学校町 東区 住宅街の一角
喫茶店 「兎の尻尾」にて
喫茶店 「兎の尻尾」にて
青年二人と少女二人が、向かい合うような形でボックス席に座っている
青年二人の方は、一方が女性じみた外見をしているが、あまり気にしてはいけない
青年二人の方は、一方が女性じみた外見をしているが、あまり気にしてはいけない
「…改めて、はじめまして、お嬢さん達。僕は、玄宗 直希。一部界隈では「仲介者」と呼ばれているよ」
「……「組織」所属、「モンスの天使」の契約者、門条 天地だ。担当黒服は穏健派所属 C-No.572だ」
「……「組織」所属、「モンスの天使」の契約者、門条 天地だ。担当黒服は穏健派所属 C-No.572だ」
女性じみた外見の青年と、もう一人の青年が、少女二人に名を名乗った
それに習うように、少女達も名乗る
それに習うように、少女達も名乗る
「天倉 紗江。犬神憑きと契約しています」
「天倉 紗奈。アンサーの契約者です」
「えぇと……玄宗、さんは。「組織」の人じゃ、ないんですか?」
「直希で構わない。…あぁ、僕は「組織」所属ではないな」
「天倉 紗奈。アンサーの契約者です」
「えぇと……玄宗、さんは。「組織」の人じゃ、ないんですか?」
「直希で構わない。…あぁ、僕は「組織」所属ではないな」
紗江の疑問に、さらりと答える直希
天地は「組織」所属だが、直希は「組織」に所属していない
むしろ、「組織」の一部からは、煙たがわれているくらいである
天地は「組織」所属だが、直希は「組織」に所属していない
むしろ、「組織」の一部からは、煙たがわれているくらいである
「お前達も、「組織」所属なんだな?担当してる黒服のナンバーは?」
天地の、その問いかけに…ふと、双子は顔を見合わせた
そう言えば、天地が、担当の黒服をナンバーで呼ぶ際、その直前に「穏健派所属」と口にした
…黒服にも、派閥があるのだろうか?
そう言えば、天地が、担当の黒服をナンバーで呼ぶ際、その直前に「穏健派所属」と口にした
…黒服にも、派閥があるのだろうか?
自分達の担当であるあの黒服が、どの派閥に所属しているのか…そもそも、どんな派閥があるのかすら、わからないので
とりあえず、ナンバーだけ伝える事にした
とりあえず、ナンバーだけ伝える事にした
「えっと…A-No.666です」
その、答えに
天地が、やや表情を歪めた
天地が、やや表情を歪めた
あの、髪の短い黒服の反応を思い出す
あれに……似ている
あれに……似ている
「天地、そのナンバーの黒服を知っているのかね?」
「………先生が生きてた頃、よく、先生のラボに出入りしてた」
「……むぅ」
「………先生が生きてた頃、よく、先生のラボに出入りしてた」
「……むぅ」
今度は、直希が表情を歪めた……ように、見えた
表情が乏しいせいで、わずかな変化であったため、姉妹にはよく、わからない
表情が乏しいせいで、わずかな変化であったため、姉妹にはよく、わからない
「以前、担当がその人だと話したら、あまり良い反応をされませんでした………あの黒服さん、何か…問題でも、あるんですか?」
「……正直、あまりいい噂は聞かねぇ」
「……正直、あまりいい噂は聞かねぇ」
天地は、「組織」によって幼い頃に引き取られ、育てられた契約者だ
本部にも自由に出入りできるし…もっとも、限られた区画内だけだが…、周りの黒服の噂も、自然と耳に入ってくる
特に…今はもういないH-No.1、ハンニバル・ヘースティングスと関わっていた相手なら、なおさらだ
本部にも自由に出入りできるし…もっとも、限られた区画内だけだが…、周りの黒服の噂も、自然と耳に入ってくる
特に…今はもういないH-No.1、ハンニバル・ヘースティングスと関わっていた相手なら、なおさらだ
「あいつが担当した契約者が、不審な死や疾走を遂げるのはしょっちゅう。表向きそう言う事になっちゃいるが……あいつが、非人道的な人体実験をして死なせたんだろう、って言われてる」
「実験……」
「実験……」
…実験材料にされる前に
髪の短い黒服の言葉が、脳裏に思い浮かぶ
髪の短い黒服の言葉が、脳裏に思い浮かぶ
「…むぅ。「組織」では非人道的実験は禁止されていると聞いたのだが。まだ、そんな輩がいるのかね?」
「「組織」内でも、だいぶそう言う連中は粛清されたりなんなりしてるはずなんだけどな」
「「組織」内でも、だいぶそう言う連中は粛清されたりなんなりしてるはずなんだけどな」
潰しても、潰しても
A-No.0が、「アメリカ政府の陰謀論」と同じように見られる事を嫌い、それらを淘汰しようとしても
いくらでも、湧き出てくる存在
…非人道的実験を行う者は、そう言う連中なのだ
A-No.0が、「アメリカ政府の陰謀論」と同じように見られる事を嫌い、それらを淘汰しようとしても
いくらでも、湧き出てくる存在
…非人道的実験を行う者は、そう言う連中なのだ
「正直、うまい事理由つけて、担当替えた方がいいと思うぞ」
天地もまた、あの髪の短い黒服と同じ発言をした
紗奈は、あの黒服との遭遇以降、疑問に思っていた事を、尋ねてみることにした
紗奈は、あの黒服との遭遇以降、疑問に思っていた事を、尋ねてみることにした
「あの…私達、担当者の命令は絶対だ……って、言われたんですけど」
「………は?」
「………は?」
紗奈の言葉に、天地がきょとん、と目を丸くした
その様子は、彼を本来の年齢より、やや幼く見せる
むぅ、と、隣の天地が直希を見つめたまま、ぽつりと口にする
その様子は、彼を本来の年齢より、やや幼く見せる
むぅ、と、隣の天地が直希を見つめたまま、ぽつりと口にする
「…それが真実であるならば、君はとっくに「組織」から追放もしくは粛清されていそうなものだな」
「だな。まぁ、謹慎処分はよく喰らってっけど」
「君は命令違反をしない方が珍しいであろうからな」
「だな。まぁ、謹慎処分はよく喰らってっけど」
「君は命令違反をしない方が珍しいであろうからな」
目の前の青年二人のやり取りに、目をぱちくりとさせる双子
…この会話から察するに
つまり、は
…この会話から察するに
つまり、は
「…命令は絶対、と言う事ではない…の、ですか?」
「強行派や過激派の黒服はそう言うけどな。穏健派や中立派…それに、日和見派の連中は連中はそうじゃない、って言うな。兄貴派は何考えてるかわかんねーっつーか、理解したくないから知らねぇ」
「強行派や過激派の黒服はそう言うけどな。穏健派や中立派…それに、日和見派の連中は連中はそうじゃない、って言うな。兄貴派は何考えてるかわかんねーっつーか、理解したくないから知らねぇ」
若干不思議な単語も混じっていた気もするが、紗江の疑問にはしっかりと答えている
…否、であると
命令が絶対、と言う訳ではないのだ、と
…否、であると
命令が絶対、と言う訳ではないのだ、と
「お前ら、「組織」に所属してから、日が浅いのか?」
「あ…はい」
「担当の黒服さん以外の「組織」所属の人とは、ほとんど会った事ないです」
「あ…はい」
「担当の黒服さん以外の「組織」所属の人とは、ほとんど会った事ないです」
…実際には、何人かと遭遇しているのだが
が、双子がその正体に気付いていない為、ノーカウントなだけである
紗奈など、クラスメイトに「組織」所属の契約者がいる上、担任教師の双子の弟が、「組織」内でも最強クラスの契約者(ただし、最凶クラスに厄介で扱いにくい)であるというのが現実なのだから
が、双子がその正体に気付いていない為、ノーカウントなだけである
紗奈など、クラスメイトに「組織」所属の契約者がいる上、担任教師の双子の弟が、「組織」内でも最強クラスの契約者(ただし、最凶クラスに厄介で扱いにくい)であるというのが現実なのだから
「あの…門条さんは、「組織」に所属して、長いんですか?」
「天地でいい。俺は、物心つく前に「組織」に拾われて育てられたからな。お前らより、ずっと長いさ」
「天地でいい。俺は、物心つく前に「組織」に拾われて育てられたからな。お前らより、ずっと長いさ」
正確には、「組織」生まれの存在なのだが…………その件は、今は、さほど重要な情報ではない
ただ、天地は「組織」に所属して長いが故…そして、とある事件に深く関わってしまったが故に、「組織」の闇を知っており
…紗江と、紗奈は
「組織」に所属して日が浅いが故に…その闇を、知らない
重要なのは、そこだ
ただ、天地は「組織」に所属して長いが故…そして、とある事件に深く関わってしまったが故に、「組織」の闇を知っており
…紗江と、紗奈は
「組織」に所属して日が浅いが故に…その闇を、知らない
重要なのは、そこだ
「…どうしよう、紗江ちゃん」
「……担当の黒服さんを…替えてもらう、べきなのかな…」
「……担当の黒服さんを…替えてもらう、べきなのかな…」
不安そうな、双子に
天地がぽつりと、口にする
天地がぽつりと、口にする
「…「組織」内に知り合いがいるならまだしも、そうじゃなければ、難しいかもな」
天地としては、姉妹が「組織」に他に知り合いがいるならば、そちらのツテで担当を交代させてもらうべきだと考えていたようだが
…知り合いが皆無ならば、その手は存在しない
…知り合いが皆無ならば、その手は存在しない
「……天地、君の力で、どうにかならないのかね?」
直希が、天地を見つめ、そう口にする
自分には、そこまでする義理などない
そう、答えようとした天地だったが
……双子からも、視線を向けられ
ため息をつき、答える
自分には、そこまでする義理などない
そう、答えようとした天地だったが
……双子からも、視線を向けられ
ため息をつき、答える
「…まぁ、あの女に言ってみるけどよ。うまくいくかどうかはわからないぜ」
…天地の言葉に、直希が少し、ほっとしたような表情を浮かべた
双子も、やや安堵しつつも…しかし、紗奈は少し不安そうに、続ける
双子も、やや安堵しつつも…しかし、紗奈は少し不安そうに、続ける
「でも…そう言う事をして、天地さんは…大丈夫、なんですか?」
…「組織」から、追い出されるのでは
それこそ、A-No.666から目をつけられるのでは…
そんな紗奈の言葉に、天地はやや自嘲気味に笑った
それこそ、A-No.666から目をつけられるのでは…
そんな紗奈の言葉に、天地はやや自嘲気味に笑った
「…命令違反はしょっちゅうだし。今更、一つや二つ何かやらかしたところで、どうとでもなるさ」
「何、安心しろ。天地、君が「組織」から出奔しなければならなくなったならば、僕が君を養ってやる」
「……お前に養われるとか、微妙に情けない気もするんだけどな…」
「何、安心しろ。天地、君が「組織」から出奔しなければならなくなったならば、僕が君を養ってやる」
「……お前に養われるとか、微妙に情けない気もするんだけどな…」
直希の言葉に、天地が小さく苦笑する
…この様子から…この二人が、互いを強く信頼しあっているのだと
その様子が、伝わってきて
姉妹は、どこか微笑ましさすら、感じる
…この様子から…この二人が、互いを強く信頼しあっているのだと
その様子が、伝わってきて
姉妹は、どこか微笑ましさすら、感じる
「…あぁ、そうだ。これ」
「「??」」
「「??」」
…さらさらと
天地が、紙片に何やら番号を書いて…姉妹に、差し出した
天地が、紙片に何やら番号を書いて…姉妹に、差し出した
「俺の、携帯の番号。何かやばそうになったら、連絡しろ。できる範囲で協力する」
「…いいんですか?」
「さすがに、こんだけ話してお前らに何かあったら目覚めが悪いっつの」
「…いいんですか?」
「さすがに、こんだけ話してお前らに何かあったら目覚めが悪いっつの」
姉妹は、顔を見合わせ、考え…
…その紙片を、受け取ろうとした
…その紙片を、受け取ろうとした
つい、と
その紙片を、直希がとって
……さらさらと
天地が書いた乱雑な字の下に、丁寧な字で番号を書いていく
その紙片を、直希がとって
……さらさらと
天地が書いた乱雑な字の下に、丁寧な字で番号を書いていく
「……こちらは、僕の携帯の番号だ。僕も、「仲介者」として、出来うる範囲で、君達に協力しよう」
改めて、差し出される紙片
二人の都市伝説系役者の携帯の番号が書かれた、その紙片が
この姉妹の運命を、どう動かすのか
二人の都市伝説系役者の携帯の番号が書かれた、その紙片が
この姉妹の運命を、どう動かすのか
…それは、まだ、誰にもわからない
to be … ?