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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ドクター-95

最終更新:

Elfriede

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ドクター95


うなされ、悲鳴と共に目を覚まし、辛そうに咽び泣く
夜な夜なそんな事を繰り返し、日に日に憔悴していく姿は見ていて辛いものがあった
そんな彼女にしてやれる事が、ただ抱き締めて頭を撫でてやるぐらいしかない自分がとても歯がゆい
唯一の家族である妹をその手に掛ける事を選んだ後悔
無二の恋人を手に掛けた自分と、とても良く似た後悔
もしも恋人を取り戻す事ができるのであれば
妹を殺してしまっても取り戻せるという事が判れば
彼女の苦しみも取り除いてあげる事ができるのではないだろうか
その考えが、ただ自分の行動を後押しする理由として、彼女の苦しみを利用していると言う卑怯なものである事は理解している
だが、理解した上でその後押しが欲しい程に
彼の心は、禁断の領域に魅せられていたのだ

「死者を取り戻すためにボクが手伝える事は、何一つ無いと先に言っておくぞ」
恋人が死んだその日に、ドクターはそう言っていた
「ボクは医者だ。生を繋ぐ事はあっても死を反故にする事は出来ないし、するつもりも無い」
何時になく真面目な顔で、諭すように
「命は粗末に扱うべきだとは思わない。むしろ、粗末に扱わないためにこそ、いつか訪れる死を受け入れるべきだとボクは思っている」
永劫を生かされる不死の都市伝説ではなく人間として死にたい
その願いのために彼女の研究に協力してきた『第三帝国』の総統やトライレス
上層部がそういう考えを持つ『第三帝国』では、死者の復活などという事の研究は出来ないだろう
「元々はバイトだし、そろそろ潮時なのかもな」
ドクターの研究の合間に、医療都市伝説や錬金術、魔術といった存在を持つ人物や組織とのコネはいくつか出来ている

そして、胸ポケットに入ったボールペンほどのサイズの小さな棒に視線を落とす
恋人の死から数日後、パスカルと共に訊ねてきた呂布から侘びという名目で手渡されたもの
「大陸で何度も戦った奴から譲り受けた複製品だ。本物程では無いが、貴様の武器としては適しているはずだ」
それ以上は語らず、静かに去った呂布
「あいつの存在は『演義』寄りだからな。死に別れてんだよ、あいつも……押し付けがましいが、受け取ってやっといてくれ」
付け足すようにそう告げて、パスカルはやや不安げな表情を浮かべる
「無茶すんなよ?」
口調はともかく、すっかり女性としての仕草が身についたパスカル
帰り際にドクターやトライレスに絡まれたり、奇妙な悪霊が飛び回ったり、双子や看護婦を巻き込んでの大騒ぎになったりしたのだが
そんないつもの様子も、今はテレビ画面の向こうの事のようにしか見えなかった

―――

早朝
簡素なバッグに僅かな着替えと財布だけを詰めて、診療所の玄関口に立つ有羽
「何処に行くのでありますか?」
「……いつもより早いな、起きるのが」
「デリアが、見張っておけと言っていたであります」
有羽にはコンスタンツェの安心のためにと
コンスタンツェには有羽の見張りのためにと
あのしたたかな妹の手のひらの上だったかと、有羽は思わず苦笑する
「ちょっと調べ物に行ってくるだけだ、すぐ戻る」
「どれぐらいで戻るでありますか?」
真剣な顔で食い下がるコンスタンツェ
「はっきりと決まってないなら、小官も一緒に行くであります」
「ちょっと待て、何でそうなる」
「バイトさんは『第三帝国』の機密情報を色々知ってるであります。小官なら妹と通信が可能でありますので、監視には適しているであります」
決めていた、考えていたという台詞を言っている様子ではない
思い出しながら確認しつつ喋っているようなその様子に、これもまたデリアの入れ知恵なのだろう
有羽は諦めたように溜息を吐くと、玄関口に座り込む
「ドクターと先生に挨拶してからにする。お前さんも付いてくるなら準備もいるだろ」
一瞬ぱあっと顔を輝かせて、すぐに顔を引き締めるコンスタンツェ
「ダメでありますよ、小官の準備の時も一緒であります。目を離してはいけないとデリアに言われたでありますから」
あっさりと語るに落ちてる辺りが、彼女の人柄なのだろう
「逃げないからまず着替えて来い。目を離さないとこに俺を置いて着替えるわけにもいかんだろ」
どうやら彼女達からは容易に離れられないらしい
有羽は溜息を吐きながらも、何か安堵にも似たものを胸中に抱いていたのだった


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