感情は持っているんだろうなと判断する
「その人と一緒に過ごしたりする事はあるの?」
「夏休み中はちょくちょく、かな」
主に補習でだが
「その人と一緒に居て、どんな事を考えたりする?」
「イラついてぶん殴りたくなる」
興味津々といった様子だった佳奈美の笑顔が、ぴしりと凍り付く
「言う事は女々しいし、他人の事ばっかりで自分の事は二の次三の次だし、とことん押しが弱いし、すぐ騙されるし」
語りながら、段々とイライラした顔付きになりこめかみに青筋が浮き始める
「く、繰?」
「善意は空回りするし、私服のセンスがおかしいし、それでいて変なところで頑固だし」
「落ち着いて! 繰、落ち着いて! 主に髪の毛!」
ざわりと髪の毛が伸びそうになった繰を必死に宥める佳奈美
足元に置いた鞄から顔を出した菊花も、その足をぺちぺち叩いて落ち着かせようと必死である
「あ、ごめん、あいつの事を考えてたらつい」
「……なんか凄く苦労してそうだね」
「何が一番アレかって言えば、気にしなきゃ良いのに自分から首突っ込んでる辺りよね」
溜息と共に髪の毛からも勢いが抜けていく
「んー、やっぱり繰はその人の事が好きなんじゃないかな? 繰ってどうでもいい相手の事とか全然気にしないもん」
「そりゃまあそうだけど……例えば佳奈美は大事な友達だけど、佳奈美が言う『好き』って感情とは何か違うでしょ?」
「あはは、恋愛的に好きって言われたらちょっと困るなー」
「単に放っておけない、放っておきたくない友達みたいな存在としてなのか、佳奈美の言う『好き』っていう感情を向けてる相手なのか、自分ではさっぱりわかんないのよ」
「傍から見てる感じだと、もうどう見てもライクよりラブだけどなー」
「……佳奈美、なんか最近あのセクハラ野郎に似てきてない?」
「嘘っ!? 宏也さんの事は大好きだけどそれはそれで何かヤダな!?」
複雑な表情で慌てふためく佳奈美に、繰はやや苦笑を浮かべる
「でも、話したらなんか落ち着いたかな」
「ん、それは良かった」
「また落ち着かなくなったら話し相手になってくれる?」
「あたしで良いなら何時でも。菊花ちゃんにもまた会いたいしねー」
テーブルの下を覗き込んで軽く手を振ると、菊花も鞄の中からちょこんと顔を出した姿でぱたぱたと小さく手を振って返す
「そう言えば佳奈美の都市伝説にはまだ会ってないよね。どんな奴なの?」
「あー……会ってると言えば会ってるんだけど」
苦笑を浮かべ、申し訳無さそうに上目遣いで繰を見上げる佳奈美
「中学の時の、トイレの鏡のアレ。『合わせ鏡に自分の死に顔が見える』って都市伝説でね、鏡の中で無限に増える分身なのよ」
「ああ、アレ……あの頃は免疫全然無かったから、マジビビリしたわ」
「ごめんね、自分で全然制御できないからあんまり会わせたくないの。ある意味で宏也さんよりタチが悪いし」
「……とんでもないの抱えてるわね、あんた」
「前の契約者さんは、分身を制御できた上に鏡から出して自由に行動できたらしいんだけどね。あたしは全然力が足りてないみたい」
「佳奈美はそれぐらいで丁度いいのよ。荒事はあんたの恋人や私に任せておきなさい」
「んー、でも宏也さんにも繰にも、あんまり危ない事はして欲しくないなぁ、やっぱり」
「結果として誰かがやんなきゃいけないなら、知ってる人を助ける方がやる気が出るもんだけどね」
それからは他愛も無い、友達同士の普通の会話が続いていく
いつどんな別れが訪れるか判らない都市伝説だらけのこの町では、それが一番大事な会話だったのかもしれない
さよならを言う暇も無い、そんな別れは
本当に突然訪れるものなのだから


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