「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 電子レンジで猫をチン!-41

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【電磁人の韻律詩41~新生・明日真~】

前回のお話から一週間後。
舞台は真夜中の学校町。
そこは尽きることのない魑魅魍魎が跋扈する地獄である。
そんな中で今日も正義の為に闘い続ける髑髏の仮面の男が一人。
そしてそれを遠くから眺める小さな影も一つ。

「うおおおおおおお!」

一閃。
髑髏の仮面の男の跳び蹴りが『赤マント』を貫く。
『赤マント』はそれと同時に塵になって消え始める。

「……決まったぜ、ライダーキック。
 さてと、終わったよ黒服さん。」

満足げに呟く男、彼が仮面を外すとその素顔は思ったより幼かった。
そう、彼こそこの物語の主人公、明日真である。
今彼は修行の結果ついに使えるようになった必殺技を成功させた感動に震えていた。

「はいはい、おつかれさま。……って危ない!」

明日真の戦闘を見届けた一人の男。
彼の名前は広瀬宏也、H-№の黒服である。
彼は明日真の後ろから襲いかかる赤マントの姿を確認した。
だが明日の影になっていて一瞬警告が遅れる。



「大丈夫ですよHさん。」

明日真は危なげなく赤マントの攻撃を後ろを見たまま回避する。
独楽のように回転しながら赤マントの後ろに回ると掌でその背中に触れる。
掌には黒い革の手袋が嵌められていた。

その黒革の手袋が一瞬で赤く染まる。

明日の掌にはわずかな熱と共に肉の爆ぜる振動が伝わってきた。
一切の無駄がない動きで明日真は最大限のマイクロ波攻撃を赤マントに行っていた。
たった一週間と少しの修行でここまで無駄のない動きができるようになったのだ。
その成長は師である上田明久の予想を大きく上回っていた。

「おぉ……、強くなったなあ。
 紫の知り合いの武術家の人に習ったんだっけ?
 『組織』にも関わりがあったって所まではわかるんだがなあ……。
 一体誰だか教えて欲しいぜ。」
「名前は絶対教えるなって言われてるんですよ。
 家にもなんか結界みたいなのが有ったりして要塞みたいな所でしたし。」

明日真のなめらかな動きはひとえに彼の音楽的才能に依るところだった。
敵対する相手の行動のリズムを読み取り、その先手を打つ。
協力する味方の行動のリズムを読み取り、それを十全に生かす。
そんな明日真の特性に気付いた上田明久はそれを徹底的に鍛え上げたのだ。





「それじゃあ後は俺が『組織』に報告しておくからもう帰って良いぜ。」
「はい、それじゃあまたなんかあったら呼んでください!」
「ああそうだ、恋路ちゃんはどうしたんだ?
 いつもならお前の傍に居るのに……。」
「え、ああそれが……、逃げられました。」
「―――――――――なん、だと?」
「年上のちょい悪お姉さんに唇を奪われたところを目撃されていたみたいで……。
 それでへそをまげてしまって……。」
「おい明日真、俺はお前がそんな女誑しキャラだったと思ってなかったんだが……?」
「違うんですHさん!なんていうかハプニングみたいな感じで……!」
「それならそう言って彼女の所行ってさっさと謝ってこいよ!」
「いや、問い詰められた時すぐにそうしたんですけど駄目でした……。」
「その後追いかけて違うって言うのが大事なんだよ!
 素直に謝られただけで許すのも恋路ちゃんの女心的に許せないと思わないか?」
「そうだったんですか!?」
「そうだ!だから急いで行ってこい!」

明日真は黒服Hにせかされるようにしてバイクに乗り込む。

「ありがとうございます!それじゃあ今から行ってきます!」
「おう、他の男が寄りつくまえにさっさと行った方が良いぜ?」
「…………。」
「冗談だ冗談、そんな顔面蒼白になるな。」
「そ、そうですよね!それじゃあすぐに行ってきます!」

明日真は彼の愛車であるカタナを全速力で発進させた。






恋路の只今の家出先である北斗神軒は明日真が赤マントを倒した場所とは反対の方角にある。
だから真夜中とはいえそこまで行くのには結構時間がかかる。
明日が北斗神軒にたどり着いたのは結局夜の十一時を過ぎた頃だった。
軽く呼吸を整えてまだ中から客のにぎやかな声が聞こえる北斗神軒のドアに手をかける。

だが次の瞬間、明日真は信じられない者を見る。

「お~ほっほっほっほ!
 やっと見つけたわよニーナちゃあああああああああああああんんん!」

オカマだ。
しかも修道女の服を着ている。
たしかキリスト教の教義では異性装はアウトだった筈なのだが明日真にそんな知識はない。
とにもかくにもガチムチマッチョな男が修道女の制服を着て何かを追いかけている。

「”%”%$&違$&$”う!!!」

“何か”はシーツを被っていた。
そのせいか良く声が聞こえない。
だが一つだけ解るのはそれがまだ小さい子供らしいと言うことである。
学校町では良くあることなのだが正義の味方たる明日真にこの状況を見逃せる訳がなかった。
否、たとえ学校町でも大の大人が脅えて逃げ回る子供を追いかけ回しているなんて怪しすぎる。

明日真は北斗神軒に入るまえにオカマに声をかけることにした。



明日は正義の味方として太宰龍之介の遺品である右目の部分が割れた髑髏の仮面を付け直す。
そして上田明久から与えられた黒い火鼠の革の手袋を改めて嵌め直す。

「おほほほほほほほほほほ!捕まえたわ!
 あんたみたいな任務を果たせない奴なんてヴァタアシが始末して……!」
「おいオッサン!」

明日が割って入ったのは丁度オカマがシーツの少女を捕まえた瞬間だった。

「その女の子からその脂ぎった手をどけな!」

突然の乱入者にそのオカマは怪訝そうな瞳を向ける。

「なぁに?あんただれぇ?」
「通りすがりの正義の味方だ!」
「なによなによ、見ず知らずのこのガキを助けようって訳?
 じゃあ教えてあげるけどこのガキは……!」

次の瞬間、シーツを被った子供がオカマを派手に突き飛ばす。
そしてシーツを被ったまま子供は明日真の影に隠れた。

「この子がなんであろうと、大の大人が子供を脅えさせて良い道理があるか!」
「あくまで正義の味方を気取るって訳ね、そういうのも嫌いじゃないわ!
 でもそこまでヴァタシの邪魔したいのん?じゃあ良いわ、あんたから始末してあげる。
 来なさい、ガアァァァァァァアァゴォォオウィル!」

明日の目の前でオカマの姿は一瞬で石の化け物に変わってしまった。




豚の頭に蝙蝠の羽と人間の体をもった半獣半人の石像。
それが今明日真の相対する化け物の姿だった。
だが、明日真は、否、正義の味方はひるまない。

「ちびっ子、お兄ちゃんの後ろに隠れてな。」

彼の後ろにいる子供が身をこわばらせる。
どうやらこのオカマが相当怖いらしい、と明日真は判断した。
正義の為に戦っているという自信が明日真の集中力を極限まで高めていた。
明日真は他人の為に戦う時に最大の実力を発揮できるタイプなのだ。

「八つ裂きにしてあげるんだからぁあ゛!」

オカマもといガーゴイルがまっすぐに明日真に突撃を仕掛ける。
だが明日は不敵に笑うばかりだ。

「腰を深く落として、脇を締めて、全身の筋肉に力を漲らせてから、
 ――――――――――――全力でぶつかる!」

明日の身体の周りでスパークが起きる。
体内を巡る電流を操作して明日真は身体能力を強化しているのだ。
しかし限界を考えずに身体を強化している訳ではない。
身体強化に加えて修行の最中に覚えた相撲の基本的な動作を真似ているのだ。
これによって最低限の力で効率よくガーゴイルの動きを止めることが出来る。




「なぁに?強化型の都市伝説なの?
 でもヴァタシのガーゴイルには勝てないみたいねえ!」

四つに組んだは良いものの、ジワジワと明日真は押し返され始める。
だが後ろの少女はそれでも明日の後ろで蹲り続けている。
此処にいれば大丈夫だと信じているように。
その事実が明日真にさらなる力を与える。

「良いよ、負けても。ガーゴイルには、アンタのガーゴイルには勝てなくても良いんだ。
 俺は弱いから、幾らでも負けてやる。
 ―――――――――――でも、俺を信じて助けを求める人が居る限り、俺は悪には屈しない!」

明日真の腕の周りで一瞬だけ七色の光が灯る。
それは正しく極光の輝き。
強力なマイクロ波によって空気中の分子が一瞬だけオーロラのように輝いたのだ。

「何言ってるのよアンタ、相当痛い子ねえ?」
「笑いたいんなら……笑え!」

明日がそう言って再び身体に力を込めた瞬間、ガーゴイルの右腕が爆砕した。




「ぎゃああああああああああああ!?
 何よ、何だよこれええええええええええええ!」
「……男言葉に戻ってるぜ。
 まあいいや、たとえ石であっても内側に水分はあるんだよ。
 それを蒸発させれば脆くなって内側から爆発する。
 多分死にはしないから大人しく…………」

彼が大人しく組織に捕まれと言おうと思った瞬間だった。
明日真はガーゴイルに蹴り飛ばされた。
どうやら足が折れているらしく、上手く立つことが出来ない。

「しまった!待てお前そいつに勝手に触るんじゃあ……。」

うめきながらも顔を上げた明日真は信じられないものを見た。
シーツをマントのように纏った子供がガーゴイルを蹴り飛ばしていたのだ。

「あいてっ!何よこの子ニーナじゃないじゃない!」
「神経接続戦闘モード、テキ、右から来た、ケル。真っ直ぐ来た、躱す、ケル。」
「おいおい、あれ石だぞ……!?」




戦闘は一方的だった。
子供はまるで機械のようにガーゴイルの攻撃に対してカウンターのみを繰り返す。
石を素足で蹴っているはずなのに、ダメージがあるのはガーゴイルの方だけらしい。
一切の無駄がない完璧な動きである。
明日真はその光景をあっけにとられるばかりで大事なことに気付いていなかった。
シーツの影から見える子供の表情だ。
戦闘をする以上、一定の集中が必要なはずのその場で、子供はあろうことかよそ見をして月を見ていた。
実はその子供は拝戸直が作った自動操縦で戦闘を行える感覚及び反射強化型フランケンシュタインだったのだ。
戦闘中も意識がよそを向いているが故に行動が読めない。
全てが反射のパターンで行われている行動とはいえ、彼女の意志が読めない以上、
戦闘になれていればいるほどにその違和感は甚大である。
それはまともな戦闘が続行できないほどの異常。

「”$&’ちゃん、なら、守っ#&#&$#。信じてた。」

できたてのフランケンシュタインである為にやはりまだ言葉が上手く喋れない。

「さっきから見ていた、お兄ちゃん正#%”&#”、私、覚えた。」
「ちっ、人違いだったなら一旦退散ね!」
「それは”#%い、戦闘モードは貴方を倒すまでオワラ#$&”」

逃走を始めるオカマ。
電信柱を踏み台に跳躍して子供はそれを追いかける。

「ワタシ、さっきのおにいちゃんの技、見て覚えた。」

それを聞いた瞬間、明日はなんとも言えない嫌な予感がした。
そう、先ほど明日の近くに居た小さな影はこの子供だったのだ。





「見てて、く、だ、さい、ワタシのライダーキック。」

電信柱を踏み台に跳躍した彼女は空中で回転しながら蹴りをオカマにたたき込む。
それは蹴ると言うより子供が蟻を踏みつぶすような姿勢だった。
石で出来ていた筈のオカマの身体の半分が一瞬のうちに砕け散った。
あっさりと、いとも容易く、赤子の手をひねるが如く、子供が、大の大人の身体を蹴り潰した。

「―――――――おしまい。」
「何やってるんだ!」

明日真は叫ぶ。
あれでは殺してしまうじゃないか。
人を殺すのは良くない、明日にとってそれは当たり前のことだ。

「私、間違えた?ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ
 次はちゃんとやりますから許してください。」
「違う、人を殺しちゃ駄目だ!
 都市伝説と契約してもあいつは人間だろうが!」
「人、殺し%#、!3”!目?」
「ああ、駄目だよ。」

明日がオカマを探そうと辺りを見回すとオカマはすげに逃げ去っていた。
どうやら逃げる程度の体力は残っていたらしい。
子供が人殺しにならなくて明日真は少しばかりホッとしていた。





「……もう居なくなったか。」
「オニイチャン、どうして、人殺し、だめですか。」
「え?」

人殺しが駄目な理由なんて明日真は考えたことがなかった。

「駄目な物は駄目、なんじゃないのか?
 まあ良いや、ちょっと待ってろ。今信頼できる『組織』の人にお前も保護して貰うから。
 あ、あとちゃんとシーツくらいとりなさい。
 人と話す時は顔くらい見せるのが礼儀だろ?」
「外が騒がしいなあ?」

そう言って明日真がシーツを引っ張った瞬間、北斗神軒の扉が開いて恋路が顔を出した。

「あ、駄目ですオニイ$$’%$!」

明日が引っ張ったシーツの下からは真っ裸の少女が出てきた。

「そんなに、まじまじ、見られると、恥&$#し$す。」

なんということだろう。
今の状況は第三者から見ると明日真が真夜中に幼女を裸にひんむいているようにしか見えない。




「……アスマ、がっかりだよ。」
「え?恋路なんでここに?」
「面倒、$’&$で、ワタシ、カエリマス。
 人、サガシテルノデ。黄昏。」
「え?この状況で名前も名乗らず帰るだと?」

フランケンシュタインの少女は面倒の気配を感じてすぐに逃げた。
一応、シーツは装備して逃げたが何時ハラリするか正直心配である。

「……アスマ、君が何かのトラブルに巻き込まれたのは解る。
 でもまさかアスマがロリコンだったなんて!
 がっかりだ!
 ホモ疑惑!浮気疑惑!そして最後にロリコン疑惑!
 パソコンに隠してあった諸々も含めると疑惑はさらに倍マシだ!」
「ていうかパソコンのアレ見たのかよ!
 うわああああああ!いっそ殺せ!俺だって性欲くらい有るわ!」
「だからって真夜中の路上で子供を裸にするなんて最低だッ!
 どこぞのロリコン探偵ですらもっと節度があるわ!」
「絶対誤解だあああああああああああああああ!」

明日真は正義の味方である。
今回の彼の行動に間違いはなかった。
だが正義の味方は得てして報われないことを忘れてはならない。
【電磁人の韻律詩41~新生・明日真~fin】

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